結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2010−301085(T2010−301085/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4482167号商標(以下「本件商標」という。)は、「プレシャス」の片仮名を標準文字で表してなり、平成12年8月29日に登録出願、同13年5月2日に登録査定がなされ、第21類「アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品として、同13年6月15日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成22年10月27日にされているものである。
請求人は、本件商標の指定商品中、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」について登録を取り消す、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
本件商標は、その指定商品中、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより当該商品に使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)株式会社コーセーに対する商標使用許諾について
商標使用許諾契約の意味付けは、ライセンサーがライセンシーに対して妨害排除不作為を約するものであり、商標使用許諾契約自体をもって商標使用とはいえない。被請求人は、ライセンシーである「株式会社コーセー」(以下「コーセー」という。)による使用事実をもって、本件商標の使用を証明しようとするものであるところ、後述するように、コーセーの使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用とはいえないので、これをもって本件商標を請求に係る指定商品に使用しているとはいえない。
(2)使用商標が「プレシャス」ではなく「エスプリークプレシャス」である点について
被請求人は、ライセンシーであるコーセーが「エスプリークプレシャス」なる商標を「化粧用スポンジ、ファンデーション用ケース、まゆ毛用ブラシ」について使用している(乙第3号証の1ないし乙第3号証の4)と主張する。
しかしながら、乙第3号証の1及び乙第3号証の2を見ると、「プレシャス」が単独で識別標識として機能する形での使用はなく、常に「エスプリークプレシャス」と一体的に使用されているにすぎない。特に、コーセー自らのホームページの記載において、一続きに「エスプリークプレシャス」との表記が使用商標の基本となっていることは重要である。
また、乙第3号証の1及び乙第3号証の2には、商品パッケージの写真が含まれているところ、これらには、被請求人自らが主張するとおり、「ESPRIQUE」の文字が大きく記載され、その下部にやや小さく「PRECIOUS」の文字を上下2段に記載されていることから、明らかに「ESPRIQUE」の文字の方が「PRECIOUS」の文字よりも自他商品識別標識として重要なポジションを占めていることが分かるとともに、「PRECIOUS」の文字の方が需要者に自他商品識別標識として強く看取される事情は見いだせない。
被請求人は、2段書きのうち「ESPRIQUE」の方が目立つ形で表されているので、目立たないように表されている「PRECIOUS」は、「ESPRIQUE」から分離して看取されるはずであると主張しているが、これは、使用商標において「PRECIOUS」の自他商品識別力は弱く、需要者が看取する「ESPRIQUE」の自他商品識別力は、決して無視できないものであると主張しているといえる。
コーセーによる使用商標について自他商品識別力を発揮している部分は、「エスプリークプレシャス」全体であるか又は「エスプリーク」であり、その使用形態において、使用商標が「プレシャス」単独で自他商品識別力を発揮できる実態にはない。
(3)社会通念上の同一性について
被請求人は、上記(2)のような使用実態をもって、本件商標「プレシャス」と使用商標「エスプリークプレシャス」とが社会通念上同一の商標の範囲であると主張している。
