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Trademark Appeal Case

商標使用証拠の信憑性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−301200(T2009−301200/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4824422号商標(以下「本件商標」という。)は、「ことだま」の平仮名を毛筆風の書体にて縦書きしてなり、平成16年4月21日に登録出願、第30類「菓子及びパン,氷」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として同年12月10日に設定登録されたものであり、現に、有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第30類「菓子及びパン」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(商標登録原簿の写し)を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中、取消請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、「ことだまは、商品(お菓子・酒)に使用している商標であり、審判請求書提出3ケ月以前に使用の条件を満たしている。」旨及び、乙第7号証の3の1において「中川製菓舗には、...被請求人の所持する(ことだま)の商標を有する菓子作りに協力してもらい、『語り部の会』=石川県ぶんぱく実行委員会に、平成20年11月6日商標ことだま菓子を納品し、文京区開催文京博覧会(ぶんぱく)において販売をした。」旨主張している。

しかしながら、被請求人は、提出された各証拠の関連性や当該証拠からどのように上記結論及び主張が導き出されるのかについては何ら主張していない。また、乙第1号証の1ないし乙第7号証の2は、以下の点から客観性及び信憑性等に欠けるものである。

ア 乙第1号証の1は、商標を特定する記載がないため、使用事実が証明されたということはできない。

イ 乙第1号証の2は、当該証拠の作成者が明確になっておらず、第三者の捺印などもされていないため、証拠としての客観性及び信憑性に欠ける。

ウ 乙第1号証の3は、商標を特定する記載がない。

エ 乙第1号証の4は、作成日及び作成者が明確になっておらず、証拠としての客観性及び信憑性に欠ける。また、当該証拠に掲載されている写真は不鮮明であり、当該商品が審判請求に係る指定商品のいずれに関するチラシであるのかが明らかではない。仮に当該写真が本件商標を付した審判請求に係る指定商品を撮影した写真であったとしても、商標権者等に係る使用証明であるのか否かが明らかではない。さらに、被請求人は当該チラシを平成20年11月8日ないし10日開催文京博覧会にて使用したと主張しているが、当該チラシが上記文京博覧会で展示され、若しくは、頒布された事実については明確になっていない。

オ 乙第2号証の1は、書類の標題が記載されておらず、当該書類が何の書類であるのか明確でない。また、第三者の捺印もされていない。

カ 乙第2号証の2は、捺印がされているが不明瞭である。乙第2号証の1及び2には、番号記載欄があるが、いずれも空欄であり中川製菓舗の通常の業務の過程で作成されたものか、疑問の余地が残る。また、中川製菓舗の主な取扱い商品が菓子であるとしても、それをもって当該書類に記載の商品が菓子であるとはいえない。

キ 乙第3号証は、「八幡町\もりたか」及び「鹿野酒造合資会社」と、被請求人との関係については明確になっていない。また、当該証拠には第三者の捺印がされていないため、証拠としての客観性及び信憑性に欠ける。

ク 乙第4号証は、「ワインと地酒もりたか」、「もりたか酒販」及び「しちりん村」と、被請求人との関係については明確になっていない。また、当該証拠には捺印がされているが、不明瞭であるため、証拠としての客観性及び信憑性に欠ける。

ケ 乙第5号証は、写真が不鮮明であるため、審判請求に係る指定商品のいずれを撮影した写真であるのかが明らかではない。また、本件商標が商品に付されているのかも明らかではない。仮に当該写真が本件商標を付した審判請求に係る指定商品を撮影した写真であったとしても、商標権者等に係る使用証明であるのか否かが明らかではない。さらに、当該写真の撮影場所及び撮影時期についても明確になっていない。

コ 乙第6号証の1及び2は、「ことだま便り」及び「ことだま幸わう国」であり、本件商標は掲載されていない。また、当該書類には審判請求に係る指定商品に関する説明等の記載がないことから、指定商品に関する広告等にも該当せず、指定商品との具体的な関係において本件商標が使用されているとはいえない。

サ 乙第6号証の3は、審判請求に係る指定商品に関する説明等の記載がないことから、指定商品に関する広告等に該当せず、指定商品との具体的な関係において本件商標が使用されているとはいえない。

シ 乙第6号証の4は、商標を特定する記載がない。

ス 乙第7号証の1及び2は、商標を特定する記載がない。

セ 乙第7号証の3の1及び2から、被請求人と中川製菓舗が商標権者と実施権者の関係にあることが分かるが、両者は本件商標が取り消されないことの利益を共有しているといえ、両者の間で交わされた当該書類は極めて客観性及び信憑性に欠ける。

3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証(枝番を含む。)を提出し、以下の旨の主張をしている。

(1)「ことだま」は、商品(お菓子・酒)として使用している商標であり、審判請求書提出3ケ月以前使用済の条件を十分に満たしている。

(2)乙第1号証から乙第5号証に記載の「石川県ぶんぱく実行委員会」は、被請求人が所属する団体であり、中川製菓舗(乙第2号証の1及び2)は、被請求人の携わる文化庁後援による文化活動に協力している会員である。

