結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成9年審判第9103号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3266259号商標(以下、「本件商標」という。)は、別記に表示したとおりの構成よりなり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定による「使用に基づく特例」の適用を主張して平成4年9月3日に登録出願、第39類「貨物自動車による輸送」を指定役務として同9年3月12日に設定登録がなされたものである。
請求人は、「登録第3266259号商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を、概要次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第12号証を提出している。
1.請求の理由
(1)商標法第4条第1項第10号について
請求人は、昭和50年5月に東京都練馬区に事務所を開設して運送業を開始し、各組合員が富士重工業株式会社の製造に係る「SAMBARトラック」(甲第2号証)を赤帽専用車として保有して、依頼者の荷物を運送しており、その組合員が協同組合を形成している。
平成4年1月現在、全国8ブロックからなる全国組織を有しており、営業拠点は60ヵ所にのぼり、車両台数は25,000台余に及んでいる(甲第3号証及び同第4号証)。
平成7年には創立20周年を迎え、日本全国に200ヵ所の営業拠点をもち、組合員は18,000人、車両台数は23,000台を越えており(甲第5号証)、また、平成8年においても「赤帽」若しくは「あかぼう」は、請求人の業務である軽貨物自動車による運送業務を表示するものとして、引き続き、日本全国で需要者の間に広く認識されている商標となっている(甲第6号証)。
そして、本件商標と請求人の業務に係る役務を表示するものとして周知若しくは著名な商標「赤帽」若しくは「あかぼう」(以下、これらを合わせて「引用商標」という。)との類否を検討するに、本件商標のうち「舞子の図形」及び「五重の塔の図形」の部分は、いずれも京都という地域を連想させるものであり、かつ、本件商標の他の構成部分は、いわゆる商号商標「株式会社京都赤帽」であり、これに「京都」という地名が含まれていることから、「舞子の図形」及び「五重の塔の図形」の部分は、一般取引者若しくは需要者をして、単に被請求人の営業地域を表示するものとして認識されるに止まるものである。また、「株式会社」の文字は法人の種類を表すものであることから、本件商標の要部は「赤帽」の文字部分にあり、これは引用商標と同一若しくは類似のものである。
さらに、本件商標の指定役務は「貨物自動車による輸送」であり、請求人に係る業務と同一である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とが類似しないと判断される場合であっても、引用商標は、前述したように全国的に著名な商標であることから、これと同一の文字を一部に含む本件商標を同一の役務に使用した場合、一般の取引者、需要者に役務の出所の混同を生じさせるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
2.答弁に対する弁駁
(1)本件商標の出願時における引用商標のいわゆる周知・著名性について 請求人が提出した甲第4号証は、平成4年頃から「赤帽」の平仮名表記である「あかぼう」という商標が、従来からの商標「赤帽」と併せて使用されることになったことを紹介するものであり、決して、商標「赤帽」の積極的な使用を止めて、商標「あかぼう」のみを使用することを意味するものではない。このことは、「平成7年8月20日付毎日新聞」(甲第5号証)に掲載されているいわゆる赤帽専用車の正面に商標「赤帽」の文字が付されていること、また、「平成8年6月7日付日刊物流ニッポン」(甲第6号証)に掲載されている該車両の側面2か所に商標「赤帽」が付されていることから、平成6年1月以降においても引き続き請求人所有の商標「赤帽」が使用されていることは明らかである。
また、甲第3号証及び同第4号証から明らかなように、昭和50年に東京都練馬区に事務所を開設し運送業を開始して以来、本件商標の出願時である平成4年9月に至るまでの17年間に亘り、継続して軽自動車に商標「赤帽」を付して軽自動車による貨物の輸送業務を行っており、また、その営業地域及び営業規模も年々拡充され、平成4年2月の時点では、全国的規模を有する組織にまで成長している。また、甲第4号証が示すように全国紙である朝日新聞に広告を掲載している事実などからも、軽自動車による貨物の輸送に係る商標「赤帽」の需要者若しくは取引業者における浸透度は大きく、請求人所有の商標「赤帽」のいわゆる周知若しくは著名性は相当なものであったといえる。
