Trademark Appeal Case
商標の周知性立証
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900310(T2010−900310/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5339611号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成22年1月21日に登録出願、第16類「雑誌,新聞,その他の印刷物」を指定商品として、同年5月10日に登録査定され、同年7月23日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1 商標法第4条第1項第10号該当性
本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に関わる商品(雑誌)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている「ブレインナーシング」なる商標(以下「引用商標」という。)に類似するものであって、雑誌(第16類)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
2 商標法第4条第1項第19号該当性
本件商標は、申立人の業務に関わる商品(雑誌)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている引用商標に類似するものであって、不正の目的をもって、雑誌(第16類)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 むすび
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「雑誌」について、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号該当性
(1)引用商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、医学、看護などの医療系分野を専門とする出版社として、1977年(昭和52年)に設立されたこと、引用商標が使用されていると申立人が主張する雑誌は、脳神経疾患医療に関わる者を対象として、1984年に創刊された脳神経外科看護専門誌であって、創刊26年目を迎える。2010年10月号の表紙には、左上段に題号と認められる「BRAIN」「NURSING」の欧文字が大きく二段に記載され、その右上段に、小さく横書きにした「これからを目指す脳神経系すたっふのためのステップアップジャーナル」の文字とこれよりやや大きく横書きした「ブレインナーシング」の片仮名、その左下に、小さく横書きにした「10」「October 2010」の文字、さらに、右下に、小さく横書きにした「MCメディカ出版」の文字が表示されている(甲第1、2号証)。
また、引用商標が申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして周知著名であるとして、その事実を明らかにするものとして申立人が提出した証拠は、申立人の編集局副局長シニアディレクターの陳述書(甲第3号証)と本件雑誌の編集アドバイザーである「独立行政法人/国立循環器病研究センター」の理事長の「意見書」(甲第15号証)のみのところ、該陳述書においては、上記雑誌の発行部数が月約3,500部で、他に関連の雑誌が存在する旨陳述しているのに対し、該意見書においては、上記雑誌の発行部数が月約6,000部で、他に競合する雑誌が存在しない旨の記述があり、異なる内容となっているばかりでなく、該陳述書及び意見書に記載された内容を裏付ける証拠の提出もない。その他、引用商標が申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして、本件商標の登録出願時(平成22年1月21日)及び登録査定時(同年5月10日)において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠は見いだせない。
してみると、甲第3号証及び同第15号証をもってしては、引用商標が申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、「ブレインナース」「BRAINCARE」「BRAIN nurse」「ブレインケア」の文字を上下四段に横書きした構成よりなるものであって、その指定商品を第16類「雑誌,新聞,その他の印刷物」とするものである。
しかして、本件商標の構成中の「ブレイン」「BRAIN」の各文字は「脳、頭脳」などの意味を、「ナース」「nurse」の各文字は「看護婦」の意味を、「ケア」「CARE」の各文字は「注意、世話」の意味を、それぞれ有する外来語若しくは英語として一般に親しまれているものである。
そうすると、本件商標は、その構成中、最上段の「ブレインナース」の片仮名が3段目の「BRAIN nurse」の欧文字の表音を、同じく、最下段の「ブレインケア」の片仮名が2段目の「BRAINCARE」の欧文字の表音を、それぞれ表したものと認識、把握されるものというのが相当である。
してみると、本件商標は、上記「ブレインナース」「BRAIN nurse」の文字部分に着目すれば、これらの部分の構成文字に相応して「ブレインナース」の称呼が生じ、同じく、上記「ブレインケア」「BRAINCARE」の文字部分に着目すれば、これらの部分の構成文字に相応して「ブレインケア」の称呼も生じるというのが相当である。
イ 引用商標について
申立人が使用する雑誌の表紙には、前記(1)のとおり、上段左に「BRAIN」「NURSING」の欧文字が大きく二段に、その右側に、小さく「ブレインナーシング」の片仮名を横書きした構成よりなるものであって、医学専門誌(雑誌)の題号として使用されているものである(甲第2号証)。
ところで、定期刊行物の題号は、題号全体が需要者に印象付けられるといえるから、当該定期刊行物の題号全体をもって、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとみるべきである。
しかして、「ブレインナーシング」の片仮名で表されている引用商標は、「BRAIN」「NURSING」の欧文字に比して小さく表されているが、該欧文字の右に位置し、その表音と認められるものであるから、引用商標は、該欧文字とともに申立人が使用する雑誌の題号と認められる。
そうとすれば、引用商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たすものであり、その構成文字に相応して「ブレインナーシング」の称呼が生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標との比較
本件商標より生ずる「ブレインナース」及び「ブレインケア」の称呼と、引用商標より生ずる「ブレインナーシング」の称呼について検討するに、先ず、本件商標より生ずる「ブレインケア」の称呼と引用商標より生ずる「ブレインナーシング」とは、前者は6音の構成に対し、後者は9音の構成であるから、その構成音数において明らかに異なり、また、両者は、前半の「ブレイン」の音を共通にするものの,これに続く「ケア」の音と「ナーシング」の音がそれぞれ明らかに異なるものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼しても音感、音調が明確に異なり、聴別し得るといえるものである。
次に、本件商標より生ずる「ブレインナース」の称呼と、引用商標より生ずる「ブレインナーシング」の称呼について検討するに、前者は7音の構成に対し、後者は9音の構成であるから、その構成音数において明らかに異なり、また、両者は、前半の「ブレインナー」の音を共通にするものの,これに続く「ス」の音と「シング」の音がそれぞれ明らかに異なるものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼しても音感、音調が明確に異なり、聴別し得るといえるものである。
また、本件商標と引用商標は、共に特定の意味を有しない造語よりなるものと認められるから、両者は観念においては比較することはできなものであり、外観上も互いに区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標である。
(3)前記(1)及び(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認められ、かつ、引用商標の周知性も認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。
2 商標法第4条第1項第19号該当性
本件商標と引用商標とは、前記(1)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきであり、また、本件商標は、申立人の提出に係る証拠によって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用をするものであることを認めることができず、ほかに、かかる「不正の目的」をもって使用をするものに該当すると認めるに足りる特段の事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に該当しないものである。
3むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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