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Trademark Appeal Case

普通名称の使用と商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2010−300787(T2010−300787/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2153781号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

登録第2153781号商標(以下「本件商標」という。)は、「RANCH」の欧文字を横書きにしてなり、昭和62年2月12日に登録出願、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、平成元年7月31日に設定登録、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同21年6月3日に第30類「調味料,香辛料」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。

(1)請求の理由

請求人の調査するところによるも、本件商標は、その指定商品について何ら継続して3年以上日本国内において商標権者により使用されている事実は発見することができなかった。また、本件商標について、専用使用権、通常使用権の登録もされておらず、したがって、これらの者による使用の事実もない。

(2)弁駁の理由

ア 自他商品識別標識としての使用ではない。

被請求人は、使用権者が本件商標を「ドレッシング」に使用していると主張している。

被請求人の主張及び証拠方法を検討するに、使用態様「Ranch Dressing」「ランチドレッシング」であって、「Ranch」単体では使用されていないことが判る。

しかるに、「Ranch Dressing」「ランチドレッシング」は、「マヨネーズ、バターミルクまたはサワー・クリーム、刻みネギ、粉ニンニクなどから作るサラダ・ドレッシング」を意味する商品の普通名称である(甲第1号証及び同第2号証)。今日、日本でも「商品名ランチドレッシング」として取引においても商品の普通名称として複数の需要者に使用されている(甲第3号証)。

現に、使用権者自身も、乙第2号証の写真の商品には、「American Cuisine(アメリカン料理法)ランチドレッシング Ranch Dressing very famous American style sa1ad」と表示されていること、並びに、乙第4号証の同人のホームページにおいて「Ranch Dressing」「ランチドレッシング」を「コブサラダ専用のドレッシングであるコブサラダドレッシング」「チャイニーズチキンサラダ用に開発されたチャイニーズチキンサラダドレッシング」「からしめんたいこの『ピリッ』とした辛味が食欲をそそるクリミィタイプの明太子ドレッシング」と並べていることから、商品の普通名称として使用していることが判る。

また、乙第5号証ないし同第9号証の取引書類においても「ノンオイルドレッシング、コブサラダドレッシング、イタリアンドレッシング、1000アイランドドレッシング」という商品の普通名称と同列に使用されている。

このように、本件商標の使用であるとして挙げられている「Ranch Dressing」「ランチドレッシング」は、自他商品識別標識として使用されているのではなく、単に商品の普通名称として使用されているに過ぎない。

商品の普通名称としての「Ranch Dressing」「ランチドレッシング」の使用によっては本件商標には業務上の信用が化体しない。不使用に基づく取消審判の趣旨の一つが商標法の保護対象である業務上の信用が化体していない登録商標の排除であることからすれば、自他商品識別標識として使用されていない登録商標の使用はこの審判における登録商標の使用にはあたらないと解される。

したがって、「Ranch Dressing」「ランチドレッシング」の使用によっては、本件商標の登録の取消は免れない。

イ 登録商標と同一の商標の使用ではない。

万一、「Ranch Dressing」「ランチドレッシング」が自他商品識別標識として使用されていたとしても、本件商標は「Ranch」であって、両者は外観・称呼及び観念において明確に相違するので、社会通念上同一のものとは考えられない。

「Dressing」「ドレッシング」が商品の普通名称であるから、「Ranch」「ランチ」がこの商標の要部であるとしても、「Ranch Dressing」「ランチドレッシング」は「Ranch」「ランチ」に類似するものに止まり、同一のものではない。単に、本件商標と類似の商標が使用されているに過ぎない。

3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第9号証を提出した。

本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標をその指定商品中「調味料」の分野に属する商品について使用している。以下、その使用の事実について述べる。

(1)被請求人は、株式会社ケイパック(以下「ケイパック社」あるいは「通常使用権者」という。)に対して、2006年3月1日付商標使用許諾契約を締結して本件商標の通常使用権を許諾しており、この契約は現在も有効に継続している(乙第1号証)。

2006年3月1日付商標使用許諾契約に基づき、通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内にドレッシングに「RANCH」の商標を使用している。

(2)乙第2号証及び乙第3号証は、通常使用権者が販売した商品「Ranch Dressing」を撮影した写真である。また、乙第4号証は、通常使用権者のホームページに記載のある商品紹介のページを印刷したものである。

乙第2号証及び乙第4号証によれば、通常使用権者が小袋のドレッシングに「Ranch Dressing」及び「ランチドレッシング」の表示(以下「使用標章」という。)を使用していることがわかる。また、乙第3号証は、商品(乙第2号証)の裏面を撮影したものであり、小袋のドレッシングの製造者が通常使用権者であることを示している。

