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Trademark Appeal Case

商標の称呼類似と品質誤認

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900077(T2010−900077/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5299405号商標の指定商品中、第14類「貴金属,キーホルダー,宝石箱,宝玉及びその模造品,宝玉の原石」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5299405号商標(以下「本件商標」という。)は、「ICE−WATCH」の文字を標準文字で表してなり、平成21年8月5日に登録出願、第14類「貴金属,キーホルダー,宝石箱,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計,時計の部品及び付属品,時計用箱及び時計ケース」を指定商品として、平成22年1月8日に登録査定、同年2月5日に設定登録されたものである。その後、本件商標に係る商標権については、放棄による本商標権の登録の抹消が、同年6月2日に受付され、その登録の抹消がなされているものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出している。

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 引用商標

申立人が引用する国際登録第962366号商標(以下「引用商標」という。)は、後掲のとおりの構成からなり、2007年11月28日にスイス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2008年4月7日に国際商標登録出願、第14類「Jewellery, precious stones ; horological and chronometric instruments.」、第35類「Retail services for clocks and watches of all kinds and jewellery ; retail services via global networks of computers (Internet) of clocks and watches of all kinds and jewellery.」及び第37類「Repair and maintenance of horological products and jewellery.」を指定商品及び指定役務として、平成21年10月2日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

イ 理由の要点

(ア)本件商標と引用商標とを比較すると、称呼は、いずれについても「アイスウォッチ」であり、かかる称呼は、冗長でなく、容易に、一連によどみなく、ひと息にて称呼しうるものであって、本件商標と引用商標とは、称呼上同一である。

(イ)本件商標は、その指定商品中「宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計,時計の部品及び付属品,時計用箱及び時計ケース」に関する限り、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、その構成中に「(携帯用の小さな)時計」を意味し、「腕時計,懐中時計」を想起させる「WATCH」の文字を有するから、これをその指定商品中、「貴金属,キーホルダー,宝石箱,宝玉及びその模造品,宝玉の原石」及び「置き時計,柱時計,掛け時計,その他の携帯することがない時計,置き時計・柱時計・掛け時計・その他の携帯することがない時計の部品及び付属品,置き時計・柱時計・掛け時計・その他の携帯することができない時計用箱及び時計ケース」について使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標の指定商品中、上記商品についての登録は、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものである。

3 取消理由通知(要旨)

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標との類否についてみるに、本件商標と引用商標は、前記及び別掲のとおりの構成からなるところ、いずれも、その構成文字に相応して、本件商標からは「アイスウォッチ」の一連の称呼を生じ、引用商標からも「アイスウォッチ」の一連の称呼を生ずるものと認められる。

してみれば、両商標は、「アイスウォッチ」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。

そして、本件商標の指定商品中の「宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計,時計の部品及び付属品,時計用箱及び時計ケース」と引用商標の指定商品及び指定役務とは、同一又は類似のものである。

したがって、本件商標の指定商品中の「宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計,時計の部品及び付属品,時計用箱及び時計ケース」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。

(2)商標法第4条第1項第16号について

本件商標構成中の「WATCH」の語は、「腕時計、懐中時計」といった「携帯用の小さな時計」を表す語として知られているものであり、「置き時計、掛け時計」といった「携帯することはない大きな時計」は「CLOCK」と称されているものである。

そうとすれば、本件商標が「腕時計、懐中時計」といった時計とは関係のない「貴金属、キーホルダー、宝石箱、宝玉及びその模造品、宝玉の原石」について使用されるときには、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。

また、本件商標が携帯に適しない時計である「置き時計,柱時計,掛け時計」等の時計や「携帯に適しない時計の部品及び付属品,携帯に適しない時計用箱及び時計ケース」について使用されるときには、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標の指定商品中の「貴金属,キーホルダー,宝石箱,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,携帯に適しない時計,携帯に適しない時計の部品及び付属品,携帯に適しない時計用箱及び時計ケース」についての登録は、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものである。

4 取消理由通知に対する商標権者の意見(要旨)

商標権者は、本件取消理由通知に対し、次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、ローマ字の「ICE」と「WATCH」とハイフンで結合してなるので、称呼に際しては必然的に「アイス ウォッチ」と「アイス」と「ウォッチ」とに間に息の段落を入れるものである。

