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Trademark Appeal Case

称呼類似と著名性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2010−890079(T2010−890079/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5307691号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5307691号商標(以下「本件商標」という。)は、「TTK」の欧文字を横書きしてなり、平成21年9月17日に登録出願、第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属製管継ぎ手,金属製フランジ」、第12類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング」及び第40類「金属の加工」を指定商品又は指定役務として、同22年1月20日に登録査定、同年3月12日に設定登録されたものである。

2 引用各商標

請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用した商標は、以下の4件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標を総称するときは「引用各商標」という。)。

(1)登録第1452950号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:「TDK」の欧文字からなる商標

登録出願日:昭和51年12月6日

設定登録日:昭和56年1月30日

指定商品 :第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属鉱石」、その外、第1類、第2類及び第14類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品(平成13年3月21日書換登録)

(2)登録第4566053号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:「TDK」の欧文字からなる商標

登録出願日:平成12年9月14日

設定登録日:平成14年5月10日

指定商品 :第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属製管継ぎ手,金属製フランジ」、第12類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング」及び第40類「電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼き戻し,溶融めっき」を含む第1類ないし第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品又は役務

(3)登録第4782115号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:「TDK」(標準文字)

登録出願日:平成16年4月2日

設定登録日:平成16年6月25日

指定商品 :第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属製管継ぎ手,金属製フランジ」、第12類「陸上の乗物用の機械要素」及び第40類「金属の加工」を含む第1類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品又は役務

(4)登録第4782117号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:別掲のとおり

登録出願日:平成16年4月2日

設定登録日:平成16年6月25日

指定商品 :第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属製管継ぎ手,金属製フランジ」、第12類「陸上の乗物用の機械要素」及び第40類「金属の加工」を含む第1類ないし第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品又は役務

3 請求人の主張(要旨)

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号ないし第94号証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第7号の規定に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、その登録は同法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。

<請求の理由>

(1)商標「TDK」の著名性について

ア 「TDK」は、請求人の旧商号「東京電気化学工業株式会社(Tokyo Denki Kagaku)」のイニシャルであり、同社の商品及び役務を示すハウスマークとして1935年の創業当時から使用されてきた商標であって、日本を代表する世界的企業である(甲第46号及び第47号証)。「TDK」が全世界的に著名な商標であることは、特許庁の「周知・著名商標検索」やAIPPIの「日本著名商標集」に「TDK」が掲載されていることはもとより(甲第7号及び第8号証)、様々な商品・役務について多数の防護標章登録を保有していることからも明らかである(甲第9号ないし第45号証)。特に、第1449546号防護第11号は、本件商標に係る指定商品(第6類及び第12類)と同一の商品について登録されており(甲第号19証)、第1449546号防護第16・19・21号は、本件商標に係る第6類の指定商品と類似する商品について登録されている(甲第24号証、同第27号及び第29号証)。

イ 請求人(1983(昭和58)年に社名を「東京電気化学工業株式会社」から「TDK株式会社」に変更)は、磁気材料「フェライトコア」の生産・工業化を目的として設立され、1937(昭和12)年に、その事業発展の礎となるフェライトコアを世界で初めて発売した(甲第47号証)。請求人の磁気材料は、無線通信機やラジオの部品、テレビのブラウン管等に採用され、フェライトの用途は急速に拡大した(甲第52号証)。1953(昭和28)年に磁気録音テープ「シンクロテープ」を発売し、NHKの放送用テープとしても認められ、その業績を伸ばした(甲第47号証)。1966(昭和41)年に、カセットテープを開発したオランダのフィリップス社と契約を交わし、同年6月、国産第1号となるカセットテープを松下電器産業株式会社にOEM製品として供給した。その後、1968(昭和43)年には、「TDK」ブランドの下で、「SD(スーパーダイナミック)カセット」を米国で発売し、翌1969(昭和44)年には国内で同製品の発売を開始し、爆発的なヒットとなった(甲第53号証)。その後も「TDK」ブランドは、VHSビデオテープ、フロッピーディスク、MD(ミニディスク)、ブルーレイディスク等の様々な記録メディアに長く使用され、わが国において広く親しまれるものとなっている。

また、請求人は、「フェライト」に関する高い技術と創業来の長い経験により、1962(昭和37)年に「磁気ドラム用フェライトヘッド」を発売し(甲第47号証)、その後も高性能化・小型化され続ける「磁気ヘッド」の需要に応え続け、「磁気ヘッド」市場を牽引する同分野のリーディングカンパニーとなり、現在では、「TDK」ブランドのHDD(ハードディスクドライブ)用磁気ヘッドは世界トップシェアであり(甲第52号証)、請求人の売り上げの約40%を占めている。磁気ヘッドは、コンピュータのみならず、様々な家電にも組み込まれるようになり、その多くに「TDK」ブランドの「磁気ヘッド」が用いられている。

