Trademark Appeal Case
著名GIの誤認混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900194(T2010−900194/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5313483号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成21年8月13日に登録出願、同22年2月10日に登録査定がなされ、第33類「日本酒」を指定商品として、同22年4月2日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由の要旨
登録異議申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第101号証を提出している。
1 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、別掲に示す構成のとおり、「シャンパー乳」、「Champa〜New」及び「The Japanese Refined Sake」を三段書きにし、その背景をピンク色にし、それを中心として上下に二重の半円が描かれ、外側の円の下部には、「Aperacion Akita Rocgou Coutolore」と「mi sen butteu an Takahashi ltd.」が二段書きで配され、そして内側の円内には「稲穂の図形」が描かれ、さらに円の上部には「蝋の押印」の印のような図形が配された構成よりなる。本件商標の構成中「シャンパー乳」及び「Champa〜New」の文字は、発泡性ぶどう酒の著名な原産地統制名称であって、その使用が厳格に管理・統制されている「Champagne」「シャンパーニュ」あるいは「シャンパン」を容易に想起させるとともに、滑稽で風刺的な印象を与える態様になっており、「Champagne」「シャンパーニュ」あるいは「シャンパン」の著名性を利用しながら顧客の購買意欲を刺激することを意図していることが推認できる。
よって、本件商標は、この著名な原産地統制名称に化体した高い名声及び信用にフリーライドするものであり、これを原産地からかけ離れた特定個人の商標として登録し使用することは、厳格に管理統制されている前記原産地統制名称を稀釈化させるものである。
したがって、本件商標は、公正な取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであって、公の秩序を害するおそれがあるというべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上述の構成よりなるところ、その構成中「シャンパー乳」及び「Champa〜New」の文字は、発泡性ぶどう酒の著名な原産地統制名称であって、その使用が厳格に管理・統制されている「Champagne」「シャンパーニュ」あるいは「シャンパン」を容易に想起させるものであり、本件商標の指定商品に使用された場合は、本件商標に接する取引者・需要者は、本件商標を恰もフランス・シャンパーニュ地方のぶどう生産者及びぶどう酒製造者と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかと誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるいうべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、上述の構成よりなるところ、その構成中「シャンパー乳」及び「Champa〜New」の文字は、発泡性ぶどう酒の著名な原産地統制名称であって、その使用が厳格に管理・統制されている「Champagne」「シャンパーニュ」あるいは「シャンパン」を容易に想起させるものであるから、本性商標を「フランス国北東部に位置するパリ盆地東部の地方(シャンパーニュ地方)産の発泡性のぶど酒」以外の指定商品に使用された場合は、その商品の産地について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 むすび
本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第16号に該当するから、同法第43条の3第2項により、その登録は取り消されるべきものである。
第3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成23年1月18日付けで商標権者に対し通知した取消理由は次のとおりである。
