Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−13276(T2010−13276/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「タマ200年住宅」の文字を標準文字で書してなり、第37類「建築一式工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,照明用器具の修理又は保守,浴槽類の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き」を指定役務として、平成20年2月19日に商標登録出願された商願2008−11708に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同21年7月2日に登録出願された商願2009−50160をもとの商標登録出願として、さらに商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年8月25日に登録出願されたものである。
第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶の理由に引用した登録第3274655号商標(以下「引用商標」という。)は、後掲のとおりの構成からなり、平成5年7月14日登録出願、第37類「機械器具設置工事,土木機械器具の修理又は保守,土木機械器具の貸与」を指定役務として、同9年4月4日に設定登録、その後、同18年12月26日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
第3 当審の判断
(1)本願商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「タマ200年住宅」の文字を標準文字で書してなるから、一連の「タマニヒャクネンジュウタク」の称呼を生ずることがあるとしても、冗長なものであって、「タマ」の文字と「200年住宅」の文字とを一体不可分なものと把握しなければならない特段の事情も見いだせないところである。
そして、その構成中後半の「200年住宅」の文字は、別掲の新聞記事等の情報のとおり、自由民主党政務調査会により発表された「200年住宅ビジョン」を基礎とし、平成21年6月4日に施行される「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(平成20年12月5日公布)で定められた「長期優良住宅」を意味する語として使用されているものである。
さらに、国土交通省は、その長期優良住宅の先導的モデル事業として、民間事業者に対して提案を公募し、採択事業を決定するなどの取組みを行っており、そのモデル事業に採択された民間事業者は、そのウェブページなどにおいて、「200年住宅」をもって、自社のサービスについて宣伝広告活動をおこなっている実情が窺えるところである。
そうとすれば、その構成中「200年住宅」の文字は、その指定役務中例えば「建築一式工事,建築工事に関する助言」について使用したときには、これに接する需要者、取引者は、「長期優良住宅に係わる役務」であることを理解するにとどまるというのが相当であるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、弱いものといわざるをえない。
してみれば、本願商標は、その構成文字全体から生ずる「タマニヒャクネンジュウタク」の一連の称呼の他に、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、独立して、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると認められる「タマ」の文字部分に着目して、これより生ずる「タマ」の称呼をもって取引に資される場合も決して少なくないというべきであるが、これと読みを同じくする親しまれた「玉・珠・球」「多摩」(以上「広辞苑第六版」)等の語が多数あるので、特定の観念を生ずるものとは認められない。
他方、引用商標は、間隔を異にする白抜きの細線を多数有する黒塗りの円図形の中央やや左寄りに、「TAmA」(なお、「m」の文字の大きさ、高さは他の文字と同じである。以下同じ)の文字を顕著に表示してなるが、図形部分からは、特定の称呼、観念を生ずるものでなく、図形部分は「TAmA」の背景図形と認識されると判断するのが相当である。
そうとすれば、引用商標は、その構成中の「TAmA」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすとみるのが自然である。
してみれば、引用商標は、多少図案化されているものの、容易に「T」「A」「m」「A」の文字から構成されていることが把握、理解されるものであるから、その構成文字に相応して「タマ」の称呼を生ずるものであるが、上記のとおりこれと読みを同じくする親しまれた語が多数あるので、特定の観念を生ずるものとはいえない。