使用標章のうち、「Dressing」及び「ドレッシング」は指定商品を示したものであり識別力を有しない部分であるので、商標として機能しているのは「Ranch」及び「ランチ」の部分のみである。したがって、該当表示に接した取引者・需要者は、「Ranch」又は「ランチ」が目印のドレッシングであると認識するものと思料する。

通常使用権者は、「Ranch」及び「ランチ」を使用しているが、商標法第50条では、登録商標は書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標、その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含むと規定しており、通常使用権者は本件商標を使用していると言わざるを得ない。

さらに、通常使用権者は、「Ranch Dressing」について乙第5号証ないし同第9号証に示すとおり、他社より発注を受けている。

乙第5号証ないし同第9号証には、表中に「KPランチドレッシング」の記載がある。「KP」はケイパック社の略称であり、「KPランチドレッシング」がケイパック社の「Ranch Dressing」を示していることは明らかである。また、乙第5号証の1ないし同第5号証の3は、請求期間2007年7月、乙第6号証の1及び同第6号証の2は、請求期間2007年8月、乙第7号証の1ないし同第7号証の4は、請求期間2007年9月、乙第8号証の1ないし乙第8号証の3は、請求期間2007年10月、乙第9号証は、請求期間2007年11月のものである。したがって、乙第5号証ないし同第9号証より、通常使用権者が本件審判の請求の登録前3年以内に該当商品を販売していたことは明らかである。

(3)以上の事実からすれば、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその指定商品「ドレッシング」に使用されていたことは明らかであり、請求人の主張は、その根拠、理由がないといわざるを得ない。

4 当審の判断

(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。

ア ケイパック社製造に係る「Ranch Dressing」の個装袋(表面)の写真の写し(乙第2号証)には、上部に切り口を示した横長の個装袋形態のものが写されており、当該個装袋には、赤い楕円内に「ランチドレッシング」と白抜きに表した標章が表示され、また、青色で「Ranch Dressing」と表した文字が表示されており、この欧文字を上下で挟む様に、「Amercan Cuisine.」及び「very famous American style salad.」の文字が表示されている。さらに、「原材料名:食用植物油脂、殺菌ヨーグルト、、醸造酢・・・」の表示がある。

イ ケイパック社製造に係る「Ranch Dressing」の個装袋(裏面)の写真の写し(乙第3号証)には、横長の小袋状の個装袋形態のものが写されており、「名称:乳化液状ドレッシング」、「原材料名:食用植物油脂、殺菌ヨーグルト、、醸造酢・・・」、「内容量」、「賞味期限」及び「保存方法」の表示があり、また、製造者としてケイパック社の名称と住所が表示されており、上記アの個装袋の裏側を写したものと推定される。

ウ ケイパック社のホームページ(乙第4号証)には、「ランチドレ」として、上記アと同様のものが掲載され、「ランチドレッシング」「Ranch Dressing」の説明として、「ランチとは『牧場風』のこと。ランチドレならではの『乳系のコク』ある風味に仕上がっています。アメリカでは定番のドレッシング。特にスティックサラダや温野菜等にオススメです。」との記載がある。

エ いずれもケイパック社発行の「請求書」(乙第6号証ないし同第9号証:枝番を含む。)によれば、2007年9月1日付で、株式会社ペジテック(以下「ペジテック社」という。)に対し、同年8月22日の「KPランチドレッシング」売上分及び同27日の「KPランチドレッシング」売上分についての支払い請求がなされたことが認められる(乙第6号証)。

また、2007年10月1日付で、株式会社オルト(以下「オルト社」という。)に対し、9月10日の「KPランチドレッシング」売上分についての支払い請求がなされ、日本アクセス北海道株式会社(以下「日本アクセス北海道社」という。)に対し、9月20日の「KPランチドレッシング」売上分についての支払い請求がなされ、ペジテック社に対し、9月21日及び同29日の「KPランチドレッシング」売上分についての支払い請求がなされたことが認められる(乙第7号証)。

同じく、2007年11月1日付で、オルト社に対し、10月10日の「KPランチドレッシング」売上分についての支払い請求がなされ、日本アクセス北海道社に対し、10月18日の「KPランチドレッシング」売上分についての支払い請求がなされ、ペジテック社に対し、同年10月28日の「KPランチドレッシング」売上分についての支払い請求がなされたことが認められる(乙第8号証)。

同じく、2007年11月12日付で、ペジテック社に対し、同年11月3日の「KPランチドレッシング」売上分についての支払い請求がなされたことが認められる(乙第9号証)。

オ 上記エの各年月日は、本件審判の請求の登録前3年以内の時期にあたるものであり、「KPランチドレッシング」として特定される商品が、同時期において、ケイパック社によって譲渡されたと推認し得るものである。

