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Trademark Appeal Case

商標使用の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2010−300185(T2010−300185/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4894011号商標(以下「本件商標」という。)は、「ボング」の片仮名と「BONG」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成14年5月23日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」を指定商品として、同17年9月9日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、「かばん類,袋物」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、本件商標の登録原簿謄本写し、商標公報、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中、「かばん類,袋物」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

ア ライセンス及びサブライセンスについて

被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証を提出して、被請求人がビラボングループのメンバーである「パイナップル・トレードマークス・プロプライアタリー・リミテッド(Pineapple Trademarks Pty Ltd)」(以下「パイナップル社」という。)に2005年7月1日から2015年6月30日の間、継続して許諾したことを主張している。

しかしながら、乙第1号証及び乙第2号証を検討するに、許諾対象となる登録商標として、乙第1号証には「All trademarks from time to time owned by the Licensor or which the Licensor has the right to use」と、乙第2号証には「All trademarks from time to time owned by the Licensor or which the Licensor has the right to use,other than trademarks registered in Australia」とある。

ここで、甲第1号証(小学館英和中辞典)に示したとおり「from time to time」とは「ときどき、おりおり」の意味を有しており、被請求人が「from time to time」を「その時々の」とし「あらゆる時期において」の意として訳し、許諾対象となる登録商標の範囲として「ライセンサーがその契約期間中の全ての時期に保有している全ての登録商標」を意図すると主張しているのは適切ではない。

してみれば、乙第1号証及び乙第2号証において、許諾対象となる登録商標の範囲が極めて不明瞭であり、登録第4894011号商標権の明記もなく、当該商標権がその許諾対象となっているものとは認められないものであって、パイナップル社が被請求人から通常使用権を許諾されているとは到底認められないものである。

しかも、乙第1号証及び乙第2号証には、前述のとおり、許諾対象となる登録商標の範囲については記載されているものの不明瞭であり、さらに、いずれの商品について通常使用権を許諾しているかは一切明記されておらず、乙第1号証及び乙第2号証をもって、パイナップル社が被請求人から指定商品「かばん類,袋物」について通常使用権の許諾を受けているとの被請求人の主張は失当である。

次に、被請求人は、乙第3号証を提出し、パイナップル社は、本件商標をビラボングループのメンバーに対してサブライセンスをすることについて被請求人から許諾されたことを主張し、さらに、乙第4号証を提出し、パイナップル社がビラボングループのメンバーである「ジーエムエス ジャパン株式会社」(以下「ジーエムエスジャパン社」という。)に対して本件商標の使用を第18類の指定商品について、2007年2月28日から2010年6月3日の間、継続して許諾していたことを主張している。

しかしながら、乙第4号証の「Brands」の欄には「Billabong」が記載されているにすぎず、本件商標がサブライセンスの許諾対象となっていないことは明らかであって、ジーエムエスジャパン社は、本件商標についてサブライセンスを受けていないことは明白である。

以上のとおり、ジーエムエスジャパン社は、本件商標の商標権について通常使用権を許諾されていない。

イ 本件商標の使用について

乙第7号証及び乙第9号証ないし乙第12号証に表示された商標は、本件商標の構成中の下段に表示された欧文字「BONG」のみから構成されたものであり、甲第2号証(学研スーパー・アンカー英和辞典)に記載のとおり、「bong」には異なる観念を有する言葉が複数存在し、一つは「(マリファナ吸引用の)水キセル」の観念を有する言葉であり、他方は「(大鐘の)ゴーンという音」の観念を有する言葉である。

そして、前記二つの言葉「bong」は共に、米国式の発音では「バーング」の称呼を、英国式の発音では「ボング」の称呼を生じ、欧文字「BONG」からは複数の称呼が生じることが分かる。

本件商標は、その構成中の欧文字「BONG」に複数の称呼が生じることから、片仮名「ボング」を併記することによって、欧文字「BONG」の称呼を特定していると判断するのが妥当である。

