Trademark Appeal Case
要部抽出と周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900237(T2010−900237/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5321785号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「nenet bonreve」(一字毎に青色と橙色とで交互に彩色し、10文字目の「e」にはアクサン・シルコンフレックス記号がある。以下同じ。)の欧文字と「ネネットボンレーヴ」の片仮名とを二段に横書きしてなり、平成21年11月16日に登録出願、第20類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同22年4月19日に登録査定、同年5月14日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人の引用する商標
申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録第5241919号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり「Ne-net」(2文字目の「e」にはアクサン・テギュ記号がある。以下同じ。)の欧文字を横書きしてなり、平成19年4月2日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同21年6月26日に設定登録されたものである。
(2)具体的理由
ア 商標法第4条第1項第11号について
(ア)引用商標は、被服や布製身の回り品などを中心としてブランド展開されており、多数の雑誌、全国紙及び業界紙に記されている周知・著名な商標であり、また、引用商標に係る「Ne-net」ブランドの事業主体である申立人は、該ブランド等につき日本国内だけではなく海外にも事業展開を行っているアパレル業界で知名度の高い会社である。
(イ)本件商標の構成中、上段の「nenet」と「bonreve」との間には半角分のスペースがあり、引用商標の周知・著名性を勘案すると、本件商標のうち他人の周知・著名な引用商標と類似する「nenet」の部分が、需要者に対して強く支配的な印象を与えることは疑いない。また、その称呼は「ネネット」であり、フランス語で「生まれる」の観念を生じる。
したがって、本件商標の要部である「nenet」と引用商標「Ne-net」につき、同一の称呼「ネネット」を生じ、同一の観念「生まれる」を有し、外観においては文字構成が同一である。
(ウ)また、本件商標の指定商品と、引用商標の指定役務(第35類:織物及び寝具類の小売等役務、身の回り品の小売等役務)は、商標法第2条第6項及び「商品及び役務の区分に基づく類似商品・役務審査基準(国際分類第9版対応);特許庁商標課編」を考慮すれば、類似と判断される。
イ 商標法第4条第1項第15号について
引用商標の著名性や事業主体である申立人の事業展開を勘案すると、上述したように本件商標を、引用商標に係る小売等役務に類似する商品に使用した場合のみならず、非類似の商品に使用した場合も十分に混同を生じるおそれがある。
ウ 商標法第4条第1項第19号について
上述のとおり、引用商標「Ne-net」は多数の雑誌、全国紙及び業界紙に記されている周知・著名な商標であり、その事業主体等と何ら関係のない商標権者が、引用商標と類似する本件商標を使用する行為は、引用商標の著名性や人気、申立人の信用に不当にフリーライドしようとするものであり、「不正の目的をもって使用する」行為に該当する。
3 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人が、引用商標の周知・著名性を立証するとして提出した証拠によれば、平成17年後半に「高橋一精」をデザイナーとするカジュアル服のブランドとして「Ne-net(ネ・ネット)」がデビューしたこと、該デザイナーが第24回(平成18年)「毎日ファッション大賞」の新人賞を受賞したこと、「Ne-net(ネ・ネット)」ブランドが2005年(平成17年)ないし2007年(平成19年)の「日本ファッション・ウィーク」に参加したことが認められる。
また、当該ブランドの商品の広告、紹介などが平成17年8月15日(甲第3号証−2)ないし同19年7月23日(甲第3号証−38)に発行又は発売されたファッション雑誌や業界紙、一般紙に、及び発行日等は不明であるが雑誌「Nina’s」2007年(平成19年)10月号に掲載されたことが認められる。
しかしながら、それ以降は雑誌「spring」(平成20年10月号)の1誌のほかは、本件商標の出願日以降の発行である、同「関西 girl’s style」(平成22年6月1日発行)、同「装苑」(平成22年7月号)及び、同「nina’s」(平成22年7月号)の掲載のみである。
さらに、申立人提出の証拠(甲各号証)からは、「Ne-net(ネ・ネット)」ブランドがデビューした平成17年以降から本件商標の出願の時までの間における「Ne-net(ネ・ネット)」ブランドに係る被服等商品の売上などの具体的な取引の状況は全く不明である。
してみると、「Ne-net」「ネ・ネット」は、若い女性を中心としたファッションに関心を有する一部の需要者の間にある程度知られていたことは認め得るとしても、本件商標の出願の時ないしは登録査定時において、本件商標の指定商品に係る一般需要者の間にまで広く認識されていたとまでは認めることはできないというのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲1のとおり、上段の「nenet bonreve」の欧文字部分をみれば、「nenet」と「bonreve」の文字間に半角程度のスペースがあるとしても、各文字が青と橙色とで交互に一文字毎に彩色されており、下段の一連に表された「ネネットボンレーヴ」の片仮名と相まって、該欧文字部分は全体がまとまりよく一体に表されたものと認識されるとみるのが自然である。また、本件商標から生じる「ネネットボンレーヴ」の称呼は格別冗長なものでもなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成中「nenet」の文字部分のみを分離、抽出し検討しなければならない事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成中欧文字部分及び片仮名部分がそれぞれ不可分一体のものとして認識されるものであって、「ネネットボンレーヴ」の称呼のみを生じるものといわなければならない。また、本件商標は、特定の観念を生じないものというのが自然である。
他方、引用商標は、別掲2の構成からなり、その構成文字に相応して「ネネット」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観においては構成文字及びその態様に、称呼においては「ボンレーヴ」の有無にそれぞれ明らかな差異を有するから相紛れるおそれがなく、観念においては比較できないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見いだせない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標が、本件商標の出願の時ないしは登録査定時において、本件商標の指定商品に係る一般需要者の間に広く認識されていたものと認められないことは上記(1)のとおりであり、また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうとすれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。また、商標権者が不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けたなどと認めるに足る証拠は見いだせないから、本件商標は、商標権者が不正の利益を得る目的など不正の目的をもって使用するものということはできない。
なお、申立人は、本件商標は高島一精の娘の名前に由来する一種の造語である旨述べるところがあるが、職権調査によれば、既に商標権は消滅しているものの、図形と「ネネット」の文字からなる登録商標(登録第1889054商標)及び図形と「NENET」の文字からなる登録商標(登録第1889055商標)が存在していたことから、「nenet」及び「ネネット」の各語が、申立人(或いは、高橋一精)にかかる独自の創造語であるとはいい難いものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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