そこで、本願商標と引用商標とを比較すると、両商標は、上記のとおり、簡潔で馴染みやすく、記憶にとどめやすい「タマ」の称呼を共通にするものである。
そして、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と類似する役務を含むものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「タマ」の称呼を共通にする類似の商標であるから、本願商標をその指定役務に使用した場合は、その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
ア 請求人は、「請求人の業務である『建築一式工事』を、日本全国において行い、大々的に莫大な費用を投じて、継続して宣伝、広告をしており、現在では請求人の社名である『タマホーム』は、全国に広く知られるに至っていること、『建築一式工事』の指定役務も含む、語頭部分に『TAMA』や『タマ』の付く商標を多数登録していること、請求人のグループ会社名は、そのほとんどが頭の部分に『タマ』が付いていること等から、『建築一式工事』においては、本願商標中の『タマ』の部分からは、請求人を想起し『本願出願人が建築する長持ちする住宅』という意味合いを暗示するところから、本願商標は、全体で不可分一体の称呼『タマニヒャクネンジュウタク』のみを生じるといえる。したがって、本願商標と引用商標とは役務の出所について誤認混同を生ずるような事情はない。」旨、主張すると共に、証拠資料を提出している。
そこで、請求人の提出による証拠資料をみると、以下の事実が窺えるものである。
(ア)資料1、資料3ないし資料6及び資料10は、請求人のホームページ(http://www.tamahome.jp/index.html)のプリントの写しであるが、資料1、資料3、資料5及び資料6には、2009年12月29日のプリント日付けが、資料4及び資料10には、同年11月2日のプリント日付けがあるところ、資料1、資料3ないし資料6及び資料10には、共通して、欄外上部左側に「家を建てるならタマホーム株式会社」及び枠内に「TamaHome」「タマホーム」が表示されていることから、請求人は、「家づくり」を業として、「TamaHome」「タマホーム」の標章を宣伝、広告に使用していたことが認められる。
資料1(1枚目)、資料3、資料5(1枚目)、資料6(6枚目)及び資料10(2枚目)には、「お近くのタマホーム」の見出しと共に、地域別に色分けされた日本地図と「北海道」「東北」「北陸」「関東」「東海」「近畿」「中国」「四国」「九州」の地域名(メニュー)が用意されていることから、請求人は全国に支店、営業所を有することが認められる。
資料1(1枚目)には、上部正面に戸建住宅の写真と共に「タマホームがかんがえる家づくり」、その上部に「戸建住宅」、また、右側下には、「TAMA GROUP」「タマホームグループ一覧」と併記され、最下部(2枚目)には、後述する「テレビCM」「屋外広告」「協賛イベント」等の表示(メニュー)が用意されていることから、請求人は、業とする「家づくり」の宣伝、広告をしていたことが認められる。
同3枚目(http://www.tamahome.jp/tamahome/lineup/newdaianshin.html)には、「大安心の家」の見出しのもと、「特長 タマホームのベストセラー商品『大安心の家』が新たな仕様で登場」等の記載、同4枚目(http://www.tamahome.jp/tamahome/lineup/newdaichi.html)には、「大地の家」の見出しのもと、「特長 高断熱・高気密。北海道の気候に左右されない室内環境を実現」等の記載、同5枚目(http://www.tamahome.jp/tamahome/lineup/kibou.html)には、「木望の家」の見出しのもと、「特長 市街地や狭小地、変形敷地でも妥協しない住まいづくり」等の記載、同6枚目(http://www.tamahome.jp/tamahome/lineup/rakuraku.html)には、「楽楽の家」の見出しのもと、「特長 狭小敷地の限られた住空間を最大限に生かす空間づくり」等の記載があることから、請求人は「家づくり」を業として行っていることが認められる。
資料2(1枚目)には、赤地に白抜きした「もし、ビバリーヒルズにタマホームを建てたなら。」の文字が表示され、同2枚目は、戸建住宅の写真とともに、「TamaHome」が表示された気球の写真が掲載され、「TAMA」「BEVERLY HILLS」が表示された丸いスタンプ等が表示され、同3枚目は、赤地に白抜きで「TamaHome」(なお、「e」の右肩には丸付きの「R」が付いている。)「タマホーム」が併記されている(なお、プリントにはホームページアドレスの表示は見当たらない)。
資料3(http://www.tamahome.jp/other/radiocm.html)には、上部左側に「HOME>ハッピーライフソング篇 テレビCM」の見出しとその下に「タマホームのテレビCMご覧になれます。」等の表示と共にCMビデオが視聴できるモニター画面が表示(用意)されていることから、請求人は家づくりの宣伝、広告をしていたことが認められる。