1 Champagne(シャンパン)の著名性について
(1)「コンサイスカタカナ語辞典」(1996年10月1日株式会社三省堂発行)(甲第2号証)によれば、437頁には、「シャンパン」(Champagne)の見出しの下に「発泡ワインの一種,フランス北東部シャンパーニュ地方産の美酒。白ぶどう酒に糖分を加え発酵させ、香料を配し、びん詰にして1年以上貯蔵する。多量の炭酸ガスを含みさわやかな香味をもつ。祝宴に多く用いられる。シャンパーニュ地方以外でつくられる発泡ワインはスパークリング−ワインと呼んで区別される。」旨の記載がある。
(2)「広辞苑 第5版」(1998年11月11日株式会社岩波書店発行)(甲第3号証)によれば、1248頁には、「シャンパーニュ」(Champagne)の見出しの下「フランス北東部、パリ盆地東部の地方(州)。ブドウ栽培・シャンペン製造で知名。中心都市ランス」との記載があり、また「シャンパン」(Champagne)の見出しの下「発泡性の白葡萄酒。厳密にはフランス北東部シャンパーニュ地方産のものを指す。」旨の記載がある。
(3)「新版 世界の酒事典」(1982年5月20日株式会社柴田書店発行)(甲第4号証)によれば、228頁には、「シャンパン」(Champagne)の見出しの下「フランスのシャンパーニュ地方でつくられているスパークリング・ワイン。正式の名称をバン・ド・シャンパーニュ(Vin de Champagne)という。世界の各地で、各種のスパークリング・ワインがつくられているが、このうちシャンパンと呼ばれるものは、フランスのシャンパーニュ地方、特にプルミュール・ゾーン(ランス山とマルヌ谷との一等地)、ドゥジェーム・ゾーン(マルヌ県のうち一等地以外の村落群)産のスパークリング・ワインにかぎると1911年の法律で定められている。」との記載がある。
(4)「明治屋酒類辞典」(昭和63年8月1日株式会社明治屋本社発行)(甲第5号証)によれば、201頁には、「Champagne(仏)(英)シャンパン」の見出しの下「フランスの古い州の名『シャンパーニュ』をとってワインの名に用いたものである。現在『統制された名称』であって、何ら形容詞を付けないで単に『シャンパーニュ』と称する資格を有するのは、マルヌ県の一定地域のブドウを原料にし、その地域内で、『シャンパン法』でつくった『白』スパークリングワインである。最高生産量にも制限があって、それを越えた部分には形容詞がつく。」との記載があり、209頁ないし212頁には、「統制名称」の見出しの下「シャンパンは、詳しくは『ヴァン・ド・シャンパーニュ』であるが『シャンパーニュ』という地名を名乗るには資格がいる。1908年(明治41年)初めて法律ができて、『シャンパーニュ』という名称が『法律上指定された』名となった。」、「要するにシャンパンの条件は(ア)シャンパン地区の生産であること。(イ)シャンパン法(ビン内で後発酵を行い、発生したガスをビン内に封じ込める)で製造したものであること。(ウ)白ワインであること。(原料ブドウには黒ブドウと白ブドウとを、メーカーの秘伝の比率で混和するけれど、でき上がりは白ワインである)(エ)その年度の最高の生産高に制限があること、の4条件を具えなければならない。」、「戦前、我が国でもシャンパンの名称を乱用した歴史があるが、敗戦の結果、サンフランシスコ講和条約の効果として、マドリッド協定に加入を余儀なくされ、以来フランスの国内法を尊重している。」及び「供し方の注意」の見出しの下「(6)乾杯用に用いられるのは、ポンという景気のよい爆音、黄金色の酒の美しさ、泡立ちの快さによる。」との記載がある。
(5)「ワイン紀行」(1991年9月25日株式会社文藝春秋発行)(甲第6号証)によれば、「第IV章 シャンパーニュの村」の見出しの下「シャンパンは特殊なワインだ。炭酸ガスの泡の出る白ワインである。二回発酵させる、熟成期間が長いなど、人手が随所に介入し作り上げる“人工”のワインである。瓶に詰めてからも最低1年間は製造元の醸造庫に置くことが義務づけられている。これを怠れば『シャンパン』と呼ばれる資格がない。」との記載がある。
(6)「洋酒小事典」(昭和56年6月15日株式会社柴田書店発行)(甲第7号証)によれば、95頁には、「シャンペン Champagne」の見出しの下に「フランスのシャンパーニュ地方でつくられているスパークリング・ワインの総称。」との記載がある。
(7)「田崎真也のフランスワイン&シャンパーニュ事典」(1996年9月30日日本経済新聞社発行)(甲第9号証)によれば、「ソムリエ世界一が案内するフランスワイン銘醸地紀行」の見出しの下「私たちはシャンパーニュという言葉を聞いただけで、心が浮き浮きしてくる。それだけシャンパーニュは特別な意味を持ったワインなのだ。近頃は日本でもシャンパーニュが本格的にレストランやワインバーで飲まれるようになったのはうれしい限りだ。日本の結婚式でも、本当のシャンパーニュが使われるようになってきた。わざわざ『本当のシャンパーニュ』と断らなければならないのは、今まであまりにも『偽物の』シャンパーニュが横行していたからだ。」との記載がある。