しかしながら、コーセーによる使用商標のうち、一連に「エスプリークプレシャス」と表記されたものについて、「エスプリーク」の文字部分を過小評価する理由がないことは明らかであり、また、「エスプリーク」及び「プレシャス」の2段書きからなる使用商標に係る社会通念上の同一性についても同様のことがいえる。
使用商標「エスプリークプレシャス」が登録商標「プレシャス」と社会通念上同一の商標の範囲といえるのは、「エスプリーク」の文字部分が商標機能を発揮し得ない場合であるところ、使用商標について、「エスプリーク」の文字部分は、自他商品識別力を発揮しない付記的な言葉や普通名称ではなく、むしろコーセーの造語又はペットネームとして需要者に強く認識される事情にある。
さらに、ライセンシーであるコーセーの使用実態は、上記のとおり、「エスプリークプレシャス」と一連一体に使用しているものである。
そうすると、「エスプリーク」の文字部分が品番などの付記的な文字や普通名称には当たらない以上、本件商標と同様の構成を持つ案件で社会通念上の同一性が争われ、社会通念上の同一性が認められた案件のように、社会通念上の同一性が認められるという主張は失当である。
外観において、「エスプリーク」の文字は、「プレシャス」の文字の大きさに比べて無視できるようなサイズではなく、また、表記位置も中心上部にあり商標として無視できるような配置でもない。また、「エスプリーク」の文字も「プレシャス」の文字も同じ書体をもって表されているため、書体の面からも「エスプリーク」の文字を商標として無視できるようなものでもない。
また、一つの小さな商品パッケージ前面に違和感なく一体に記載されている一塊の商標を見て「エスプリーク」と「プレシャス」の2つのブランドが関連なく別個独立して表記されているとの主張は、商標使用の実態から乖離している主張である。事実、コーセー自らが「プレシャス」のみを用いている実態はなく、片仮名表記する場合には「エスプリークプレシャス」と常に一続きに表記しており、「エスプリーク」と「プレシャス」の2つのブランドが関連なく別個独立して表記されているとの主張は、失当である。
(4)需要者の識別の実態
簡易迅速を尊ぶ商取引の実際において、使用商標「エスプリークプレシャス」全体より生ずる称呼が冗長であることを勘案したとしても、取引者、需要者が、使用商標「エスプリークプレシャス」を単に「エスプリーク」と称呼する可能性はあるものの、殊更「エスプリーク」の部分を無視・欠落させて「プレシャス」と称呼する実情にあるとは到底いえない。
例えば、乙第3号証の2として、インターネット上のウェブサイトの写しが提出されているが、クチコミ投稿記事として「エスプリークプレシャスのリキッドファンデを購入した際、BAさんに勧められて購入しました」とあり、まさに、需要者が「エスプリークプレシャス」と片仮名で一連一体に記載している事実が指摘されている。
また、乙第3号証の4として、楽天市場に「コーセー エスプリーク プレシャス アイブロウ ブラシ」と紹介されている記載の写しが提出されているが、取引者も「エスプリークプレシャス」と片仮名で一体に記載している事実が指摘されている。
以上、「エスプリーク」は、ライセンシーであるコーセーの造語であり、明らかに商標として自他商品識別力を発揮するものであり、決して商品の普通名称や品質表示の符号など自他商品識別力を発揮しえないような付記的な言葉ではない。そして、コーセーの化粧品の商取引の実態において「エスプリーク」は、明らかに需要者の間で自他商品識別力を発揮しており、「プレシャス」が積極的に単独で看取され、単独で自他商品識別力を発揮している事情などは見いだせない。
むしろ「エスプリークプレシャス」が一体としての印象が強いといえ、この中でも「エスプリーク」の文字部分が標識部分として看取される割合が強いものといえる。そのため、殊更「エスプリーク」の文字部分を無視・欠落させて「プレシャス」のみを識別標識として看取する実情にあるとは、到底いえない。
(5)結論
上記のような理由により、登録商標「プレシャス」と使用商標「エスプリークプレシャス」又は「エスプリーク/プレシャス」は、外観、称呼、観念、取引の実態の各々について検討してみても社会通念上同一のものとはいえない。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標権には、その指定商品中の「化粧用具」について、コーセーを通常使用権者とする2006年6月1日から2011年5月31日までの通常使用権が許諾されている(乙第2号証)。