したがって、前述のように全国的活動規模を有する請求人が、平成8年6月に至るまで、商標「赤帽」の使用を止めることなく、積極的に同商標の使用を継続している事実から、請求人所有の商標「赤帽」は、本件商標の出願時である平成4年9月の時点において、日本全国において需要者間に広く知られた商標となっていることは是認されるべきものであり、また、商標「赤帽」と併せて使用され始めた商標「あかぼう」についても、単に商標「赤帽」を平仮名表記にしたものにすぎず、その称呼及び観念を共通にする、いわば実質的に同一といえるものである。
したがって、引用商標の取引者・需要者への浸透度及びに全国紙による新聞広告(甲第4号証)等を行っていることに鑑みれば、請求人の所有する商標「あかぼう」についても、商標「赤帽」と同様に、本件商標の出願時において取引者・需要者の間に広く知られた商標になっていたものである。
(2)本件商標と引用商標との類否について
被請求人は、答弁書において「『赤帽』なる語は、国語大辞典(新装版)...に『あかぼう【赤帽】駅構内で旅客の荷物を運ぶのを業とする人。明治30年以来、赤い帽子をかぶるところからいう。』の語意をもち、駅構内で旅客の荷物を運ぶのを業とする人を指称する語であるから、本件商標の指定役務『貨物自動車による輸送』の質を表示するものであって、自他役務識別力に欠けるものである」旨主張している。
しかしながら、「赤帽」なる語が当該辞書に記載されているような意味を有するものであったとしても、該語は乙第1号証に示すとおり「荷物を運ぶのを業とする人」を総称するものではなく、「駅構内で旅客の」という限定的な意味を有する語であり、また、駅構内以外の場所で荷物を運ぶのを業とする人のことを「赤帽」と呼ぶ事実を知らない。
したがって、「赤帽」という語が本件商標の指定役務の質を表示するものとはいえず、本件商標における「赤帽」の文字部分は、十分に自他役務識別力を有するものである。
よって、本件商標の要部である「赤帽」の文字部分は、引用商標と同一であるから、本件商標と引用商標とは類似のものである。
(3)乙第6号証乃至同第28号証について
被請求人は、答弁書において「被請求人の業務に係る役務『貨物自動車による輸送』と請求人又は請求人に属する組合員の業務に係る役務『軽貨物自動車による輸送』とが、取引者・需要者によって混同された事例は皆無であり」と述べその証拠方法として、乙第6号証乃至同第28号証を提出している。
しかしながら、該証拠は、それぞれ請求人が用意した証明願に予め記載された同一の文面により構成されており、かつ、いかなる根拠に基づいて各証明者が証明したのかが示されていない。
また、該証拠中の乙第25号証乃至同第28号証については「仮に、取引者・需要者をして被請求人の業務に係る役務を請求人又は請求人に属する組合員の業務に係る役務であるかの如く役務の出所について混同が生じるおそれがあるとするならば、該取引者・需要者が被請求人と請求人又は請求人に属する組合員との関係を問い合わせるであろうと予測される問い合わせ先の証明書」であるとしているが、これらの各証明者に対して、被請求人の業務に係る役務と請求人に属する組合員の業務に係る役務との関係に関し問い合わせ等がなかったとしても、そのことをもって、引用商標のいわゆる周知若しくは著名性を否定する根拠とはなり得ない。
なぜなら、被請求人の業務に係る役務と請求人の業務に係る役務との間に混同が生じていた場合であっても、取引者・需要者にとって特段の不都合が生じない限り、両者の関係について確認をする必要はないと考えられるからである。
また、引用商標の周知若しくは著名性からすれば、一般需要者は、当然に両者の間に何らかの関連性があるものと誤って信じているため、各証明者に対して問い合わせをする必要がないとも考えることができる。
被請求人は「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を概要次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第28号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第10号について
請求人は、「本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものである。」旨主張しているが、かかる主張は妥当性に欠けたものである。