(8)「フランスのワインとスピリッツ」(1987年フランス食品振興会発行)(甲第8号証)によれば、18頁ないし20頁には、「ワインの分類」の項に「EC(欧州共同体)の規則に従って、ワインはテーブル・ワインとV.Q.P.R.D.(指定地域優良ワイン)の2つの等級に分類される。フランスでは、この2つの等級がさらにそれぞれに2分されるので、フランスワインは次のように4つのカテゴリーに分類されている。(1)A.O.C.(原産地統制名称ワイン)(2)V.D.Q.S.(上質限定ワイン)(3)ヴァン・ド・ペイ(地酒)(4)ヴァン・ド・ペイを除いたテーブルワイン」との記載及び「産地別A.O.C.ワイン一覧表」中に「シャンパーニュ CHAMPAGNE」との記載がある。
(9)「最新版 The ワイン & コニャック アルマニャック」(昭和62年10月14日第一刷、読売新聞社発行)(甲第10号証)によれば、「シャンパンでディナーを」の見出しの下「シャンパーニュ地方でつくられる、発泡酒だけに名付けられるシャンパン」との記載がある。
(10)「世界の酒4シャンパン」(1990年6月30日株式会社角川書店発行)(甲第11号証)によれば、6頁には、「シャンパーニュの丘」の見出しの下に「シャンパーニュのワインの歴史に、さらにひとつの栄光のエピソードが加わった。それは発泡性のワインの誕生である。この画期的な発見、発明は、その後の研究者たちの努力によって、発泡性ワイン、シャンパンの名声を、ヨーロッパのみならず世界的なものにしたのであった。」との記載があり、8頁には、「シャンパーニュのぶどう畑」の見出しの下「シャンパーニュには、他の産業もいろいろとあるが、何といってもシャンパンで世界的に知られている。」との記載がある。
(11)「ザ・ワールドアトラス・オブ・ワイン」(1991年5月27日第1刷、日本映像出版株式会社発行)(甲第12号証)によれば、110頁には、「シャンパーニュ」の見出しの下「シャンパンがどれも、世界中の他のどんな発泡性ワインにも勝るというのは言い過ぎだろう。さまざまなシャンパンがあるのだから。しかし、申し分ないシャンパーニュには、さわやかさと鋭敏さ、芳醇さ、混じりけのなさといったものの組み合わせ、それに優しく刺激してくれるアルコールの強さが見られ、他の追随を許さない。」との記載がある。
(12)「世界のワインカタログ 1999 by Suntory」(1998年12月1日サントリー株式会社発行)(甲第13号証)によれば、242ページには、左上に「シャンパーニュ」の文字を小さく「Champagne」の文字を大きく横二段に表し、「シャンパーニュ(Champagne)A.O.C.ワイン地域図」の見出しの下にその地域図の記載があり、243頁には、「シャンパーニュ」の見出しの下「フランスの葡萄産地としては最北部にあたるシャンパーニュは、言うまでもなく、あのシャンパンの産地です。この地でつくられるスパークリングワインのシャンパンは、スパークリングワインの代名詞として使用されるほど、世界的で最も有名なワインのひとつです。その名にふさわしく、大変手間のかかる伝統的な手法をかたくなに守り続けて、素晴らしい風味を生み出しています。」との記載がある。
(13)「料理王国1月号別冊 季刊ワイン王国 NO.5」(2000年1月20日株式会社料理王国社発行)(甲第14号証)によれば、80頁には、「ひとくちにシャンパンといっても一様でないのはそれもそのはず、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会(C.I.V.C.)がまとめているすべての醸造元の数は5200にものぼる。委員会は、シャンパン消費量上位10カ国に外国事務所をおいて、『シャンパンと呼べるのは、シャンパーニュ地方産スパークリングワインだけ』ということを訴えてきたが、’93年頃から『5200の醸造元があれば5200様のシャンパンがある』ということもアピールするようになった。」との記載がある。
(14)「世界の名酒事典’80改訂版」(昭和55年5月30日株式会社講談社発行)(甲第15号証)によれば、248頁には、「シャンパンの故郷ランス」の見出しの下「パリから約百七十キロ東へ行くと、ランスという古い町がある。この町から南一帯をシャンパーニュ地方といい、この地方で作られる発泡性のワインをシャンパンという。ここがシャンパンの故郷である。」との記載のほかにシャンパンの特徴及び製造法及び地理についての記載がある。また、「世界の名酒事典」の’82−’83年度版(甲第16号証)、’84−’85年度版(甲第17号証)、’87−’88年版(甲第18号証)、’90年版ないし’99年版(甲第19号証ないし甲第28号証)及び2000年版(甲第29号証)においてもほぼ同内容の記載がある。