一方、引用商標は、「swatch」の部分が「スウォッチ」と称呼されて著名であるが故に称呼に際しては必然的に「アイ スウォッチ」と「アイ」と「スウォッチ」とに間に息の段落を入れるものである。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、現実の取引において、息の段落位置が相違することによって聞き分けられる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

(2)商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、需要者に全体としてベルギーのファッション時計ブランドと認識され、敢えて、「WATCH」の部分を取り出して商品の品質表示であるとは認識し得ない。この点で商品の品質の誤認を生じない。

また、「WATCH」は、われわれ日本人には一般に「時計」を意味するものと認識されており、一方で、「時計」のみならず、「監視、見張り、見張りをする。」等の様々な意味がある語として捉えられている。このため、「WATCH」から直ちに「時計」なる意味を感得できない。この意味の多様性からしても商品の品質の誤認を生じない。

現に、その構成中に「WATCH」を含んでいると明確に認識できる商標であっても、「携帯に適しない時計及び付属品、携帯に適しない時計の部品及び付属品、携帯に適しない時計用箱及び時計ケース」等に使用された場合には、品質の誤認を生じるとされることはなく登録されている(乙第6号証ないし乙第14号証)。

これらの登録商標と本件商標とが、別異に取り扱われ、本件商標のみが品質の誤認を生じるとされる特段の理由は何ら見出せない。したがって、本件商標もこれらの登録商標と同じく品質の誤認を生じるものとはされない。現に、引用商標も「watch」の語を含んでいるが、「携帯に適した時計及び付属品」に限定されることなく国内登録されている。

以上述べた理由から、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は、「ICE−WATCH」の文字を標準文字で表してなるところ、「ICE」と「WATCH」の文字の間にハイフンを有するから、「アイス」「ウォッチ」と区切って称呼されるものであって、「氷の時計」の如き観念を生ずるものである。

イ 引用商標

引用商標は、後掲のとおり、筆記体風に表した「i」の文字と活字体風に表した「swatch」の文字を書してなるところ、「i」と「swatch」の文字は、書体を異にするから、「アイ」「スウォッチ」と区切って称呼されるものであって、特定の観念を生じない造語よりなるものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

(ア)外観

本件商標と引用商標とは、外観において顕著な差異を有するものである。

(イ)称呼

本件商標は、「アイス」「ウォッチ」と区切って称呼されるものであるのに対し、引用商標は、「アイ」「スウォッチ」と区切って称呼されるものであって、両商標は、語の切れ方、分かれ方(シラブル、息の段落)が明らかに異なるものであるから、その語調、語感が異なり相紛れるおそれはないものというべきである。

(ウ)観念

本件商標は、「氷の時計」の如き観念を生ずるとしても、引用商標は、造語よりなるものであるから、観念については比較することができない。

(エ)まとめ

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観における顕著な差異を有し、称呼及び観念において相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第16号について

本件商標は、その構成中に顕著に「WATCH」の文字を有するものであるところ、「WATCH」の語は、「監視、見張り、見張りをする。」の意味を有するとしても、甲第4号証の「新英和中辞典(第7版第1刷)」(株式会社研究社)に記載のとおり、「(携帯用の小さな)時計」の意味をも有するものである。

そして、該語は、様々な意味がある語であるとしても、本件商標の指定商品との関係においては、「時計」を認識させる語であり、また、本件商標に接する需要者は、必ずしも携帯用の時計を「WATCH」、柱時計、置き時計などを「CLOCK」の如く、その意味を英和辞典に記載されているように正確に理解しているものではなく、商標権者も主張するように、「WATCH」の語を単に「時計」と認識している場合も決して少なくないというのが相当である。

してみれば、これをその指定商品中「時計,時計の部品及び付属品,時計用箱及び時計ケース」以外の商品に使用するときは、明らかに商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

したがって、本件商標の指定商品中「貴金属,キーホルダー,宝石箱,宝玉及びその模造品,宝玉の原石」についての登録は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。

なお、商標権者は、過去の登録例を挙げて、本件商標のみが品質の誤認を生じるとされる特段の理由は何ら見出せない旨を主張している。

しかしながら、商標の具体的な構成態様を異にする商標登録の事例が本件の審理を左右するものではない上に、商標権者が挙げる過去の登録例は、ほとんどが「時計」を指定商品とするものであるから、商標権者の主張は、採用することができない。

また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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