してみれば、本件商標中の上段に表示されている片仮名「ボング」を使用することなく、単に欧文字部分「BONG」のみを使用しただけでは、本件商標を使用したことにはならず、本件商標と社会通念上同一の範囲内にある商標を使用したことにはならない。

以上のとおり、被請求人が使用する商標は「BONG」であって、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の範囲内にある商標を使用していない。

ウ むすび

よって、本件商標は、その指定商品中、「かばん類、袋物」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実はない。

3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。

(1)本件商標の使用事実

ア 商標の使用者

乙第1号証及び乙第2号証における「Billabong Group Trade Mark Licence」の写し及び翻訳文には、被請求人(商標権者)が、同人が属するグループ企業のビラボングループのメンバーであるパイナップル社に、本件商標の使用について、2005年7月1日から2015年6月30日の間、継続して許諾した旨の記載がされている。

乙第3号証における「Billabong Group Standard Trade Mark Licence Terms」(審決注:「Standard」の文字を遺漏したものと認めた。)の写しの「13.2 Sub-licensing」及び翻訳文には、被請求人が、パイナップル社に、本件商標をビラボングループのメンバーに対してサブライセンスすることについて本契約の下に許諾した旨の記載がされている。

乙第4号証における「Distribution Agreement」の写し及び翻訳文には、パイナップル社が、ビラボングループのメンバーであるジーエスエムジャパン社に、本件商標の使用を第18類の指定商品について、2007年1月1日から2010年6月30日(審決注:「2007年2月28日から2010年6月3日」は誤記と認めた。)の間、継続して許諾した旨の記載がされている。

乙第5号証における「Statutory Declaration」の写し及び翻訳文には、パイナップル社が本件商標をジーエスエムジャパン社に対してサブライセンスすることについて、被請求人が承知した旨の記載がされている。

乙第6号証(組織図)には、被請求人、パイナップル社及びジーエスエムジャパン社が、ビラボングループに属する旨が記載されている。

乙第7号証(商品カタログ)及び乙第8号証(輸入許可通知書の写し)には、本件商標の通常使用権者であるジーエスエムジャパン社の英語表記である「GSM JAPAN CO., LTD」が表示されている。

イ 使用に係る商品及び商標

乙第7号証(商品カタログ)の72頁には、本件商標が付されたかばん類の商品及びその品番「833−918」及び「833−919」が表示されている。

乙第9号証及び乙第10号証(本件商標を使用した商品の写真)には、本件商標が付されたかばん類の商品(品番 833−918)及びその商品に品番「833−918」が記載された下げ札と本件商標が表記された下げ札が吊り下げられたものが表示されている。

乙第11号証及び乙第12号証(本件商標を使用した商品の写真)には、本件商標が付されたかばん類の商品(品番 833−919)及びその商品に品番「833−919」が記載された下げ札と本件商標が表記された下げ札が吊り下げられたものが表示されている。

ウ 使用期間

乙第8号証(輸入許可通知書の写し)には、かばん類の商品「品番 833−918」及び「品番 833−919」を日本に輸入する許可を2008年8月8日に申告した旨が表示されている。

乙第13号証(販売実績表)には、2008年8月から2010年3月における、かばん類の商品「品番 833−918」及び「品番 833−919」の販売実績が表示されている。

(2)むすび

以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により指定商品中「かばん類」について使用していることが明らかである。

4 当審の判断

(1)乙各号証について

被請求人は、通常使用権者が本件商標を取消請求に係る指定商品中の「かばん類」について使用しているとして、乙第1号証ないし乙第13号証を提出しているので、これらについて検討する。

乙第1号証及び乙第2号証は、「Billabong Group Trade Mark Licence」と題する書面の写し及びその翻訳文であって、乙第1号証は2006年4月3日付け、乙第2号証は2010年4月29日付けの、いずれも、商標権者(被請求人)をライセンサー、パイナップル社をライセンシーとする契約書であって、両社の取締役(Director)の署名がある。