本件商標は、通常使用権者が「エスプリーク(ESPRIQUE)」ブランドの「化粧品、化粧用具」における「化粧用スポンジ、ファンデーション用ケース、まゆ毛用ブラシ」のペットネーム(商品ごとの商標)として採択、使用しているものである。
乙第3号証の1ないし2は、インターネット上のウェブサイトの写しであるが、乙第3号証の1(1葉目)は、上部左右の箇所に黒く塗り潰した四角形の図形内に白抜きで「ESPRIQUE」の文字を大きく表し、その下部に小さく「PRECIOUS」の文字を上下2段に表してなるものである。
そして、次葉には、「エスプリーク プレシャス ファンデーションケースC」及び「発売日:2010年2月16日」、「エスプリーク プレシャス ファンデーションケースP」及び「発売日:2010年8月21日」、「エスプリーク プレシャス メイクアップスポンジ(ダブルユース)」及び「発売日:2010年8月21日」の記載が認められるものである。
上記の各商品には、乙第3号証の1(1葉目)と同様に、それぞれ「ESPRIQUE」及び「PRECIOUS」の文字が2段に表されている。
さらに、3葉目以降は、「エスプリーク プレシャス」商品の詳細広告であるが、「エスプリーク プレシャス メイクアップスポンジ(ダブルユース)」は「発売日:2010年8月21日」、「エスプリーク プレシャス メイクアップスポンジ(マルチユース)」は「2009年2月16日発売」となっていて、包装袋に入った現物の写真が掲載されているが、その包装袋には、乙第3号証の1(1葉目)と同様の、「ESPRIQUE」及び「PRECIOUS」の文字が2段に表されている。
また、「エスプリーク プレシャス ファンデーションケースC」は「発売日:2010年2月16日」、「エスプリーク プレシャス ファンデーションケースP」は「発売日:2010年8月21日」となっていて、現物の写真が掲載されているが、当該商品には、乙第3号証の1(1葉目)と同様の、「ESPRIQUE」及び「PRECIOUS」の文字が付されている(乙第3号証の3の拡大写真を参照。)。
乙第3号証の2における、インターネット上のウエブサイトの写しは、クチコミ投稿記事、商品発売のプレスリリース記事、商品の発売記事(国際商業出版)であるが、インターネット上のウェブサイトにおいて、例えば、「化粧用スポンジ」について「2010/6/21のクチコミ投稿」で「私はノーマルなこのタマゴ型が好きです。・・・私は、次もこっちを買っちゃいそうです。」、「2010/7/1のクチコミ投稿」で「エスプリークプレシャスのリキッドファンデを購入した際、BAさんに勧められて購入しました。」との記載が認められる。
商品発売のプレスリリース記事では、「エスプリーク プレシャスから、秋冬のファンデーションを発売」、「2010年8月21日発売」、「エスプリーク プレシャス 新製品6品種18品目」、「ファンデーションケースP」、「メイクアップスポンジ(ダブルユース)」の記載があり、商品の発売記事(国際商業出版)においても、「ふんわり感のある肌になれる新ファンデ/ボーテドコーセー エスプリーク プレシャス」、「ベースメイクアップの新製品6品種18品目を8月21日に発売する」とし、「ファンデーションケースP」がその発売の対象として掲載されている。
乙第3号証の3は、「化粧用スポンジ、ファンデーション用ケース」の現物の拡大写真、及び「リキッドファンデーション用スポンジ(包装袋の現物)」である。
乙第3号証の4は、「まゆ毛用ブラシ」に係るインターネット上のウェブサイトの写し及び現物の写真、包装袋であるが、「エスプリーク プレシャスのポイントメイクで・・・」の文字及び「ESPRIQUE」の文字を大きく表し、「PRECIOUS」の文字が小さく上下2段に表されている。そして、「楽天市場」には、「コーセー エスプリーク プレシャス アイブロウ ブラシ」、「2006.12.16発売」との記載がある。
乙第3号証の5は、内部的な資料ではあるが、「プレシャス/PRECIOUS」商標の使用をする「化粧用スポンジ、ファンデーション用ケース、まゆ毛用ブラシ」の2010年10月までの純出荷数量である。
乙第3号証1ないし5を総合すれば、通常使用権者の「化粧用スポンジ、ファンデーション用ケース、まゆ毛用ブラシ」が本件審判請求の登録前3年以内に発売され、それが現在も継続しているということができる。