更に、近年爆発的な市場の拡大を果たした携帯電話機や通信ゲーム機等のモバイル機器についても、「TDK」ブランドの製品、例えば、積層セラミックチップコンデンサ、インダクタ等が使用されており(甲第46号証)、次世代の高速データ通信用の携帯電話機などに使用される部品の多くにも、「TDK」の製品が非常に期待されている。そして、今日においては、自動車にも電子部品は欠かせないものとなっており、ハイブリットカーにも、例えば、バッテリーに「TDK」のコンバータが利用されているように、多くの「TDK」の部品が用いられており、自動車産業においても「TDK」ブランドの製品は、非常に重要な役割を果たしている。

ウ 請求人は、1959(昭和34)年に、株式を東京証券取引所店頭市場に公開し、1961(昭和36)年9月には東京証券取引所第二部に上場、翌10月には第一部への上場を果たし、1982(昭和57)年には、ニューヨーク証券取引所に上場した(甲第47号証)。請求人は、事業所・関連子会社を世界各地に置くとともにその開発拠点を日本だけではなく、欧州・米国にも置いて事業をグローバルに展開している(甲第46号証)。請求人の世界連結売上は、2005年度は6578億円(甲第49号証)であったものが2008年度は8662億円を記録するまでになっている(甲第46号証)。また、「TDK」の技術は、産業界における貢献が称えられ、日本及び外国からたびたび表彰を受けてきている(甲第48号証)。

エ 請求人は、TDKの基幹産業である電子部品事業について広く一般に認知してもらうために、年末に集中的にテレビコマーシャルをオンエアしてきた(甲第52号証)。また、請求人は、世界三大スポーツ大会の一つとなった「世界陸上」へのサポート等、その事業を通じて多くの社会貢献を果たしてきた(甲第47号証、甲第56号ないし第59号証、甲第61号ないし第86号証)。

オ 以上のとおり、「TDK」が請求人の商品又は営業を示すものとして、我が国のあらゆる産業分野及び一般消費者の間で著名であることは明らかである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「TTK」のアルファベット3文字を羅列した構成からなり、これからは「ティーティーケー」の称呼が生ずる。一方、引用各商標は、「TDK」の文字又は「TDK」の文字及び図形からなるものであり、該文字部分からは「ティーディーケー」の称呼が生ずる。

本件商標及び引用各商標とは、中間において、「ティー」と「ディー」の音の差異を有するのみである。該音は、清音・濁音という微差があるのみで、音声学的にいえば共に舌先を上前歯のもとに密着して破裂させて発生させるほとんど同質の音であり、非常に近似している。また、該差異音は中間にあるため、聴者において印象に残りにくく、記憶も曖昧になるものである。

そして、前述したとおり、「TDK」は日本において非常に著名な商標であるから、当該著名商標と語調(リズム)、イントネーション、アクセントをほとんど共通にする「TTK」の称呼に接した者は、普段から聞き親しんでいる著名商標「TDK」と非常に似通った全体の音の印象から、著名商標「TDK」を想起・連想し、本件商標を著名商標「TDK」と混同してしまうおそれがあるものというべきである。

以上のとおり、本件商標と引用各商標とは、称呼上相紛らわしいものであり、混同が生じるおそれの高い類似商標というべきである。

そして、本件商標に係る指定商品及び指定役務は、引用各商標に係る指定商品及び指定役務と同一又は類似するものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することについては、「混同を生ずるおそれがある商標」の意義について論じた最高裁平成10年(行ヒ)第85号判決(レールデュタン事件)に従いながら論ずる。

ア 本件商標「TTK」と引用各商標「TDK」とは明らかに類似するものである。

イ 引用各商標「TDK」は、請求人に係る商品又は営業を表示するものとして日本国内において著名である。

ウ 「TDK」は、請求人の旧社名のイニシャルをとったいわば請求人の創作に係る造語であって、請求人のハウスマークでもあり、わが国において、当該商標の独創性は高いものというべきである。

エ 本件商標に係る第6類及び第12類の指定商品は、いずれも産業用素材、産業用機械部品、乗物用部品であり、すべて産業用の製品である。一方、請求人も、「TDK」ブランドのもと70年以上もの期間にわたり、産業用素材(フェライト)や産業用機械部品、さらには自動車用部品を販売してきた。したがって、「TDK」製品が流通する裾野の広さを考えれば、「TDK」製品と被請求人の商品とが需要者・取引者層及び取引系路を共通にするものであることは明白である。そして、先にも述べたとおり、請求人が保有する防護標章の中には、本件商標に係る第6類及び第12類の指定商品と同一または類似する商品について登録されており、かかる点に鑑みても、請求人の業務と本件商標に係る指定商品とは混同の生じ易い関係にあるものというべきである。

また、本件商標に係る第40類「金属の加工」についても、請求人の製品には、多くの金属加工が施されており(甲第50号及び第51号証、同第94号証)、電子部品の高性能化・小型化が急速に進む昨今、それに対応できる高度最先端の冶金技術やめっき技術が求められており、請求人は、それらの研究開発にも非常に注力している。請求人の冶金・めっきに関する技術は、日本の産業界においても広く認知されているところである。

