Trademark Appeal Case
「みどりむし」の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−17437(T2010−17437/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第29類「みどりむしの乾燥粉末を主成分とする液状・ねり状・粉末状・粒状・顆粒状・錠剤状・ゼリー状・固形状・カプセル状・軟カプセル・ペースト状・ブロック状の加工食品」を指定商品として、平成21年8月21日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「食用のみどりむしを想起させる『みどりむし』の文字を縦書きで表して、それぞれの各文字の右側の下部に均等に小さく薄く色彩を施した多少図案化した二重丸の図形を配した構成であるところ、該図形部分は、外観上、単に顕著に表された『みどりむし』の各文字を強調した図形であって、さほど印象に残る図形とは認められず、単なる付記的図形としか認識し得ないことから、本願指定商品との関係において、本願商標全体よりは『食用のみどりむしを使用した商品』程の意味合いを理解させるに止まるものであり、本願商標をその指定商品に使用しても、本願商標に接する取引者・需要者は、単に該商品の品質を表示したものと認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり「みどりむし」の文字を縦書きし、それぞれの各文字の右側の下部に小さく薄く赤色で手書き風に二重丸の図形(以下「二重丸」という。)を配した構成からなるところ、二重丸は「みどりむし」の文字部分を引き立たせ強調する付記的な表示にすぎないものであるから、本願商標の構成上、格別自他商品の識別標識として機能し得るものとはいい難いものである。
そして、「みどりむし」(緑虫)の文字(語)は、「ミドリムシ植物門の単細胞藻類。原生動物の鞭毛虫類としても分類される。約800種。体長0.1ミリメートル以下。紡錘形で、葉緑素を含み、緑色。前端に1本の長い鞭毛(陥入部にもう1本の短い鞭毛をもつ)があり、水中を運動する。鞭毛の基部に赤い眼点をもつ。特に春先、水溜りに無数に発生し、水を緑に彩る。水の華。ユーグレナ。」(広辞苑)の意味を有する語である。また、近年、緑虫を用いたバイオ燃料の研究や、食料としての研究が進んでいる(フリー百科事典「Wikipedia」の「ミドリムシ」の項)。
さらに、次のインターネット情報によれば、「ミドリムシ」(みどりむし)は、必須アミノ酸を始めDHAやEPA、ミネラル等59種類もの豊富な栄養素を天然の状態で蓄えていることから、「みどりむし」「ミドリムシ」の文字が、いわゆる健康食品、クッキー、カステラ等の食品の分野において原材料として取引上普通に使用されている実情がある。
ア 「euglenaangel」のウェブサイトの「話題のミドリムシサプリメント 『ユーグレナ エンゼル』オンラインショップ」の見出しの下、「ミドリムシサプリメント/ユーグレナエンゼル」の項に、商品名:ユーグレナエンゼル 原材料:ミドリムシ(みどりむし)、ビール酵母、ローヤルゼリー、鮫軟骨抽出物(コンドロイチン含有)、月桃葉エキス末、ゼラチン、ステアリン酸Ca、着色料(酸化チタン、鉄葉緑素)の記載がある(http://euglenaangel.com/)。
イ 「楽天市場」のウェブサイトの「きれい専門店」の見出しの下、「まいにちみどりん」の「ユーグレナ社 正規品!! 」の項に、「みどりむし1匹に含まれるパラミロンなど、すべての栄養素の量は変わりません」の記載がある(http://www.rakuten.co.jp/kireiyo/)。
ウ 「【楽天市場】新発売!:宗家くつわ堂楽天市場店」と称するウェブページの「みどりむしかすてら」の項に「“みどりむし”だけに含まれる[パラミロン]という成分が、体内の脂質やコレステロールを吸着し油分に溶け込みやすい有害物質も一緒に排出してくれるので、食べるほど健康になってます。”みどりむし”で栄養補給」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/kutsuwado-shop/c/0000000103/)。
エ 「宗家くつわ堂楽天市場店」のウェブサイトの「今話題のみどりむしを使ったカステラ発売中!」の見出しの下、「ミドリムシのカステラが人気 1切れ2億匹、健康増進?」の項に「高松市の菓子店『宗家くつわ堂』が、健康効果が期待されるミドリムシを使ったカステラの商品化に成功、売り出しから約3カ月で全国から注文がくる人気という。」の記載がある(http://www.rakuten.co.jp/kutsuwado-shop/)。
オ 「株式会社ルナージュ」と称するウェブページの「あっぱれみどりくん」の見出しの下、「“ミドリムシ(ユーグレナ)”を粉末にしてカプセルにいれました!【美肌】+【ダイエット】+【健康維持】を兼ね備えた万能サプリメント。・・・栄養補助食品として1日3粒〜6粒を目安に、水やぬるま湯と一緒にお召し上がりください。「原材料:ミドリムシ(ユーグレナ)、ビール酵母、ローヤルゼリー、鮫軟骨抽出物、月桃葉エキス末、ステアリン酸Ca、着色料(酸化チタン、鉄葉緑素)」の記載がある(http://www.hoyumedia.com/co/ke/midorimushi/index.html)。
カ 「ユーグレナ専門店・みどりむし問屋」と称するウェブページに「みどりむし問屋は、正規の東京大学産のユーグレナ(みどりむし)商品のみを扱うみどりむし専門店です。」「東京大学産みどりむし ユーグレンファインセレクト 注目の理由はここにあり!!ユーグレナ(みどりむし)の栄養素」「ユーグレナファインセレクトとは?東京大学内に事務所をもつユーグレナ社との提携により生まれたインターワークス社のプライベートブランド商品です。」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/midorimushi/fine-06/)。
上記の実情よりすれば、「みどりむし」「ミドリムシ」の語は商品の原材料を表す語として普通に使用され、一般に理解されているものということができる。
