Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼観念の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−12821(T2010−12821/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第44類「介護保険施設事業管理」を指定役務として、平成20年11月13日に登録出願されたものである。そして、指定役務については、原審において、平成21年7月8日付けの手続補正書により、第35類「介護保険施設事業管理」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、次のとおりであり、その商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4617377号商標(以下「引用商標1」という。)は、「フェニックス」の文字を標準文字で表してなり、平成12年6月21日に登録出願、第35類、第36類、第37類、第38類、第39類、第40類、第41類及び第42類に属する別掲2に記載のとおりの役務を指定役務として、平成14年11月1日に設定登録されたものである。
(2)登録第4710899号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PHOENIX」の文字を標準文字で表してなり、平成14年9月26日に登録出願、第35類に属する別掲3に記載のとおりの役務を指定役務として、平成15年9月19日に設定登録されたものである。
(上記(1)及び(2)の登録商標をまとめていうときは、単に「引用商標」ということがある。)
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲のとおり、赤地四角形内に、その右側上部に接するように白抜きで十字形の図形を表し、その四角形内の底辺部分には、「Phoenix」の欧文字を白抜きで表した構成よりなるところ、その構成中、十字形の図形部分と「Phoenix」の文字部分とは、常に一体不可分のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情は見出し得ないものであるから、該図形部分と該文字部分とは、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、その構成中「Phoenix」の文字部分は、「フェニックス」と発音され、「不死鳥」(「小学館ランダムハウス英和大辞典〈特装版〉」株式会社小学館発行)の意味を有する英語として、我が国において親しまれている語である。
そうすると、簡易迅速を旨とする取引の実際にあっては、それ自体独立して自他役務の識別標識としての機能を果し得る「Phoenix」の文字部分に着目し、該文字から生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきであるから、本願商標は、該文字部分に相応して、「フェニックス」の称呼及び「不死鳥」の観念を生ずるものである。
(2)引用商標
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「フェニックス」の文字よりなるところ、これより、「フェニックス」の称呼を生ずること明らかであり、かつ、「不死鳥」(広辞苑第六版)の観念を生ずるものである。
また、引用商標2は、前記2(2)のとおり、「PHOENIX」の文字よりなるところ、これより、本願商標と同様に、「フェニックス」の称呼及び「不死鳥」の観念を生ずるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標1の類否についてみると、本願商標は図形と文字からなるのに対して、引用商標1は文字のみからなることから、両者は、外観の構成が相違するものではあるが、「フェニックス」の称呼及び「不死鳥」の観念を共通にするものである。
また、本願商標と引用商標2の類否についてみると、本願商標中「Phoenix」の文字部分と、引用商標2の欧文字「PHOENIX」とは、大文字、小文字の差異こそあるものの、その構成文字の綴りを同じくするものであるから、これに接する取引者、需要者に近似した印象、記憶、連想等を与えるといえ、両者は、近似した外観を有するものであり、かつ、「フェニックス」の称呼及び「不死鳥」の観念を共通にするものである。
そうとすれば、本願商標と引用商標1とは、外観上の相違点を考慮してもなお、称呼及び観念を共通にする相紛れるおそれのある類似する商標というべきであり、また、本願商標と引用商標2とは、外観において近似性を有するうえに、称呼及び観念を共通にする互いに相紛れるおそれのある類似する商標というべきである。
かつ、本願商標の指定役務は引用商標の指定役務と同一又は類似の役務である。
してみれば、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当すると判断するのが相当である。
(4)請求人の主張について
請求人は、「本願商標は、全体がまとまりよく一体に表されており、赤い四角のなかに配置されているので、ここから一部の要素だけが独立して抜き出されて把握されるものではない。赤い四角と+の部分は、Phoenix同様に識別力ある要部たりうることは、当該登録商標(登録第5212504号)を出願人が保有していることからも明らかである。また、観念については、不死鳥から導かれる不死のイメージとが相俟うことで、全体として、介護や療養への深い信頼感、安心感を連想させるため、引用に係る商標とは大きく相違する。しかも、指定役務の相違から、提供される場所や需要者が異なるので、取引の実情に鑑みた場合、およそ需要者がその出所を誤認混同するおそれのない商標である。」旨、主張している。
しかしながら、簡易迅速を尊ぶ取引の場においては、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標の構成中、赤色の色彩と対照的に白抜きで表されて、我が国において親しまれている「Phoenix」の文字部分に強く印象を留め、記憶し、該文字部分から生ずる称呼や観念をもって取引に資することが取引上必ずしも不自然とはいえないものである。
そうとすれば、本願商標と引用商標とが「フェニックス」の称呼及び「不死鳥」の観念を共通にするものでありながら、本願商標と引用商標の構成態様の相違や全体から生じる独自の観念の有無を理由に、役務の出所について誤認混同のおそれが全くないということはできない。
次に、本願指定役務と引用商標に係る指定役務の類否については、引用商標1及び2に係る指定役務中「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」は、事業経営の診断又は事業経営に助言を与えること、一般需要者の嗜好や動向を調すること及び商品の販売に関する情報を提供することを内容とするものであり、事業の業績を伸ばし、安定した事業経営が行えるようにすること、すなわち、事業を管理するために行なわれる場合もある役務といえるものである。また、引用商標2に係る指定役務中「情報処理及び情報通信ネットワークに関する事業の管理・運営又は代行,情報処理及び情報通信ネットワークの運営に関する事業の管理・運営又は代行」には、本願に係る指定役務「介護保険施設事業管理」と比べて、管理される事業所又は事業内容の差異こそあるものの、共に事業を管理する役務が含まれており、さらに、「事業の管理又は運営に関する助言及び援助」は、事業を管理するために行われる役務である。
そうとすれば、本願商標の指定役務と引用商標1及び2に係る前記指定役務とは、共に事業の管理を目的として行われるものであって、同一又は類似する役務であることが明らかであるから、本願指定役務と引用商標に係る指定役務とが、相違するということはできず、本願商標をその指定役務に使用するときは、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
加えて、請求人が、本願商標の図形部分について登録商標を保有しているとしても、そのことをもって、本願商標から、「Phoenix」の文字が独立して自他役務を識別する機能を果さないとの理由にはあたらないうえに、商標の類否の判断においては、過去の審査例等の判断に拘束されることなく、個別、具体的に検討されるべきものである。
よって、請求人のいずれの主張も採用することはできない。
(5)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、
拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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