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Trademark Appeal Case

非識別部分と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2010−28216(T2010−28216/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「TRマスター」の文字を標準文字で表してなり、第1類「ゴム製造に使用される化学品,マスターバッチ型化学品,化学品」を指定商品とし、平成21年2月23日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は次のとおりであり、現に有効に存続しているものである。

(1)登録第751557号商標(以下「引用商標1」という。)は、「マスター」及び「MASTER」の文字を併記してなり、昭和40年5月31日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同42年8月15日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成19年12月26日に指定商品を第1類「化学品,植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」とする指定商品の書換登録がなされているものである。

(2)登録第2208370号商標(以下「引用商標2」という。)は、「マスター」及び「MASTAR」の文字を併記してなり、昭和62年5月29日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録され、指定商品については、商標権の一部取消審判がなされた結果、第1類「化学品、医療補助品、但し、のり及び接着剤を除く」とされ、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成21年12月9日に指定商品を第1類「化学品」とする指定商品の書換登録がなされているものである。

なお、上記登録商標(1)及び(2)を併せて「引用商標」という。

3 当審の判断

(1)商標の類否について

商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断しなければならない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。

しかるところ、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照。同旨判決:平成21年(行ケ)第10380号同22年5月12日判決)。

以下、これを踏まえて検討する。

(2)本願商標と引用商標の類否

本願商標は、前記1のとおり、「TRマスター」の文字を横書きしてなるところ、その構成中の「TR」の文字と「マスター」の文字とは文字種を異にするものであるから、視覚上、容易に「TR」と「マスター」の2語からなるものと認識されるものである。

ところで、構成中の「TR」の欧文字2文字は、一般に商品の種別、規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号の一類型として、取引上、普通に採択・使用されている実情にあると認められるから、該文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといえる。

そして、このことは、別掲(1)及び(2)に示すとおり、本願の指定商品である化学品を紹介するインターネットのホームページにおいて、「TR」の欧文字が他の文字と組み合されて、商品の種別、規格、型式又は品番等を表示する語として普通に採択・使用されていることからも十分に裏付けられるものである。

そうすると、本願商標は、その構成中の「マスター」の文字部分が独立して商品の出所識別標識としての機能を果たすものというべきである。

してみれば、本願商標は、その構成文字「マスター」の文字に相応して「マスター」の称呼及び「主(あるじ)、オリジナルのもの」(広辞苑)の観念を生ずるものといえる。

他方、引用商標は、前記2のとおり「マスター」と「MASTER」ないし「MASTAR」の欧文字を併記してなるから、これより「マスター」の称呼を生じ、引用商標1からは「主(あるじ)、オリジナルのもの」(広辞苑)の観念を生ずるものである。

そうとすれば、本願商標と引用商標は、「マスター」の称呼を共通にし、本願商標と引用商標1とは、「主(あるじ)、オリジナルのもの」(広辞苑)の観念をも同じくするものである。

してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において差異を有することを考慮しても、両商標は、「マスター」の文字部分を共通にするものであって、本願商標と引用商標1とは称呼及び観念において類似の商標あり、また、本願商標と引用商標2とは称呼において類似の商標といわなければならない。

そして、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品に包含されるものと認められるから、本願商標と引用商標とは、これを同一又は類似の商品に使用した場合、商品の出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標というべきである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(3)請求人の主張

請求人は、「かかる構成にあっては、本願商標に接する取引者、需要者をして、殊更に、前半部の『TR』の文字部分を省略して、後半部の『マスター』の文字部分のみに着目し、当該文字部分より生ずる称呼をもって商取引に当たるというよりも、むしろ、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し、把握し、商取引に当たるものとみるのが自然である。」旨主張している。

しかしながら、前記のとおり当審において、職権により調査した結果によれば、「TR」の文字部分は、商品の種別、規格、型式又は品番等を表示するものとして、普通に採択・使用されている事実が認められることから、本願商標の構成中の「TR」の文字から、商品の出所識別標識としての称呼、観念は生ずるものとはいえない。

したがって、請求人の前記主張は、採用することができない。

さらに、請求人は、過去の登録例を挙証し、本願商標の登録適格性を主張するが、請求人の挙げた登録例は、いずれも商標の構成及び指定商品において本願とは事案を異にするものであって、出願された商標と引用商標との類否判断は、両商標について個別具体的に行えば足り、過去の登録例の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるところ、本願商標と引用商標とは、前記のとおり、類似の商標と認められるから、請求人の主張を採用することはできない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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