Trademark Appeal Case
記述的商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−12182(T2010−12182/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「きっちり経理」の文字を横書きしてなり、第35類「経理事務の代行,財務書類の作成又は監査若しくは証明,経営の診断・指導,経営コンサルティング,文書又は磁気テープのファイリング,電子情報のファイリング」を指定役務として、平成21年5月8日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、『きっちり経理』の文字を書してなるが、該文字は、『きちっと経理を行うこと』程の意味合いを看取させるものであるから、これを本願指定役務中例えば『経理事務の代行,財務書類の作成又は監査若しくは証明』に使用するときは、上記の意味を認識するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を有しているものとはいえず、需要者をして何人かの業務に係る役務であることを認識することができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「きっちり経理」の文字からなるところ、その構成中の「きっちり」の文字は、「ゆるみや隙間がないさま。曖昧さがなく正確であるさま。」等を、「経理」の文字は、「会計に関する事務。また、その処理。」等をそれぞれ意味する語(ともに広辞苑第六版)として知られているものであり、これらの文字を結合した「きっちり経理」の文字は、それぞれの文字の意味から構成全体として、「曖昧さがなく正確な経理(会計に関する事務)」程の意味合いを容易に認識させるものである。
また、経理に関連する業界において、別掲に示すとおり、「きっちり経理」の語が、上記意味合いを表すものとして、採択・使用されている実情が見受けられるものである。
してみれば、本願商標は、これをその指定役務中の「経理事務の代行,財務書類の作成又は監査若しくは証明」について使用しても、上記意味合いを認識させるにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものであり、かつ、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ない。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標は本願出願人のみが使用する商標であって、『きっちり経理』が取引上普通に使用されていると認められないものであるから、これを本願商標の指定役務『経理事務の代行,財務書類の作成又は監査若しくは証明』に使用しても、一種の造語を表したものとして認識、把握されると見るのが相当であり、本願商標『きっちり経理』は自他役務識別力を有するものと言える。」旨主張する。
しかしながら、本願商標が、自他役務識別力を有するか否かの判断に当たって、取引者、需要者に指定役務の質等を示すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、必ずしも要求されないもの(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)」(役務についても同様に解される。)と解すべきであるところ、本願商標は、それを構成する「きっちり」及び「経理」の各語の語義から上記1のとおりの意味合いを有する複合語として認識されるものであり、かつ、「きっちり経理」の語が、上記1の意味合いを表すものとして、採択・使用されている実情も見受けられるものであるから、たとえ、「きっちり経理」の文字が、取引上普通に使用されていないものであるとしても、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
ところで、請求人は、本願商標は本願出願人のみが使用する商標であるとして、出願人のウェブサイト(甲第15号証)の写しを提出しているところ、そこには、「『きっちり経理』『確認の連続』をキャッチフレーズとしている会計事務所です。」との記載があるところからすれば、「きっちり経理」の語が、出願人に係る事務所を広告、宣伝するためのキャッチフレーズとして使用されていること、すなわち、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものとして、出願人自ら自認しているものである。
よって、請求人の係る主張も採用することができない。
(2)請求人は、過去の登録例や審決例等を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、該登録例や審決例等は、商標の構成、指定商品・役務等において本願とは事案を異にするものであり、それらの登録例や審決例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないことから、請求人の係る主張も採用することができない。
(3)その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。
4 まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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