Trademark Appeal Case
デコシャツの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900154(T2010−900154/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5306774号商標(以下「本件商標」という。)は、「デコシャツ」及び「deco shirts」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成21年8月27日に登録出願、第25類「ワイシャツ類」を指定商品として、同22年1月20日に登録査定、同年3月5日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号及び同第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。
第3 本件商標に対する取消理由(要旨)
1 登録異議申立人の提出に係る甲各号証のインターネット情報によれば、以下の事実が認められる。
(1)甲第2号証
ア 「デコ」の意味の一として、「デコレーション(装飾)の短縮形。デコトラ(アートトラック)や、デコ電(クリスタルガラスで装飾を施した携帯電話)のように使う。クリスタルガラスによる装飾は携帯電話以外に小物などにも施される場合がある。」との記載(出典:フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」)。
イ 「デコ」の意味の一として、「デコレーションの略。過度に装飾した物体に指す接頭語として用いられている。」との記載(ニコニコ大百科(仮)\NICO NICO PEDIA)。
ウ 「デコるの解説」の項に、「デコるとは装飾や飾付けを意味する英語”decoration(デコレ... デコる対象は主に携帯電話だが、他にもノート...カバン(ポーチ)にペン、上履きに至るまでさまざまな物に...」との記載(日本語俗語辞書)。
(2)甲第3号証
ア 「デコ服(デコフク)−ライフスタイル−2009年5月18日」の見出しの下、「服にバッジやブローチを付けたり、刺繍を施したりする、つまり『デコレーションする』...携帯電話に思い思いのデコレーションをして自分だけの『デコ電』にするのと同じで、...」との記載(Yahoo!辞書)。
イ 「デコ服の解説」の項に、「デコ服とはデコレーションされた服のこと。手持ちの服に、バッジやブローチを付けたり、刺繍をあしらうといった飾りつけをしたものをいう。」との記載(日本語俗語辞書)。
ウ 「デコ服にはまる−日経MJ2/23」の見出しの下、「デコ服にはまる バッジやブローチを付け、刺しゅうをあしらう。服にちょっとした装飾を施して...ちょうどケータイを思い思いにデコレーションする、“デコる”感覚と同じ...」との記載(日経MJウォッチ)。
エ 「服は買わずに『デコる』お金をかけない新オシャレ術 / 2009年03月01日20時13分 / 提供:J−CASTニュース」の見出しの下、「...最近は洋服をデコる人が増えている。シンプルなTシャツやジーンズにワッペンやバッジ、ビーズをつければ、オリジナル服に早変わり。」との記載(Livedoorニュース)。
オ 「デコ電の解説」の項に、「デコ電とはデコレーション携帯電話の略で、ビーズやライトストーンを貼ったり、ペイント更には彫刻といった装飾が施された携帯電話のこと。」との記載(日本語俗語辞書)。
カ 「デコチャリ」の意味として、「デコチャリとは、デコレーション・チャリンコの略で、デコトラを真似て装飾した自転車(チャリンコ)のことである。 」との記載(出典:フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」)。
キ 「デコチャリの解説」の項に、「デコチャリとは『デコレーション』と自転車の俗称『チャリンコ』から成る合成語で、派手な装飾をほどこした自転車のことである。」との記載(日本語俗語辞書)。
ク 「デコ弁の解説」の項に、「デコ弁とは『デコレーション弁当』を略したもの。」との記載(日本語俗語辞書)。
ケ 「デコトラ」の意味として、「デコトラはデコレーショントラックの略で、...」との記載(出典:フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」)。
コ 「デコトラの解説」の項に、「デコトラとはデコレーション・トラックの略で、豪華な電飾や派手なペイントで装飾されたトラックのことである...」との記載(日本語俗語辞書)。
(3)甲第5号証
「SAWAYA●Information●」の見出しの下、「デコシャツ」の表示とその画像により、シャツが紹介されている(2009/11/16)。
2 職権により新聞記事を調べれば、以下の事実が認められる。
(1)2009年7月31日 南日本新聞 朝刊
「企画[かごしまゴワス−今週のゴワスチャレンジャー]縫って張ってデコ服してみた/ちょっとの手間で大変身」の見出しの下、「『デコ服』とか『デコカジ』というのが注目されているという。デコはデコレーション、カジはカジュアルの略。...ただのTシャツがバージョンアップした。...デコにはまる人がいるのもうなずけた。」との記載。
(2)2009年11月17日 産経新聞 大阪夕刊
「【ファッション・ナビ】2010年春夏ミラノコレクション 日本人編」の見出しの下、「...まだパリデビューから日が浅い『ドレス33』は...透けるパフスリーブ、ボクシングチャンピオン風のベルト、総ラッフルのスカートなど、ボリューム満点の『デコ服』には、...」の記載がある。
(3)2010年1月15日 繊研新聞
「【JFW−IFF】ミックス感の競演」の見出しの下、「...盛夏にむけたデコT&キャラTなどカッソトーも要注目だ。...●デコT 春夏に欠かせないTシャツは、ビジューやリボン、スパンコールでキュートにデコレーションするのが今の気分。店頭でぱっと目をひくようなキラキラ感がポイントで、どのメーカーもデザインにバリエーションをつけて揃えている。」との記載。
3 上記1及び2で認定した事実からすれば、「デコ」の語は、本件商標の登録査定前より、「装飾」を意味する「デコレーション(decoration)」の短縮形として、例えば「デコ電」(デコレーションされた携帯電話)、「デコチャリ」(デコレーションされた自転車)、「デコ弁」(デコレーションされた弁当)及び「デコトラ」(デコレーションされたトラック)等のように、装飾する対象物に「デコ」の語を冠することによって、装飾された商品を表す語として広く一般に使用されている事実がある。
