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Trademark Appeal Case

称呼・外観の類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900269(T2010−900269/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5327124号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5327124号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「ARMAYU」の欧文字及び「アルマーユ」の片仮名文字を2行分程度のスペースを空けて上下二段に横書きしてなり、平成21年9月14日に登録出願、第3類「眉用の化粧品」を指定商品として、同22年4月15日に登録査定、同年6月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第7号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由

商標権者に対して、平成23年3月23日付けで通知した本件商標の取消理由は、次のとおりである。

(1)本件商標と引用各商標(使用に係る商標を含む)との対比について

本件商標は、別掲1に示したとおり、「ARMAYU」及び「アルマーユ」の文字を二段に横書きしてなるものである。

一方、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、「ARMANI」の文字からなる商標(引用商標1:国際登録第833734号商標)、別掲2に示したとおりの構成からなる使用に係る商標を含む商標(引用商標2:登録第3087185号商標)及び「アルマーニ」の文字からなる商標(引用商標3:登録第4132921号商標)である(以下、まとめていうときは「引用各商標」という。)。

そこで、本件商標と引用各商標とを比較するに、本件商標と引用商標1及び2とは、商標の識別上、最も印象に残る前半部分に位置する「ARMA」までの文字列を同じくし、僅かに語尾部分において、「YU」と「NI」の文字において差異を有するにすぎない。しかも、本件商標の欧文字部分の描出方法は、語頭の「A」の右下のセリフ(短い横棒部分)と「R」の左下のセリフ及び中間部分の「M」の右下のセリフと「A」の左下のセリフとをほぼ結合させているかの如くに近接させ、更に、末尾部分の「Y」の右上のセリフと「U」の左上のセリフとを結合させて表しており、これは、申立人の業務に係る引用商標2と描出方法が極めて近似しているものということができる。

また、本件商標構成中の「アルマーユ」の片仮名文字部分は、引用商標3や申立人の業務に係る引用商標2を片仮名表記した「アルマーニ」の標章と比較した場合、語尾の「ユ」と「ニ」の文字において差異を有するのみであり、しかも、その「ユ」と「ニ」の文字は、横方向の2本の平行線において共通し、縦方向の短い1本の線があるかないかのみの相違であり、外観上、該文字自体が酷似しているということができる。

そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、需要者・取引者をして、出所の混同を生じさせる程に外観上相紛らわしい商標であるといわなければならない。

(2)登録異議申立人の使用に係る商標の著名性について

申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。

ジョルジオ アルマーニは、1934年にイタリアに生まれ、1975年にセルジオ・ガレオッティと共にジョルジオ アルマーニ社を設立し、自らの名を冠した「GIORGIO ARMANI(ジョルジオ アルマーニ)」なるブランドをもって、贅沢な素材を使った洗練されたデザインを次々に世に送り出し、ファッションデザイナーとしての地位を確立した。彼のデザインに係る製品は、社会的にも高く評価されており、ファッション関係の世界的に有名な賞も多数獲得している(甲第4号証の1ないし甲第7号証)。

彼が手がける製品は、紳士服、婦人服、子供服、香水や化粧品、眼鏡、帽子、ベルト、バッグ類、靴類、財布・キーホルダー等の小物類、腕時計・アクセサリー等の宝飾品等幅広く、また、ファッション関連製品に留まらず、家具・食器・リネン・インテリア等々の多岐の分野に亘っている(甲第4号証の1ないし甲第8号証)。

そして、ジョルジオ・アルマーニに関する製品やサービスに使用されるブランドには必ずと言っていい程「ARMANI」の文字が含まれており、例えば、ファッション分野では、上述の「GIORGIO ARMANI(ジョルジオ アルマーニ)」、「EMPORIO ARMANI(エンポリオ アルマーニ)」等が、また、化粧品・香水の分野では、「GIORGIO ARMANI COSMETICS(ジョルジオ アルマーニ コスメティックス)」、「ARMANI MANIA(アルマーニ マニア)」等が使用されている(甲第8号証及び甲第9号証)。

