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Trademark Appeal Case

ベンチウォーマーの品質誤認

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2010−14270(T2010−14270/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年9月16日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における平成21年4月24日付けの手続補正書により、第25類「バスケットボールに適した洋服,バスケットボールに適したスポーツシャツ,バスケットボールに適したポロシャツ,バスケットボールに適した下着,バスケットボールに適した靴下,バスケットボールに適した靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),バスケットボール競技用運動用特殊衣服,バスケットボール競技用運動用特殊靴」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、その構成中に『ウインター・スポーツの際,選手がベンチで待っているときに着るもの。学生の通学服としてアメリカで人気がある。ブルゾンの一種。』(『新・田中千代服飾事典』、株式会社同文書院発行)の意味を有する『BENCH WARMER』の欧文字を有してなるところ、これをその指定商品中、『ベンチウォーマー』以外の『被服,運動用特殊衣服』について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋

当審において、原審の示した理由及び証拠を補足して、本願商標は、次の理由により、商標法第4条第1項第16号に該当するものと認められるので、これについて意見があれば意見書等の提出をされたいとして、請求人に対し、意見書を提出する相当の期間を指定して、平成22年8月31日付けで書面をもって、審尋を発した。

<理由>

本願商標は、その構成中に「BENCH WARMER」の語を有するものである。ところで、「新・田中千代服飾事典」(株式会社同文書院 2004年4月1日発行)によれば、「ベンチウォーマー〔Bench warmer〕」の項を見ると、「ウィンター・スポーツの際,選手がベンチで待っているときに着るもの。学生の通学服としてアメリカで人気がある。ブルゾンの一種。」とあり、「繊維総合辞典」(繊研新聞社 2002年10月10日発行)によれば、「ベンチウオーマー bench warmer」の項には、スタジアムジャンパーの項が指示されており、当該項である「スタジアムジャンパー stadium jumper」には、「運動選手が競技場などで保温のために着用するジャンパー、またそれに似せたもの。胸や背にチーム名などが入っていることが多い。グラウンドジャンパー、ベンチウオーマー、ベースボールジャケットなどとほぼ同義語。」とあり、また、「現代用語の基礎知識」(自由国民社 2010年1月1日発行)によれば、「ベンチコート〔bench coat〕」の項に「ベンチ・ウォーマー(bench warmer)とも。もとはフットボール選手が待機用に着た防寒コート。」との記載がある。

また、「BENCH WARMER」の語に通じる「ベンチウォーマー(ベンチウオーマー)」の語が、上記のような防寒着を表すものとして使用されている事実(別掲2)がある。

4 審尋に対する請求人の意見(要点)

(1)審尋に引用されている刊行物の記載等は、本願の指定商品と密接な関係を持つ「バスケットボール」とは全く関連性を有さないスポーツやファッションに関する用語について掲載されたもののみであり、「BENCH WARMER」の語は、本願に係る指定商品であるバスケットボールに関する商品の取引者、需用者において、誤認される程に特定の商品を表すものとまでは認識されない。

(2)本願商標の構成中の欧文字「BENCH WARMER」部分と同一の商標は、請求人である「株式会社ヤング商事」が使用するものとして、バスケットボール用品を取り扱う業界においては請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。

(3)本願商標は、その全体の一体的な構成態様から、これに接する取引者、需用者が、殊更構成中の「BENCH WARMER」の文字部分を捉え、その指定商品の品質を表示するものとして認識しない。

(4)本願商標の構成中「BENCH WARMER」の文字部分は、本来「出場機会の少ない控え選手」を意味するものであり、たとえ、「防寒コート、防寒用に着る上着」の意味を有するとしても、上記(3)のような本願商標の一体的な構成態様においては、商品の品質等を具体的に表示するものとして、直ちに理解できるものとも言い難い。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第16号について

本願商標は、別掲1のとおり、幾何図形の下部に「BENCH WARMER」の欧文字と当該文字の略半分の大きさで「BASKETBALL GOODS」の欧文字とを普通に用いられる方法で、図形部分と各文字部分の中心をそろえて表した構成よりなるものである。