そして、上記商品に使用する「PRECIOUS」の文字は、「ESPRIQUE」と「PRECIOUS」の文字を2段に、あるいは「ESPRIQUE PRECIOUS」のように表されているところから、その構成上、当該「PRECIOUS」の文字が商標として独立して把握、認識されるものであり、それが本件商標たる「プレシャス」(甲第4号証)と称呼及び観念を同一にするものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標といい得るものである。
また、乙第3号証1ないし5で使用する「エスプリーク プレシャス」の文字も、これに接する取引者・需要者に、通常使用権者の「エスプリーク」ブランドにおける、商品ごとの商標「プレシャス」を表したものと把握、認識される結果、当該「プレシャス」の文字は、独立して自他商品の識別機能を果たすものといえるから、この点からみても、本件商標と社会通念上同一の商標といわなければならない。
したがって、乙第2号証ないし同第4号証によって、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者であるコーセーが本件商標と社会通念上同一と認められる商標「PRECIOUS」及び「プレシャス」を「化粧用スポンジ、ファンデーション用ケース、まゆ毛用ブラシ」について使用していることは明かである。
本件商標は、取消請求に係る指定商品中の「化粧用スポンジ、ファンデーション用ケース、まゆ毛用ブラシ」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により使用されているものである。
(1)乙第2号証は、2006年(平成18年)5月31日付けの「商標使用許諾契約書」の写しであり、「花王株式会社(以下、甲という)と株式会社コーセー(以下、乙という)は、甲所有の商標登録第4482167号『プレシャス』(以下、本件商標という)の使用に関し、以下のとおり契約を締結する。」の記載の下、第1条に「甲は、本件商標について、次の範囲の通常使用権(以下、本件使用権という)を乙に許諾する。(1)商品:「ESPRIQUE」ブランドの化粧用具 (2)地域:日本国内 (3)許諾期間:本契約の有効期間中」とあり、また、第2条に「1.本契約の有効期間は、2006年6月1日から5年間(2011年5月31日まで)とする。」との記載がある。
(2)乙第3号証の1は、インターネット上のウェブサイトの写しとするものであり、第1葉(右下に「2010/11/19」の記載がある。)に、2段に表された「ESPRIQUE」及び「PRECIOUS」の文字(後者は、前者の約4分の1程度の大きさで表されている。)及び「エスプリーク プレシャス 商品カテゴリ一覧」、「エスプリーク プレシャスに関するお問い合わせ・・・メールでのお問い合わせ 株式会社コーセー お問い合わせフォーム」の文字等の表示がある。
第2葉(右下に「2010/11/19」の記載がある。)に、「コーセーの化粧用具・雑貨(ベースメイク用)商品を掲載しております。」、「エスプリーク プレシャス ファンデーション ケース P 発売日:2010年8月21日 エスプリーク プレシャスのファンデーション<レフィル>(別売り)をセットする専用のケースです。」及び「エスプリーク プレシャス メイクアップスポンジ(ダブルユース) 発売日:2010年8月21日 スポンジ面とベルベット(起毛)面で、ファンデーションの美しい化粧膜を多様に作り上げるスポンジです。」の文字等の表示と共に、各商品の写真が掲載されている。
第3葉(右下に「2010/11/08」の記載がある。)に、「エスプリーク プレシャス メイクアップスポンジ(ダブルユース)」、「発売日:2010年8月21日」、「スポンジ面とベルベット(起毛)面で、ファンデーションの美しい化粧膜を多様に作り上げるスポンジです。」、「製造販売元 株式会社コーセー」の文字等の表示と共に、2段に表された「ESPRIQUE」及び「PRECIOUS」の文字(後者は、前者の約4分の1程度の大きさで表されている。)等の表示がされた袋に包装されている当該商品の写真が掲載されている。
第6葉(右下に「2010/11/08」の記載がある。)に、「エスプリーク プレシャス ファンデーション ケース P」、「発売日:2010年8月21日」、「エスプリーク プレシャスのファンデーション<レフィル>(別売り)をセットする専用のケースです。」、「製造販売元 株式会社コーセー」等の表示と共に、当該商品の写真が掲載されている。
