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Trademark Appeal Case

称呼類似「リベロ」と「リバロ」

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900317(T2010−900317/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5336858号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5336858号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成22年1月14日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,人工受精用精液,はえ取り紙」を指定商品として、同年6月24日に登録査定、同年7月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下のとおりである。

(1)登録第4600557号商標(以下「引用商標1」という。)は、「リバロ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成13年10月25日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」を指定商品として、平成14年8月30日に設定登録されたものである。

(2)登録第4306418号商標(以下「引用商標2」という。)は、「LIVALO」の欧文字を横書きしてなり、平成10年8月26日に登録出願、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」を指定商品として、平成11年8月20日に設定登録されたものである。

なお、引用商標1及び2は、いずれも現に有効に存続しているものであり、これらの商標をまとめていうときは、「引用各商標」という。

3 登録異議申立ての理由(要点)

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標から「リベロ」、引用各商標からは「リバロ」の自然称呼が生じるところ、両称呼は3音構成であり、僅かに中間の第2音において「ベ」と「バ」の音に相違があるにすぎない。そして、当該中間音は何れも50音図の「バ」行音に属し、調音位置及び調音方法を同じくし、特に子音「b」が明瞭に発音されて母音の差による影響の少ない相近似する音である。

してみれば、本件商標と引用各商標を全体として一連に称呼するときは自ずと相紛らわしい語韻語調となり、時と所を異にした商取引において彼此誤認混同を生じるおそれは必至である。

したがって、本件商標は、引用各商標と称呼上類似の商標であり、かつ、指定商品も相抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、「リバロ」及び「LIVALO」商標を平成15年9月から医薬品(高脂血症治療薬)に使用しているものである(「リバロ錠」の添付文書:甲第3号証)。

その結果、当該商標を使用した医薬品の売上高は、スタチン系高脂血症治療薬の分野において、2006年度第4位、2007年度第4位、2008年度第3位、2009年度第3位と、それぞれ高位にランキングされており、医薬品業界において申立人の当該高脂血症治療薬を知らない者はいないのが実状である(「薬事ハンドブック2010」株式会社じほう発行:甲第4号証、「ミクス/2010年7月号」エルゼビア・ジャパン株式会社発行:甲第5号証)。

「リバロ」及び「LIVALO」商標が、遅くとも本件商標の出願前には「医薬品」の商標として周知著名となっていたことは明らかである。

してみれば、仮に百歩を譲り、本件商標と引用各商標が非類似の商標であったとしても、本件商標を医薬品はもとより、他の指定商品に使用した場合には、取引者・需要者に他人たる申立人の業務に係る商品であることを想起させ、あるいは申立人と何らかの関連性のあることを想起させ、その出所について混同を生じせしめるおそれは必至である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲のとおり、クラデーションを施した「リ」「ベ」「ロ」の各文字部分の右下に影を有するように表した片仮名と、これの冒頭「リ」の文字部分に掛かるように麦の穂の如き図形とを組み合わせた商標である。

そして、広辞苑(第6版)によれば、「リベロ」の語は、「【libero(イタリア)】(「自由な」の意)サッカーで、通常はゴール前を守るが、自由に攻撃にも参加する選手。」の意味を有している。

してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して、「リベロ」の称呼及び「サッカーのポジションとしてのリベロ」の観念を生ずるものである。

一方、引用商標1は、「リバロ」の片仮名を標準文字で表してなり、引用商標2は、「LIVALO」の欧文字を横書きしてなるものであるから、引用各商標からは、「リバロ」の称呼を生じ、特に観念は生じないものというべきである。

そこで、本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標は、別掲のとおり、クラデーションを施した「リ」「ベ」「ロ」の各文字部分の右下に影を有するように表した片仮名と、これの冒頭「リ」の文字部分に掛かるように麦の穂の如き図形とを組み合わせた商標であるのに対して、引用各商標は、いずれも文字のみからなるものであるから、全体の外観から受ける視覚的印象においても明らかな相違があるものというべきであり、これを時と処を異にして離隔的に観察するも、通常の注意力をもってすれば、両者の外観を見誤ることはないものといわなければならない。

また、観念においては、本件商標は、前記のとおり、明確な観念を有するものであるのに対し、引用商標は、特定の観念を生じないものであるから、両商標からは同一の観念が生じることはなく、観念上も区別し得るものである。

そして、称呼においては、本件商標の称呼が「リベロ」であるのに対し、引用商標の称呼は「リバロ」であるところ、両称呼は、中間における「ベ」と「バ」の音の差異を有し、この両音は、いずれも有声の破裂音であって、それ自体響きの強い音であり、明瞭に発音・聴取される音であるから、中間部分における差異とはいえ、この差異が3音という極めて短い音構成からなる両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、彼此相紛れるおそれはないものとみるのが相当である。

その他、本件商標と引用各商標とを類似するものとすべき理由は見出せない。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

「薬事ハンドブック2010」(株式会社じほう発行:甲第4号証)によれば、111頁から112頁にかけて、「・・・『リバロ』(興和,第一三共)といった『ストロング・スタチン』の新商品にシェアを奪われている・・・リバロも興和と第一三共の合計で300億円へと35億円増加した・・・(表2)。」の記載があり、112頁の「表2 高脂血症治療薬売り上げ(単位:億円,出荷ベース)」の見出しの表において、スタチン系の4番目には、「主要品目」の欄に「リバロ」、「販売企業」の欄に「興和」、「2006年度推計」の欄に「175」、「2007年度推計」の欄に「210」、「2008年度推計」の欄に「240」の記載があり、また、スタチン系の8番目には、「主要品目」の欄に「リバロ」、「販売企業」の欄に「第一三共」、「2006年度推計」の欄に「45」、「2007年度推計」の欄に「55」、「2008年度推計」の欄に「60」の記載がある。

また、「MONTHLY/ミクス/2010年7月号」(エルゼビア・ジャパン株式会社発行:甲第5号証)によれば、「09年度売上高上位品目(100億以上)」の見出しの表において、「製品名」の欄に「リバロ(ロの文字の右肩には、*が表示されている。)」、「薬効分類・主な適応」の欄に「スタチン」、「企業名」の欄に「興和創薬」、「08年度売上高(億円)」の欄に「280」、「09年度売上高(億円)」の欄に「330」の記載がある。

そうとすれば、「リバロ」が、スタチン系高脂血症治療薬の名称として、高脂血症治療薬の分野における医療関係者及びその取扱い業者の間において、本件商標出願前より、申立人又は第一三共の業務に係る商標として相当程度認識されているものということができる。

しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本件商標と引用各商標とは、互いに十分に区別できる非類似の商標といえるものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これが申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

(3)むすび

以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも該当しないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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