Trademark Appeal Case
S字図形商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900211(T2010−900211/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
登録第5316356号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、平成18年5月1日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成22年2月17日に登録査定、同年4月16日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとして、本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第944133号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、2007年10月24日に国際商標登録出願、第33類「Alcoholic beverages (except beers); wines, sparkling wines, wines with protected label of origin Champagne; champagne cocktails.」を指定商品として、平成20年10月10日に設定登録されたものである。
同じく登録第4567331号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)に示す構成からなり、2000年12月13日に「域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)」においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成13年4月24日に登録出願、第33類「シャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒,発泡性ぶどう酒,ぶどう酒,その他の果実酒,洋酒,薬味酒,中国酒,日本酒」を指定商品として、平成14年5月10日に設定登録されたものである。
同じく登録第4683100号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)に示す構成からなり、平成14年10月18日に登録出願、第33類「シャンパーニュ地方産の発泡性ワイン」を指定商品として、平成15年6月20日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし3をまとめていうときは、「引用商標」という。
(2)理由の要点
引用商標は、フランス国のウージェーヌ・アイメ・サロンが生産を開始し、1920年の創業以来、シャンパーニュ産の発泡性ワインについて、100年近くの永きにわたって使用されているサロン(SALON)ブランドの商標であり、その構成中に表されたSマークは、創業者のポリシーを体現する世界的に周知著名な商標である。
本件商標は、サロンブランドの周知著名なSマークと類似の程度が高い「S」の欧文字1字からなる図形商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品とは互いに同一又は類似し、需要者の範囲は一致する。また、本件商標の指定商品の需要者において普通に払われる注意力や、「S」の欧文字1字が酒類の分野で商標として採用されるケースが少ないといった取引の実情等を考慮すれば、取引者及び需要者は、本件商標がその指定商品に使用された場合には、当該商品が恰もサロンブランドの業務に係る商品であると誤って認識する可能性が高い。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある商標にあたるから、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録を取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、右上から斜め左下へ直線を描き、その直線の上部左側に5つの白抜きされた小さな円を有する黒い矩形を旗のように表し、その先端をリボンを裏返すように、内部が細く白抜きされ、始めと終わりが他の部分より細くなっている湾曲した線と、その下から直線の最下部に接し、ひねるように記載した内部が細く白抜きされた線及び最初の湾曲した線と平行な黒い線を、全体として、あたかも新体操のリボンのように表された図形よりなるものである。そして、本件商標は、構成全体の特異性をもって認識されるとみるのが相当であるから、これより特定の称呼、観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲(2)ないし(4)のとおり、いずれも「S」字状の図形を構成中に有するものである。そして、当該図形は、「S」の右上端に胞子状の突起が描かれ、また、左下部で先端が丸みを帯び、かつ、下向きに鋭角の突起を描いたものである。そして、引用商標は、構成全体の特異性をもって認識されるとみるのが相当であるから、これより特定の称呼、観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標とは、その全体の外観構成においては顕著な差異を有するものであり、これらから受ける印象は全く異なるものであるから、外観上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標と引用商標とは、前記認定のとおり、いずれも特定の称呼、観念を生じないものであるから、称呼及び観念においては、比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似しない別異の商標である。
エ 出所の混同を生ずるおそれについて
申立人提出の証拠によれば、引用商標は、シャンパーニュ産の発泡性ワインについて継続的に使用されていることが窺われるとしても、本件商標と引用商標とが別異の商標であることは、前記のとおりである。
してみると、本件商標を発泡性ワインを含む本件の指定商品に使用した場合、本件商標の出願時及び登録査定時のいずれにおいても、取引者、需要者が引用商標を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信するとはいえず、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというのが相当である。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標とは認められないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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