Trademark Appeal Case
商標と指定商品の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2006−23868(T2006−23868/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織物,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー,織物製いすカバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,ビリヤードクロス,布製ラベル」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成16年8月16日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において本願の拒絶の理由に引用された登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2132127号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和61年12月16日に登録出願、第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年4月28日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、指定商品については、同21年7月1日に第11類「ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器,浴槽類,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,家庭用ごみ焼却炉,化学物質を充てんした保温保冷具」、第16類「家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。)」及び第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振り出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,盆,ようじ入れ,ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し,ろうそく立て,家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,はえたたき,ねずみ取り器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,観賞魚用水槽及びその附属品,洋服ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),お守り,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用及び消毒剤用ディスペンサー」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第2353908号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成元年1月24日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同3年11月29日に設定登録され、その後、同13年7月3日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、指定商品については、同16年1月21日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第4427475号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、平成11年12月3日に登録出願、第26類「編みレース生地,刺しゅうレース生地,組みひも,テープ,リボン,房類,ボタン類,針類,編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱(貴金属製のものを除く。),被服用はとめ,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,腕止め,頭飾品,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。),靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具,造花,漁網製作用杼,メリヤス機械用編針」を指定商品として、同12年10月27日に設定登録され、その後、同22年7月27日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(4)登録第4469442号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲5のとおりの構成よりなり、平成10年12月11日に登録出願、第25類「履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く)」を指定商品として、同13年4月20日に設定登録され、その後、同23年3月29日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(5)登録第4805259号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲6のとおりの構成よりなり、平成12年9月29日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同16年9月24日に設定登録されたものである。
(6)登録第4805260号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲7のとおりの構成よりなり、平成12年9月29日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同16年9月24日に設定登録されたものである。その後、商標権の一部取消審判(審判2009−300500)が請求され、同22年6月10日にその指定商品中、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット」について取り消す旨の確定審決の登録がなされたものである。
(7)登録第4871726号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲8のとおりの構成よりなり、平成13年2月2日に登録出願、第24類「布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服,仮装用衣服」を指定商品として、同17年6月17日に設定登録されたものである。
(8)登録第4871727号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲9のとおりの構成よりなり、平成13年2月2日に登録出願、第24類「布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服,仮装用衣服」を指定商品として、同17年6月17日に設定登録されたものである。
