sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2010−6002(T2010−6002/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおり、「あいクレジット」及び「CARD」の文字を二段に書してなり、第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年12月12日に登録出願されたものである。

そして、指定役務については、原審における同21年8月3日受付の手続補正書により、第36類「クレジットカードの発行の取次ぎ又は斡旋,クレジットカードの利用金額に関する情報の提供,クレジットカードの会員の募集及び会員の管理,クレジットカードの発行及び利用に関する情報の提供,インターネットを利用したクレジットカードの利用に関する情報の提供」と補正されたものである。

第2 引用商標

登録第3006915号商標は、別掲2のとおり、「愛」の文字を書してなり、平成4年9月25日に登録出願され、第36類「預金の受入れ及び定期積金の受入れ」を指定役務として、同6年10月31日に設定登録、同16年11月19日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断

1 本願商標と引用商標の商標の類否について

本願商標は、前記第1のとおり、「あいクレジット」の文字及び「CARD」の文字よりなるところ、本願指定役務に係る業界との関係において、その構成中の「クレジット」の文字部分は、「信用貸しによる販売または金融。信販・月販・消費者金融など。」を意味する語であり、他方、「CARD」の文字部分は、「『クレジットカード』『キャッシュカード』『テレホンカード』などの略。」を意味する語である「カード」の英語表記と認識されるものである。

そして、「銀行・商店などと提携したカード会社が会員に発行するカード。現金を支払わずに、カードを提示するだけで買い物などができる。」を意味する「クレジットカード」の語が、一般に良く知られ使用されていることからすれば、これらの構成文字において、「クレジット」及び「CARD」の文字部分からは、「クレジットカード」を表したものと容易に看取されるものである(語意は、いずれも「大辞泉」株式会社小学館)。

そうすると、まとまりよく一体に「あいクレジットCARD」の文字よりなるものと看取される本願商標において、その構成中、「クレジットCARD」の文字は、「クレジットカード」の意味合いを有するものとして、識別力がないか、又は、きわめて識別力の弱い文字と言わざるを得ない。

また、本願商標の構成文字全体をもって、直ちに特定の熟語的な意味合いを生ずるものとはいい難いものであり、これを常に一体不可分のものとして把握しなければならないとする特段の事情は見出し難い。

そうとすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、「あい」の文字部分を自他役務の識別力を有する部分と認識して取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当である。

してみれば、本願商標は、その構成文字全体より生ずる「アイクレジットカード」の称呼とともに、商標の自他識別力を有する語頭部の「あい」の文字より、「アイ」の称呼を生ずるものである。

そして、「あい」の語は、ある特定の意味合いのみを理解させるものではないことから、直ちに特定の観念を生じないものである。

他方、引用商標は、前記2のとおり、「愛」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して、「アイ」の称呼を生ずるものであり、「対象をかけがえのないものと認め、それに引き付けられる心の動き。また、その気持ちの表れ。」(「大辞林」株式会社三省堂)を意味する語として一般によく知られた語であることから、「愛」の観念を生ずるものである。

そこで、本願商標と引用商標とを比較するに、両商標は、外観において相違し、観念において比較できないものであるとしても、両者は「アイ」の称呼を共通にする互いに類似する商標といわなければならない。

2 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について

商標法第4条第1項第11号における役務の類否を判断するに際しては、例えば、イ)提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか、ロ)提供に関連する物品が一致するかどうか、ハ)需要者の範囲が一致するかどうか、ニ)業種が同じかどうか、ホ)当該役務に関連する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか、ヘ)同一の事業者が提供するものであるかどうか等を総合的に考慮して具体的に判断すべきものである。

(1)本願商標の指定役務について

本願商標の指定役務、第36類「クレジットカードの発行の取次ぎ又は斡旋,クレジットカードの利用金額に関する情報の提供,クレジットカードの会員の募集及び会員の管理,クレジットカードの発行及び利用に関する情報の提供,インターネットを利用したクレジットカードの利用に関する情報の提供」は、「クレジットカード会社が会員に信用を保証・供与するために発行するカード。サインなどをするだけで、カード会社の加盟店から一定限度内の買物ができる。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)を意味する「クレジットカード」に係る役務であることからすれば、クレジットカードや割賦販売を取り扱う者、即ち、銀行や信販会社等が行う役務に含まれるとするのが相当である。

(2)引用商標の指定役務について

引用商標の指定役務、第36類「預金の受入れ及び定期積金の受入れ」は、銀行法第2条第2項第1号に定められる「銀行」が行う役務であることは明らかである。

(3)そこで、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について検討する。

ア 事業者

引用商標の指定役務は、銀行法によって銀行が提供するものと定められている。これに対し、本願商標の指定役務は、いわゆるクレジット会社や信販会社ばかりではなく、銀行もクレジットカードを店頭やインターネット経由などによって、その発行手続や情報の提供を行っている事実を確認できることからすれば、本願商標の指定役務を提供する事業者には、引用商標の指定役務を提供する銀行が含まれており、事業者は共通するものである。

イ 提供の場所

銀行においては、本願商標に係る指定役務を提供する場所と、引用商標の指定役務を提供する場所とは同じ場所となっているものというのが相当である。

ウ 提供に関連する物品

引用商標の指定役務に使用するキャッシュカードには、クレジット機能付きのカードが存在することから、そのサービスも同様に提供されており、提供に関連する物品等も一致するものということができる。

(4)小括

以上のとおり、本願商標の指定役務と、引用商標の指定役務とは、たとえ、業種や規制する法律が全く同一とは言えないとしても、需要者にとって、身近な金融に係るサービスであって、共にその事業者、提供の場所、提供に関連する物品を共通にすることが多い類似する役務といえるものであるというのが相当である。

3 請求人の主張について

請求人は、本願商標と引用商標の称呼「アイ」について類似することを自認する一方、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務は、その提供者が相違するものであり、需要者も役務の質も相違するものであり、その提供の場所も一致するとは限らないことから、各々の指定役務は互いに非類似である旨主張している。

しかしながら、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務とは、金融業において提供される役務に含まれるものであって、銀行においては、両方の役務を行っていることからすれば、カードによって、クレジット及び預金の受入れ等も行われているものであり、かつ、需要者の範囲を異にするものではなく、さらに、その提供場所も異なるものではない事実を鑑みれば、各々の指定役務は互いに類似するものである。

したがって、請求人の主張は採用することができない。

4 まとめ

以上のとおり、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較できないものであるとしても、両者は「アイ」の称呼を共通にする互いに類似する商標とというべきであり、かつ、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務とは、同一又は類似するものである。

したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。