Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900270(T2010−900270/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5327509号商標(以下「本件商標」という。)は、「常圧十割」の文字を標準文字で表してなり、平成21年11月9日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒,麦芽及び麦を使用しないビール風味のアルコール飲料」を指定商品として、同22年5月10日に登録査定、同年6月4日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用した商標は、次のとおりの登録商標であり(以下、これらの商標を総称するときは「引用各商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第4954447号商標(以下「引用商標1」という。)は、「とわり」及び「十割」の文字を二段に横書きしてなり、平成15年2月26日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同18年5月19日に設定登録されたものである。
イ 登録第4866043号商標(以下「引用商標2」という。)は、「とわり」の文字を標準文字で表してなり、平成16年3月19日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同17年5月20日に設定登録されたものである。
(2)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、「常圧蒸留法のみ(100%)」で造った酒であること、もしくは、「常圧蒸留酒100%」の酒の品質を表示するにすぎないから、これを例えば「常圧蒸留100%の焼酎」等に使用するときは、単に当該焼酎の品質を表示するに過ぎない。
(3)商標法第3条第1項第6号について
本件商標「常圧十割」の文字を、単に「常圧100%」の意に解した場合は、「減圧」も「加圧」もしない「常圧」の下で製造された酒、同大気圧の下で貯蔵熟成された酒であることを認識させるにとどまるものであるから、何人かの業務にかかることを認識できない商標である。
(4)商標法第4条第1項第16号について
本件商標を、例えば「常圧蒸留100%の焼酎」以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じるおそれがあり、「常圧蒸留または常圧貯蔵でその比率が十割(100%)の酒」以外の指定商品に使用するときにおいても商品の品質について誤認を生じるおそれがある。
(5)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の構成中、「十割」の文字部分を「トワリ」と称呼される場合は、これに冠せられる「常圧」の文字部分が単に商品の品質を表示するにすぎず、識別力を欠く部分であるから、本件商標からは、単に「トワリ」の称呼をも生ずるものということができる。
他方、引用各商標は、その構成文字から「トワリ」の称呼を生ずるものである。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは「トワリ」の称呼を共通にする類似の商標であり、両者の指定商品も抵触するものである。
(6)むすび
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号、同法第4条第1項第16号及び同第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号又は同第6号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、前記したとおり、「常圧十割」の文字よりなるところ、甲第3号ないし第7号証によれば、「常圧蒸留」とは「特別に減圧も加圧もしないときの圧力、通常、大気圧に等しい圧力で蒸留する蒸留法」である旨記載されている。そして、「常圧蒸留法」によって造られた焼酎には、該蒸留法によって造られた焼酎であることを示すために、「常圧蒸留」や「常圧」の文字が表示されており、更には、「常圧蒸留100%」、「常圧100%」の文字が用いられていることが認められる。また、甲第2号証の1ないし4によれば、「伝統の常圧蒸留のみの常圧十割」、「常圧蒸留のみ(常圧十割)にこだわり」と記載されている例のあることが認められる。
しかしながら、甲第2号証の1ないし4に記載されている「伝統の常圧蒸留のみの常圧十割」及び「常圧蒸留のみ(常圧十割)にこだわり」の記載は、いずれも、本件商標権者の製造・販売に係る本格芋焼酎「黒丸<黒>」の説明文中に使用されている例であり、あるいは該商品の販売業者により使用されている例であって、甲各号証に照らしてみても、「常圧十割」の文字をこの種商品の製造・販売業者が一般的に使用している事実は認められない。
そして、「常圧十割」の文字は、岩波書店発行の広辞苑をはじめ、講談社発行の日本語大辞典や小学館発行の国語大辞典においても記載されていない語であり、その構成中の「常圧」の文字についても、上記各辞典においては記載されておらず、わずかに、「十割」の語については、上記辞典のうち、国語大辞典において、「一割の10倍、全部、100パーセント」と記載されているに止まるものである。
そうとすれば、「常圧十割」の文字は、その意味合いを含めて、広く一般に知られている文字とはいえないものであり、申立人の提出に係る証拠を検討しても、該語が本件商標の登録査定時において、この種商品を取り扱う業界において、商品の品質等を表示するものとして取引上一般的に使用されていたものとは認められない。
してみれば、本件商標は、むしろ、全体として一連一体の構成からなる一種の造語を表したものとして理解し、認識されるとみるのが相当であるから、これをその指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、また、指定商品中のいずれの商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記したとおり、「常圧十割」の文字を、同書、同大、等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されてなるものであるから、全体として一連一体の構成からなる一種の造語を表したものとみるのが相当であり、その構成中の「十割」の文字は、先に記載した国語大辞典においては、「じゅうわり」の読みの欄に記載されており、「とわり」の読みとしては記載されていないことからみても、一般的には「ジュウワリ」の称呼を生ずるものとみるのが自然である。
そうとすれば、本件商標は、該構成文字全体に相応して「ジョウアツジュウワリ」の称呼のみを生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標1は、前記したとおり、「とわり」の文字と「十割」の文字とを二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の平仮名文字は漢字の読みを特定したものと認められるから、該平仮名文字に相応して「トワリ」の称呼を生ずるものと認められる。また、引用商標2は、「とわり」の文字を標準文字で表してなるものであるから、該構成文字に相応して「トワリ」の称呼を生ずるものである。
本件商標から生ずる「ジョウアツジュウワリ」の称呼と引用各商標から生ずる「トワリ」の称呼とは、音構成において明らかな差異を有するものであるから、互いに明瞭に聴別し得る差異を有するものと認められる。
その他、本件商標と引用各商標とを類似するものとすべき特段の理由は、見出せない。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号、同法第4条第1項第16号及び同第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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