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Trademark Appeal Case

著名商標の混同可能性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900293(T2009−900293/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5227337号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5227337号商標(以下「本件商標」という。)は、「ANDROID」の文字を横書きしてなり、平成20年7月29日に登録出願され、第41類「携帯電話機による通信を用いて行うニュースレターなどの電子出版物の提供,オンラインゲームの提供及びこれに関する情報の提供,電子計算機端末又は携帯電話機を利用したゲームの提供」を指定役務として、同21年4月2日に登録査定、同年5月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし同第16号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)申立人が引用する商標

申立人が引用する登録第5132404号商標は、「ANDROID」の文字を標準文字により表してなり、2007年10月31日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して平成19年11月9日に登録出願され、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を指定商品として、同20年4月25日に設定登録されたものである。

同じく、登録第5132405号商標は、「アンドロイド」の文字を標準文字により表してなり、平成19年11月9日に登録出願され、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を指定商品として、同20年4月25日に設定登録されたものである。

以下、これらをまとめて「引用商標」という。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標は、その登録出願時及び登録査定時に携帯電話機向けオープンソースライセンスによるソフトウェアプラットフォームの名称として極めて高い著名性を獲得していた申立人の「ANDROID」と同一であり、その著名性を体現する引用商標と同一又は類似するものであるから、本件商標を使用した役務に接する取引者及び需要者は、あたかも申立人又はその関連会社の取扱い業務に係る役務であるかのごとく誤って認識する可能性が高い。

したがって、本件商標がその指定役務に使用された場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 取消理由通知

当審において、平成22年7月9日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。

(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

(ア)申立人は、携帯電話機向けの統合ソフトウェアプラットフォーム(携帯電話機上で動作する電子計算機プログラム)「Android」を無償で提供することについて、及び、申立人が中心となり携帯電話機メーカーや通信事業者など33社で組織した団体「Open Handset Alliance」(OHA)が発足したことについて、2007(平成19)年11月5日(米国時間)に発表し、このことがインターネットの各種ウェブサイトにおいて広く紹介された。各種ウェブサイトでは、「Android」(アンドロイド)はオープンソースで提供され、参加各社は必要な一部機能だけを選んで使うことができること、「Android」によりモバイル通信事業のみが独占する開発プラットフォームは必要でなくなること、より革新的な新型携帯電話機をより低いコストで市場に提供できるようになるとされていること、上記OHAには、米国のT−Mobile、QUALCOMM、Motorola、台湾のHTCなどのほか、日本からはNTTドコモ及びKDDIが参加すること、などが紹介されている(甲第4号証の1ないし10)。

(イ)「Android」(アンドロイド)は、無償で提供される携帯電話機向けプラットフォームということで、モバイル業界において話題となり、また、申立人が2007年11月12日に、「Android」のソフトウェア開発キットを公開し、賞金総額1000万ドルになるアプリケーション開発コンテストを開催すると発表したことなどもあって、我が国でも、前記11月5日の発表から1週間ほどの間に「Android」(アンドロイド)に関連するインターネット記事が繰り返し配信された(甲第5号証の1ないし5及び甲第6号証)。

(ウ)「Android」(アンドロイド)については、インターネットのウェブサイトにおける記事のみでなく、本件商標の登録出願前に発行された「週刊東洋経済」、「日経エレクトロニクス」、「日経コンピュータ」、「日経コミュニケーションズ」、「日経ネットワーク」、「日経パソコン」、「日経Linux」などのIT関連雑誌や経済雑誌においても、「米グーグルが5月末に開発した開発者会議では、開発基盤『Google App Engine』の一般公開など,同社のWebプラットフォームをオープン化する姿勢を強調した。・・・携帯機器向けソフトウエア基盤『Android』も,オープン化による収益拡大の一手段と位置づける。・・・今回の開発者会議でグーグルは,Androidを搭載した試作機を使ったデモを見せた。米アップル『iPhone』に似たタッチパネルの操作感や,ゲームソフトや地図ソフトが動く様子を披露した。」(甲第7号証の19)など特集記事や関連記事が多数掲載された(甲第7号証の1ないし22)。