(3)中川製菓舗は、文化活動「語り部の会」への支援を含めた収益を得るため被請求人の所持する(ことだま)の商標を有する菓子作りに協力した。

(4)ことだまの菓子は、「語り部の会」=石川県ぶんぱく実行委員会に平成20年11月6日納品され、文京区開催文京博覧会(ぶんぱく)において販売された。

4 当審の判断

(1)被請求人は、本件商標をその指定商品中「菓子」及び「酒」について使用しているとして、乙第1号証ないし同第7号証(枝番を含む。)を提出しているが、被請求人の提出に係る証拠のうち「菓子」の使用に係る証拠について、その主張と併せて以下検討する。

ア 乙第1号証の1は、平成20年9月3日付けで文京区区民部経済課長が石川県ぶんぱく実行委員会へ宛てた「文京博覧会の物産展開催及び出品リストの提出について」と題する書面であり、「・・・この度、文京博覧会(ぶんぱく)への参加をご快諾いただき、誠にありがとうございます。文京博覧会(ぶんぱく)は、区内の地場産業である印刷・製本業、医療機器製造業や区内観光・産業及び消費生活・消費者問題についてのPRを幅広く行うことを目的として開催しております。・・・」とあり、名称として「文京博覧会(ぶんぱく)2008」、日時として「平成20年11月8日(土)〜10日(月) 午前10時〜午後6時迄」、物販会場として「地下2階 レイアウトのとおり」等と記載されている。

イ 乙第1号証の2は、平成20年11月19日付で石川県ぶんぱく実行委員会が文京博覧会実行委員会事務局(経済課)へ宛てた「文京博覧会(ぶんぱく)物販実績報告書」と題する書面であり、「まこも・焼まこも、九谷焼・香り玉(ことだま)/菓子(ことだま)、鯖米糠漬け、珠洲塩、いしるだし、和ろうそく、加賀彩麺」等の物品が記載されており、販売単価、販売個数、売上高が記載されている。

ウ 乙第1号証の3は、平成20年11月9日付けの北陸中日新聞の記事であり、「東京で県産品PR/九谷焼など 文京区、藩邸で縁」の見出しのもと「東京都文京区の文京シビックホールで8日開幕した『文京博覧会』に、九谷焼など県内の物産を販売するコーナーが登場し、訪れた人たちを楽しませている。・・・県は同区内に旧加賀藩の屋敷があったことなどが縁で出展依頼を受けた。同ホールで11月1日にライブ公演した能美市の『語り部の会』が事務局となり準備を進めた。・・・」等と記載されている。

エ 乙第1号証の4は、文京博覧会(ぶんぱく)において使用されたチラシとのことであり、「ことだま」の表題が大きく書された下に、菓子箱の中に菓子の入った状態の写真が掲載され、その菓子には「ことだま」の標章が表示された帯が縦に付されていることが認められる。そして、更にその下に「10個入り1500円を→1300円/まずはご賞味を〜」等と記載されている。

オ 乙第2号証の1は、平成20年11月6日付で中川製菓舗が石川県ぶんぱく実行委員会(語り部の会)へ宛てた納品伝票とのことであり、品名の欄には「ことだま箱入」とあり、数量、単価、金額が記載されている。

カ 乙第2号証の2は、平成20年11月20日付で中川製菓舗が石川県ぶんぱく実行委員会(語り部の会)へ宛てた請求書であり、月日の欄には「11/6」、品名の欄には「ことだま箱入」とのこととあり、数量、単価、金額が記載されている。

キ 乙第6号証の1は、平成20年7月発刊の「ことだま便り−第3号−」であり、「語り部冨田流家元冨田松鶴(冨田靜香)」等と記載されている。

ク 乙第6号証の3は、平成21年発行の会報とのことであり、「語り部では、北國新聞文化センター講師の冨田松鶴さん・・・」、「冨田流会員の紹介」、「語り部満友記」及び「北国新聞 2009.4.22より転載」の表記に続けて、「中川製菓\石川県能美市寺井町石子二ノ3」等の表記と共に「わたしの”ことだま”もありますよ」等と記載されている。

ケ 乙第6号証の4は、同会報とのことであり、「ぶんぱく2008」及び「石川ぶんぱく実行委員会、語り部の会 観光と物産展」等と記載と共に、物産展と思われる写真が掲載されている。

コ 乙第7号証の1は、平成21年発行の被請求人出演のパンフレットであり、プロフィールに「語り部宗家冨田流家元\冨田松鶴\(とみたしょうかく)」が記載されている。

サ 乙第7号証の2は、同パンフレットのことであり、「主催 語り部の会」、「共催 文京区、ぶんぱく実行委員会」、「・平成21年10月4日(日)・・・文京シビック小ホール」及び「石川県観光物産展出展\10/4〜5 文京博覧会」等と記載がされている。

