Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−8650(T2010−8650/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1に示すとおりの構成からなり、第9類「測定機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成21年10月8日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同年同月28日付け手続補正書及び同21年12月28日付け手続補正書により、最終的に、第9類「レーザーを使用した測定機械器具」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、登録第5109544号商標(以下『引用商標』という。)と『キワミ』の称呼を共通にする類似の商標であって、同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 引用商標
引用商標は、別掲2に示すとおり、「極」の漢字を大きく書し、該文字の上に「KIWAMI」の文字を横書きにしてなるものであり、平成19年5月8日に登録出願、第6類「金属製バルブ(機械要素に当たるものを除く。),金属製管継ぎ手」、第7類「半導体製造装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第9類「測定機械器具」を指定商品として、同20年2月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
4 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、別掲1に示すとおり、毛筆書き風に「墨出し名人」(その構成中の「出し」は、他の文字に比してやや小さく書されている。以下同じ。)の文字を横書きにし、該構成文字中の「出し」の上に、小さく「レーザーマーカー」の片仮名文字を横書きに配し、「墨出し名人」の文字の下に、黒い棒状のものを握り、人差し指を伸ばした左手の図形(以下「図形」という。)を配し、その図形内に「ケータイ」の文字を横書きにし、さらに、「墨出し名人」と図形の右横に、毛筆書き風に大きく書された「極」の文字を配してなるものである。
しかして、本願商標の構成中の「極」の漢字は、構成中の他の文字部分や図形に比して顕著に大きく書されていることから、「極」の漢字とその他の文字部分や図形とは、視覚上、分離して看取されるものである。
そして、本願商標の構成文字と図形とが構成全体として、何らかの特定の意味合いを有するものである、あるいは、「墨出し名人」、「レーザーマーカー」、「ケータイ」及び「極」の文字部分全体、または、「墨出し名人」及び「極」の文字とが、何らかの特定の意味合いを有するものである等、これらを常に不可分一体のものとして看取されると判断しなければならない特段の事情は認められないものである。
さらに、本願商標の構成文字全体から生ずる「スミダシメイジンレーザーマーカーケータイキワミ」あるいは「スミダシメイジンレーザーマーカーケータイキョク」等の称呼は、非常に冗長である。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標は、その構成文字及び図形を常に一体不可分のものとして看取されなければならない特段の事情は認められないものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有する構成文字の一部のみを捉え、それを要部とし、その要部に該当する部分のみをもって、取引に資されることもあると判断するのが相当である。
そして、本願商標の構成文字中の「極」の文字部分は、本願商標の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有さない部分と認識されるとする特段の事情は見当たらない。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の構成態様において、顕著に書され、かつ、自他商品の識別標識としての機能を有する「極」の漢字をその要部として認識し、「極」の文字部分に強く印象を留め、該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
よって、本願商標は、構成文字全体に相応した「スミダシメイジンレーザーマーカーケータイキワミ」の称呼のほか、「極」の文字部分に相応した「キワミ」又は「キョク」の称呼をも生ずるものであり、「きわめること。また、そのところ。はて。限り。極限。」(広辞苑第六版)等の観念を生じるものである。
他方、引用商標は、別掲2に示すとおり、「極」の漢字と、「KIWAMI」の文字からなるところ、その構成中の「極」の漢字は、「KIWAMI」の文字に比して大きく顕著に書されていることに加え、構成中の「KIWAMI」の文字は、「極」のルビをローマ字で表したものと容易に認識できるものである。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、引用商標の構成中の「極」の文字部分を要部とし、その要部に該当する部分のみをもって、取引に資されることもあると判断するのが相当である。
そして、引用商標の構成文字中の「極」の文字部分は、引用商標の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有さない部分と認識されるとする特段の事情は見当たらない。
そうすると、引用商標に接する取引者、需要者は、本願商標の構成態様において、顕著に書され、かつ、自他商品の識別標識としての機能を有する「極」の漢字をその要部として認識し、「極」の文字部分に強く印象を留め、該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
よって、引用商標は、「極」の文字の称呼を特定したものと看取される「KIWAMI」の文字から「キワミ」の称呼を生じ、かつ、「極」の文字は、「キョク」と自然に読まれるものであることから、「キョク」の自然な称呼をも生じ、「きわめること。また、そのところ。はて。限り。極限。」(広辞苑第六版)等の観念を生じるものである。
そこで、本願商標と引用商標の類否についてみると、本願商標と引用商標とは、構成全体として外観における対比観察をした場合は、相違するものであるが、本願商標の要部である「極」の文字と引用商標の構成中の「極」は、同じ漢字であることから、これらの要部を抽出し、対比観察した場合には、外観において類似する商標であるといえるものである。
また、本願商標の要部「極」から生ずる「キワミ」または「キョク」の称呼と引用商標の要部「極」及び「KIWAMI」の文字部分から生ずる「キワミ」の称呼、または「極」の自然な称呼「キョク」は同一のものである。
さらに、本願商標の要部「極」から生ずる「きわめること。」の観念と引用商標の要部「極」から生ずる「きわめること。」の観念は、共通するものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、構成全体としては、類似するとはいえないものの、それらの要部については、外観・称呼・観念を共通にする類似の商標であると判断するのが相当である。
そして、本願の指定商品「レーザーを使用した測定機械器具」と、引用商標の指定商品中「測定機械器具」とは、同一又は類似の商品である。
よって、本願商標をその指定商品に使用した場合は、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められる。
(2)請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
ア 請求人は、「本願商標の『極』の文字は、『墨出し名人』の文字に比べて大きく表されているものの、『墨出し名人』及び『極』の文字部分はともに同じ毛筆書き風の書体で表してなることから、一体不可分に結合したものと自然に把握できる。そして、『墨出し名人極』を一連に称呼しても何ら冗長でなく、よどみなく称呼し得るものである。してみれば、本願商標の『墨出し名人極』部分は、殊更、『墨出し名人』と『極』とに、分離させて認識されるものではない。したがって、本願商標は、同じ毛筆書き風の書体で顕著に一体に表された『墨出し名人極』の部分を捉えて、取引に資されるものであるから、本願商標からは『スミダシメイジンキワミ』という称呼のみ生じる。」旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中の「極」の文字は、構成中の他の文字部分や図形に比して顕著に大きく書されており、外観において、分離して看取されるものである。
また、「墨出し名人」及び「極」の文字とが、特定の意味合いを看取させるものである等、需要者・取引者が、これらを、常に一体不可分のものとして理解するとはいい難い。
さらに、「墨出し名人」及び「極」の文字から生ずる「スミダシメイジンキワミ」の称呼も、11音構成で、やや冗長であるといえる。
してみると、請求人が主張するとおり、本願商標の構成中の「墨出し名人」及び「極」の文字とが、同じ毛筆書き風の書体で書されていたとしても、該文字部分を一体不可分のものとして捉えなければならない特段の事情は、認められないものである。
そして、前記(1)で述べたとおり、本願商標は、その構成中の「極」の文字部分を要部として捉えて取引に資されるものと判断するのが相当であるから、本願商標と引用商標とは、外観・称呼・観念を共通にする類似の商標である。
よって、請求人の前記主張は、採用できない。
イ また、請求人は、過去の登録例等を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、出願された商標の登録の適否の判断は、その案件毎に行うものであり、過去の登録例に拘束されるべき事情はない。
さらに、該登録例等は、商標の構成等において本願とは事案を異にするものといえ、該登録例の存在のみをもって、本願商標の登録の適否を判断基準とするのは必ずしも適切とはいえない。
よって、請求人のかかる主張も採用することができない。
ウ その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。