資料4(1枚目:http://www.tamahome.jp/other/radiocm.html)には、上部左側に「HOME>ラジオCMオンエア情報」「タマホームプレゼンツ」「ラジオCM情報」の見出しとその下に「タマホームプレゼンツ300秒ラジオドラマ ON AIR!」等が表示され視聴できる表示(メニュー)が用意されていることから、請求人は、「タマホーム」標章を使用して家づくりの宣伝、広告をしていたことが認められる。
資料5(1枚目:http://www.tamahome.jp/other/ad.html)には、上部左側に「HOME>屋外広告」「ご存じですか?こんな場所にも屋外広告」「日本各地に広告を掲出。タマホームは皆さまの街でお目にかかっています。」の見出しの下に、「東京ドームバックネット」「福岡空港」「六本木交差点」「道頓堀」の項には、赤地に白抜き「タマホーム」の看板が写っている写真が掲載されていることから、請求人は、「タマホーム」の屋外広告をしたことが認められる。
同2枚目は、野球場内の壁面に「タマホーム ハッピーボイス/本日のゲーム始球式はタマホームの玉木社長!」「9/13一斉見学会/タマホーム」「タマホームハッピーデーゲーム」が表示されていることから、請求人が「タマホーム」を宣伝、広告で使用をしていたことが認められる(なお、プリントにはホームページアドレスの表示は見当たらない)。
資料6(http://www.tamahome.jp/other/event.html)には、上部左側に「HOME>協賛イベント」「タマホームは、文化・芸術・スポーツなど様々な事業に協賛しています。」「TALK LIKE SINGING」「ディズニー・オン・クラシック」(以上1枚目)、「ウィーン・ヴィルトゥオーゼン」「シティマラソン福岡2009」「タマホームpresents blast(ブラスト!)」等(以上2枚目)、「第58回 別府大分毎日マラソン大会」「2008防府読売マラソン」「タマホームスペシャル第62回 福岡国際マラソン 実況中継」等(以上3枚目)「ディズニー・オン・クラシック〜まほうの夜の音楽会 2008 “Dream,Dream,Dream”〜夢よ、響け Suported by タマホーム」「タマホーム スペシャル VY HIGGINSEN Presents Sing,Harlem,Sing!2008年日本公演」等(以上4枚目)及び「タマホームプレゼンツ フロアプレイ」等(以上5枚目)の記載があることから、請求人は、2008年ないし2009年に協賛する各種イベントを通じて、「タマホーム」を宣伝、広告していたことが認められる。
資料7は、 「TamaHome」「タマホーム」が大きく表示された、請求人の提供する「大安心の家」の販売、見学会の平成21年末のちらしであるから、請求は、「TamaHome」「タマホーム」標章を使用して、業とする「建築工事」を宣伝、広告したことが認められる。
資料8には、提供スポンサー番組(テレビ(日本テレビ系、TBS系、フジテレビ系、テレビ朝日系、テレビ東京系、BS朝日、ローカル番組)、ラジオ(NRN系(ニッポン放送・文化放送発))の記載があることから、請求人は、提供スポンサー番組を通じて宣伝、広告していたことが認められる。
資料9には、請求人が所有する登録第4639750号商標「タマホーム\TAMAHOME」、同第4730179号商標「タマパレス」、同第5075841号商標「タマヒルズ」、同第5086189号商標「タマハウス\たまはうす\TAMAHOUSE」等の商標を挙げている。
資料10(http://www.tamahome.jp/company/group.html)には、上部左側に「HOME>企業情報>グループ情報」「グループ情報」の見出しのもと、「タマ・アド株式会社」「タマファイナンス株式会社」「タマリビング株式会社」「TH建設株式会社」「タマソリューションズ株式会社」「タマホーム東京株式会社」「タマホーム建築研究所株式会社」等(以上1枚目)「タマアグリ株式会社」の記載及び最下部右側には、「TAMA GROUP」「タマホームグループ一覧」と併記されている等(以上2枚目)の記載があることから、請求人は、関連会社を有することが認められる。
(イ)以上を総合的に判断すると、請求人は、自社のホームページ「TamaHome/タマホーム」を通じて、その取り扱いに係る役務に含まれる「戸建住宅の建築工事」を業として行っていること、全国の支店、営業所、グループ企業等を有すること、テレビCM、ラジオCM、屋外広告、2008年、2009年の協賛イベントによる宣伝、広告の活動を行っている事実が認められるものである。
しかしながら、上記各資料で使用されている標章は、請求人の社名「タマホーム株式会社」の略称「タマホーム」「TamaHome」等であって、本願商標が使用されている事実は認められないし、また、上記各資料からは、請求人の営業規模、営業実績、営業期間は明らかにされておらず、ホームページへの掲載時期、期間、閲覧者数、宣伝、広告の実績、期間等も明らかでない。