その理由は、第一に、引用商標は、本件商標の出願時(平成4年9月3日)において、周知若しくは著名な商標であったという事実、換言すれば、請求人又は請求人に属する組合員の業務に係る役務「軽自動車による輸送」を表示するものとして取引者・需要者間に広く認識されていた商標であるという事実が立証されていないからである。
甲第2号証乃至同第4号証をみるに、甲第2号証の「赤帽車両専用カタログ」には発行日付が示されておらず、その1枚目の裏面左下に「’96年9月現在」と印刷されていることからすれば、平成8年9月以降に発行されたものと推定されるものである。また、甲第3号証の「平成4年7月末現在の全国赤帽連合会会員名簿」は、請求人に属する44の組合名が掲載されているだけであり、引用商標は示されておらず、甲第4号証の「平成4年2月24日付の報知新聞」の広告頁には「昭和50年5月に軽運送業として誕生した『あかぼう』が、平成4年1月現在、全国8ブロックからなる全国組織を有しており、車両台数が25,000台余である」旨の記述と共に、商標「赤帽」を使用している軽貨物自動車の写真が掲載されており、さらに、同頁中に「『あかぼう』に新しい“顔”がお目見えしました・・・時代の感性に合わせ、従来の『赤帽』の堅いイメージを払しょくし、ひらがなにすることにより、お子様からお年寄りまで、幅広い方々に親しんでいただけるように、との願いから生まれました」と記載されているにすぎない。
したがって、甲第2号証乃至同第4号証によって立証されている事実は、平成4年1月の時点において、請求人が全国8ブロックからなる全国組織を有し、営業拠点は60ケ所、車両台数は25,000台余であり、請求人所有の商標「赤帽」を使用している軽貨物自動車が存在しており、従来の商標「赤帽」の堅いイメージを払しょくするために該「赤帽」に代えて請求人所有の商標「あかぼう」が使用され始めたという事実である。
上記事実からすれば、本件商標の出願時(平成4年9月3日)においては、もはや商標「赤帽」は積極的に使用されておらず、これに代って商標「あかぼう」が積極的に使用されていたものと認められるから、甲第2号証乃至同4号証によっては、引用商標が、本件商標の出願時において請求人又は請求人に属する組合員の業務に係る役務を表示するものとして、取引者・需要者間に広く認識されていたものであるという事実の証明がされていないことは明らかである。
また、請求人は「平成7年には・・・車両台数23,000台を越えており(甲第5号証)・・・平成8年においても・・・日本全国で需要者間に広く認識されている商標となっていることは是認されるものである(甲第6号証)」と述べ、甲第5号証の「平成7年8月20日付報知新聞」の広告頁及び甲第6号証の「平成8年6月7日付日刊物流ニッポン」の広告頁には、請求人の広告が掲載されているが、本件商標の無効原因存否の判断時は、平成4年9月3日であるから、平成7年から同8年における請求人及び請求人に属する組合員の状況や該各広告の存在は、本件商標の無効理由になり得ないものである。
第二に、引用商標と本件商標とは、同一若しくは類似のものであると主張するが、本件商標の構成は前述のとおりであるところ、該構成中から「赤帽」の文字部分のみを抽出し、これを本件商標の要部と認定して商標間の類否を論じている請求人の主張は誤りである。
すなわち、「赤帽」なる語は、「国語大辞典(新装版)第20頁、株式会社小学館、1990年1月20日発行」(乙第1号証)によれば、「あかぼう【赤帽】...駅構内で旅客の荷物を運ぶのを業とする人。明治30年以来、赤い帽子をかぶるところからいう」の語意をもち、駅構内で旅客の荷物を運ぶのを業とする人を指称する語であるから、本件商標の指定役務「貨物自動車による輸送」の質を表示するものであって、自他役務識別力に欠けるものである。
また、請求人は、弁駁書において「『赤帽』の語は乙第1号証に示すとおり『荷物を運ぶのを業とする人』の全般を意味するものではなく、『駅構内で旅客の荷物を運ぶのを業とする人』という限定的な意味を有する語であり、駅構内以外で旅客の荷物を運ぶのを業とする人のことを『赤帽』と呼ぶ事実を知らないから、本件商標中の『赤帽』の文字部分は十分に自他役務の識別力を有する」と述べているが、「赤帽」の語が前述のように限定的な意味を有する語であったとしても、「赤帽」の文字が付された営業中の貨物自動車に接する取引者・需要者は、「駅構内での旅客の」という限定的な意味が除かれた単なる「荷物を運ぶのを業とする人」なる観念を認識するに止まるものである。