(9)登録第4935654号商標(商願2001−58235、以下「引用商標9」という。)は、別掲10のとおりの構成よりなり、平成13年6月26日に登録出願、第25類「履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く)」を指定商品として、同18年3月10日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と各引用商標との類否について
本願商標は、別掲1のとおり、黄色に着色された円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗りの縦長楕円形を2つ並べ、この2つの黒塗りの縦長楕円形の下に、口と思しき両端上がりの弧線を円図形一杯に描いたものからなる図形(以下「本願図形」という。)と、上記図形の下に「Harvey Ball」の欧文字を大きく横書きし、さらに、その下に小さく「Designed by Harvey Ball USA 1963」の文字を書してなるものである。
そして、本願図形部分は、上記のとおり、黄色に着色され、人の笑顔を簡潔、かつ、象徴的に表現したもので看者にほのぼのとした幸福感等を与える商標であると認識されるものであって、看者の注意を強く惹き、印象に残る部分であるといえるから、「Harvey Ball」及び「Designed by Harvey Ball USA 1963」の文字部分と切り離して、自他商品の識別標識としての機能を発揮するものというべきである。
これに対し、引用商標2は、黒線により描いた円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗り縦長楕円形を2つ並べ、その下部に口と思しき両端上がりの弧線を円図形一杯に描いたものからなる図形である。
引用商標3は、黒線により描いた円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗り縦長楕円形を2つ並べ、その下部に口と思しき両端上がりの弧線を円図形一杯に描いたものからなる図形である。
引用商標4は、黒線により描いた円図形内の上部に、目と思しき小さい黒塗り縦長楕円形を2つ並べ、その下部に口と思しき両端上がりの弧線を円図形一杯に描いたものからなる図形と、上記図形の下に「SMILE & SMILEY」の文字を書してなるものである。そして、その図形と文字の構成にあっては、本願商標と同様に、その構成中の図形部分が看者の注意を強く惹き、印象に残る部分であるといえるから、「SMILE & SMILEY」の文字部分と切り離して、自他商品の識別標識としての機能を発揮するものというべきである。
加えて、上記各構成からなる引用商標2ないし4のそれぞれの図形(以下「引用図形」という。)は、いずれも人の笑顔を簡潔、かつ、象徴的に表現したもので看者にほのぼのとした幸福感等を与える商標であると認識される。
そこで、本願商標と引用商標2ないし4を子細に対比観察するならば、円図形内の黄色の着色の有無の違いに加え、目に当たる部分の配置や大きさ、口に当たる部分の線の太さや弧を描く角度などの細部において多少相違するところはあるものの、本願商標と引用商標2ないし4とを対比すれば明らかなとおり、看者に与える印象の骨格を決定付ける図形としての基本的構成は同一であるのに対し、着色の有無以外の相違点は両者を対比観察して始めて認識し得る程度の微差に過ぎず、また、黄色の着色は、左程個性的とはいえず、その有無によって格別異なる印象を与えるものともいい難いから、両者は、図形全体として看者に極めて似通った印象を与える。
上記事情に加えて、本願商標及び引用商標2ないし4の各指定商品には、共に被服や履物等の多数の日用品が含まれているところ、当該商品の性質上、その需要者は、多くの場合、これに付された商標の一見した印象によって商品の出所を識別することが多い実情にあることは、経験則上容易に推認し得るものであることを併せ考慮すれば、本願商標及び引用商標2ないし4を時と場所を異にして離隔的に観察した場合、需要者が両者を区別することは困難であるから、本願商標と引用商標2ないし4は、外観において類似するものというべきである。
したがって、本願商標と引用商標2ないし4は、外観上類似する商標であって、また、引用商標2ないし4の指定商品は、本願商標の指定商品と同一又は類似の商品をそれぞれ含むものであるから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
なお、本願図形と同様な図形を含む商標が、引用商標中の商標と外観上類似するとして、商標法第4条第1項第11号に該当するとした審決の取消請求事件の判決がなされている(平成17年(行ケ)第10247号ないし第10251号、同19年(行ケ)第10162号及び同20年(行ケ)第10217号参照。)。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標のマークは、故ハーベイ・ボール氏が1963年に最初に創作、著作したもので、引用商標に似せたものではなく、登録されるべきである。」旨主張する。
しかしながら、先願主義を採用する我が国商標法においては、仮に請求人が本願図形についての著作権を有するとしても、他人の著作権と抵触する商標の先願登録がある場合において、著作者がこの商標の無効審判を得ることなく、自己の著作物を用いた商標を出願したときに、著作権者からの登録出願を認めるべきものとする規定は存在しないから、本願商標の登録を特別に認めるべき根拠はないというべきである(平成17年(行ケ)第10247号参照)。
イ 請求人は、大阪地裁の判決(平成12年(ワ)第5986号)を引用し、本願商標と引用商標は区別されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人が引用する大阪地裁の判決の内容は、登録商標に係る商標権に基づく禁止権の効力が及ぶ範囲について判示したものであって、商標の登録要件(他人の先願登録商標と同一又はこれに類似する商標)についての判断に関する本件とは、事案を異にするものというべきである。
ウ 請求人は、本願図形は、日本では小学生からお年寄りまで誰でも知っており、「へのへのもへじ」のように一般化されたマークであり、本願商標は引用商標と具体的外観(顔、目及び口の位置、線描等)によって区別されて登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本願図形及び引用図形は、人の笑顔を簡潔、かつ、象徴的に描写したものとして需要者の注意を惹き、強い印象を与えるものであり、本願図形及び引用図形が単純な図形であるとか誰でも知っているからといって、このことから直ちに需要者の注意を惹かないということはできないものであって、自他商品の識別標識としての機能を発揮しないような図形であるということはできない。
エ 請求人は、本願商標の類似商標を所有(審判請求書添付甲第3号証、平成21年5月27日付け上申書添付甲第4号証)していること、あるいは、非類似であるとした審決例(平成10年審判第7673号等)を挙げ、本願商標と各引用商標とは非類似である旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、指定商品又は指定役務の取引の実情を考慮し、当該商標ごとにそれぞれの各構成態様に基づき、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げる登録例及び審決例にあっては、本願商標と商標の構成又はその指定商品を異にするものであり、本件に対する判断までも左右するものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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