結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35206号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4224141号商標(以下「本件商標」という。)は、「マイクロドライ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成9年2月14日登録出願、第16類「紙類,文房具類,印字用インクリボン(交換用インクリボンを含む),アイロンの熱を利用してなる転写用シート」を指定商品として、平成10年12月25日登録されたものである。
請求人は「本商標権の指定商品中『文房具』を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び請求人の答弁に対する弁駁の理由を概要次のように主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、前記1のとおりである。
(2)引用商標は、「DRY」の欧文字を横書きしてなり、第16類「文房具類」を指定商品として、平成5年12月9日登録出願、同9年1月31日商標登録第3244954号商標として登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標からは、「マイクロドライ」の称呼を生ずる。しかしながら、この称呼は7音からなるからいささか冗長であり、「マイクロ」の文字部分は英語の「MICRO」の字音に通じ、「小、微小の」等を意味するものとして外来語として親しまれているばかりでなく、指定商品を取扱う業界において、例えばファイルについて「マイクロファイル」、ボールペンについて「マイクロボール」、システム手帳について「マイクロミニシステム手帳」等と単に商品の品質を表すものとして普通に使用されているものである(甲第9号証ないし甲第12号証)。
したがって、本件商標の自他商品の識別機能は「ドライ」の文字部分に存し、単に「ドライ(乾いた、乾燥した)」等の称呼、観念をも生ずるものと認められる。
これに対して、引用商標は、「DRY」の欧文字を横書きしてなるものであるから、これよりもまた「ドライ(乾いた、乾燥した)」の称呼、観念を生ずる。
してみれば、本件商標の「ドライ」と引用商標の「DRY」とは「ドライ(乾いた、乾燥した)」の称呼、観念を同じくし、称呼、観念上互いに類似する商標と認められる。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、観念上類似の商標であり、かつ指定商品も「文房具」について同一にするものであり、本件商標登録は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
前記引用商標及び法律改正以前連合関係にあった各登録商標をその指定商品、とりわけ「サインペン」について昭和53年頃より使用した結果、当業界において周知、著名となっているものである。また、この「サインペン」は、類似商品審査基準によっても明らかなように第16類の文房具類に属するものであり、本件指定商品中の「文房具」もまた同じ文房具類に属する商品として取扱われているので、両者は互いに類似の商品と認められる。
したがって、本件商標が、その指定商品中の「サインペンを含む文房具類」について使用された場合、取引者、需要者が、請求人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがあり、本件商標登録は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(5)弁駁の理由
「サインペン」の用例として、「マイクロ」の文字部分は、品質を表すものとして普通に使用されているといえる(甲第20号証)。
さらに「マイクロ」「MICRO」の文字部分が識別性なしとして拒絶査定となった例は数多く見受けられるが、その一例として次のようなものが挙げられる(甲第13号証ないし甲第19号証)。
被請求人は、審査例を挙げて被請求人の主張の正当性を述べているが、単なる審査例に過ぎず本案とは事案を異にする。特許庁の正式な見解は、先に示した甲第9号証及び甲第10号証のとおりであって、これをさらに立証するために甲第21号証及び甲第22号証を提出する。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概要次のように主張し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標と引用商標とは、指定商品において抵触していることは否定できない。しかしながら、本件商標が片仮名文字のみよりなるものであり、引用商標が欧文字のみよりなることからして、両者は顕著な相違があり、外観において類似しないことは明らかである。
また、本件商標が「マイクロドライ」と自然に称呼されることは、請求の理由に記載のとおりであるが、該称呼がいささか冗長であるとの請求人の主張は否認する。本件商標の称呼は格別冗長なものではなく、一体性もありこれらを分断して称呼しなければならないような特段の事情も存在しない。
