Trademark Appeal Case
複合商標の称呼認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第801号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、別記に示すとおりの構成よりなり、第24類「織物(畳べり地を除く。),メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳 」を指定商品として、平成8年4月17日に登録出願されたものである。
2.原査定
原査定は、それぞれ別記に示すとおりの構成よりなり、現に有効に存続している次の(i)〜(iv)の登録商標(以下、まとめて「引用商標」という。)を引用し、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当すると認定して、本願を拒絶したものである。
(i)登録第1027304号商標
昭和45年3月24日登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同48年8月16日に設定登録。
(ii)登録第1432699号商標
昭和52年7月18日登録出願、第16類「織物、編物、フェルト、その他の布地」を指定商品として、同55年8月28日に設定登録。
(iii)登録第1487528号商標
昭和52年7月18日登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同56年11月27日に設定登録。
(iv)登録第2433961号商標
平成2年5月25日登録出願、第19類「台所用品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同4年7月31日に設定登録。
3.当審の判断
(1) 本願商標は、「ホワイコット」の片仮名文字と「WHITCOT」の欧文字とを上下二段に表してなるところ、その構成中の「WHITCOT」の文字は、特定の観念、称呼をもつて親しまれている外国語の成語を表したものとはいゝ難いものである。
我が国においては、外国語のうち英語の普及率が圧倒的に高く、外国語と思われる商標に接した者は、その発音を知らない場合であっても一般には、自己の有する英語の知識に従って、これを英語風に読もうとするものと解される。例えば、いずれもよく知られている英語であって「whi」の綴りで始まり、これに続く文字が子音であるものを列挙してみると、「which[(h)wit∫]」、「whisky[(h)wiski]」、「whistle[(h)wisl]」等がある。これらは全て[(h)wi]の発音記号で始まるものであり、この例に徴すれば、これらの語頭から生ずる称呼は全て「ウィ」で始まるものである。
この事情よりすれば、本願商標は、その構成中下段の「WHITCOT」の文字からは、その構成文字に相応して「ウィットコット」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。
そうとすると、本願商標は、上段の仮名文字部分が下段の欧文字部分の読みを特定する役割を果たすものとは言えず、また、造語である欧文字と片仮名文字の相互間には、観念上これらを必ず不可分一体のものとして把握しなければならない格別の事情は認め難いものである。
してみれば、本願商標は、上段の仮名文字部分から「ホワイコット」の称呼、下段の欧文字部分から「ウィットコット」の称呼がそれぞれ生ずるものとみるのが相当である。
これに対し、請求人は、本願商標片仮名文字が欧文字の読みを特定しているので、本願商標からは「ホワイコット」の称呼のみが生ずる旨主張しているところ、上述のとおり、「WHI」の綴りで始まる英語の語頭から生ずる称呼は「ウィ」で始まるものが多いという事実を踏まえれば、その主張は採用できない。
(2)他方、引用の登録第1027304号商標は「フィットコット」「FITCOT」、及び同第2433961号商標は「フィットコット」の文字をそれぞれ表してなるものであり、その構成文字に相応して、ともに「フィットコット」の称呼を生ずるものである。
また、引用の登録第1432699号商標は「FICOT」「ファイコット」、及び同第1487528号商標は「FICOT」「ファイコット」の文字をそれぞれ表してなるものであり、その構成文字に相応して、ともに「ファイコット」の称呼を生ずるものである。
(3) そこで、本願商標より生ずる「ホワイコット」「ウィットコット」の称呼と引用の上記4商標より生ずる「フィットコット」「ファイコット」の称呼をそれぞれ比較する。
(i)「ホワイコット」と「ファイコット」
両称呼は、「イ」「コッ」「ト」の音構成を共通にし、異なるところは語頭の「ホ」「ワ」と「ファ」の音の差である。
そこで、「ホ」「ワ」と「ファ」の音の差について検討すると、「ホ」は、両声帯を接近させ、その間隙から出す無声摩擦音(h)と母音(O)との結合した音節であり、また、「ファ」は、両唇の通路をせばめ、その狭い隙間から無声の呼気を摩擦させて出す無声摩擦子音(f)と母音(a)との結合した音節であるから、「ホ」と「ファ」はともに無声摩擦音の子音を共通にするものである。
そして、「ホ」の音に続く「ワ」の音は、唇が前のほうに突き出されて、両唇の間にできる丸い小さなすきまから、有声の呼気を摩擦させて出す音であるため、子音(W)が比較的弱く発音され、これに伴う母音(a)が強く響く音として聴取されるものである。
この事情よりすれば、「ホワ」の音感が「ホア」と近似して聴取されるということができる。
そして、この「ホア」と「ファ」とは、ともに子音が弱く発音されるばかりでなく、これに続く音又はその母音の(ア)が強く響くものであるから、「ホア」と「ファ」とは、その音感が近似したものとして聴取されるものとみるのが相当である。
してみれば、この差が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであつて、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似して聴取され、紛れ易いものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
(ii)「ウィットコット」と「フィットコット」
両称呼は、ともに4音の構成よりなり、「ト」「コッ」「ト」の各音構成を共通にし、異なるところは語頭の「ウィッ」と「フィッ」の音の差である。
そこで、「ウィッ」と「フィッ」の音は、「ウィ」と「フィ」の特殊音に促音を伴っているところ、「フィ」の音の子音[f]は両唇音で比較的弱く発音されるものであるから、「ウィ」と「フィ」とはともに音感が近似して聴取されるということができる。
そして、両者は、ともに促音を伴っていることから、強い響きをもつ促音に吸収されやすいということができる。
してみれば、この差が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであつて、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似して聴取され、紛れ易いものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
(4)そうとすれば、本願商標と引用各商標とは、称呼上類似するものであって、外観、観念についての相違を考慮しても、互いに紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
(5)したがって、本願商標と引用各商標とは、称呼の点よりみて類似の商標であって、その指定商品も類似のものであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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