そうとすれば、本願商標は、請求人の業務に係る役務「建築一式工事」の出所を表示するものとして、取引者、需要者に認識されているものとはいえない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「タマ」の称呼を共通にする類似の商標であって、かつ、本願商標の指定役務は引用商標の指定役務と類似する役務を含むものであるから、本願商標をその指定役務に使用した場合は、その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
よって、請求人の前記主張は採用することができない。
イ 請求人は、「本願指定役務中の『建築一式工事』は、引用商標の指定役務中の『機械器具設置工事』と役務が類似するが同一ではない。また、両商標は、市場において転々流通する商品に使用されるのではなく、『建築一式工事』のような役務について使用されるもので、主として特定人間の個別の取引になり、取引者・需要者の年齢層も高く、これらの工事に関する取引は注意深く慎重に行われるので、このような取引の実情を勘案すると、たとえ称呼が同一であるとしても、外観・観念の違いにより、取引者・需要者が、役務の出所につき誤認混同をきたすおそれはない。引用商標権者である『奥多摩工業株式会社』は、引用商標の使用をしているが、『機械器具設置工事』を行っていないし、主要子会社である『奥多摩建設工業株式会社』も、別の商標を使用しているが、引用商標を使用していないので、取引者・需要者が、役務の出所につき誤認混同を生じるような事情もない。」旨主張し、資料16ないし資料18を提出している。
しかしながら、平成17年(行ケ)第10618号判決(知的財産高等裁判所 平成18年2月16日判決言渡)において、「商標法4条1項11号にいう先願の『他人の登録商標』は、後願の同一又は類似商標の査定時又は審決時において、現に有効に存続しているものであれば足り、現実に使用されていることを必要とするものではないと解するのが相当である。また、商標の類否判断に際しては、取引の実情を考慮することが必要であるが、ここで考慮すべき取引の実情とは、指定商品又は役務全般についての一般的、恒常的なものであるから、『他人の登録商標』が現実に使用されているかどうかということは類否判断に際し考慮すべき取引の実情には当たらないのであり、査定時又は審決時において、先願の『他人の登録商標』が現に有効に存続しているものである以上、現実に使用されていなくても、それが使用された場合に混同を生ずるか否かを一般的、恒常的な取引の実情に照らして判断すべきものである。」と判示されており、これを踏まえて判断するに、引用商標が本願商標の査定時又は審決時において、現に有効に存続しているものである以上、引用商標がその引用商標権者により、現実に使用されていなくても、それが使用された場合に混同を生ずるか否かを一般的、恒常的な取引の実情に照らして判断すべきものであるところ、請求人は、上記主張を裏付ける具体的、客観的な資料を提出していない。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、認定前記のとおり、「タマ」の称呼を共通にする類似の商標であって、かつ、その指定役務も類似するものを含むものであるから、取引者、需要者が両商標に時と所を異にして接した場合、互いに相紛れるおそれがあることを否定することはできないというべきであり、請求人の前記主張は採用することができない。
ウ 請求人は、「引用商標が『TAmA』であると明確に理解できたとしても、地名である『多摩』がよく知られており、引用商標権者が『奥多摩工業株式會社』でもあるので、引用商標中の『TAmA』の文字からは、地名の『多摩』を想起しやすく、『TAmA』の文字から生じる『タマ』の称呼の自他役務識別機能は、比較的弱いものと考える。」旨主張しているが、仮に引用商標中の「TAmA」が引用商標権者の社名の一部をローマ字表記したものであるとしても、当該文字部分が地名「多摩」との関連があり自他役務の識別力が弱いものと認めるに足る客観的な状況が示されておらず、商標の類否判断にあたって考慮すべき取引の実情には当たらないから、請求人の主張は採用できない。
エ 請求人は、過去の審決例等(資料11ないし資料15)を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、該審決例等は、商標の構成及び指定役務等において本願とは事案を異にするものであり、それらの審決例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないことから、請求人の係る主張も採用することができない。
その他の請求人の主張及び証拠をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
後掲
(引用商標)
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