(2)商標使用契約書(乙第1号証)によれば、被請求人は、平成18年3月1日、ケイパック社との間で、本件商標に係る商標権について、通常使用権を許諾する旨の契約を締結した。そして、その契約期間については、契約当事者から契約終了の申し出がない場合には、期間の延長がされることを約したことが認められる。

しかして、これと被請求人の主張を併せみれば、本件審判請求の登録前3年以内の時期においても、ケイパック社は本件商標に係る商標権についての通常使用権者と認めることができる。

(3)本件商標は、「RANCH」の文字を横書きに表したものであり、「ランチ」の称呼を生じ、「牧場」の観念を生じるものである。

これに対して、使用標章は、別掲に示すとおり、個装袋に「Ranch Dressing」あるいは「ランチドレッシング」を表示したと認められるものである。

そして、その構成中「ランチドレッシング」の文字は、上記のとおり、同書、同大でまとまりよく表されているものであるから、外観上一体のものとして看取されるというべきである。

そして、同じく「Ranch Dressing」の文字は、色彩、書体、配列などの点から、全体がバランス良く、かつ、外観上まとまりのよいものとして印象づけられるといえる。

しかして、使用標章は、その構成文字の一方が他方よりも看者の注意を引くような態様で表記されることもなく、外観上において差異がないことから、構成全体をもって一体のものとして認識され、殊更「Ranch」及び「ランチ」の文字部分のみが切り離されて認識されることはなく、その構成文字に相応して「ランチドレッシング」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。

ところで、調味料の一であるドレッシングの中には、下記の例にあるように、「ランチドレッシング」と指称される商品が存し、現に取引に供されている実情が認められ、甲第1号証ないし同第3号証においても、同様の実情を確認し得るところである。

例えば、1999年3月22日付「日本食糧新聞」には、「キユーピー(株)(東京都・・)は10日から、業務用向けに新鮮な風味のドレッシング『ランチドレッシング』『ノンオイルドレッシング香味和風』の二品を発売した。」との記事が掲載されている。

2002年7月30日付「化学工業日報」には、「ライオン、米マコーミックのドレッシング発売」の表題のもと、「ライオンは、・・・ドレッシング三品を八月二十日に全国発売する。『マコーミック ランチドレッシング』は牛乳風味のクリーミードレッシング。・・・。各二百三十ミリリットル入りで価格は四百円。」との記事が掲載されている。

2003年2月21日付「日本食糧新聞」には、「『マコーミック ブルーチーズドレッシング』発売(ライオン)」の表題のもと、「アメリカンサラダを手軽に・・・との発想で、・・地区限定で3品(ランチドレッシング、・・・、・・・)発売し、・・・。」との記事が掲載されている。

2010年1月29日付「日本食糧新聞」には、「理研ビタミン 現場の声を反映した商品開発」の表題のもと、「『笑顔でランチドレッシング ”すりおろしりんご”』(1リットル、300ml、200mlフルボトル、8ml袋)は、・・野菜によくからむ。調味料(アミノ酸、核酸)不使用で使いやすい4種類のサイズを揃えた。・・・」との記事が掲載されている。

WEB上の「ディス イズ アメリカンフード」(http://americanhood.blog93.fc2.com/blog−entry−154.html)には、2010年8月25日として、「ランチドレッシング Ranch Dressing」の表示とその材料や作り方が掲載されている。

しかして、上記(1)における商品は、個装袋の「ドレッシング」と認められるところ、商品「ドレッシング」との関係及び上記実情に照らせば、使用標章「Ranch Dressing」あるいは「ランチドレッシング」は、ドレッシングの種類を表す標章として理解し認識されるものというべきであるから、使用標章「Ranch Dressing」が付された上記商品に接する取引者・需要者が、当該表示を「Ranch」に商品名(Dressing)を附記し結合した表示として理解し、「Ranch」部分をもって自他商品の識別標識(本件商標)として認識するというよりも、前記種類のドレッシングであることを示す一連の表示として理解するとみるのが相当である。

してみれば、使用標章から「ランチドレッシング(ドレッシングの一種)」の観念を生ずるものと認められる。

そうとすれば、本件商標と別掲に示された使用標章は、別異の標章とみるべきであるから、被請求人提出の証拠によっては、上記(1)の商品「ドレッシング」に、本件商標あるいはこれと社会通念上同一の商標が表示され、あるいは使用されたと認めることはできないといわざるを得ないものである。

他に、本件商標の使用の事実を示す証拠はなく、また、不使用の正当理由に係る主張及び立証はない。

(4)以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成21年12月11日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用した事実を証明し得なかったものといわなければならない。

また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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