(エ)さらに、本件商標の登録出願前に発行された雑誌において、先端用語、最新用語として「Android」が掲載され、「米グーグルが公開した携帯電話の開発プラットフォーム」と解説されている(甲第8号証の1及び2)。また、「Android」について解説する書籍も発行された(甲9号証の1及び2)。これらの雑誌及び書籍は、本件商標の登録出願前に発行されたものである。本件商標の登録出願後まもなくに発行された「日経パソコン用語辞典2009年版」にも「Android アンドロイド」の項目で記載され、「米グーグルが開発した、携帯電話やスマートフォン、携帯情報端末(PDA)などに向けた組み込み用OS。・・・グーグルは、携帯電話メーカーにAndroidの対価を要求しない。このため携帯電話メーカーは、Androidの採用により端末の開発コスト低減が図れる。・・・」等の説明がされている(甲第10号証)。

(2)上記(1)の認定事実によれば、「Android」(アンドロイド)の名称は、申立人が開発し無償提供する携帯電話機向けソフトウェアプラットフォームを指称するものとして、当該業界において世界的に話題になり、短期間に急速に浸透し、本件商標の登録出願時には既に取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は、登録査定時においても継続していたものといえる。

そして、上記「Android」(アンドロイド)の名称は、引用商標である「ANDROID」又は「アンドロイド」の文字をそれらの指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品である「携帯電話機用ソフトウェアプラットフォーム(携帯電話機上で動作する電子計算機プログラム)」に使用して、申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものとみることができる。以下、「Android」(アンドロイド)の名称を「引用使用商標」という。

(3)そこで、本件商標と引用使用商標とについてみるに、本件商標は、「ANDROID」の文字よりなるところ、該文字は「アンドロイド,人造人間」(「小学館ランダムハウス英和大辞典」株式会社小学館、1994年1月1日第2版発行)の意味を有するものであり、引用使用商標と同一の綴りの文字からなるか又は同一の称呼を生ずるものであり、また、両商標は、ともに「アンドロイド,人造人間」の観念を生ずるものであって、本件商標が引用使用商標と同一又は類似するものであることは明らかである。

また、前記(2)のとおり、引用使用商標は、携帯電話機上で動作する電子計算機プログラムを取り扱う業者やこの種商品に関心を持つ需要者には、申立人の商品の一つを表示するものとして広く認識されているものである。加えて、引用使用商標は、既成語ではあるものの広く一般に使用されている語でもないことから、ある程度独創的な商標であるといい得るものである。

さらに、本件商標の指定役務は、携帯電話機による通信を利用した電子出版物の提供や携帯電話機を用いて行うオンラインゲームの提供等であるところ、現在では、オンラインゲームのほとんどはインターネットに接続し、携帯電話やパソコンにインストールしたアプリケーションソフトを動作させてプレーする形態が一般的である。また、ニュースレター等の電子出版物の提供においても、動画の再生を伴うものは、再生用アプリケーションソフトが携帯電話やパソコンにプレインストールされていなければ、アプリケーションソフトをダウンロードにより取得するのが一般的である。

そうすると、本件商標の指定役務と引用使用商標に係る「携帯電話機上で動作する電子計算機プログラム」とは、ダウンロード等によりインストールしたアプリケーションソフトを必須とする点など、商品と役務において密接な関係を有するものといえる。また、上記電子計算機プログラムは通信手段たるインターネットを通じて配信され、本件商標の指定役務も携帯電話機による通信、オンラインゲームという通信手段により提供されるものであるから、両者は、提供手段を共通にし、さらに、商品・役務の取引者及び需要者も共通するものであり、これらの点からも密接な関連性を有するものといえる。

(4)かかる事情の下において、本件商標をその指定役務について使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、申立人が「携帯電話機用ソフトウェアプラットフォーム(携帯電話機上で動作する電子計算機プログラム)」に使用して、その業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されている引用使用商標を連想、想起し、該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 商標権者の意見

上記3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

5 当審の判断

本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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