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Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2010−8369(T2010−8369/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第43類「日本料理を主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成21年2月19日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第3207085号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月29日に登録出願、第42類「すしを主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成8年10月31日に特例商標として設定登録され、平成18年7月25日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲(1)のとおり、上段に「近江町・海鮮市場料理」の文字、下段に、他の文字に比して大きく「市の蔵」の文字を書し、右下に、右から左へ「金澤」の文字を表したと思しき落款を配してなるものである。

そして、その構成中の「近江町・海鮮市場料理」、「市の蔵」の各文字部分は、上下に段を変え、また、文字の大きさを異にして書してなるものであるから、各部分は視覚的に分離して看取されるものである。

また、その構成文字全体から生ずる「オウミチョウカイセンイチバリョウリイチノクラ」の称呼は、常にこれを一体不可分のものとして把握するには冗長であるといえるものである。

さらに、本願商標は、構成文字全体から直ちに特定の熟語的な意味合いを生ずるとはいい難いものであり、その他、これが常に一体不可分のものとしてのみ認識、把握されなければならない特段の事情を見いだせない。

そうとすると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、構成中、顕著に表された「市の蔵」の文字部分に着目し、これをもって取引に当たる場合も決して少なくないというのが相当である。

そして、「市の蔵」の文字部分は、親しまれた意味を有する成語ということはできないところ、該文字に相応して「イチノクラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。

他方、引用商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなるところ、「一ノ蔵」の文字と「ICHINOKURA」のローマ文字を書してなり、「ICHINOKURA」のローマ文字部分が、「一ノ蔵」の文字部分の称呼を特定しているものと無理なく理解、認識できるものであるから、引用商標より、「イチノクラ」の称呼を生じ、親しまれた成語ではないから特定の観念を生じないものとみるのが相当である。

そこで、本願商標と引用商標の類否について判断するに、両商標は、前記のとおり、その構成文字より「イチノクラ」の称呼を生ずるものである。

そうとすると、本願商標と引用商標とは、外観上相違する点があるとしても、共に親しまれた成語ではないことから観念上比較できないものであって、称呼上同一のものであるから、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。

そして、本願の指定役務「日本料理を主とする飲食物の提供」と、引用商標の指定役務「すしを主とする飲食物の提供」とは、同一又は類似の役務である。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

なお、請求人(出願人)は、本願商標について、「オウミチョウカイセンイチバリョウリ イチノクラ カナザワ」の称呼を生じるもので、その構成中の「近江町・海鮮市場料理」の文字は、石川県金沢市の近江町市場で取引される、日本海近郊で水揚げされた新鮮な海産物を提供する飲食物店であることを端的に表すものとして請求人が創作したもので、「金澤」の印影は、役務の提供場所を表すものともいえるが、特殊な外観を有するから、その称呼が殊更軽視されることはない旨主張している。

しかしながら、市場で飲食店を併設している実情や、飲食店で「市場料理」の文字が使用されている事実が見られること(例えば、鳥取港海鮮市場かろいち内「市場料理 賀露幸」(http://karoichi.jp/index.php?id=18)、「市場料理 兆治」(http://i-sanin.com/detail/index_1068.html))などからすれば、本願商標構成中の「近江町・海鮮市場料理」の文字部分は、「近江町市場の海産物を用いた料理」程の意味合いを想起させるもので、また、本願商標構成中の印影部分は、地名又は姓氏を表す落款と理解させるものであって、自他役務の識別標識としての機能がないか又は弱いのに対し、「市の蔵」の文字部分は、その指定役務との関係において特段の意味合いを認識させず、自他役務の識別標識としての機能が強い部分といえる。そして、「市の蔵」の文字部分が顕著に書された構成とも相俟って、本願商標に接する取引者、需要者は、「市の蔵」の文字部分を自他役務の識別標識として重要な部分として印象づけられ、これをもって取引に当たる場合も決して少なくないというのが相当であるから、該文字部分に相応して「イチノクラ」の称呼をも生じるものといわなければならない。

また、請求人は、本願商標は、「市の蔵」の文字から「市場の食材を保存するための蔵」などの観念を生じ、「近江町・海鮮市場料理」の文字とによって「(近江町)市場で取引された、新鮮な海産物を貯蔵、保管するための蔵」などの観念を生じうるといえる一方、引用商標は、「一番(目)の蔵」などの観念を生じるものであって、本願商標と引用商標とは観念において類似するものではなく、特に本願商標は、新鮮な海産物を提供する飲食店の営業表示として認識されうるところ、引用商標からはどのような料理を提供するのか不明瞭であり、本願商標と引用商標とは需要者及び取引者が連想するイメージにおいて相違する旨主張している。

しかし、請求人が主張するように、本願商標が新鮮な海産物を提供する飲食店の営業表示として認識されうるとしても、その指定役務との関係においては、本願商標の構成中、提供する料理の内容を認識させる部分は、役務の質を表示するものと理解させるものであり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、又は、その機能が極めて弱いというべきものであるから、むしろ、本願商標の構成中「市の蔵」の文字部分が自他役務の識別標識として重要な部分として印象づけられるものとみるのが相当である。そして、「市の蔵」、「一ノ蔵」の文字が、特定の意味合いを有する語として理解されるということができないことは、前記認定のとおりであり、必ずしも請求人主張の如き観念を生ずるものとはいえないから、本願商標と引用商標とは観念において明らかに異なる印象を与えるものではない。

加えて、請求人は、本願商標と引用商標とが、外観が大きく相違し、明確に区別し得る旨述べているが、両商標は、外観において特段に強い印象を与えるものでなく、その差異が称呼の類似性を凌駕するほどのものともいえないから、称呼が共通であることを理由に引用商標と類似するものと判断することは必ずしも不合理とはいえない。

さらに、請求人は、本願商標と引用商標とは、「イチノクラ」の称呼において共通するものがあるとしても、両商標の外観、称呼、観念から受ける印象、記憶、連想等を総合して考察した場合、同一又は類似の役務に使用しても、役務の出所について誤認混同するおそれはない旨主張している。

しかしながら、本願商標と引用商標は、いずれも外観上、特段に強い印象を与えるものでなく、共に筆書き風の書体を用いたものであって、また、両商標それぞれに特定の意味合いを有するものではないから、観念上顕著な差異を有するともいえないものであり、前記のとおり、両商標は、「イチノクラ」の称呼を同一にすることからすれば、本願商標と引用商標は類似するというべきであり、本願商標をその指定役務に使用した場合に誤認混同が生じるおそれは否定できない。

以上のとおり、請求人のいずれの主張も採用することができない。

したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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