なぜなら、当該取引者・需要者は営業中の貨物自動車自体から「荷物を運んでいる」なる観念を無意識に認識した上で「赤帽」なる語のもつ語意を認識するから、その思考過程において「駅構内での旅客の」という限定的な意味は無意識に省略されるものと推定できるからである。仮に、取引者・需要者が「駅構内での旅客の荷物を運ぶのを業とする人」なる観念を認識するとしても、本件商標の指定役務「貨物自動車による輸送」には「貨物自動車による駅構内での旅客の荷物の輸送」を包含しているから、本件商標の構成中の「赤帽」の文字部分は指定役務の質を表示するものであって自他役務識別力に欠けるものといえる。
したがって、自他役務識別力に欠ける語が商標の要部となり得ないことは極めて明白であるから、請求人の主張は成り立ない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである旨を主張しているが、かかる主張も妥当性に欠けるものである。
なぜなら、第一に、引用商標が、本件商標の出願時において著名な商標であったという事実、換言すれば、請求人又は請求人に属する組合員の業務に係る役務「軽貨物自動車による輸送」を表示するものとして取引者・需要者間に広く認識されていた商標であるという事実が、前記で明らかにしたとおり、甲第2号証乃至同第7号証によっては立証されていないからである。
第二に、被請求人は、登記簿謄本(乙第2号証)に記載されたとおり、平成元年4月10日に会社を設立し、会社設立時から今日に至るまで継続して、本件商標と同一構成(社会通念上同一のものと認識し得るものを含む)の商標を被請求人所有の貨物自動車の写真(乙第3号証)、被請求人の社屋の写真(乙第4号証)、被請求人の制服の写真(乙第5号証)などに示されている使用態様をもって、役務「貨物自動車による輸送」に使用しているが、その間、本件商標の出願時(平成4年9月3日)においては勿論、現時点においても、被請求人の業務に係る役務「貨物自動車による輸送」と請求人又は請求人に属する組合員の業務に係る役務「軽貨物自動車による輸送」とが、取引者・需要者によって混同された事例は皆無であって、この事実は取引者・需要者による各証明書(乙第6号証乃至同第28号証)によって立証されるところである。
すなわち、まず、乙第6号証乃至同第24号証は、取引者・需要者(被請求人の顧客)による証明書であり、被請求人の業務に係る役務と請求人又は請求人に属する組合員の業務に係る業務とを混同された事例がないという事実が証明されている。
次に、乙第25号証乃至同第28号証は、仮に、取引者・需要者をして被請求人の業務に係る役務を請求人又は請求人に属する組合員の業務に係る役務であるかの如く役務の出所について混同が生じるおそれがあるとするならば、該取引者・需要者が被請求人と請求人又は請求人に属する組合員との関係を問い合せるであろうと予測される問い合せ先の証明書であり、予測問い合せ先として証明を依頼した、京都府トラック協会(乙第25号証)、NTT京都情報案内センターハローダイヤル京都(乙第26号証)、京都商工会議所(乙第27号証)及び京都電信電話ユーザー協会(甲第28号証)に係る各証明書において該問い合せがなかったという事実が証明されている。
また、請求人は、弁駁書において乙第25号証乃至同第28号証について、「被請求人の業務に係る役務と請求人の業務に係る役務との間に混同が生じていた場合であっても、取引者・需要者にとって特段の不都合が生じない限り、両者の関係について確認する必要はないと考えられる...また、請求人の商標の周知若しくは著名性からすれば、一般需要者は、当然に両者の間に何らかの関連性があるものと誤って信じているため、各証明者に対して問い合せる必要がないと考えることもできる」旨述べているが、被請求人と請求人又は請求人に属する組合員とは、その業務主体、業務形態、料金体系、サービス内容等々において全く相違しており、もし、被請求人の業務に係る役務と請求人の業務に係る役務との間に混同が生じているとするならば、取引者・需要者間に不都合(例えば、料金やサービスに関するトラブル)が生じることは必至であり、混同が生じていないからこそ、不都合も生じていないのであるといえる。
被請求人は、前述のとおり、平成元年4月10日から今日に至るまで継続して、本件商標と同一の構成(社会通念上同一のものと認識し得るものを含む)の商標を、乙第3号証乃至同第5号証に示す使用態様をもって、役務「貨物自動車による輸送」に使用しており、該商標がその構成中に文字「赤帽」を有しているにもかかわらず、本件商標の出願時は勿論、現時点においても、乙第6号証乃至同第24号証によって立証できる取引者・需要者によって被請求人の業務に係る役務「貨物自動車による輸送」と請求人又は請求人に属する組合員の役務 「軽貨物自動車による輸送」とが混同された事例がないという事実及び乙第25号証乃至同第28号証によって立証できる取引者・需要者から被請求人と請求人又は請求人に属する組合員との関係についての問い合せがないという事実からすれば、本件商標が他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標でないことは明白である。なお、上記各事実は、本件商標の出願時は勿論、現時点においても引用商標が請求人又は請求人に属する組合員の業務に係る役務「軽貨物自動車による輸送」を表示するものとして、取引者・需要者に広く認識されていないことを裏付けるものでもある。