しかして、その構成中の「BENCH WARMER」の欧文字は、「新・田中千代服飾事典」(株式会社同文書院 2004年4月1日発行)によれば、「ベンチウォーマー〔Bench warmer〕」の項に、「ウィンター・スポーツの際,選手がベンチで待っているときに着るもの。学生の通学服としてアメリカで人気がある。ブルゾンの一種。」とあり、「繊維総合辞典」(繊研新聞社 2002年10月10日発行)によれば、「ベンチウオーマー bench warmer」の項に、スタジアムジャンパーの項が指示され、当該項である「スタジアムジャンパー stadium jumper」には、「運動選手が競技場などで保温のために着用するジャンパー、またそれに似せたもの。胸や背にチーム名などが入っていることが多い。グラウンドジャンパー、ベンチウオーマー、ベースボールジャケットなどとほぼ同義語。」とあり、また、「現代用語の基礎知識」(自由国民社 2010年1月1日発行)によれば、「ベンチコート〔bench coat〕」の項に「ベンチ・ウォーマー(bench warmer)」とも。もとはフットボール選手が待機用に着た防寒コート。」との記載がある。

さらに、「BENCH WARMER」の語に通じる「ベンチウォーマー(ベンチウオーマー)」の語が、平成22年8月31日付けで審尋で示した事実(引用2参照)のように、前記のような防寒着を表すものとして使用されている事実がある。

また、本願商標の構成中の幾何図形と「BENCH WARMER」の欧文字部分とを常に不可分一体のものとして観察しなければならない格別の事情も存しないものである。

してみれば、本願商標中の「BENCH WARMER」の文字部分から、取引者、需要者が想起するのは防寒着の一種である「ベンチウォーマー」であるというのが相当であるところ、本願商標の指定商品は、当該「ベンチウォーマー」に限定されているものではないから、当該「ベンチウォーマー」以外の商品に、本願商標を付すときは、これに接する取引者、需要者をして、当該商品が、あたかも「ベンチウォーマー」であるかのように、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標は、その全体の一体的な構成態様から、これに接する取引者、需用者が、殊更構成中の「BENCH WARMER」の文字部分を捉えて、その指定商品の品質を表示するものとして認識することはない旨主張する。

しかしながら、前記(1)で説示したとおり、本願商標中の幾何図形と「BENCH WARMER」の欧文字とを、常に不可分一体と見るべき格別の事情もないことに照らせば、本願商標に接した、取引者、需要者に、当該「BENCH WARMER」の欧文字が防寒着の一種である「ベンチウォーマー」を想起させるものというのが相当であるところ、本願の指定商品は、当該「ベンチウォーマー」に限定されているものではない。そうとすれば、本願商標を当該「ベンチウォーマー」以外の商品に付するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。

イ 請求人は、「広辞苑(第6版)」、「大辞林」、「大辞泉」、「研究社新英和大辞典(第6版)」、「プログレッシブ英和中辞典」及び「新グローバル英和辞典」において、「bench warmer」の語は、「(試合に出ない)控えの選手」を意味するとされており、当該辞書類の記載から、本願商標中の欧文字「BENCH WARMER」の語は、「出場機会の少ない控え選手」を意味するものであり、拒絶査定に説示された「防寒コート、防寒用に着る上着」のような意味を有しない旨主張し証拠を提出する(甲1ないし甲6)。

しかしながら、請求人の挙げる各辞書類は、本願の指定商品の分野に関連する専門的な辞書類ではないという意味において、いずれも一般的な辞書といえ、その記載も一般的な意味を記述するにとどまるものである。しかして、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するか否かは、本願の指定商品の分野における取引を勘案して判断すべきであるから、前記辞書類よりも、本願の指定商品の分野により関連の深い前記(1)の辞書類の記載並びに審尋に引用した新聞記事及びインターネット情報に徴して、本件の判断をなすべきものである。そして、前記(1)の辞書類並びに審尋に引用した新聞記事及びインターネット情報によれば、「BENCH WARMER」及び当該文字に通ずる「ベンチウォーマー(ベンチウオーマー)」の語が、防寒着の一種を表す語として取引上一般に使用されていることを認めることができるのであるから、請求人の主張は理由がないというべきである。

ウ 請求人は、本願の指定商品は、全てバスケットボールに関するものであるところ、原審及び当審における審尋にて引用した刊行物等の記載は、「バスケットボール」とは全く関連性を有さないスポーツやファッションに関する用語について掲載されたもののみであり、「BENCH WARMER」の語は、本願に係る指定商品であるバスケットボールに関する商品の取引者、需用者において、誤認される程に特定の商品を表すものとまでは認識されない。バスケットボールに関する商品の取引者、需用者において、所謂「ベンチで準備している選手が着るもの。」は、「ベンチコート」として認識されている(甲7ないし甲9)旨主張する。

