Trademark Appeal Case
著名商標との混同判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−11856(T2009−11856/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「パーティセゾン」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第36類「建物の管理,建物管理の代行,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価並びにそれに関する相談,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物及び土地の有効活用に関する企画・指導及び助言,建物又は土地の取引に関する指導・助言,建物又は土地の情報の提供」及び第37類「建設工事,建設工事に関する情報の提供,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,家具の修理,ガス湯沸かし器の修理又は保守,加熱器の修理又は保守,なべ類の修理又は保守,浴槽類の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き」を指定役務として、平成20年2月19日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『パーティセゾン』の文字を表してなるところ、これは、東京都豊島区所在の『株式会社クレディセゾン』が、本願登録出願前よりクレジットサービス事業、ファイナンス事業等に使用して著名な商標『セゾン』の文字を含むものであり、さらに、同会社の連結会社・持分法適用会社の中には、他の語と『セゾン』とを結合した構成の言葉が使用されている例もある。そうとすれば、出願人が、『セゾン』の文字を含む本願商標をその指定役務に使用するときは、これが恰も前記会社又は同社と経済的、組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に対し、平成22年10月21日付で証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べに対する請求人の意見(要点)
本願商標は、片仮名文字「パーティセゾン」を一連一体に横書きしてなり、称呼も冗長ではないため、視覚上・称呼上一連一体の商標である。
そして、株式会社クレディセゾンが不動産業を手がけていることを認識している需要者は少ないであろうこと、その性質上、不動産・建設業とクレジットカード業との関連性は非常に低いこと、株式会社クレディセゾンと何ら関係のない多くの会社が、「セゾン」の文字を商号または商標に広く使用していること等からすれば、「セゾン」の文字をその構成に含む本願商標が、本願の指定役務に使用されても、株式会社クレディセゾンあるいは同人と経済的または組織的な関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、認識されるおそれはない。
5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「パーティセゾン」の片仮名文字を表してなるところ、その構成中の「パーティ」の文字は、「社交のための集まり。宴会。」の意味を、「セゾン」の文字は、「季節。シーズン。」(いずれも広辞苑第六版)の意味をそれぞれ有する語であるところ、両者を結合して特定の熟語を形成しているものとはいえないから、本願商標は、「パーティ」と「セゾン」の文字との組み合わせによりなるものと容易に認識し把握されるというべきである。
イ 「セゾン」の周知・著名性
「セゾン」の文字について、前記3の証拠調べによって発見した新聞記事やインターネットのウェブサイトの記載によれば、次の事実が認められる。
(ア)株式会社クレディセゾンが、クレジットサービス事業等に使用している「セゾンカード」は、本願登録出願前から現在に至るまで、クレジットカード業界において、常に高いシェアを占めている。
(イ)「セゾンカード」の会員数は、平成17年時点で約1700万人に達しており、かつ、その会員の入会受付や会員に向けたサービスを行うセゾンカウンターは全国各地に存在している。
(ウ)株式会社クレディセゾンは、クレジットサービス産業、ファイナンス事業の他にも、不動産関連事業、エンタテイメント事業、情報処理、保険等、多角的な事業を展開している。
(エ)「セゾン」の文字は、「株式会社クレディセゾン」又は「セゾンカード」を指称するものとして使用されている。
以上よりすれば、「セゾン」の文字は、本願商標の登録出願以前から、既に、東京都豊島区所在の「株式会社クレディセゾン」がクレジットサービス事業、ファイナンス事業等に使用して、かつ、本願商標の登録出願時及び査定時には、該会社の取扱いに係る役務であることを表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間において広く認識されていたといい得るものであり、現時点においてもその周知、著名性は継続しているものと認められる。
ウ 出所の混同を生ずるおそれ
他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるか否かの判断にあたっては、「(ア)その他人の標章の周知度(広告、宣伝の程度又は普及度)(イ)その他人の標章が創造標章であるかどうか(ウ)その他人の標章がハウスマークであるかどうか(エ)企業における多角経営の可能性(オ)商品間、役務間又は商品と役務間の関連性」等を総合的に考慮するものとされるところ、本願商標「パーティセゾン」の構成中「セゾン」の文字部分は、株式会社クレディセゾン又は該企業に係るクレジットカード事業に使用している「セゾンカード」の略称として著名であること、株式会社クレディセゾンが引用商標の指定役務の業界である不動産関連事業を含め、多角的な事業を行っていることは前記イのとおりである。
そして、最高裁は、商標法4条1項15号にいう「混同のおそれ」の解釈について、「商標法四条一項一五号にいう『他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標』には、当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子関係や系列会社の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信さえるおそれがある商標を含むもの理解するのが相当である。」(平成10年(行ヒ)85号 最高裁言渡)旨判示している。
これを本件に照らすと、本願商標の第36類の指定役務は、不動産関連の役務といえるところ、株式会社クレディセゾンのグループ会社として、前記役務と密接な関係のある「不動産流動化事業、不動産開発分譲事業、不動産賃貸事業」等の事業を行っている「株式会社アトリウムグループ」、「株式会社ハウスプランニング」及び「株式会社コンチェルト」等の企業が存在している。
そうとすれば、本願商標を第36類の前記指定役務に使用するときは、取引者、需要者は、本願商標の「セゾン」の文字部分より、周知著名な企業グループである「株式会社クレディセゾン」又は前記企業のクレジット事業に使用する「セゾンカード」の略称である「セゾン」を想起し、これを恰も株式会社クレディセゾンあるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者に係る役務であるかのように連想して役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、不動産・建設業とクレジットカード業との関連性は非常に低いこと、株式会社クレディセゾンと何ら関係のない多くの会社が、「セゾン」の文字を商号または商標に広く使用していること等からすれば、出所の
混同は生じない旨主張しているが、クレジットカード業界と不動産・建設業界とは類別を異にするものであることを否定するものではないが、株式会社クレディセゾン又は前記企業のクレジット事業に使用する「セゾンカード」の略称である「セゾン」に高い著名性があり、しかも、実際に、該企業が、不動産業を行っている取引の実情があることは、前記ウのとおりであるから、取引者、需要者にその出所について混同させるおそれが十分にあると判断せざるを得ず、他に本願商標が他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがないと考えさせる具体的な取引の実情を見出すことはできない。
よって、請求人の該主張を採用することはできない。
イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、広く知られた商標を一部に含む商標が、外観及び称呼上不可分一体であり、需要者が出所について混同を生ずるおそれはないと判断されている旨主張しているが、前記既登録例は、本願商標とは商標の構成態様等が相違し事案を異にするものであるほか、商標の類否は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきであり、また、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるか否かについては、商標の周知著名性の程度、商標・役務の類似性、使用状況、需要者層等の具体的な事情を総合的に考察して判断されるべきであるから、前記登録例をもって本件の判断が左右されるものでもない。
よって、請求人の該主張も採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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