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Trademark Appeal Case

商標使用の「商品」該当性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2010−300577(T2010−300577/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3258198号商標(以下「本件商標」という。)は、「アルテミス」及び「ARTEMIS」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成5年12月18日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料(氷砂糖,水あめを除く。),香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,酒かす」を指定商品として、平成9年2月24日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中、「茶」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「茶」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

ア 被請求人は、本件商標は「ハーブティー」商品について使用されているので、不使用取消の対象とはならない旨を述べている。しかし、以下に述べるとおり、本件商標の使用は、「商品」についての使用とは認められないものである。

イ すなわち、被請求人は、「アルテミス」及び「ARTEMIS」の名称の下でビューティーショップ(以下「アルテミスショップ」という)を経営し展開しており(甲第2号証)、アルテミスショップでビューティトリートメントを受けた顧客に対して、ハーブティーのドリンクを無料で提供しているが、本件商標を付した商品「ハーブティー」をその顧客に対して販売しているものではない。

ウ 乙第1号証は、被請求人のアルテミスショップ用にブレンドされたハーブティー茶葉の包装袋であるところ、この袋に詰められたハーブティーは、被請求人の本部からアルテミスショップに対してのみ供給されているものである。アルテミスショップの大半は、被請求人の直営店と思料されるところであり、それらの直営店に対しては、これらのハーブティーは、当然ながら無料で供給されているものである。ただ、アルテミスショップは直営店だけではなく、乙第3号証ないし乙第5号証によれば京都と岡山にはそのフランチャイズ店があるようであり、このようなフランチャイズ店に対しては、被請求人から上記のハーブティーが有料で供給されているようである。しかし、いずれにしても、そのハーブティーはこれらのフランチャイズ店において顧客に対して無料で提供されるドリンク用のものであり、顧客に対して包装袋に詰められたハーブティーが、直接販売されているものではない。したがって、乙第1号証の製品は、商標法上の「商品」と言えるものではない。

エ 乙第1号証の包装袋の茶葉製品は、被請求人のビューティーショップ内で消費するためのものにすぎず、一般取引市場において販売されているものではない。したがって、このような製品は、商標法における「商品」に該当するものではない。なお、乙第3号証ないし乙第5号証によると、乙第1号証の包装袋の茶菓製品が、アルテミスショップのフランチャイズ店である株式会社京都アイビー(以下「京都アイビー」という。)と岡山県の有限会社アイビーブラッサム(以下「アイビーブラッサム」という。)という2社に有料で供給されたようであるが、このような極めて限られた対象のみへの販売が、「一般取引市場での販売」といえないことは明らかであり、また、これらの2社も、そのアルテミスショップにおける無料提供のドリンク用に上記製品の供給を受けているに過ぎないのである。したがって、このような極めて限られた対象への有料供給が商標法上の商品性を満たすものでないことは、明らかなところである。

オ 乙第1号証の包装袋の茶葉製品は、一般取引市場において流通しているものではなく、一般の需要者や取引者は、当該製品や本件商標を見たこともないのである。要するに、本件では取引市場において保護されるべき本件商標に関する取引上の利益は何ら発生しておらず、また本件商標のために維持されるべき取引秩序・競業秩序なども何ら発生していないのである。このような状態の商標登録を維持し保護すべき理由は、何ら存在しないところである。

カ 以上に述べたとおり、本件における乙第1号証の包装袋の茶葉製品は商標法上の商品といえるものではなく、したがって、そのような製品についての本件商標の使用は、商標法第50条にいう「指定商品についての登録商標の使用」に該当するものではないのであり、本件商標は、不使用による取消を免れない。

3 被請求人の主張

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)本件商標は、「茶」について継続して3年以上日本国において使用しているので、取消事由には該当しないものである。

(2)本件商標は、「ハーブティー」について現に使用されている。被請求人は、化粧品の製造販売会社であるが、関連事業としてエステティック会社を傘下に治めている。その各エステ・ショップでは、施術前後に顧客にハーブティーを提供するサービスを行っている。被請求人は、そのハーブティーを各ショップに販売しており、それが本商品である。