しかしながら、前記(1)の辞書類並びに審尋に引用した新聞記事及びインターネット情報に徴すれば、さまざまなスポーツやカジュアルな衣料品として「BENCH WARMEAR」及び当該文字に通ずる「ベンチウォーマー(ベンチウオーマー)」の語が、防寒着の一種を表す語として取引上一般に使用されていることを認めることができることを踏まえると、本願の指定商品の需要者が「BENCH WARMER」の文字を防寒着の一種と認識しないということはできない。また、前記(1)の「現代用語の基礎知識」(自由国民社 2010年1月1日発行)には、「『ベンチコート〔bench coat〕』の項にベンチ・ウォーマー(bench warmer)とも。」との記載や、審尋で引用した新聞記事(17)に 「【ことばの雑学】 スペクテーター−98」の見出しのもと「・・・スペクテーターコートは『スタジアムコート stadium coat』『ベンチコート bench coat』『ベンチウオーマー bench warmer』などとも呼ばれる。」との記載があることを踏まえると、ベンチで待機している選手が着用する防寒着を表す語として「ベンチコート」の語が存するとしても、その事実が、「BENCH WARMER」の語が防寒着の一種を表す語であることを妨げるものではない。

エ 請求人は、本願商標の構成中の欧文字「BENCH WARMER」部分と同一の商標は、請求人が昭和51年10月より現在まで一貫してバスケットボールに関する商品に使用を続けることにより、請求人の商品を表すものとして本願に係る指定商品の需要者に広く認識されている(甲10ないし甲28)、本願指定商品は請求人が実際に周知性を獲得しているバスケットボールに関する商品に限定されているから、本願の指定商品について本願商標を使用した場合に品質の誤認は生じないことは明らかである旨主張する。

しかしながら、甲各号証に徴するも、請求人が設立された昭和51年(1976年)以降、現在に至るまで継続して,本願商標の構成中の「BENCH WARMER」の文字と同一の構成態様の商標が、請求人の商標として単独で使用(商標法第2条第3項第1号、第2号及び第8号)されてきたことを認めることはできない。

また、甲各号証に掲載された商品は、バスケットボール競技用のユニフォーム(シャツ、パンツ)を主とするものであって、本願の指定商品の一部にすぎないものである。

さらに、甲各号証に徴するも、請求人の費やした広告費用、本願の指定商品の分野における市場占有率等の格別の事情が存することを認めるに足りる証拠も見当たらない。

そうすると、本願商標の構成中の「BENCH WARMER」の文字が、請求人の商標として、本願の指定商品について、需要者間に広く認識されたものと認めることはできない。

したがって、本願商標の構成中の「BENCH WARMER」の文字が、本願の指定商品について、請求人を出所とする商標として需要者の間に広く認識されているものであることを前提とする請求人の主張は、その前提を欠くものである。

オ 請求人は、インターネット検索エンジンを用いて検索すると、検索結果として、請求人に係る商品の関連記事が多数、あるいは上位に見出せる(甲29ないし甲31)とし、また、請求人の開設するホームページ(資料1)を紹介するインターネット情報には、「インターハイ使用率No.1を誇るバスケットボールウェア専門メーカー。NBA・NCAAアイテムも必見。」との記載があり(甲32)、請求人の製造販売する商品が、需用者に広く認識されていることが明らかである旨主張する。

しかしながら、インターネット検索エンジンにおける検索結果の上位に請求人に係る商品が見出せるとしても、前記(1)の意味を有し、かつ、防寒着の一種を表す語として取引上一般に使用されている「BENCH WARMER」の語を構成中に含む本願商標が、その指定商品との関係で、商品の品質の誤認を生ずるおそれがないものであるということはできない。

また、請求人自身を解説するインターネットホームページの紹介に「インターハイ使用率No.1を誇るバスケットボールウェア専門メーカー」との記載があるとしても、当該記載中の「バスケットボールウェア」が具体的にどのような商品であるか明確ではない上に、当該商品を当該記載の文脈からバスケットボール競技用の衣服と理解するとしても、本願の指定商品は当該衣服に限られるものではない。さらに、本願商標の構成中の「BENCH WARMER」の文字が請求人の商標として、需要者の間に広く認識されたものではないことは、上記エで説示したとおりである。

よって、前記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りではない。

よって、結論のとおり審決する。

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