さらに、衣料品に係る分野においても、Tシャツ、ジーンズなどの衣類に、ワッペンやバッジ、ビーズ等などで飾ったり、また、刺繍を施したりすることが行われており、このような装飾が施された物を「デコ服」、「デコシャツ」あるいは「デコT」(「T」はTシャツの略)と称している事実が認められる。
以上の事実を総合勘案すれば、「デコ/deco」及び「シャツ/shirts」の各文字とを組み合わせた構成の本件商標からは、これをその指定商品中、「シャツ」の文字に照応する商品、例えば「開襟シャツ」「スポーツシャツ」等の商品について使用しても、「装飾(デコレーション)が施された開襟シャツ・スポーツシャツ」程の意味合いを容易に認識させるにすぎず、単に商品の品質を表示するものというべきであり、なんら自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
また、本件商標を、その指定商品中、上記商品以外の商品に使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
4 まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるといわなければならない。
第4 商標権者の意見 (要旨)
商標権者は、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第6号に違反してされたものではないと主張し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 本件商標の構成文字中「デコ」「deco」の文字部分のみを抽出し、当該文字部分が、「デコレーション」の略であることを特定される理由はなく、また、「デコシャツ」「decoshirts」の語が具体的に商品の品質を表示するのものとして使用されている事実を示す記載は一切ない。また、仮に、同「デコ」「deco」の文字部分のみを抽出できたとしても、当該文字自体、多くの意味を有する語であることは、甲第2号証に示されているとおりである。
2 甲第5号証には「デコシャツ」の表示の記載があるが、具体的に商品の品質を表示するものとして使用されているものではなく、また、これらの記載の掲載日時が2010年3月10日及び2009年11月16日であることから、少なくとも、本件商標の出願時(平成21(2009)年8月27日)において、「デコシャツ」「decoshirts」の語が、普通に使用されている事実は存在しないことから、本件商標「デコシャツ」「decoshirts」は、商品の品質を具体的に表示するものではなく、十分自他商品の識別標識として機能を果たすものである。
3 本件取消理由通知書において挙げられた新聞記事には、本件指定商品と同類の衣料品に係る分野において、「デコ服」、「デコカジ」、「デコT」の語が記載されているが、これらの記載が、本件商標「デコシャツ」「decoshirts」を直接的に、又は具体的に示唆したり、想起させるとは到底言い得ない。
4 申立人の提出した証拠は、「デコ」の文字を有する特定の語の説明であって、本件商標「デコシャツ」「decoshirts」の語が、具体的に商品の品質を表示するのものとして使用されている事実を示すものではないことから、同書、同大、等間隔に軽重の差なく一体不可分に書した本件商標は、直ちに「装飾(デコレーション)が施された開襟シャツ・スポーツシャツ」という特定の意味合いは到底看取できるものではなく、一種の造語とみるのが相当である。
そして、このことは、「デコ」の文字を有する商標の登録が多数認められていること(乙第1号証ないし乙第12号証)からも明らかである。
第5 当審の判断
1 本件商標についてした前記第3の取消理由は、妥当であって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
2 商標権者の意見について
商標権者は、前記第4のとおり主張しているが、商標法第3条第1項第3号は、「取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されない」(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)ものと解すべきであるから、本件商標を構成する「デコシャツ」「decoshirts」の語が、例え、具体的に商品の品質を表示するのものとして使用されている事実がないとしても、本件商標が商品の品質等を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。
しかして、本件商標中の「デコ」「deco」の文字は、多くの意味を有する語であることは認められるとしても、前記第3のとおり、装飾する対象物に「デコ」の語を冠することによって、装飾された商品を表す語(「デコ」「deco」の文字が「デコレーション(装飾)」を意味する語)として、衣料品に係る分野を含む広い分野において、一般に使用されていること、さらに、「デコシャツ」の語は、シャツについて、「装飾されたシャツ」程の意味合いとして、少なくとも、本件商標の査定時には、実際に使用されたこと(甲第5号証)が推認できるものである。
そうとすると、「デコ/deco」及び「シャツ/shirts」の各文字とを組み合わせた構成よりなる本件商標は、自他商品の識別標識として機能を果たし得ないものというべきである。
また、商標登録出願の許否は一つの行政処分であって、一般の行政処分が特別な規定が存在しない限り、行政処分時に判断するところから、その許否の判断は、各案件毎に査定時又は審決時を基準とすべきであると解するのが相当であるところ、商標法においては、同法第4条第3項で同法同条第1項について特別な規定を置いているが、同法第3条については特別な規定がないところから、本件商標が同法第3条に該当するか否かは、本件商標の査定時に行うべきものである。
したがって、本件商標の出願時において、「デコシャツ」「decoshirts」の語が、普通に使用されている事実は存在しないことを前提に、本件商標は、自他商品の識別標識として機能を果たし得ないとする商標権者の主張は採用することができない。
3 結論
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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