ジョルジオ・アルマーニに関するブランドの宣伝・広告活動については、申立人及びその関連会社によって幅広く行われており、世界では約110力国以上にも及び(甲第9号証)、新聞・雑誌、TVコマーシャル、カタログをはじめファッション雑誌等での宣伝・広告活動が継続して行われている。我が国においても、宣伝・広告活動が盛んに行われ(甲第12号証の1ないし甲第17号証の8)、ジョルジオ・アルマーニに関するブランドの浸透が図られている。そして、ジョルジオ・アルマーニに関する広告宣伝費は、全世界において、2003年に約6741万ユーロ(約81億円)であったものが2007年には約8251万ユーロ(約99億円)となっており、我が国においても、2003年には約6億円であったものが2007年には約11億円となっている(甲第9号証)。また、ジョルジオ・アルマーニに関する売り上げについては、全世界において、2003年に約7億8296万ユーロ(約940億円)であったものが2007年には約19億6963万ユーロ(約2364億円)となっており、我が国においても、2003年には約41億円であったものが2007年には約118億となっており、右肩上がりの売り上げ実績を挙げている(甲第9号証)。

そして、ジョルジオ・アルマーニの著名性については、数々の証拠からも窺い知れるところであり、例えば、株式会社三省堂発行「コンサイス カタカナ語辞典」(2008年発行)には、「アルマーニ」の項にジョルジオ アルマーニの説明がされており(甲第18号証)、また、申立人所有の商標と他人の商標の類否が争われた平成19年(行ケ)第10142号審決取消請求事件においても、株式会社研究社発行「英和商品名辞典」の「Armani アルマーニ」の語の欄に「Giorgio Armani」の欄を参照するようになっている点が指摘されており、文化出版局発行「ファッション・キーワード」では、「アルマーニ現象」の項目に、日本でアルマーニ・ブランドが人気となり、80年代後半にはアルマーニ中毒といった意味の造語“アル中”などがあった点にも触れられており、これらを含むすべての証拠を参酌した結果、引用各商標の総体としての「ARMANI」標章の著名性が認められている(甲第19号証)。

更に、日本を含む世界各国において、申立人等の製造販売に係る製品であるかの如く誤認混同を生じさせるような模造品が出回っており(甲第20号証)、模造品が出回ること自体、申立人等並びにジョルジオ・アルマーニに関するブランドがフリーライドされる程に有名であることを示すに他ならないものである。

上述のような状況に加えて、申立人が所有する商標が「日本周知・著名商標」に掲載されている点をも考慮すると(甲第21号証)、引用各商標は、ジョルジオ アルマーニに関するブランドを総称する商標として、世界各国においても我が国においても、周知、著名な商標として認識されているものといえる。

加えて、申立人及びその関連会社は、実際に、「GIORGIO ARMANI COSMETICS(ジョルジオ アルマーニ コスメティックス)」、「ARMANI MANIA(アルマーニ マニア)」等のブランドの下に、化粧品・香水の製造販売を行っていることが認められる(甲第22号証、甲第8号証及び甲第10号証)。「GIORGIO ARMANI COSMETICS (ジョルジオ アルマーニ コスメティックス)」なるブランドは、2001年に誕生して以来、厳選された百貨店・専門店においてコスメティックカウンターを設置し、世界において売り上げを伸ばしており、我が国においても、上記ブランドの製品は、百貨店等の店舗・オンラインショップ等においても購入することができ(甲第23号証ないし甲第26号証)、それらの商品は高品質であるとして、美容ジャーナリストやメイクアップアーティスト等の評判も高いものであり、メディアにおいて取り上げられる機会も多く、高い人気を維持している(甲第27号証及び甲第28号証)。

(3)本件商標の指定商品と引用各商標に係る商品との関連性について

本件商標の指定商品は、「眉用の化粧品」であるのに対し、アルマーニ・グループの取り扱う商品は、上記したとおり、紳士服、婦人服、眼鏡、バッグ、時計等々のファッション関連商品にとどまらず、実際に、化粧品にも及んでおり、甲第23号証には、眉毛用の化粧品も掲載されていることが認められる。

そうとすれば、本件商標の指定商品は、引用各商標の使用に係る商品と同一又は類似するか、あるいは、共にファッション関連商品同士であって、その関連性は、極めて高いものといわなければならない。

(4)出所の混同のおそれについて

以上のとおり、引用各商標の著名性の程度、商標の独創性、引用各商標と本件商標の類似性の程度、商品の関連性及び需要者の共通性等を総合勘案すれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、それがジョルジオ アルマーニ又は同人の経営する企業と経済的若しくは組織的な関連を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

(5)まとめ

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものというべきであるから、本件商標の登録は取消を免れない。

4 商標権者の意見

商標権者は、上記3の取消理由に対し、指定した期間内に何ら意見を述べていない。

5 当審の判断

本件商標についてした上記3の取消理由は、妥当なものと認められるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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