(3)乙第1号証として提出するのは商品「ハーブティー」の写真である。商品包装上に「ARTEMIS」「アルテミス」の文字が表示されており、本件商標が使用されていることが明らかである。写真は平成22年6月25日被請求人会社内で社員が撮影したものである。

(4)乙第2号証として提出するのは「発注書」(写)である。このハーブティーは、被請求人のOEM製品で、渋谷区に存する日本緑茶センター株式会社(以下「日本緑茶センター」という。)に製造委託している。本商品には「アテナ」と「ネアエラ」の2種類がある。

(5)乙第3号証の1ないし4として、(a)平成21年11月5日付京都販社(京都アイビー)からの注文書、(b)2009年11月27日付御請求書(控)、(c)京都アイビーのホームページ(会社概要/アルテミス・ザ・ショップ/京都市下京区)、(d)被請求人のホームページ(販売会社紹介 京都推進部)の各写しを提出する。

(a)及び(b)により取引の事実を証明する。(a)ないし(d)により、得意先コードと住所が同一である通称「京都販社」と「京都アイビー」が同一人であることを立証する。

(6)乙第4号証の1ないし4として、(a)平成21年10月14日付岡山第3販社(アイビーブラッサム)からの注文書、(b)2009年10月28日付御請求書(控)、(c)インターネット記事(化粧品の販売とエステのことなら岡山県岡山市のアルテミスまで)、(d)被請求人のホームページ(販売会社紹介 京都推進部)の各写しを提出する。

(a)及び(b)により取引の事実を証明する。(a)ないし(d)により、得意先コードと住所が同一である通称「岡山第3販社」と「アイビーブラッサム」が同一人であることを立証する。

(7)乙第5号証の1ないし4として、(a)平成21年9月15日付京都第6販社(株式会社スタディオアイビー(以下「スタディオアイビー」という。))からのアルテミス業務用製品注文書(改訂版)、(b)2009年9月28日付御請求書(控)、(c)被請求人のホームページ(ARTEMIS THE SHOP)、(d)被請求人のホームページ(販売会社紹介 京都推進部)の各写しを提出する。

(a)及び(b)より取引の事実を証明する。(a)ないし(d)により、得意先コードと住所が同一である通称「京都第6販社」と「スタディオアイビー」が同一人であることを立証する。

(8)以上述べたとおり、本件商標は、指定商品中「ハーブティー」について現在日本国内において使用しているので、取消の事由には該当しないものである。

4 当審の判断

(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。

ア 乙第1号証は、商品に係る2枚の写真である。その包装にはラベルが貼付されており、ラベル上部に、頭文字「A」の横線部が弧状に図案化された「ARTEMIS」の文字、その下段に「アルテミス」、その下段に「ティーアテナ」の白抜きの各文字が表示されている。

また、食品表示部分には、「名称」として「ハーブティー」の記載のほか、原材料名、内容量等の記載があり、「販売者」として被請求人の名称及び住所が記載されている。さらに、左下に「ART315」の表記がある。

イ 乙第2号証の1枚目は、切取り線を有する1枚紙で作成された、発注日が2007年7月6日の発注書及び納期が同月27日の発注先記入用の納品書である。

「発注書」部分には、発注者として被請求人の名称、発注先として「日本緑茶センター(株)」の記載がある。「品目コード」欄に「ART315」、「品名」欄に「アルテミス ティー アテナ」、「数量」欄及び「単位」欄に「167」及び「袋」、「納期」として「2007年7月27日」の記載がある。

ウ 乙第3号証の1は、「京都販社」(京都市下京区四条通新町南角タカクラビル7F)から被請求人宛ての、21年11月5日付け「アルテミス ハーブティー 注文書」である。