以上、前記1、2において述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号若しくは同第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
1.商標法第4条第1項第10号について
よって、本件商標と引用商標より生ずる称呼及び観念についてみるに、本件商標は、前記のとおり、「舞子と五重塔」の図形と「株式会社京都赤帽」の文字よりなるところ、「赤帽」の語は、「(1)赤い帽子(2)駅構内で旅客の荷物を運ぶのを業とする人。明治30年以来、赤い帽子をかぶるところからいう。」(株式会社小学館「国語大辞典」、第1版新装版、20頁参照)の意味合いを有する語として一般に理解、認識されている成語であって、請求人が創作した語ではない。
そして、「赤帽」の語は、上記(2)の意味合いを表す語として、「貨物自動車による輸送」業界において、適宜、採択し使用されているところである。
ところで、本件商標は、その登録出願前からその指定役務である「貨物自動車による輸送」に使用し、使用に基づく特例の主張をして登録されたものであって、しかも、その構成中の「株式会社京都赤帽」の文字部分は、被請求人の名称を表示したものと容易に把握し、認識されるものである。
上記事項を併せ考えれば、本件商標は、その「株式会社京都赤帽」の文字部分から「カブシキガイシャキョウトアカボウ」(株式会社京都赤帽)の称呼、観念を生ずるとともに、構成中の「株式会社」の文字が法人格を表すものであることからこれを省略して、「京都赤帽」の文字部分より単に「キョウトアカボウ」(京都赤帽)の称呼、観念をも生ずるものといえる。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して、「アカボウ」(赤帽)の称呼、観念を生ずるものである。
そして、本件商標より生ずる「カブシキガイシャキョウトアカボウ」(株式会社京都赤帽)及び「キョウトアカボウ」(京都赤帽)の称呼、観念と引用商標より生ずる「アカボウ」(赤帽)の称呼、観念とは、構成音数等の差異により明らかに区別し得るものといわざるを得ない。
また、本件商標と引用商標とは、上記及び別記のとおりの構成よりなるものであるから、両者は外観上互いに区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるということはできない。
2.商標法第4条第1項第15号について
請求人は、引用商標が、本件商標の出願時(平成4年9月3日)において、請求人の役務「軽貨物自動車による輸送」を表示するものとして、取引者・需要者間に広く認識されていた旨主張し、また、それを立証する証拠として甲第2号証乃至同第6号証を提出している。
しかしながら、甲第2号証(赤帽車両専用カタログ)は平成8年9月以降に発行されたものであり、また、甲第3号証(全国赤帽連合会会員名簿)は平成4年7月現在の会員名が記載されているだけである。
さらに、甲第4号証(報知新聞平成4年2月24日発行)、同第5号証(毎日新聞平成7年8月15日発行)及び同第6号証(日刊物流ニツポン平成8年6月7日発行)は、請求人若しくは請求人の業務を広告・宣伝する記事が掲載されているだけのものであって、これらはいずれも本件商標の出願の年以降に発行されたものであるから、これらの証拠によっては、引用商標が、本件商標の出願時に、既に取引者・需要者間に広く認識されていたものとは認められない。
してみれば、本件商標は、これをその指定役務に使用した場合、該役務が請求人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
3.結論
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものということはできないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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