乙第1号証には、「Brands:」(ブランド:)の欄に「All brands connected with the Trademarks」(商標と関係する全てのブランド)、「Trade Marks:」(商標:)の欄に「All trademarks from time to time owned by the Licensor or which the Licensor has the right to use.」(商標権者によって所有される若しくは商標権者が使用する権利を有するその時々の全ての商標)、「Territory:」(領域:)の欄に「Worldwide」(全世界)、「Commencement Date:」(開始年月日:)の欄に「1 July 2005」(2005年7月1日)及び「Termination Date:」(終了年月日:)の欄に「30 June 2010」(2010年6月30日)の記載がある。また、それらの記載の下には「We appoint you as our Licensee on the basis set out:/・above; and/・in the Billabong Group Standard Trade Mark Licence Terms(from time to time)....」(甲は乙を、下記一覧に基づき代理店として任命する。/・上記契約書、及び/・Billabong グループの標準商標ライセンス条項(その時々のもの) ...)の記載がある。

乙第2号証には、「Brands:」(ブランド:)の欄に「All brands connected with the Trademarks」(商標と関係する全てのブランド)、「Trade Marks:」(商標:)の欄に「All trademarks from time to time owned by the Licensor or which the Licensor has the right to use,other than trademarks registered in Australia.」(オーストラリアで登録された商標以外の商標で、商標権者によって所有される若しくは商標権者が使用する権利を有するその時々の全ての商標)、「Territory:」(領域:)の欄に「Worldwide,other than Australia」(オーストラリア以外の全世界)、「Commencement Date:」(開始年月日:)の欄に「1 July 2010」(2010年7月1日)及び「Termination Date:」(終了年月日:)の欄に「30 June 2015」(2015年6月30日)の記載がある。また、それらの記載の下には「We appoint you as our Licensee on the basis set out:/・above;and/・in the Billabong Group Standard Trade Mark Licence Terms(from time to time)....」(甲は乙を、下記一覧に基づき代理店として任命する。/・上記契約書、及び/・Billabong グループの標準商標ライセンス条項(その時々のもの) ...)の記載がある。

乙第3号証は、「Billabong Group Standard Trade Mark Licence Terms」と題する書面及びその一部翻訳文であり、これには「...13.2 Sub-licensing」(サブライセンス)として、「You may,with our prior approval but not otherwise,Sub-license to:/(a)A member of the Billabong Group,the rights granted to you under this agreement including this right to Sub-license ;and/(b)...」(貴社は、他でもなく弊社の事前の承諾があれば以下のものにサブライセンスしてもよい。/(a)ビラボングループのメンバーに対し、この権利を含み本契約の下に貴社に許諾された権利をサブライセンスすること/(b)...)の記載がある。

乙第4号証は、「Distribution Agreement」と題する書面の写し及びその翻訳文であって、パイナップル社をライセンサーとし、ジーエスエムジャパン社を代理店とする2008年2月28日付けの契約書であり、両社の取締役(Director)などの署名がある。当該契約書の1頁には、「Brands:」(ブランド:)の欄に「Each of:・Billabong/・Element/...」、「Trade Marks:」(商標:)の欄に「As set out in item 1 of the Schedule.」(スケジュールの項目1に挙げたとおり)、「Territory:」(領域:)の欄に「Japan」(日本国)、「Commencement Date:」(開始年月日:)の欄に「1 January 2007」(2007年1月1日)及び「Termination Date:」(終了年月日:)の欄に「30 June 2010」(2010年6月30日)の記載がある。

なお、「Billabong Suppliers:」(Billabong 供給者:)の欄には「GSM(Central Sourcing)Pty Ltd/...」の記載がある。