(3)第3号証の2は、インターネット上のウェブサイトの写しとするものであり、第3葉及び第4葉(右下に「2010/12/01」の記載がある。)に、「エスプリーク プレシャスから、秋冬のファンデーションを発売 プレスリリース【健康美容EXPO】」、「株式会社コーセー(代表取締役:小林一俊)は、トータルブランド『エスプリーク プレシャス』から、ふれたくなるようなふんわり感のある仕上がりで、うるおいが続く『うる桃肌』に仕上げるファンデーションなど、ベースメイクアップの新製品6品種18品目(ノープリントプライス)を8月21日に発売します。」、「ファンデーションケースP パウダーファンデーション用ケース」、「メイクアップスポンジ(ダブルユース) スポンジ面とベルベット(起毛)面の両面使用スポンジ。使う面で仕上がり自由自在。」等の表示がある。
(4)第3号証の3は、商品の写真及び包装袋とするものであり、第1葉に、「パウダーファンデーション用スポンジ(ダブルユース)」、「BEAuTE de KOSE」(6文字目及び12文字目の「E」の文字には、アクサン−テギュ記号が付されている。)、2段に表された「ESPRIQUE」及び「PRECIOUS」の文字(後者は、前者の約4分の1程度の大きさで表されている。)の文字等が表示された商品を納めた包装袋の写真が掲載されているところ、当該包装袋の体裁から見て、第3号証の1第3葉の「エスプリーク プレシャス メイクアップスポンジ(ダブルユース)」の拡大写真と認められる。
第4葉に、装飾が施された表面の右下方に2段に表された「ESPRIQUE」及び「PRECIOUS」の文字(後者は、前者の約4分の1程度の大きさで表されている。)が配された商品の写真が掲載されているところ、当該商品は、その装飾及び文字の配置から見て、第3号証の1第6葉に掲載されている「エスプリーク プレシャス ファンデーション ケース P」の拡大写真と認められる。
(5)第3号証の4は、インターネット上のウェブサイトの写しとするものであり、第3葉(右下に「2010/12/01」の記載がある。)に、「【楽天市場】コーセー エスプリーク プレシャスアイブロウ ブラシ:たにがわ薬局」、「アイブロウ用の差込み式スクリューブラシ」、「2006.12.16発売」等の表示と共に、当該商品の写真が掲載されている。
(1)使用者について
乙第2号証の「商標使用許諾契約書」によれば、被請求人は、コーセーとの間において、本件商標を「ESPRIQUE」ブランドの化粧用具に使用することについて、2006年6月1日から2011年5月31日まで効力を有する通常使用権の許諾契約をしたものと認められる。
(2)使用商品及び使用時期について
乙第3号証の1ないし乙第3号証の4によれば、コーセーの使用に係る商品は、化粧用スポンジ、ファンデーション用ケース及びまゆ毛用ブラシと認められるものであり、これらはいずれも本件審判の請求に係る「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」に属する商品である。
また、コーセーは、本件商標を「化粧用スポンジ、ファンデーション用ケース」については平成22年8月21日以降、「まゆ毛用ブラシ」については同18年12月16日以降、平成22年12月1日までの間、それぞれ使用したと推認することができる。
(3)使用商標について
ア 本件商標について
本件商標は、「プレシャス」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「高価な。貴重な。」の意味を有する英語「precious」の読みを片仮名表記した外来語(乙第4号証)として、我が国において知られている語である。
イ 使用標章について
乙第3号証の1ないし乙第3号証の4によれば、コーセーは、自己の使用に係る商品又はその包装袋に、「ESPRIQUE」及び「PRECIOUS」の各文字を2段に表してなる標章(以下「使用標章1」という。)を付しており、また、当該商品の紹介ないし説明等において片仮名表記するときは、おおよそ「エスプリーク プレシャス」のように、「エスプリーク」の文字と「プレシャス」の文字との間に半文字ないし1文字程度の間隔を設けてなる標章(以下「使用標章2」という。)を使用しているところ、当該「PRECIOUS」の文字は、その上段に位置する「ESPRIQUE」の文字の約4分の1程度の大きさで表されていることから、両文字は、視覚上、分離して看取され得るものであり、また、その片仮名表記と認められる「エスプリーク」及び「プレシャス」の各文字についても、前記のとおり、間隔を設けて表示されていることから同様に、視覚上、分離して看取され得るものである。
