Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900353(T2010−900353/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5342957号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年2月15日に登録出願、第25類「洋服、コート,下着,履物」を指定商品として、同年6月23日に登録査定、同年8月6日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである(なお、これらの商標を総称するときには「引用各商標」という。)。
ア 登録第2142801号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和62年5月8日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年5月30日に設定登録されたものであり、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、同21年8月12日に指定商品を第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
イ 登録第2319906号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和63年4月11日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年7月31日に設定登録されたものであり、その後、同13年4月24日に商標権の存続期間の更新登録がされ、同年11月21日に指定商品を第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
ウ 登録第5016584号商標(以下「引用商標3」という。)は、「EVERLAST」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年12月7日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年1月12日に設定登録されたものである。
エ 登録第807954号商標(以下「引用商標4」という。)は、「EVERLAST」の欧文字を横書きしてなり、昭和39年10月19日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同44年2月13日に設定登録されたものであり、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、平成21年6月17日に指定商品を第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
オ 登録第2236210号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和63年4月8日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録されたものであり、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、同22年9月15日に指定商品を第14類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
カ 登録第2167641号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和62年5月8日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年9月29日に設定登録されたものであり、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、同22年1月6日に指定商品を第9類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)引用各商標の周知・著名性について
引用各商標は、申立人が1910年にアメリカにおいて創業以来現在に至るまでの約100年間にわたり、ボクシング用品をはじめとする運動用具、Tシャツ・トレーニングシャツをはじめとする被服等について、日本も含めた世界各国において使用されている商標であり、申立人の業務に係る上記商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されている商標である。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標から生ずる「エバーラスティング」の称呼中の「イング」の音は、消え入るように弱く発音されるものであるから、「エバーラステ」の音が印象・記憶に残るものである。
そうすると、本件商標の称呼と「エバーラスト」の称呼を生ずる引用商標1ないし同3とは、語頭からの「エバーラス」までの音を共通にし、異なるのは「ト」と「テ」の音のみであり、これとても、共に夕行に属する音であって紛らわしいものであるから、両商標は、称呼において類似する。
また、本件商標の欧文字部分は、「永久に続く」の意味合いを表す英語の形容詞であり、引用商標1ないし同3は、「常に」を意味する英語の副詞「EVER」と「続く」を意味する英語の動詞「LAST」が結合されたものであって、全体として「常に続く」、すなわち「永久に続く」の観念を認識させるものであるから、本件商標と引用商標1ないし同3とは、観念においても類似するものである。
そして、本件商標の指定商品と引用商標1ないし同3の指定商品とは、同一又は類似の商品である。
よって、本件商標は、引用商標1ないし同3との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第10号について
前記のとおり、引用商標1ないし同3は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、日本も含めた世界各国の需要者の間に広く認識されている商標である。そして、本件商標は、引用商標1ないし同3に類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、申立人の商標として広く一般に知られている引用各商標と類似し、また、本件商標の構成中の「Everlast」の文字部分から引用各商標を連想、想起するものであり、その構成中の本件商標の指定商品は引用各商標の指定商品と同一・類似又は密接な関連性を有するものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合には、引用各商標と商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第19号について
本件商標の「Everlast」の文字部分は、本件指定商品の分野で使用される必然性のない語であるから、商標権者が自ら考案し引用各商標と偶然に一致したものとは想定し難い。そして、商標権者が申立人の業務に係るボクシング用品やその他の被服の名称として世界的に広く知られている引用各商標について不知であったとは到底考えられないから、本件商標は不正の目的をもって使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲1のとおり、筆記体風の「Everlasting」の欧文字と、その右肩に十字様の図形を配した構成からなるところ、図形部分が欧文字部分と比較して極めて小さく表されており、これらを常に一体のものとして認識、把握されるとみるべき特段の事情も見いだせないものであるから、少なくても欧文字部分は、図形部分から独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすとみるのが相当である。
そして、本件商標の欧文字部分は、筆記体風の書体をもって、連続して表されており、先頭の「E」の文字を除いて小文字で表されていることも相まって、一連一体のものとして認識、把握されるというべきである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「エバーラスティング」の称呼のみを生ずるものであり、「永遠に続く」(「ベーシック ジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店 2009年4月1日発行)の観念を生ずるといえる。
一方、引用商標1ないし同3は、いずれも「EVERLAST」の欧文字からなるところ、その構成中の「EVER」の文字は、「かつて」等の意味を有する英語であり、「LAST」の文字は、「最後の」等の意味を有する英語であるから、その構成文字に相応して、「エバーラスト」の称呼を生ずるものである。しかして、「EVERLAST」の欧文字は、申立人が主張するような意味合いを認識させる場合があるとしても、親しまれた成語でもなく、直ちに特定の意味合いが生ずるものともいえないから、観念は生じないといわなければならない。
そこで、本件商標から生ずる「エバーラスティング」の称呼と引用商標1ないし同3から生ずる「エバーラスト」の称呼を比較するに、両者は、前半の「エバーラス」の音部分を共通にするとしても、後半部分において、「ティング」と「ト」という音構成における顕著な差異を有するものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するも、その語調・語感を異にし、互いに聞き誤るおそれはないものである。
また、本件商標と引用商標1ないし同3とは、その構成全体における外観において明らかな差異を有するばかりでなく、互いのつづり字を比較してみても、両者は、後半部分とはいえ、「ing」の文字の有無の差異を有するものであるから、需要者の通常の注意力をもってすれば、その外観を見誤ることはないというべきである。
更に、引用商標1ないし同3は、観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標1ないし同3とは、観念において比較することができない。
ほかに、本件商標と引用商標1ないし同3とは、これらを同一又は類似の商品に使用した場合に出所の混同を生ずるおそれがあるとみるべき特段の取引の事情も見いだせない。
してみれば、本件商標と引用商標1ないし同3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
前記(1)のとおり、本件商標と引用商標1ないし同3とは、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用各商標が申立人の業務に係る「ボクシング用品」を表す商標として需要者の間に一定程度知られていたものであることは認められるとしても、引用商標4ないし同6は、同1ないし同3と同様の構成からなるものであるから、前記した理由により、本件商標と引用各商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、しかも、両者の商品の関連性も薄いものであるから、本件商標は、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用各商標とは、前記(1)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきであり、また、本件商標は、申立人の提出に係る証拠によって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用をするものであることを認めることができず、ほかに、かかる「不正の目的」をもって使用をするものに該当すると認めるに足りる特段の事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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