また、2頁には「We appoint you as our Distributor of the Goods in the Territory during the Term so that you can (...)in the Territory:/・Use our Trademarks(clause 5.1);/・Wholesale sell the Goods (clause 3.4(a));/・Advertise,market and promote the Goods (clause 3.4(b));/ ...on the basis set out:/・above;/・in the attached Schedule;and/ ...」(甲は乙を、甲の前記製品についての前記領域での前記期間における代理店として任命し、よって、乙は前記領域で以下の行為を(...)することができる。/・甲の商標を使用すること(5.1節)/・前記製品を卸売り販売すること(3.4節(a))/・前記製品を宣伝し、市販し、販売促進すること(3.4節(b))/ ... 甲は乙を、下記一覧に基づき代理店として任命する。/・上記契約書/・添付したスケジュール、及び/ ...)の記載がある。

さらに、3頁の「Distribution Agreement Schedule/Item 1:Trade marks」と題する一覧表には、中段に「Trademark Number」を「4894011」、「Brand」を「Billabong」、「Mark」を「BONG」、「Class」を「18」及び「Status」を「Registered」とする記載がある。

乙第5号証は、「Statutory Declaration/Oaths Act 1867(Qld)」と題する商標権者の取締役による2010年9月14日付け宣言書の写し及びその翻訳文であり、翻訳文には「2.前記本社はビラボングループ商標ライセンス契約を2006年4月3日にPineapple Trademarks Pty Ltd(ACN 107 248 680)(Pineapple)との間で締結しました(TMライセンス)。前記TMライセンスは開始日が2005年7月1日であり、2010年6月30日に満了しました。」、「3.私は2007年1月1日(審決注:翻訳文中の「7月1日」の記載は誤記と認めた。)にPineappleが前記TMライセンスの下に日本国の領域でGSMジャパン(Company No.1299 01 0968)に対して2007年1月1日(審決注:同上)付けの代理店契約(代理店契約)に基づいてPineappleの権利をサブライセンスしたことを承知しています。」及び「4.私は前記本社が第三段落に記載の前記代理店契約が締結された年月日において前記サブライセンス及び前記代理店契約の規約に承認及び同意したことを証明いたします。」と記載されている。

乙第6号証は、「Billabong International Limited Group Structure」と題する組織図であり、そこには「Billabong International Ltd」を中心として「GSM (Trademarks)Pty Ltd」、「Pineapple Trademarks Pty Ltd」、「GSM(Japan)Ltd」及び「GSM(Central Sourcing)Pty Ltd」などの企業名が記載されている。

乙第7号証は、ジーエスエムジャパン社の発行に係る「BILLABONG/FALL & WINTER 2008」と題する商品カタログであり、その72頁には、「ECO BAGS」の見出しの下、品番と認められる「833−918」及び「833−919」の記載と、それぞれ「BONG」の文字を模様とする色彩が異なる3つの布製手提げバッグが掲載されている。

乙第8号証は、「輸入許可通知書」と題する書面の写しであり、「輸入者」の欄に「GSM JAPAN CO.,LTD.」、「輸出者」の欄に「GSM(CENTRAL SOURCING)PTY LTD.」の記載がある。また、これに綴られた3枚目の「TAX INVOICE」、5枚目の「INVOICE」、8枚目の「PACKING LIST」及び11枚目の「Attachment」と題する書面には、いずれも「833-918/100% COTTON TOTE /1,500」及び「833-919/100% COTTON TOTE /1,500」の記載がある。

乙第9号証ないし乙第12号証は、乙第7号証の商品カタログ掲載されている、品番「833−918」及び「833−919」の布製手提げバッグに、「品番 833−918」又は「品番 833−919」と「ジーエスエムジャパン株式会社」の記載やカラー、価格などが表示されている下げ札及び色彩の施された「BONG」の商標が表示されている下げ札が吊り下げられた状態の商品の写真である。