(15)「世界の名酒事典’87−’88年版」(昭和62年6月9日株式会社講談社発行)(甲第18号証)によれば、378頁には、「スパークリング・ワイン」の項に「シャンパーニュ地方は、17世紀まではふつうのワインを作っていたが、1670年、ドン・ペニリヨン僧の功績によりシャンパンの生産地となった。以来、フランスのぶどう生産地としては最も北に位置するが、白亜質の土壌と伝統的な技術のもとにすばらしい発泡酒をつくっている。正確な意味でシャンパンを名のれる発泡酒は、この地方で生まれた発泡酒だけである。」との記載がある。また、「世界の名酒事典」の’84−’85年度版(甲第17号証)、’90年版ないし’99年版(甲第19号証ないし甲第28号証)、2000年版(甲第29号証)及び2001年版ないし2003年版(甲第30号証ないし甲第32号証)においても同じ内容の記載がある。
(16)「The 一流品 決定版」(1986年4月17日読売新聞社発行)(甲第33号証)によれば、260頁には、「スパークリングワイン シャンパン」の見出しの下部に「スパークリングワイン、発泡性で炭酸ガスを多量に含んだワインである。いちばん有名なのがシャンパン。フランスではマルヌ、オーブ、エーヌ、セーヌ・エ・マルヌ四県のブドウ畑でとれたものを原料にしたものだけをほんとうのシャンパンと証明している。祝祭典や結婚式、誕生日などの華やいだ場所で乾杯用として使われる、歓びを演出する酒でもある。」との記載があり、以下に著名なシャンパンが紹介されている。また、同誌PART2(1987年4月20日発行(甲第34号証))、PART3(1988年5月6日発行(甲第35号証))及びPART4(1989年6月16日発行(甲第36号証))にも同様の趣旨の記載がある。
(17)「家庭画報特選 Made in EUROPE ヨーロッパの一流品 女性版」(昭和57年11月1日株式会社世界文化社発行)(甲第37号証)によれば、198頁には、「女性を美しくする唯一の飲み物−シャンパン」の見出しの下に、「シャンパンという名称は、フランスのシャンパーニュ地方で造られる発泡性ワイン(スパークリング・ワイン)の総称で、それ以外のものは単にスパークリングと呼ばれます。」との記載がある。
(18)「家庭画報編女性版 世界の特選品’84」(昭和58年11月1日株式会社世界文化社発行)(甲第38号証)によれば、217頁には、「CHAMPAGNE シャンパン」との見出しの下「パリから170キロ東の、ランスより南一帯がシャンパーニュ地方。ここでつくられる発泡性ワインがシャンパンです。」との記載がある。
(19)「男の一流品大図鑑’86年版」(昭和60年12月1日株式会社講談社発行)(甲第39号証)によれば、191頁には、CHAMPAGNE(シャンパン)が一流品の一つとして紹介されており、同誌’87年版(昭和61年12月1日発行)(甲第40号証)及び’88年版(昭和62年12月1日発行)(甲第41号証)においても同様にCHAMPAGNE(シャンパン)が一流品の一つとして紹介されている。
(20)「はじめてのシャンパン&シェリー」(1999年株式会社宙出版発行)(甲第42号証)によれば、132頁には、「一目で分かるシャンパンのデータ」の見出しの下、1998年における上位10カ国へのフランスからの国別出荷量等がグラフにより示されており、我が国への出荷量については、イギリス、ドイツ、アメリカ、ベルギー、スイス、イタリアに次いで多く298万本(750ml、以下同じ。)であること及びフランスからの総出荷量は、1993年が22909万本、1998年が29246万本であって、この間ゆるやかに上昇を続けている旨の記載がある。
(21)昭和64年1月5日付け日本経済新聞夕刊(甲第43号証)によれば、「シャンパン(産地)」との見出しの下「シャンパンはフランス・シャンパーニュ地方で造られたスパークリングワイン(発泡酒)のこと。グラスに注ぐと軽やかな細かい泡が立つ華やかなワインだ。シャンパーニュ地方はパリの北東、約百七十キロにあり、同国のブドウ産地では最も北に位置する寒い地域。」との記載がある。
