Trademark Appeal Case
包装形状と記述的表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−25637(T2010−25637/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第29類「あぶりわかめ」を指定商品として、平成21年9月7日に立体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、焙ったわかめの包装容器を写したと思しき図形に、四角形状の図形を配し、その四角形状図形の右上部に『手焼』及び『風味』の文字を赤色で2行に縦書きし、中央に『焙りわかめ』の文字及び『焙』の文字の右部に『あぶ』の平仮名をふりがな風に配した構成よりなるものである。そして、該図形部分は、焙ったわかめの包装容器の一形態を表したものと理解される以外に格別に顕著なところは認められず、また、構成中の『手焼』及び『風味』の文字部分は、『機械によらず手を使って焼いたような味わい』程の意味合いが認識され、『焙りわかめ』の文字は、商品名を表したものであるから、文字部分全体として、『機械によらず手を使って焼いたような味わいの焙りわかめ』程の意味合いが認識されるものである。そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、単に商品の品質、包装の形状を普通に用いられる方法を脱しない方法で表示するにすぎないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、わかめが封入された縦長長方形状の包装袋であり、その包装袋は、上端部及び下端部に黒色帯状部分を有し、中央部に銀色の横帯状部分を有し、更に正面中央部に一部上記横帯状部分に重ねるようにラベルを表示し、上記部分以外は透明であって、包装袋には焙りわかめが封入されているものである。そして、当該ラベルは、ベージュ色を地色とし、下部にやや濃い色で波の図を描き、そして、その波の図に一部を重ねて、「焙りわかめ」(「焙」の文字の右側に「あぶ」のルビがある。)の文字を大きく筆書きで書し、「焙り」の文字の右側に赤色で「手焼」、「風味」の文字をそれぞれ赤色四角形輪郭内に縦書きしてなるものである。
そこで、検討するに、本願商標のラベルに表示されている「手焼風味」の文字は、「手焼き」が「機械によらずに手を使って焼くこと」(広辞苑)を意味し、「風味」が「あじ。特に、上品なあじわい」(同)を意味するから、該部分全体として、「手焼きの味わい」のごとき意味合いを認識させるものであり、ラベル中央に大きく表された「焙りわかめ」の文字は、本願商標を使用する商品の名称である。更にラベルには、下部に「波」の図形(以下「波図形」という。)が表示されているが、本願指定商品と同様の海産物については、波を描いた図形を包装のデザインに使用することが一般に行われているものであり、また、本願商標の波図形は、地色と同系色であり、波図形は、上記「焙りわかめ」の文字に対して、背景的に描かれているものである。
そうすると、当該ラベルは、「手焼き風味の焙りわかめ」であることを認識させるにすぎないというのが相当である。
また、本願商標は、焙りわかめが封入された全体が透明状の包装袋であり、上下の黒色部分及び中央の銀色帯状部分も包装に装飾を施した程度に認識させるにすぎないものであり、商品の包装の中央部に商品名等を記載したラベルを表示することは一般に行われているところである。
そうすると、本願商標は、全体として「手焼き風味の焙りわかめを包装した商品」を認識させるにすぎないから、これをその指定商品に使用しても、商品の品質、包装の形状を表示させるにすぎないものというのが相当であり、自他商品識別標識としての機能を有するということはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標のように特定の各要素が集合し組み合わされて今までにない一つのまとまりのある一体となった立体商標については識別性を認めるべきである。」と主張している。
しかしながら、出願された商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するかどうかは、その商標が立体商標か否かによって、原則変わるものではなく、特に本願商標に係る立体的形状は、極めてありふれた、商品の包装に一般に用いられている偏平の縦長四角形形状であるから、その立体的形状に係る特異性は極めて乏しいものである。そして、本願商標は、偏平の縦長四角形の包装用袋の立体的形状であること、それに表示されている上下の黒色部分及び中央部の銀色帯状部分を有すること、正面中央にラベルを表示すること、これら以外の部分が透明であり商品(焙りわかめ)が確認できること、波の図形を表示すること、「手焼風味」、「焙りわかめ」(振り仮名を含む。)の文字を表示しているものであること、等の構成要素を有するものであるが、これらの各構成要素は、いずれも自他商品の識別力を有さないものである。なお、この点について、請求人は争っていない。
そうすると、本願商標は、前記構成要素を組み合わせてなるものであるとしても、客観的に見れば、商品の美感の観点から装飾が施され、商品名、特長等が記載されたラベル部分のある、ありふれた立体的形状の包装用袋(なお、わかめが封入されている。)であり、需要者において、一般に用いられる装飾や商品を表す表示がされたものとして予測し得る範囲のものであるから、商品の品質、包装の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。
イ 請求人は、「商標が商標法第3条第1項第3号に該当するためには、『取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであって、特定人によるその使用を認めるのを公益上適当としないもの』でなければならないが、本願商標はこれに該当しない。」と主張し、その理由として、「いくつもの要素を多数の母集団の中から組合わせて1つのまとまりのある一体の立体商標を構成する場合、その結果として得られる種類は極めて多数にわたり、そのような多数の種類の立体商標がすべて『取引に際し必要適切な表示』に当たるはずがない。また、多数の種類の立体商標の中の1つであって特段の事情を有していないものにつき登録商標として特定人による独占使用を認めることは公益上不適当でないと考えるが、本願商標は特段の事情を有しているものではない。」と主張し、また、本願商標を構成する各要素のいずれかにつき現在一般に使用されているか将来一般に使用される可能性があると仮定しても、本願商標そのものが現在または将来において一般的になる可能性は事実上皆無である。」として、「本願商標が『一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないもの』に該当しない。」と主張している。
しかしながら、請求人の主張は、複数の構成要素を組み合わせることにより、同一の構成要素の組合せとなる確立が低くなることを示しているにすぎず、一般に本願商標のような商品の入った包装袋に接する需要者は、特に商品や商品の特長等が記載されたラベル、更には通常表示されている、製造者、販売者等のその商品の出所を表す表示を一義的に注目するのであって、本願商標が上記構成要素を組み合わせることにより、需要者において、特段の印象を看取させるというような事情もうかがえないものであるから、この程度の特長(若しくは構成要素の組合せ)については、同種の商品等に関与する者が、その使用を欲するということを否定することはできず、先に商標登録出願したことのみを理由として、本願商標を特定人に独占使用を認めることは、公益上適当ではない。また、「一般に使用される標章」に該当しないとはいえない。
ウ 請求人は、「本願商標に自他商品識別力がないということは、本願商標と類似の商標を付した商品が本願商標を付した商品と同時に販売されていたとしてもそれらの間に混同が生じない(つまり需要者が本願商標とは別の商標を手がかりとして商品を選ぶ)ことを意味するが、本願立体商標をまったく無視して需要者が商品を選ぶという事態は想定し難いものであり、本願立体商標の形態を主な手がかりとして商品を選択するという行動の方が需要者の行動として自然である。」と主張している。
しかしながら、需要者は商品の出所について、当該商標が使用され、需要者に広く知られているというような事情があればともかく、その商品の包装のデザイン等に着目して、商品を選択するものではなく、通常、商品には、自他商品の識別力を有する標章、製造者・販売者名などの商品の出所が表示され、需要者は、これらの出所標識に着目して商品を選択するというべきである。
したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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