乙第13号証は、「BONG BAG,THONGS 販売実績表」と題する11枚からなる一覧表形式の書面であり、品番「833−918」及び「833−919」のバッグの売上日、数量、得意先名称などが記載されている。そして、2008年8月から2010年3月までの期間の数量の総計として、品番「833−918」のバッグは「1,425」と(5枚目)、品番「833−919」のバッグは「1,426」(11枚目)とそれぞれ記載されている。

(2)「布製手提げバッグ」の使用事実について

ア 通常使用権の許諾について

前記において認定した乙第1号証(ビラボングループ商標ライセンス契約書)によれば、商標権者(被請求人)は、2005(平成17)年7月1日から2010(平成22)年6月30日までの間、商標権者がその時々に所有又は使用権を有する(登録)商標について、包括的にパイナップル社に対して使用の許諾をしていたと認めることができる。また、パイナップル社は、乙第3号証(ビラボングループ標準商標ライセンス条項)に基づいて、ビラボングループのメンバーに対してサブライセンスすることができるとされていたものと認められる。

そして、乙第4号証(代理店契約書)によれば、パイナップル社は、本件商標を使用することを含めて、2007(平成19)年1月1日から2010(平成22)年6月30日までの間、ジーエスエムジャパン社を日本における代理店として契約したことが認められる。

そうとすれば、乙第6号証(組織図)からしてビラボングループの一企業といえるジーエスエムジャパン社は、本件商標を使用することについてサブライセンスを得ていたということができる。

なお、商標権者は、乙第5号証(法定宣言書)において、当該サブライセンスについて追認している。

以上のことから、ジーエスエムジャパン社は本件商標の通常使用権者と認めることができる。

イ 「かばん類」についての使用について

そこで次に、通常使用権者と認められるジーエスエムジャパン社が、本件商標を取消請求に係る指定商品中の「かばん類」について、使用をしていたか否かについて検討する。

前記において認定した乙第13号証(販売実績表)によれば、ジーエスエムジャパン社は、2008(平成20)年8月から2010(平成22)年3月にかけて、当該実績表の得意先名称の欄に記載された各店舗に対し、品番「833−918」及び「833−919」のバッグをそれぞれ1,425個及び1,426個販売していたものと推認することができる。

そして、ジーエスエムジャパン社は、乙第7号証の商品カタログ(BILLABONG/FALL & WINTER 2008)に品番「833−918」及び「833−919」としてバッグ(布製手提げバッグ)を商品写真とともに掲載していたことが認められる。また、乙第8号証(輸入許可通知書)によれば、ジーエスエムジャパン社は、品番「833−918」及び「833−919」の布製手提げバッグ(COTTON TOTE)3,000個などについて、平成20年8月8日に輸入を許可されたことが認められる。さらに、乙第9号証ないし乙第12号証(布製手提げバッグの写真)によれば、ジーエスエムジャパン社は、品番「833−918」及び「833−919」の布製手提げバッグに「BONG」の商標を表示した下げ札を付して取引に供していたものと推認できる。

以上を総合してみれば、通常使用権者であるジーエスエムジャパン社は、本件審判の請求の登録(登録日は平成22年3月5日)前3年以内に、品番「833−918」及び「833−919」の布製手提げバッグを輸入し、これらの商品を乙第7号証の商品カタログに掲載し、当該布製手提げバッグに「BONG」の商標を表示した下げ札を付して取引に供し、2008(平成20)年8月から2010(平成22)年3月にかけて、これらの布製手提げバッグを販売していたものということができる。

そして、当該布製手提げバッグは、本件審判の請求に係る指定商品中の「かばん類」の範ちゅうに属する商品である。

ウ 使用に係る商標について

本件商標は、前記したとおり、「ボング」の片仮名と「BONG」の欧文字とを二段に横書きしてなるものであり、乙第9号証ないし乙第12号証の布製手提げバッグに付されている下げ札には「BONG」の商標が表示されている。

