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Trademark Appeal Case

慣用表現の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第709号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、後掲に示すとおり、「おなかにおいしい」の文字を横書きしてなり、第29類「肉製品,加工水産物(かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのりを除く),加工野菜及び加工果実,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、平成6年11月21日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『おなかにおいしい』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、『おいしい』の文字のもつ意味合いが『味がよい、やさしい』等かなり広い意味合いで用いられていることより、全体として『味覚でおいしさを感ずるとともに、お腹にもやさしい』ほどの意味合いを認識させるものであるから、これをその指定商品に使用しても、需要者・取引者は、該商品の品質、特徴等を簡潔に表す宣伝文句と理解するにすぎず、何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、その構成後掲したとおり、「おなかにおいしい」の平仮名文字を書してなるところ、その構成中、後半部の「おいしい」の文字は、株式会社岩波書店発行「広辞苑 第五版」によれば、「美味である。」以外に「都合がよい、もうけになる、の意でも用いる。」旨解説され、或いは、株式会社三省堂発行「大辞林第二版」によれば「1.物の味がよい。2.都合がよい。利益になる。好ましい。」旨の解説されており、これらよりすれば、本願商標が直接食べ物の味を形容するものというよりは、むしろ、全体として「おなか(胃腸)に具合(都合)がいい。おなか(胃腸)に好ましい。」といった意味合いの語として認識し把握されるものといえる。

そして、昨今、かかる比喩的表現が極めて一般的かつ常套的に用いられている状況は、例えば、以下の(イ)ないし(ホ)より窺い知ることができる。

(イ)「『経営ひと言/ジェービービーステビア研究所』・・『甘い』ステビアで『おいしい』ビジネスチャンスを探す。」(1998.08.19付日刊工業新聞より)

(ロ)「新入社員の8割『条件しだいで転職』・・と、“おいしい生活”を望む若者の姿が浮かんでくる。」(1990.05.24付朝日新聞朝刊 埼玉版より)

(ハ)「『バブル 退治は一筋縄でいかぬ怪物』・・バブル最盛期にはやったコピーに『おいしい生活』というのがある。・・楽して質のいい暮らしをしたいという、・・。今私たちは、『モノはもう十分だから、心の豊かさがほしい』といいている。深読みすれば、『よりおいしい生活を!』ということだ。」(1995.09.19付同朝刊 福岡版より)

(ニ)「『スポーツ用品“欧州戦争”』・・欧州は、支配力を強めれば、ブランドが世界的に確率する『おいしい市場』だが、・・。」(1993.09.11付同夕刊より)

(ホ)「『聞こえぬような音の重要さ』・・音楽がもっと奥深い楽しみを与えてくれるかもしれない。同じCDも一枚で二度おいしい!」(1996.02.04付同紙朝刊より)

また、この傾向は、本願商標の指定商品とする食品関連の分野においても同様であって、例えば、アイスクリームについて、「(食品・アグリ−森永製菓)『からだにおいしい』シリーズ 小麦はい芽のクッキーチップを加え、1日に必用な食物繊維の3分の1がとれるバニラアイス『おなかにおいしい』・・ビタミン類がとれるオレンジシャーベット『お肌においしい』・・・カルシウムのとれる抹茶アイス『こころにおいしい』・・」(1997.03.25付日経産業新聞より)の如く用いられ、また、はんぺん或いは酒類について、「カラダにおいしい。ふんわりおいしい。 紀文はんぺん」、「飲む紫蘇42枚。体においしいお酒、誕生。 Mercian」(食品新聞社発行「1998年3月24日臨時増刊 食品新聞」中の広告記事より)等の各記載に照らし、顕著な事実と認められる。

以上によれば、「おなかにおいしい」の文字(語)よりなる本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品(食品)の品質、効能を標榜するもの、すなわち、世上一般に常用される特定事物の効能、効果等を標榜する比喩的表現の一つと理解されるに止まり、何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができないものといわなければならない。

したがって、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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