そして、本願商標は、食用の緑虫を表す「みどりむし」の文字と該文字を強調するための二重丸を付した構成からなるものであるから、その構成全体をもってしても「緑虫」の意味合いを理解させるにすぎなものである。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は「緑虫を原材料とした商品」であるという商品の原材料及び品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないといわなければならない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は文字と図形部分が一体不可分に構成されているものであり、構成全体として充分に自他商品識別機能を有している、旨主張している。
しかしながら、前記のとおり、本願商標の二重丸の図形は、強調して表すために付加されている程度に認識されるものであり、本願商標は、構成全体としてみても商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章といえ、取引者、需要者が自他商品の識別標識として認識するとはいえない。
イ 請求人は、緑虫については、「ミドリムシ」の片仮名表記が広く一般に用いられている。通常、表記の違いによって取引者、需要者が想起する観念は全く異なるから、本願商標の文字部分「みどりむし」については、「ミドリムシ」を想起させるものではない、旨主張している。
しかしながら、漢字で表記される語であっても、それを片仮名や平仮名で表すことは一般に行われており、かつ、「みどりむし」及び「ミドリムシ」は、いずれも「緑虫」以外に対応する語として一般に知られているものはないから、「緑虫」を想起するのである。そして、「緑虫」について、「みどりむし」と表記することが実際に行われているから、平仮名の「みどりむし」についても本願指定商品に係る商品の原材料を認識させるものである。
ウ 請求人は、世界で初めてユーグレナ(緑虫)の大量培養に成功した東京大学に本店を置く株式会社ユーグレナの開発した商品について独占的に購入し、販売しているのであり、本願商標について請求人と無関係の第三者が多数存在しないことを考慮すると、本願商標は充分に自他商品識別機能を果たし得ると共に、公益的見地からもその登録を排除すべき十分な理由が存在しないと考える、旨主張している。
しかしながら、請求人が販売する緑虫を原材料とする商品「バイオザイム」が株式会社ユーグレナによって製造されたものであって、これについて請求人が独占販売しているとしても、株式会社ユーグレナのウェブサイト(http://www.euglena.jp/business/functional_food/oem.html)及び請求人提出の参考資料6ないし13によれば、同社は緑虫を使用したサプリメントやゼリー、飲料、クッキー、麺類等の商品についてOEM供給を行っているのであり、同社も緑虫を原材料名として使用しているほか、緑虫を原材料とする商品を請求人以外の者が販売していることは明らかである。そうとすると、このような、原材料表示であるものは、自他商品の識別機能を有しないし、これを原材料とする商品を製造または販売しようとするものは、当然にその使用を欲するものであるから、特定人にその独占使用を認めるのは公益上適当としないものというべきである。
エ 請求人は、本願商標を付した商品(以下「請求人商品」という。)を平成20年12月に販売を開始し、総売上高は3億円を超えるに至っており、販路も拡大している。、パンフレット(参考資料17)による宣伝広告をし、プロ野球選手をイメージキャラクターに採用し、スポーツ新聞記事として取り上げられ(参考資料18)、また、テレビ、新聞、雑誌等の各種メディアで紹介されているものであり、このような使用実績の結果として、本願商標を取り扱う商品を示すものとして充分に自他商品識別機能を有している、旨主張している。
しかしながら、請求人商品は、容器の中央に緑色を配した四角形内に「BIO ZYME」「バイオザイム」と二段に書してなり、その横に本願商標が付されている(参考資料20)ものであり、このような態様からは、本願商標の部分は、原材料を表したものとして認識されるにとどまるというべきである。そして、例えば、請求人商品が取り上げられている2010年2月6日付けスポーツニッポンの記事(参考資料18)も「東大開発ミドリムシ」、「微生物・ミドリムシの培養は・・・」のように緑虫について記載され、請求人商品については、「ミドリムシを使ったサプリメント『バイオザイム』」と紹介されているにすぎない。そして、請求人商品が取り上げられたとする雑誌、新聞等については上記スポーツニッポンの記事以外に証拠の提出はされていないが、緑虫が人間が必要とする栄養素のほぼすべてを含むもの(参考資料16)として注目されているものであることからすると、上記メディアで請求人商品が紹介されたことが事実であるとしても、そのことにより、本願商標が請求の業務に係る商品を表すものとして自他商品識別機能を発揮しているとは認めがたいものである。
そのほか、参考資料17のパンフレットについても、本願商標は商品の原材料を表示しているものといえるし、しかもその配布時期、配布枚数などは不明である。加えて、平成22年4月26日付け意見書に添付の2010年4月20日印刷のみどりむしドットコムのウェブサイトで広告されている請求人に係る商品には、前記参考資料20にある請求人商品とは異なり、容器正面に本願商標は表示されていないことからすると、本願商標の使用期間は、請求人に係る「バイオザイム」の販売期間のすべてではない。そして、本願商標は、一義的には、構成全体としても原材料を表示したものとして認識されるにすぎないものであることからすると、本願商標の使用実績を見ても本願商標が自他商品識別機能を有しているとはいうことができない。
オ 請求人は、登録例及び審決例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、それらは商標の具体的構成において相違するばかりか、指定商品においても相違するものであるから、本願商標とは事案を異にするといわざるを得ず、また、登録出願された商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係において、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、それら登録例の存在によって、前記判断は何ら左右されないというべきである。
してみれば、請求人の主張はいずれも採用できない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。