そして、前記した本件商標と使用に係る商標の構成態様からみれば、使用に係る商標は、片仮名が併記されていないという点において本件商標と構成を異にするものではあるが、「ボング」の片仮名は「BONG」の自然な読みを表したものと認められるものであり、本件商標の有する識別機能に影響を与えるものとはいえないから、本件商標と社会通念上同一の商標と認めて差し支えないものというべきである。

この点について、請求人は、「BONG」の語は「(マリファナ吸引用の)水キセル」の意味合いを表すとともに「(大鐘の)ゴーンという音」を表す語でもあり、その読みも米国式の発音では「バーング」と読まれ、英国式の発音では「ボング」と読まれるものであるから、本件商標は、欧文字「BONG」に片仮名「ボング」を併記することによって欧文字「BONG」の称呼を特定しているものというべきであり、本件商標構成中の「BONG」のみを使用しただけでは、本件商標と社会通念上同一の範囲内にある商標を使用したことにはならない旨主張している。

しかしながら、本件商標構成中の「BONG」の語(文字)に請求人が主張しているような意味合いがあるとしても、該語は我が国において日常一般に知られている語とはいえず、直ちに特定の親しまれた意味合いを理解・認識させるものということはできない。また、「BONG」の語の称呼についても、例えば、「bongo」の語が「ボンゴ」(ラテン音楽の演奏に使われる打楽器)と読まれて親しまれており、「gong」及び「song」の語が「ゴング」(ボクシングなどで試合の開始・終了の合図に使う鐘)及び「ソング」(歌)と読まれて親しまれている例にならえば、「ボング」と称呼されるものとみるのが自然である。

そうとすれば、本件商標構成中の「ボング」の片仮名は、「BONG」の欧文字の自然な読みを表したと認められるものであり、「ボング」及び「BONG」の語から複数の観念が生ずるものとはいえないから、ジーエスエムジャパン社の使用に係る商標「BONG」は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めて差し支えないものというべきである。

したがって、この点についての請求人の主張は採用できない。

(3)請求人のその他の主張について

請求人は、乙第1号証及び乙第2号証(ビラボングループ商標ライセンス契約書)の「Trade Marks:」(商標:)の欄における「from time to time」の解釈について、被請求人が「あらゆる時期において」の意として訳し、許諾対象の範囲として「ライセンサーがその契約期間中の全ての時期に保有している全ての登録商標」を意図するとの主張は適切ではなく、また、許諾対象となる登録商標の範囲が不明瞭であり、さらに、いずれの商品について通常使用権を許諾しているかは一切明記されていないから、パイナップル社が被請求人から指定商品「かばん類,袋物」について通常使用権の許諾を受けているとの被請求人の主張は失当である旨主張するとともに、乙第4号証の「Brands」の欄には「Billabong」が記載されているにすぎず、本件商標がサブライセンスの許諾対象となっていないことは明らかであって、ジーエムエスジャパン社は、本件商標についてサブライセンスを受けていないことは明白である旨主張している。

しかしながら、乙第1号証の「Trade Marks:」の欄には「All trademarks from time to time owned by the Licensor or which the Licensor has the right to use.」と記載されており、これを「商標権者によって所有される若しくは商標権者が使用する権利を有するその時々の全ての商標」と翻訳していることに適切さを欠くような点はなく、また、許諾対象となる登録商標や商品が明示されずにいわば包括的に使用を許諾すること自体は不自然なこととはいい難いものである。さらに、本件にあっては前述認定のとおり、乙第4号証(代理店契約書)に添付された一覧表には本件商標が明示されているばかりでなく、さらには、商標権者は、パイナップル社との契約と共にパイナップル社とジーエムエスジャパン社の日本における代理店契約及びサブライセンスについて追認している(乙第5号証)のである。

したがって、この点についての請求人の主張も採用できない。

(4)まとめ

以上のとおり、乙各号証を総合してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が取消請求に係る指定商品中の「かばん類」の範ちゅうに属する「布製手提げバッグ」について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。

したがって、本件商標の指定商品中、本件審判の請求に係る「かばん類,袋物」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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