Trademark Appeal Case
引用商標の周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900312(T2010−900312/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5339613号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成22年1月21日に登録出願、第16類「雑誌,新聞」を指定商品として、同年6月4日に登録査定され、同年7月23日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1 商標法第4条第1項第10号該当性
本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に関わる商品(雑誌)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている「オペナーシング」なる商標(以下「引用商標」という。)に類似するものであって、雑誌(第16類)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
2 商標法第4条第1項第19号該当性
本件商標は、申立人の業務に関わる商品(雑誌)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている引用商標に類似するものであって、不正の目的をもって、雑誌(第16類)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 むすび
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「雑誌」について、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号該当性
(1)引用商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、医学、看護などの医療系分野を専門とする出版社として、1977年(昭和52年)に設立されたこと、引用商標が使用されていると申立人が主張する雑誌は、手術室看護に関わる医療関係者を対象として、1985年11月に創刊された専門看護誌である(甲第1号証)。2010年10月号の表紙には、上段の中央の青塗り矩形内に「OPE」の欧文字をひときわ大きく表し、その下に「NURSING」「The Japanese Journal of Operating Room Nursing」の欧文字を上下三段に順次小さく記載され、一行ほど空いた最下段には、「一歩先ゆくORナースをサポートします」の文字と「オペナーシング」の片仮名を横書き並列に、さらに、表紙最下段中央には、小さく横書きにした「MCメディカ出版」の文字が表示されている(甲第2号証)。
また、引用商標が申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして周知著名であるとして、その事実を明らかにするものとして申立人が提出した証拠は、申立人の編集局副局長シニアディレクターの陳述書(甲第3号証)、赤穂中央病院中央手術室主任で、感染管理認定看護師の陳述書(甲第15号証)及び本件雑誌の編集委員である近畿大学医学部医学部長の意見書(甲第16号証)のところ、甲第3号証の陳述書では、上記雑誌の発行部数が月約5,000部で、他に関連の雑誌が存在する旨、甲第15号証の陳述書では、上記雑誌の発行部数が月約7,000部で、他に競合する雑誌が存在しない旨、甲第16号証の意見書では、上記雑誌の発行部数が月約6,000部で、他に競合する雑誌が存在しない旨、と異なる内容となっているばかりでなく、該陳述書及び意見書に記載された内容を裏付ける証拠の提出もない。その他、引用商標が申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして、本件商標の登録出願時(平成22年1月21日)及び登録査定時(同年5月10日)において、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠は見いだせない。
してみると、甲第3号証、同第15号証及び同第16号証をもってしては、引用商標が申立人の業務に係る雑誌を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、「オペナース」の片仮名と「OPE」「OPE NURSE」の欧文字とを上下三段に横書きした構成よりなるものであって、その指定商品を第16類「雑誌,新聞」とするものである。
しかして、本件商標の構成中、中央に大きく表された「OPE」の欧文字は、その読みと認められる「オペ」とともに、「外科手術」の意を有する独語「Operation」の通称、略語として普通に使用されているものである。そうとすれば、「OPE」の欧文字は、医学雑誌に使用するときは自他商品の識別標識としての機能を果たさないとみるべきである。
一方、本件商標構成中、「オペナース」及び「OPE NURSE」の各文字部分は、それぞれが一体的にまとまりよく表されているものであり、一連の造語と認められるものである。そして、「オペナース」の片仮名が「OPE NURSE」の欧文字の表音を表したものと認識、把握されるものというのが相当である。
してみると、本件商標は、上記「オペナース」「OPE NURSE」の文字部分に着目すれば、これらの部分の構成文字に相応して「オペナース」の称呼が生じるというのが相当である。
イ 引用商標について
申立人が使用する雑誌の表紙には、前記(1)のとおり、上段中央の青塗り矩形内に、ひときわ大きく表した「OPE」の欧文字を最上段に、それから下段へ順次小さく、「NURSING」、「The Japanese Journal of Operating Room Nursing」、最下段に「一歩先ゆくORナースをサポートします」の文字と「オペナーシング」の片仮名を横書きした構成よりなるものであって、手術室看護に関わる医療関係者を対象として専門看護誌(雑誌)の題号として使用されているものである(甲第2号証)。
ところで、定期刊行物の題号は、題号全体が需要者に印象付けられるといえるから、当該定期刊行物の題号全体をもって、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとみるべきである。
しかして、上段の中央の青塗り矩形内の各文字部分は、題号を表したものと認められるものであるが、そのうち「OPE」、「NURSING」、「The Japanese Journal of Operating Room Nursing」、「一歩先ゆくORナースをサポートします」の各文字部分は、順に「外科手術」、「看護」、「手術室看護の定期刊行物」、「一歩先ゆく手術室看護師をサポートします(注;「OR」は「手術室」の意味を有する「Operating Room」の略語)」程の意味合いを有し、ただちに医学雑誌の特定の内容を表示するものと認められ、品質を表示するものであるから、自他商品の識別標識としての機能を果たさないとみるべきである。
一方、「オペナーシング」の片仮名からなる引用商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たすものであり、その構成文字に相応して「オペナーシング」の称呼が生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標との類否について検討するに、先ず、本件商標より生ずる「オペナース」の称呼と引用商標より生ずる「オペナーシング」の称呼とは、前者は5音の構成に対し、後者は7音の構成であるから、その構成音数において明らかに異なり、また、両者は、前半の「オペナー」の音を共通にするものの,これに続く「ス」の音と「シング」の音の差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼しても音感、音調が明確に異なり、聴別し得るといえるものである。
また、本件商標と引用商標は、共に特定の意味を有しない造語よりなるものと認められるから、両者は観念においては比較することはできなものであり、外観上も互いに区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標である。
(3)前記(1)及び(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認められ、かつ、引用商標の周知性も認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。
2 商標法第4条第1項第19号該当性
本件商標と引用商標とは、前記1のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきであり、また、本件商標は、申立人の提出に係る証拠によって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用をするものであることを認めることができず、ほかに、かかる「不正の目的」をもって使用をするものに該当すると認めるに足りる特段の事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に該当しないものである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第10号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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