すなわち請求人が本件商標の称呼が分断されることの理由とする「マイクロ」の文字が「極小、微少」等の意味を有することは被請求人も否定するものではない。また、この文字が電子部品、理化学機械器具やボールペンのペン先等のような技術的にミクロン単位に関連するような商品につき使用されるような場合においては、その商品の品質、形状等を表示するものと理解できる場合があることも否定はしない。しかしながら本件の一部無効の対象である「文房具」につき使用される場合には、商品の品質、形状等を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものでなく、請求人が証拠として提出している甲第9号証及び甲第10号証の審決は事案を異にしており、本件の一部無効の対象である「文房具」において「マイクロ」の文字がその品質、形状等を示すとする証拠となるものではない。
また請求人は「マイクロ」の文字が「文房具」関係においてその商品の品質等を示すものとして使用されている例として、甲第11号証及び甲第12号証を提出しているが、甲第11号証に示されている「マイクロファイル」はまさに商標的な使用がされているものであり、商品の品質等を示すものとして使用されているものではない。また甲第12号証に示されている「マイクロボール」は、ボールペンのペン先のことを示す使用であり、ボールペン自体の品質等を表示するものではない。唯一「マイクロミニシステム手帳」が商品の品質等を暗示するような例と思われるが、これのみをもってしては「マイクロ」の文字が「文房具」において品質等を表示するものとしてごく一般に使用されているとすることはできない。
本件商標を構成する「マイクロ」の文字が前述のような意味を有しており、「ドライ」の文字が「乾いた、乾燥した」等の意味を有することは請求の理由に記載のとおりであるが、本件商標全体としては「極くわずかに乾燥した」というような意味を暗示させる語であるとしても、明確な観念を想起させるものではなく、一連一体の造語商標として認識されるものであり、「マイクロ」の語を省略して称呼しなければならない特段の事情がないことは前述のとおりである。
したがって、「ドライ」とのみ称呼され、「乾いた、乾燥した」等の観念を有する引用商標とは比較するまでもなく、称呼及び観念において類似するものではない。
過去の登録例を見ても2ないし3音の称呼を有する文字よりなる商標と、それらと「マイクロ」「MICRO」の文字とを結合した商標等が、相互に類似しないものとして登録されている(乙1号証ないし乙4号証)。これらの前例は「マイクロ」又は「MICRO」の文字が、文房具類等の品質、形状等を表示するものでなく、また、これらと2ないし3音程度の称呼を有する文字とが結合した商標は、一連一体のものとして称呼、観念され、「マイクロ」又は「MICRO」の文字を省略することのない証左となるものであり、本件商標と引用商標も同様な立場にあり、併存すべき証左となるものである。
結局、本件商標がその指定商品に使用された場合、仮に何らかの観念を想起させるとしても、世人は該商標を引用の「DRY」商標の使用された商品の中の微少な商品を表示するものとしては認識せず、「極くわずかに乾燥した」というような一連一体の意味を暗示させる「DRY」とは別異の意味を有する商標が使用された商品としてのみ認識するものと解するのが経験則に照らし相当である。
したがって、このような観点からも「マイクロドライ」は一連一体にのみ称呼され「ドライ(DRY)」の称呼、観念は生じないから引用商標とは称呼も類似せず、観念も異なる非類似の商標であると解すべきものである。
(2)次に請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由を述べ、その証拠として甲第3号証、甲第4号証、甲第7号証及び甲第8号証を提出している。
しかしながら、本件商標と引用商標とが類似しないものであることは前述のとおりであり、したがって商標法第4条第1項15号につき検討するまでもないものである。また、請求人は引用商標が周知、著名であると主張しその証拠として甲第7号証及び甲第8号証を提出しているが、自社のパンフレットのみの提出であり、具体的、客観的に引用商標が周知、著名であることを認識させるものではなく、この点においても商標法第4条第1項15号につき検討するまでもないものである。
(3)第二答弁書による答弁の理由
請求人は、弁駁書において種々述べているが、審判請求書において主張されている理由を越える主張、立証はない。
また、請求人が新たな証拠として提出してきたものは、かえって本件に無効理由がないことを示すものである。
本件商標は、前記の構成のものであり、請求人が引用する商標登録第3244954号に係る商標(以下「引用商標」という。)は、甲第2号証により、請求人主張のとおり「DRY」の欧文字を横書きしてなるものと認められる。
そして、本件商標と引用商標の類否について争いがあるので、以下、判断する。