そして、当該「ESPRIQUE」及び「PRECIOUS」の各文字並びにその片仮名表記である「エスプリーク」及び「プレシャス」の各文字が、各々、その構成全体をもって、親しまれた既成の観念を表してなるものとみるべき特段の事情も見当たらない。
そうとすると、使用標章1及び使用標章2は、看者をして、「ESPRIQUE」と「PRECIOUS」の各文字及び「エスプリーク」と「プレシャス」の各文字をそれぞれ常に一体のものとしてのみ認識されるということはできず、「PRECIOUS」及び「プレシャス」の各文字部分も独立して看取、把握されるというべきである。
ウ 本件商標と使用標章1及び使用標章2との同一性について
前記イによれば、使用標章1は、「PRECIOUS」の文字部分が独立して看取されるものであり、また、使用標章2は、「プレシャス」の文字部分が独立して看取されるものであるところ、本件商標と使用標章1とは、前記アのとおり、「プレシャス」が「高価な。貴重な。」の意味を有する英語「precious」の読みを片仮名表記した外来語として我が国において知られている語であることに鑑みれば、「プレシャス」の称呼及び「高価な。貴重な。」の観念を同じくするものであるから、社会通念上同一のものというべきものであり、また本件商標と使用標章2とは、いずれも「プレシャス」の片仮名からなるものであるから、「プレシャス」の称呼及び「高価な。貴重な。」の観念を同じくする同一のものである。
これに対し、請求人は、コーセーの使用に係る商標のうち、使用標章1については、「ESPRIQUE」の文字が大きく表され、「PRECIOUS」の文字はその下部にやや小さく表されていることから、前者の方が後者よりも自他商品識別標識として重要なポジションを占めていることは明らかであって、後者の方が自他商品識別標識として需要者に強く看取される事情は見いだせず、また、使用標章2については、コーセーが自己のホームページにおいて一続きに「エスプリークプレシャス」と表記することを基本としていることに加え、「エスプリーク」の文字部分が付記的な文字や普通名称といった自他商品識別力を発揮しないものとはいえないことからすれば、「プレシャス」の文字部分のみが識別標識として看取されるとはいえない旨主張する。
しかしながら、たとえ商標を構成する文字の一部が小さく表されたものであっても、そのことをもって直ちに当該部分が自他商品の識別標識として機能し得ないとはいえず、使用標章1についてみれば、前記イのとおり、その構成中の「PRECIOUS」の文字部分も独立して看取、把握されるものであり、また、使用標章2については、「エスプリーク」の文字と「プレシャス」の文字との間隔の設け方に関し、多少の広狭の差はあるものの、看者をしてその存在を認識できる程度に表されており、かつ、前記イのとおり、当該「プレシャス」の文字部分も独立して看取、把握されるものであることからすれば、前記請求人の主張は、採用することができない。
(4)小括
前記アないしウによれば、通常使用権者のコーセーは、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」について本件商標と同一又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用したというべきである。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定商品「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」について本件商標の使用をしていたことを証明したものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり、審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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