Trademark Appeal Case
植物名と原材料表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900360(T2010−900360/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
登録第5344340号商標(以下「本件商標」という。)は、「紫蘭」の漢字及び「SHIRAN」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成22年2月5日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料類」を指定商品として、同年7月13日に登録査定、同年8月6日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)本件商標は、ラン科シラン属の宿根草である「紫蘭」の語に、ローマ字で「SHIRAN」と併記したものであって、何人も「紫蘭」を直感するものである。
(2)本願商標と指定商品との関連をかんがみるに、化粧水、乳液、美容液、ボディシャンプー、ファンデーション等にあっては、「シラン根エキス(紫蘭根エキス)」、「紫蘭エキス」等が商品の原材料として使用されているとともに、「シラン根エキス(紫蘭根エキス)」、「紫蘭エキス」の語が、こうした商品の原材料、品質を表す語として使用されていることから、「紫蘭(SHIRAN)」の語が、本願指定商品の原材料、品質を表す語として認識されることは明白である。
(3)本件商標は、これを指定商品中「紫蘭(SHIRAN)を原材料とした商品」に使用するときは、単に本件商標の指定商品の原材料、品質を表す標章にすぎないものであって、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(4)本件商標を、「紫蘭(SHIRAN)」を原材料としない指定商品に使用するときは、あたかもその商品が「紫蘭(SHIRAN)を原材料とした商品」であるかのように直感させ、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(5)以上の理由により、本件商標は、その登録を取り消されるべきものである。
3 当審の判断
本件商標は、「紫蘭」の漢字及び「SHIRAN」の欧文字を二段に横書きしてなるところ、「紫蘭」は、紫紅色の花をつけるラン科シラン属の宿根草の和名であり、「シラン」と発音するものであって、鑑賞用として庭などにも植えられる植物である(甲第1号証及び甲第2号証)。
してみると、本件商標の構成中の「紫蘭」は、前記植物を表す文字であり、また、「SHIRAN」の欧文字は、かかる「紫蘭」の表音をローマ字表記したものとして看取されるものである。
ところで、申立人の提出に係る証拠(甲第2号証ないし甲第6号証)によれば、紫蘭の根から抽出した成分が化粧品の成分として用いられていること、また、その成分を表示する文字として「紫蘭根エキス」、「シラン根エキス」及び「紫蘭エキス」が使用されていることが認められるが、これらによっては、いまだ「紫蘭」又は「SHIRAN」の各文字が化粧品の成分を表示するものとして、取引上普通に使用されているとはいい難いものである。
そうすると、「紫蘭」又は「SHIRAN」の文字に接した取引者、需要者は、紫蘭という植物あるいは花卉を認識するにとどまるというのが相当であり、これより直ちに「紫蘭根エキス」又は「紫蘭エキス」を表したと理解するとは認め難いといわざるを得ない。
さらに、「紫蘭」又は「SHIRAN」の文字自体が化粧品等の原材料や品質を表示するものとして取引上普通に使用されている事実を発見することはできない。
以上によれば、本件商標は、これを指定商品中「紫蘭の根のエキスをその成分に用いた商品」に使用した場合、商品の原材料、品質を表示したものと認識されるとは認め難く、上記植物あるいは花卉を表した標章として理解されて、自他商品の識別機能を果たし得るというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
また、上記のとおり、本件商標の構成文字が特定の商品の品質を認識させるものとは認められないから、本件商標は、これをその指定商品のいずれに使用したとしても、商品の品質について誤認を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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