請求人は、本件商標から生ずる「マイクロドライ」の称呼がいささか冗長であり、また、本件商標中の「マイクロ」の文字が指定商品を取扱う業界において商品の品質を表すものとして普通に使用されているため本件商標の自他商品の識別機能は「ドライ」の文字部分に存すると主張し、それを根拠に本件商標は、単に「ドライ(乾いた、乾燥した)」の称呼、観念をも生ずるものと主張する。
そこで、本件商標全体より生ずると認められる「マイクロドライ」の称呼がいささか冗長であるといえるか検討すると、この称呼は格別冗長なものではなく、無理なく一連に発音できるものである。
次に、請求人は、本件商標中の「マイクロ」の文字が指定商品を取扱う業界において商品の品質を表すものとして普通に使用されている事実を立証する証拠として甲第9号証、甲第10号、甲第21号証及び甲第22号証の審決を提出しており、これらの審決において、商標中の「MICRO」又は「マイクロ」の文字を商品の品質又は形状表示と認識されると認定している事実が認められる。しかしながら、「文房具」を指定商品とする商標についてそのように認定しているものではない。したがって、前記甲各号証によって、本件商標中の「マイクロ」の文字が文房具について、その品質等を示す自他商品の識別機能を有しない文字であると直ちに認めることはできない。
また、請求人は、「マイクロ」の文字が文房具関係においてその商品の品質を示すものとして使用されている例として、甲第11号証及び甲第12号証を提出しているが、甲第11号証に示されている「マイクロファイル」の表記は商標的な使用がされているものであり、商品の品質等を示すものとして使用されているものとは認められない。また甲第12号証に示されている「マイクロボール」の表記は、ボールペンのペン先の部分のボールが極小である(したがって、ごく細かい文字を書ける)ことから採用した名称とみられるものであって、「マイクロボール」の文字が一連でボールペンの品質と認識される可能性はあっても、そのうちの「マイクロ」の文字のみではボールペンの品質表示と認識することができないものといわざるをえない。同じく甲第12号証に示されている「マイクロミニシステム手帳」の表記中の「マイクロミニ」が「ごく小さい」の意を認識させるといえるが、これも「マイクロ」の文字のみでそのように認識できるというより、この文字に続く文字との関係でそのような意味が認識されるとみられるものである。したがって、甲第11号証及び甲第12号証によっても、本件商標中の「マイクロ」の文字が文房具について、その品質等を示す文字として使用されている事実を認めることはできない。
そうしてみると、本件商標中の「マイクロ」の文字が文房具を取扱う業界において商品の品質を表すものとして普通に使用されていると認めるに足りる証拠はないから、本件商標の自他商品の識別機能は「ドライ」の文字部分に存するとの請求人の主張はその前提となる根拠を欠くものであり、採用できない。
そして、本件商標は、同じ大きさの片仮名文字で一連に「マイクロドライ」と表してなるところから、その「ドライ」の文字部分のみを称呼、観念して取引がされる必然性のないものであって、一連に「マイクロドライ」とのみ称呼され、「マイクロ」と「ドライ」の2語を結合してなる一種の造語よりなる商標として取引者、需要者に理解認識されるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、「DRY」の欧文字を横書きしてなり、「ドライ」と称呼され、「ドライ、乾いた、乾燥した」の意を観念させると認められる引用商標と称呼において紛らわしいものでなく、観念において比較できないものであり、また、外観においても明らかに異なるから、これと類似しない商標といわなければならない。
また、請求人は、引用商標及び法律改正以前に引用商標と連合関係にあった各登録商標をその指定商品、とりわけ「サインペン」について昭和53年頃より使用した結果、当業界において周知、著名となっているものと主張し、その事実を立証する証拠として甲第7号証及び甲第8号証を提出して、これを根拠に本件商標がその指定商品中の「サインペンを含む文房具類」について使用された場合、取引者、需要者が、請求人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがあるとしている。
そこで甲第7号証及び甲第8号証をみると、請求人会社の1974年及び1989年の商品カタログであり、これによれば、請求人は「サインペン」について図案化した「DRY」、「DRY INK」及び「ドライインク」の文字よりなる各商標を使用した事実を窺うことができる。しかし、この証拠により本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標及び引用商標と連合関係にあった各登録商標が周知、著名であったものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、これを文房具について使用した場合に、請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるとすべき格別の実状があったものとも認められない。
したがって、本件商標は、請求に係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。