(22)平成元年6月13日付け日本経済新聞夕刊(甲第44号証)によれば、「シャンパン人気急上昇中」の見出しの下「結婚披露宴の乾杯用かクリスマス・ディナーの小道具−−これまで限られた出番に甘んじていたシャンパンなど発泡性ワインの人気が急上昇している。」などを内容とする記事があり、また「発泡性ワイン輸入量5割増」との見出しの下「現在ではフランスの原産地名称国立研究所(INAO)により、『シャンパン』と名のれるのはその『生誕地』シャンパーニュ地方の発泡性ワインのみと規定されている。」との記載がある。
(23)平成2年1月11日付け日本経済新聞夕刊(甲第45号証)によれば、「シャンパン」の見出しの下「はじける泡や優雅な味のシャンパン。結婚披露宴やクリスマスパーティーだけでなく、入学式や誕生日などにも登場することが多くなった。炭酸ガスを含む発泡性ワインは各国にあるが、『シャンパン』を名乗れるのはフランスのシャンパーニュ地方産だけ。しかも、ワインに酵母などを加えて、ビン内で二次発酵して製造したものに限られている。最近のパーティーブームに加えて、昨年4月の酒税改正で2割程度価格が下がったことから、人気急上昇。」との記載がある。
(24)平成2年1月27日付け朝日新聞(甲第46号証)によれば、「日本の昨年のシャンパン輸入が初めて百万本を突破し、前年に比べて実に66.65%増の128万本に達した・・・日本の輸入の伸び率は世界一。輸入量も、カナダの147万本に次いで世界第10位にのし上がった。」との記載がある。
(25)平成2年11月16日付け朝日新聞(甲第47号証)によれば、「商品の外国地名使用ご用心」との見出しの下「祝賀パーティーの乾杯に欠かせないシャンパンといっても、厳密には『シャンパン』と『スパークリング(発泡性)ワイン』の区別がある。どちらも泡の立つ白ワインに違いはないが、前者はフランスのシャンパーニュ地方産、後者はそれ以外の国や地域で製造されたものをさす。・・・欧州共同体(EC)は『スパークリング・ワイン』を勝手に『シャンパン』として売るな、と主張している。」との記載がある。
(26)平成3年4月27日付け朝日新聞(甲第48号証)によれば、「スパークリングワイン」の見出しの下「・・・スパークリングワインが最近、人気を集めています。お祝いの席の乾杯の酒から、友人たちといつでも気軽に楽しめる飲み物に変わってきているようです。代表的な銘柄であるシャンパンの高級品は一本数万円しますが、・・・」との記載があり、「シャンパンはシャンパーニュ地方で、瓶内発酵法によってつくるなど、法律で基準が細かく決まっており、この地方以外でつくられるスパークリングワインをシャンパンと呼ぶのは禁止されている。」との記載がある。
(27)平成4年7月27日付け毎日新聞夕刊(甲第49号証)によれば、「ワインの里を疾走」との見出しの下「『シャンパン』はフランスのシャンパーニュ地方だけで作られるワインの発泡酒の名称。」との記載がある。
これらの認定事実によれば、「Champagne」の語は、フランス北東部の地名であり、同地で作られる発泡性ぶどう酒をも意味する語であること、生産地域、製法、生産量など所定の条件を備えたぶどう酒についてだけ使用できるフランスの原産地統制名称であること、「Champagne」を表す邦語として「シャンパン」及び「シャンパーニュ」が普通に使用されていること、シャンパンが発泡性ぶどう酒を代表するほど世界的に著名であること、我が国において数多くの辞書、辞典、事典、書籍、雑誌及び新聞などにおいてシャンパンについての説明がなされていること、世界の名酒事典などにおいてシャンパンの具体的製品が紹介されていること、ポンという景気のよい爆音、黄金色の酒の美しさ、泡立ちの快さなどから乾杯用としてシャンパンが用いられることが多いこと及び我が国の1998年におけるシャンパン輸入量が世界第7位で298万本(750ml)と多いことなどが認められ、これらを総合すると、我が国において、本件商標の登録出願当時(平成21年〔2009年〕8月13日)はもとより登録査定時(同22年〔2010年〕2月10日)を含むその後においても、「Champagne」、「シャンパン」及び「シャンパーニュ」の語は、「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして、一般需要者の間に広く知られていたといわざるを得ない。
3 商標法第4条第1項第7号の該当性について
本件商標は、別掲に示す構成のとおり、造語と認められる「シャンパー乳」「Champa〜New」及び「日本の清酒」の意を認識させる「The Japanese Refined Sake」を三段書きにし、その背景を桃色にし、それを中心として上下に二重の半円が描かれ、外側の円の下部には、「Aperacion Akita Rocgou Coutolore」と「mi sen butteu an Takahashi ltd.」とが二段書きで配され、そして内側の円内には「稲穂の図形」、更に円の上部には「蝋の押印」の印のような図形が配された構成よりなるものであるところ、その構成中の「シャンパー乳」「Champa〜New」の文字と他の構成文字、図形とは、一体不可分のものとは認められないから、その構成中の「シャンパー乳」の文字より、「シャンパーニュウ」の称呼を生じ、また、「Champa〜New」の文字からも、該構成に照らして、「シャンパーニュー」の称呼を生じるものである。