これには、注文の「製品名<Cコード>」欄に「アルテミス ティー アテナ<Cコード ART315>」、「数量」欄に「1ケース」の記載がある。

エ 乙第3号証の2は、2009年11月27日付けの被請求人から「京都アイビー」(住所:京都市下京区四条通新町南角タカクラビル7F)に宛てた「請求書(控)」である。

これには、「出庫日」欄に「09/11/06」、「コード」欄に「ART315」、「品名」欄に「アルテミス ティー アテナ」、「ケース」欄に「1」の記載がある。

オ 乙第3号証の3は、「京都アイビー」のホームページであって、同社の「会社概要」が記載され、所在地として「京都市下京区四条通新町南角タカクラビル7F」の記載がある。

カ 乙第3号証の4は、被請求人の「販売会社紹介 京都推進部」とするホームページであって、販社会社の一覧が記載されている。

その1行目には、「販社名称」欄に「京都販社」、「住所」欄に「京都市下京区四条通新町南角タカクラビル7F」、電話番号等の記載がある。

(2)上記(1)を総合してみれば、被請求人の使用商品は、商品名を「アルテミス ティー アテナ」とする「ハーブティー」(乙1)と認められるものである。そして、被請求人は、2007年7月6日付けで、「日本緑茶センター」に同商品を167袋、納期を「2007年7月27日」として発注した(乙2)。

つぎに、「京都販社」から被請求人宛ての、21年11月5日付け「注文書」(乙3の1)、同年11月27日付けの被請求人から「京都アイビー」に宛てた「請求書(控)」(乙3の2)、「京都アイビー」のホームページ(乙3の3)、被請求人の「販売会社紹介 京都推進部」とするホームページ(乙3の4)によれば、「京都販社」と「京都アイビー」は、得意先コード及び住所から同一人と認められるものである。

そして、通称を「京都販社」とする「京都アイビー」は、平成21年(2009年)11月5日に前記商品を被請求人宛てに「1ケース」注文した(乙3の1)。

これに対して、被請求人は、同年11月27日付け「請求書(控)」によって、「京都アイビー」に支払いを請求した(乙3の2)。

してみれば、被請求人から京都アイビーに対し、平成21年(2009年)11月頃に商品「ハーブティー」が、譲渡されたものと推認できる。

(3)使用商標について

本件商標は、「アルテミス」と「ARTEMIS」の文字を二段に横書きした構成からなるものであるところ、前記(1)のとおり、商品「ハーブティー」の包装に貼付されたラベルには、頭文字「A」の横線部が弧状に図案化された「ARTEMIS」の文字、及び「アルテミス」の白抜き文字が、さほど離れていないところで上下の位置に表示されている。

そして、ラベルの当該欧文字部分は、頭文字「A」が図案化されてはいるが、本件商標の欧文字と構成文字及び称呼を共通にするものであり、また、当該片仮名部分の白抜き文字も、本件商標の片仮名文字と構成文字及び称呼を共通にするものであるから、両文字は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。

(4)まとめ

上記(1)ないし(3)からすると、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、商品「ハーブティー」の包装のラベルに表示され、当該商品が、本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人によって譲渡されたと推認し得るものである。

そして、前記商品は、本件請求に係る指定商品中の「茶」に含まれるものである。

(5)請求人の主張について

請求人は、前記商品が、被請求人のビューティーショップの顧客に対して無料提供されるドリンクのハーブティーであって、一般取引市場での販売といえない直営店やフランチャイズ店に対する極めて限られた対象への無料供給又は有料供給であり、商標法上の商品性を満たすものでない旨主張する。

しかしながら、「ハーブティー」は、一般市場において流通転々し得る有体物であり、独立して商取引の対象とされ得るものであって、現に本件「ハーブティー」は、被請求人から他人である「京都アイビー(京都販社)」へ譲渡されたと認め得るものである。そして、たとえ限定的な範囲の取引にとどまっていたとしても、それをもって直ちに、商標法上の商品性を欠くものということはできないから、請求人の主張は採用できない。

(6)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者(被請求人)によって、その請求に係る指定商品中の「ハーブティー」について使用されていたものと認め得るところであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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