シ 乙第7号証の3の1は、「平成20年11月6日納品菓子ことだまが作られた経緯について」とのことであり、「被請求人は、中川製菓舗の社長と懇意であり、商標ことだま菓子依頼の際も契約書を取り交わすことなく、口頭(口約束)にて約束し、菓子作りに協力してもらい、『語り部の会』=石川県ぶんぱく実行委員会に平成20年11月6日商標ことだま菓子を納品してもらい、文京区開催文京博覧会(ぶんぱく)において販売された。」旨が記載されている。

ス 乙第7号証の3の2は、中川製菓舗と冨田靜香との間の「覚書」とのことであり「冨田靜香は中川製菓舗に商標ことだまを使用した菓子を作ることをご依頼申しあげます。・・・」の記載と共に、冨田靜香の署名捺印がある。また、「中川製菓舗・・・は冨田靜香より菓子の名前に商標ことだまを使用させて頂きます。・・・」の記載と共に署名捺印がされている。

(2)上記において認定した証拠によれば、平成20年11月8日から10日にかけて開催された(乙第1号証の1及び3並びに乙第7号証の2)東京都文京区(文京シビック小ホール)における文京博覧会(ぶんぱく)に、石川県が文京区内に加賀藩の藩邸があったことが縁で出展依頼を受けたことで、能美市の「語り部の会」が各種物産の展示・販売のための事務局となり、「文京博覧会(ぶんぱく)物販実績報告書」(乙第1号証の2)に記載されている「まこも・焼まこも、和ろうそく、加賀彩麺」等とともに「菓子(ことだま)10箱」を展示・販売していたものと認められ(乙第1号証の1及び3並びに乙第6号証の4)、その際、乙第1号証の4のチラシも該会場において頒布されていたものと推認される。

そして、被請求人こと冨田靜香(冨田松鶴)は「語り部宗家冨田流家元」として(乙第6号証の1及び3並びに乙第7号証の1)、「語り部の会」において講師(語り部を披露する)を務めている(乙第6号証の3)。

さらに、「語り部の会」は、上記のとおり、平成20年11月8日から開催された文京博覧会を主催し(乙第7号証の2)、被請求人こと冨田靜香(冨田松鶴)は、県内産品をPRした(乙第1号証の3)ことが、新聞記事等より認められる。

そうとすると、被請求人は「語り部宗家冨田流家元」として、「語り部の会」を主催(参加)し、そして、「語り部の会」は、文京博覧会にを主催する事務局を努めていたと認められ、被請求人(冨田靜香(冨田松鶴))も、出展する商品に関与していたものと推認される。

また、能美市在の中川製菓舗の社長と被請求人とは懇意の仲であり、商標ことだま菓子依頼の際も契約書を取り交わすことなく、口頭(口約束)にて菓子作りに協力してもらった旨の被請求人の主張(乙第7号証の3の1)及び署名捺印のある「覚書」(乙第7号証の3の2)からすると、中川製菓舗と被請求人間には、本件商標の使用について、黙示の使用の許諾があったものと推認し得るものであり、中川製菓舗は、本件商標の通常使用権者と推認し得るものである。

さらに、中川製菓舗は、本件審判の請求の登録(平成21年11月16日)前3年以内である平成20年11月6日に、石川県ぶんぱく実行委員会(語り部の会)へ「ことだま箱入10箱」を納品しており、同年11月20日付で石川県ぶんぱく実行委員会(語り部の会)に対して該商品の代金を請求していたこと(乙第2号証の1及び2)が認められる。そして、該「ことだま箱入10箱」は、事務局である「語り部の会」により、文京博覧会の会場において展示・販売された「菓子(ことだま)10箱」に相応するものとみることができる。

ところで、本件商標は、前記1のとおり、「ことだま」の平仮名を筆文字をもって縦書きしてなるところ、中川製菓舗の使用に係る菓子に付された帯には、本件商標と同一の態様からなる商標が表示されており、また、チラシの表題には、書体は異なるものの「ことだま」の文字が横書きされている。

してみれば、通常使用権者と推認される中川製菓舗の使用に係る商標は、本件商標あるいは本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものであり、また、中川製菓舗により事務局である「語り部の会」に納品され、文京博覧会会場において展示・販売された「菓子」は、本件取消請求に係る指定商品中の第30類「菓子及びパン」の範疇に含まれる商品である。

(3)請求人は、提出された個々の証拠について、商標を特定する記載がない、作成日・作成者が明確でない、第三者の押印がない等々を述べているが、個々の証拠毎には、使用証明としては不十分であるとしても、各証拠を総合してみれば、上記(2)のとおり、判断できるものであるから、その主張は認められない。

(4)まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本商標権の通常使用権者と推認し得る中川製菓舗が本件商標あるいは本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品中の第30類「菓子」について使用していたことを証明したものといわなければならない。

したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る第30類「菓子及びパン」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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