Trademark Appeal Case
称呼類似性「ニ」と「リ」音
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900303(T2010−900303/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5334190号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年1月14日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,水泳着,水泳帽,靴下,手袋,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,帽子,靴下止め,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」及び第28類「運動用具」を指定商品として、同年7月2日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4457517号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成12年4月11日に登録出願され、第25類「被服」を指定商品として、同13年3月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
(1)概要
本件商標は、その指定商品中、第25類「洋服,コート,セータ一類,ワイシャツ類,下着,水泳着,水泳帽,靴下,手袋,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,帽子」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。
(2)本件商標と引用商標との対比
本件商標及び引用商標は、それぞれ別掲1及び2のとおりの構成からなるものであり、本件商標からは「アイニー」の称呼が、引用商標からは「アイリー」の称呼がそれぞれ生じるものである。
そこで、前記両称呼を比較検討するに、両者は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭部「アイ」と語尾音の長音を共通にし、第3音の「ニ」と「リ」の音に差異を有するものである。
しかして、「ニ」と「リ」の差異音にしても、子音部において、前者は通鼻音、後者は弾音の差異があるが、共に舌面を上歯茎に接触して発せられる歯茎音で調音部位を同じくし、さらに、母音「i」を共通にするものであって、しかも、比較的聴取し難い中間に位置し両者とも次に続く音が長音であることから、母音である「i」の音が余韻として明瞭に残ること、両者とも共に造語であることを合わせ考えれば、「ニ」と「リ」の音の差異が称呼全体に与える影響は少ないものとなり、両者をそれぞれ全体として一連に称呼したときには、全体の語調、語感が相近似したものとなり、聴者をして、互いに聴き誤らせるおそれがあるものとみるのが相当である。
そうであるなら、本件商標と引用商標とは、外観及び観念について言及するまでもなく、称呼において類似する商標であって、かつ、その指定商品も同一又は類似のものである。このことは過去の審決例(甲第3号証)からも明らかである。
(3)むすび
前記のとおり、本件商標は、引用商標の登録商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、やや右斜めに傾けて黒色で表してなる「INY」の欧文字の左方に、当該「I」の欧文字に平行する黒色縦線及び、その上端部から左斜め下方に向け徐々に太く表し、その下端を当該黒色縦線の下端とそろえてなる黒色曲線並びに、当該黒色曲線の下端左隅を起点とし当該黒色縦線の略中央を超えるまで徐々に太く表してなる黄土色曲線の組合せからなるもの(以下「本件図形」という。)を配してなるものである。
そして、本件図形は、その横幅を当該「I」の欧文字の約5.5倍、同じく、当該「N」及び「Y」の各欧文字の約2.5倍とし、その高さを当該「INY」の各欧文字の約1.8倍とするものであって、当該「INY」の欧文字に比して大きく顕著に表されていることから、本件商標の構成態様において、視覚上、特徴ある部分として看取、把握されるものである。
ところで、近年、需要者の注意を引き、視覚的効果をねらう方法として、各種レタリング文字が商品又は役務の広告、宣伝などにおいて広く用いられている実情があるところ、このような実情を踏まえて本件図形を見る場合、本件図形は、その右方に位置する「INY」の各欧文字と下端がそろっていることとあいまって、その全体形状から欧文字「A」をレタリングしたものとして認識される場合も決して少なくないというのが相当である。
そうとすると、本件商標は、その構成全体をもって「AINY」の欧文字からなるものであって、かつ、その構成中の「A」の欧文字部分について、前記のとおり、大きく顕著に表し、看者の注意を引くようにレタリングしたものとして認識されるものであるところ、当該「AINY」の欧文字は、直ちに特定の意味を有する語として理解されるものではないことから、我が国において普及している英語の発音に倣って、当該構成文字に相応する「アイニー」の称呼を生じ、観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、さして特徴のない書体をもって表された「アイリー」の片仮名と「AILY」の欧文字とを上下二段に横書きした構成からなるところ、当該片仮名部分は下段の欧文字部分の読みを表すものとして認識されるものであり、また、当該各文字部分を構成する文字は、いずれも直ちに特定の意味を有する語として理解されるものではないことから、その構成全体から「アイリー」の称呼を生じ、観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との対比について
本件商標の外観と引用商標の外観とを比較すると、本件商標は、前記4(1)のとおり、その構成全体をもって「AINY」の欧文字からなるとはいい得るものの、その構成中の「A」の欧文字部分は、その他の「INY」の欧文字部分に比べて大きく顕著に表され、かつ、看者の注意を引くようにレタリングされたものであるのに対し、引用商標は、前記4(2)のとおり、さして特徴のない書体による「アイリー」の片仮名と「AILY」の欧文字とを上下二段に横書きした構成からなるものであることから、両商標が外観を異にすることは明らかである。
また、本件商標から生ずる称呼「アイニー」と引用商標から生ずる称呼「アイリー」とを比較すると、両者は、いずれも短い4音(長音を含む。)で構成されるものであって、第3音において「ニ」と「リ」の音の差異を有するものであり、さらに、当該差異音についてみても、前者が口の中を完全に閉鎖し鼻に息を通して調音する通鼻音であるのに対し、後者が調音点を舌が軽く一回弾くように触れて調音する弾音というように、その調音法を異にし、聴覚上、少なからず異なった印象を与えるものであるから、当該差異音がいずれも4音という短い音構成からなる各称呼に及ぼす影響は少なくないといわざるを得ず、これらの称呼をそれぞれ一連に称呼したとしても、聴者をして、容易にその差異を認識でき、十分に聴別可能であると認められるものである。
さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、その外観において明確に相違し、称呼においても聴別し得るものであって、観念においては比較することのできないものであるから、両者は、各々、その指定商品について使用しても、取引者、需要者が商品の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
なお、申立人は、本件商標と引用商標とが類似するとの主張を裏付けるものとして、昭和61年審判第16897号審決(甲第3号証)を挙げるが、当該審決に係る商標と本件に係る商標とはその構成態様を異にするものであって、かつ、その指定商品も相違するものであることから、本件とは事案を異にするものであり、これが本件についての前記判断に影響を及ぼすものとはいえない。
(4)結論
したがって、本件商標は、その指定商品中、第25類「洋服,コート,セータ一類,ワイシャツ類,下着,水泳着,水泳帽,靴下,手袋,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,帽子」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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