以上のとおり、本件商標に係る指定商品及び役務と請求人の業務とは、需要者・取引者層及び取引系路を共通にし得るものであって、非常に密接な関連性を有している。

オ よって、本件商標がその指定商品及び指定役務について使用された場合には、著名商標「TDK」との間で、商品・役務の出所につき混同が生じ得ることは明白であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第7号について

上記した事情のもと、本件商標は、請求人が主として扱う産業用の商品・役務について出願されており、しかも、それらのほとんどは請求人の防護標章登録の範躊に属している商品である。これらの事実から、本件商標は、著名商標「TDK」に化体した信用にフリーライドする商標、あるいは、それのダイリューションを生じせしめる商標であるといわざるを得ない。

かかる観点より、本件商標は、公序良俗を害する商標であって、商標法第4条第1項第7号に該当するものといわなければならない。

(5)以上のとおり、本件商標は、商標法4条第1項第7号、同11号及び同15号に該当するにもかかわらず、誤って登録されたものであり、その登録は、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、請求人の上記主張に対し、何ら答弁していない。

5 当審の判断

請求人は、引用各商標を引用し、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているので、この点について判断する。

(1)「TDK」商標の著名性について

商標法第4条第1項第11号の判断に先立って、請求人の業務に係る「TDK」商標の著名性についてみるに、請求人提出の甲第7号ないし第86号及び第94号証(防護登録データ、請求人会社の会社案内、請求人会社の「70年のあゆみ」、請求人会社の製品ガイドブック、請求人会社のウェブページ、世界陸上競技選手権に関する報告書、朝日新聞記事、TDK製品のカタログ等)によれば、請求人の「TDK」の商標は、請求人会社の商品及び役務を示すハウスマークとして創業当時から使用され、我が国における広範な産業分野並びに一般消費者の間において広く認識されていたものということができる。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標と引用各商標との類否について

本件商標は、前記1のとおり、「TTK」の欧文字を横書きしてなるものであるから、該構成文字に相応して「ティーティーケイ」の称呼を生ずるものと認められる。

他方、引用商標1ないし3は、「TDK」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用商標4は、別掲に示したとおり、図形と「TDK」の欧文字を横書きしてなるものであるから、引用各商標は、いずれも、その構成文字に相応して「ティーディーケイ」の称呼を生ずるものと認められる。

そこで、本件商標から生ずる「ティーティーケイ」の称呼と引用各商標から生ずる「ティーディーケイ」の称呼とを比較するに、両称呼は、いずれも長音を含めて6音構成からなり、称呼の識別上重要な要素を占める語頭部の「ティー」及び語尾における「ケイ」の音を同じくし、異なるところは、中間部分における「ティー」と「ディー」の音のみである。しかも、その異なる「ティー」と「ディー」の音にしても、清音・濁音という微差があるのみで、音声学的にいえば、共に舌先を上前歯のもとに密着して破裂させて発生させるほとんど同質の音であり、非常に近似している音である。そして、その位置するところも明瞭に聴取されにくい中間に位置するものであるから、この差異が両称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調・語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。

イ 本件商標と引用各商標との指定商品又は指定役務の類否について

本件商標と引用各商標の指定商品又は指定役務について検討するに、本件商標の指定商品である第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属製管継ぎ手,金属製フランジ」及び第12類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング」は、引用商標2の指定商品中に同一の商品が指定されており、また、本件商標の指定役務である第40類「金属の加工」は、引用商標2の指定役務中の第40類に指定されている「電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼き戻し,溶融めっき」の上位概念に相当するものであるから、互いに同一又は類似の関係にある役務と認められるものである。

また、本件商標の指定商品である第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金」は、引用商標1の指定商品中、第6類において同一の表示をもって商品が指定されており、本件商標の指定商品又は指定役務である第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属製管継ぎ手,金属製フランジ」及び第40類「金属の加工」は、引用商標3及び4の指定商品又は指定役務中、第6類及び第40類において同一の表示をもって商品及び役務が指定されており、本件商標の指定商品中、第12類「軸,軸受け,軸継ぎ手,ベアリング」は、引用商標3及び4の指定商品である、第12類「陸上の乗物用の機械要素」の概念に含まれる商品であるから、互いに同一又は類似の関係にあるものと認められる。

そうとすれば、本件商標と引用各商標の上記した各指定商品又は指定役務は、それぞれ互いに同一又は類似の関係にある商品又は役務と認められるものである。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標と引用各商標とは、称呼において類似の商標であり、これに請求人の使用に係る「TDK」商標の著名性をも併せ考慮すれば、本件商標は、引用各商標と出所の混同を生ずるおそれのある類似の商標であって、本件商標の指定商品又は指定役務は、引用各商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効にすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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