ところで、「CHAMPAGNE」「シャンパーニュ」及び「シャンパン」については、前記2の認定のとおり、「発泡性ぶどう酒『シャンパン』の産地名」「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして一般需要者の間に広く知られているものであり、フランスにおける「Champagne」の名称の保護に関しては、前記認定事実のほか、「フランスのワインとスピリッツ」(1987年フランス食品振興会発行)(甲第8号証)によれば、フランスでは、原産地名称国立研究所(I.N.A.O.)によって、A.O.C.(原産地統制名称ワイン)は、その製造が、厳格な規則を充たすものでなければならず、原産地、品種、最低アルコール含有度、最大収穫量、栽培法、剪定、醸造法及び場合によっては熟成条件などの基準が決定されていること、その名称を使用することができるためには、様々な基準に合うように製造され、更に鑑定試飲会の検査に合格しなければならないことなどが記載されていること、「シャンパーニュ」「CHAMPAGNE」がA.O.C.ワインであること、フランスでは、1935年7月30日に原産地統制名称についての政令を制定し、I.N.A.O.は原産地統制名称のぶどう酒が満たすべき生産地域、ぶどうの品種、収穫量、最低アルコール純度、栽培方法、醸造方法などの条件を定めることができ、また、フランス国内及び国外で原産地統制名称を保護することができる旨などを規定していること(甲第52号証、甲第53号証、甲第55号証及び甲第56号証)、原産地統制名称「CHAMPAGNE」の条件を定めている(甲第54号証及び甲第55号証)こと、I.N.A.O.は、請求人などとともにフランス国内及び国外で原産地統制名称の保護の活動をしている(甲第52号証、甲第53号証、甲第55号証ないし甲第58号証、甲第65号証ないし甲第67号証)ことの各事実が認められる。
そうとすれば、本件商標から生ずる称呼「シャンパーニュウ(ー)」が上記「CHAMPAGNE」の読みの片仮名表記「シャンパーニュ」を含み、シャンパーニュ産の発泡性ぶどう酒「Champagne(シャンパン)」を連想・想起させるものであるから、これをその指定商品について使用するときは、「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして、登録出願時はもとよりその後においても我が国の一般需要者の間に広く知られているものであること並びにフランスシャンパーニュ地方のぶどう生産者及びぶどう酒製造者が永年その土地の風土を利用して優れた品質の発泡性ぶどう酒の生産に努めてきたこと及びフランスが国内法令を制定し、1935年以降I.N.A.O.等が中心となって原産地名称を統制、保護してきた結果、該語よりなる表示の著名性が獲得されたものであることを併せ考慮すれば、著名な「CHAMPAGNE」「シャンパン」の表示へのただ乗り(フリーライド)及び同表示の希釈化(ダイリューション)を生じさせるおそれがあるばかりでなく、シャンパーニュ地方のぶどう生産者及びぶどう酒製造者はもとより国を挙げてぶどう酒の原産地名称又は原産地表示の保護に努めているフランス国民の感情を害するおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、公正な取引秩序を乱し、国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがあるものといわざるを得ず、商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対して、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
本件商標についてした上記第3の取消理由は、妥当であって、本件商標の登録は、その理由に示すとおり、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、その余の理由について判断するまでもなく、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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