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Trademark Appeal Case

地名・普通名称と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2011−600008(T2011−600008/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「みそ」に使用するイ号標章は、登録第5216143号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5216143号商標(以下「本件商標」という。)は、「金紋」の文字を標準文字で表してなり、平成20年8月8日に登録出願、第30類「みそ,菓子及びパン,うま味調味料」を指定商品として、同21年3月19日に設定登録されたものである。

第2 イ号標章

被請求人が商品「みそ」に使用している標章(以下「イ号標章」という。)は、「信州金紋味噌」の文字を書してなるものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 判定請求の必要性

(1)請求人は、本件商標の商標権者であり、被請求人は、商品「みそ」にイ号標章を使用している(甲第1号証の1及び2)。

(2)請求人は、被請求人に対し、平成22年11月10日付けで、イ号標章の使用は、本件商標に係る商標権を侵害するものである旨の警告をした(甲第2号証)。

(3)被請求人からは、請求人に対し、同年11月29日付けで、イ号標章には先使用権があること及びイ号標章は、産地表示「信州」を冠した態様であるため、本件商標との混同を防止する表示として機能している旨回答した(甲第3号証)。

(4)しかしながら、上記(3)の回答には、イ号標章の使用実績を裏付ける証拠はないため、先使用権の存在を確認することはできない。また、イ号標章は単に産地表示「信州」を冠した態様であるため、本件商標と混同を防止する表示として十分ではない。

したがって、請求人は当該回答には承服することができないため、本件商標の商標権の効力の範囲について、判定を求め、その判定に基づいて今後の法的措置等を検討する次第である。

2 イ号標章の説明

被請求人は、漬物の製造販売を主たる業務とする法人であり、イ号標章である「信州金紋味噌」を付した商品「みそ」を製造し、インターネットによる通信販売及び長野県内の10店舗において販売している(甲第1号証の1及び2)。

なお、被請求人は、前記の回答においてイ号標章を約30年前から商品「みそ」に使用している旨述べているが、それを証明する証拠が示されていないため、使用開始時期は不明である。

他方、請求人は、大正8年に創業し、遅くとも昭和31年より商品「みそ」に本件商標「金紋味噌」の使用を開始している(甲第4号証)。

また、請求人は、本件商標とは別に、「みそ」その他の商品を指定商品とする商標登録第5299673号(甲第6号証の1)及び同第5299674号(甲第6号証の2)を所有している。

3 イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明

本件商標は、「金紋」の文字を書してなり、これより「キンモン」の称呼を生ずるものであり、「金箔をおした、または金漆で書いた家紋」(大辞林)を意味する語(甲第7号証)であることから、かかる観念を生じるものである。

他方、イ号標章は、「信州金紋味噌」の文字を書してなるところ、構成中の「信州」の文字部分は、被請求人が商品「みそ」を製造及び販売している長野県の別称として知られており、被請求人も「信州」の文字部分は産地表示であることを認めているものである。さらに、構成中の「味噌」の文字部分は、単に商品の普通名称を表示したにすぎない文字である。

そうとすると、イ号標章中で自他商品の識別標識となり得るのは「金紋」の文字部分のみであり、該文字部分に相応して「キンモン」の称呼及び「金箔をおした、または金漆で書いた家紋」の如き観念が生ずるものである。

したがって、本件商標とイ号標章とは、外観が相違するとしても、要部において「キンモン」の称呼、「金箔をおした、または金漆で書いた家紋」の観念を共通にし、商品の出所の混同を生じさせるおそれがある類似の標章というべきである。

そして、本件商標の指定商品「みそ」とイ号標章の使用商品「みそ」とは同一の商品である。

以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章であり、その使用商品と指定商品も同一であるから、被請求人が商品「みそ」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

よって、請求の趣旨のとおり判定を求める。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、商品「みそ」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属さない旨の判定を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べている。

1 本件商標の説明

本件商標は、標準文字の「金」と「紋」を横書きする外観を有するものであり、該文字から「キンモン」の称呼と、「金又は金色の紋章」という外見的な観念が生じるものである。

請求人は、「金紋」の観念を特定の辞典(大辞林)に求め、「金箔をおした、または金漆で書いた家紋」といった古風な意味合いで限定的に捉えようとしている。現代社会では、金メッキや各種金色塗料で「金色」が一般的である事実や、また、「家紋」に限らず「社寺紋」などの「由緒ある紋章」も広く含み得るとみるのが通念である。

そうとすれば、本件商標からは、取引者及び需要者をして「金又は金色の紋章」といった外見的な観念が生じる。

2 イ号標章の説明

イ号標章は、漢字の「信州」、「金紋」及び「味噌」を一連に横書きしてなる外観を有するものである。構成中の「味噌」は、商品そのものであるから要部としては「信州金紋」であって、「シンシュウキンモン」の称呼が生じるものである。「信州」は「金紋」の修飾語であり、要部「信州金紋」が一体として商品「味噌」を修飾するものであるから、「信州」と「金紋」に分離することはできない。そして、「信州金紋」と云うにおいてはそれなり「信州」に関わる格式や由緒を伴う。現実に「信州金紋」として成り得る具体例を挙げろと言われれば、信濃国一之宮である諏訪大社の神紋「三ツ葉根あり梶の葉」、長野善光寺の寺紋「立ち葵」、真田氏の家紋「六文銭」などが歴史的に実在して来ているがゆえ、「北海道金紋」などのような架空的意味合いに比べ、現実性の強い印象を持っている。

したがって、イ号標章からは、「信州の金紋」或いは「信州所在又は由来の金紋」という観念が生じるものである。

3 類否関係

イ号標章は、外観上及び称呼上、本件商標と非類似である。さらに、本件商標の観念は、「金又は金色の紋章」であって、他方、イ号標章の観念は、「信州所在又は由来の金又は金色の紋章」であるから、観念上も非類似である。観念「信州の金紋」(信州所在又は由来の金又は金色の紋章)の方が外見的な観念「金紋」(金又は金色の紋章)よりも地域的な物語性や歴史的な言い伝えを豊かに惹起できるがゆえ、観念非類似となる。

したがって、イ号標章は本件商標と要部を異にし、非類似であって、本件商標の商標権の効力の範囲に属さないものである。

第5 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は、前記第1のとおり、「金紋」の文字を書してなるところ、該文字に相応し「キンモン」の称呼を生じ、「金箔を押し、または金漆で書いた紋所」(広辞苑第六版)の観念を生じるものと認められる。

2 イ号標章について

イ号標章は、前記第2のとおり、「信州金紋味噌」の文字を書してなるところ、構成中の「信州」の文字は、「信濃国の別称」であって、長野県地方を表す語として一般に使用されている語であり、また、「金紋」の文字は、「金箔を押し、または金漆で書いた紋所」を意味するものであり、「味噌」の文字は、「調味料の一つ。大豆を主原料に、米または大麦、大豆の麹と塩とをまぜて発酵させて製したもの」(いずれも「広辞苑第六版」より)であり、使用に係る商品の普通名称といえるものである。

そして、信州(長野県)は、味噌の産地として広く知られ、「信州」の文字がその産地を表示する語として広く使用されているものである。

また、「金紋」の文字は、上記のとおりの意味合いの語であるところ、「信州」の文字と結びついて特別の意味合いを有するものではない。

そうとすれば、イ号標章は、味噌の産地として有名である「信州」の文字と、「金箔を押し、または金漆で書いた紋所」を意味する「金紋」の文字及び商品を示す「味噌」の文字を一連に表したものであるから「信州(長野県)産の金紋印という味噌」ほどの観念を生ずるものである。

また、構成中の「信州」及び「味噌」の文字部分は、前記のとおり自他商品の識別標識としての機能は極めて弱いかないといえる文字部分であることから、自他商品の識別標識として強く印象づけられる「金紋」の文字に着目し、これより生ずる「キンモン」の称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないというのが相当である。

なお、被請求人は、観念について、イ号標章からは「信州の金紋」(信州所在又は由来の金又は金色の紋章)といった観念が生じ、地域的な物語性や歴史的な言い伝えを惹起できるがゆえに観念上も非類似である旨答弁しているが、前記のとおり、信州(長野県)は、味噌の産地として広く知られており、イ号標章中の「信州」の文字が「金紋」の文字の修飾語として捉えられるというよりは、むしろ産地表示として理解されるものである。

そうすると、イ号標章は、その構成文字全体から「シンシュウキンモンミソ」の称呼及び「信州(長野県)産の金紋印という味噌」ほどの観念を生ずるほか、要部として機能する「金紋」の文字部分より「キンモン」の称呼及び「金箔を押し、または金漆で書いた紋所」の観念をも生ずるものと判断するのが相当である。

3 本件商標とイ号標章の類否について

本件商標は、前記1のとおり、「キンモン」の称呼及び「金箔を押し、または金漆で書いた紋所」の観念を生ずるものである。

他方、イ号標章は、前記2のとおり、「シンシュウキンモンミソ」の称呼を生じ、「信州(長野県)産の金紋印という味噌」ほどの観念を生ずる他、自他商品の識別標識として機能する「金紋」の文字部分より「キンモン」の称呼及び「金箔を押し、または金漆で書いた紋所」の観念をも生ずるものである。

そうとすれば、本件商標とイ号標章は、外観は相違するものであるとしても、両者は、「キンモン」の称呼及び「金箔を押し、または金漆で書いた紋所」の観念を共通にする互いに相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当であり、かつ、イ号標章が使用する商品「みそ」も、本件商標の指定商品に包含されるものである。

したがって、被請求人が商品「みそ」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

よって、結論のとおり判定する。

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