Trademark Appeal Case
犬モチーフ商標の類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900372(T2010−900372/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5354537号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成22年1月8日に登録出願、同22年8月6日に登録査定がなされ、第18類、第25類、第26類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同22年9月17日に設定登録されたものである。
2 本件登録異議申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第31号証を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録商標は、以下のとおりである。
ア 登録第4001408号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成7年9月6日に登録出願、同9年4月2日に登録査定がなされ、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年5月16日に設定登録、その後、同19年3月13日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
イ 登録第4077751号商標(以下「引用商標2」という。また、以下、これらを一括して「引用各商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成7年9月6日に登録出願、同9年9月5日に登録査定がなされ、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年10月31日に設定登録、その後、同19年7月24日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。
(2)申立ての理由の要点
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用各商標とは、全体として外観上類似するものである。
また、本件商標と引用各商標の指定商品とは、互いに抵触するものであるところ、その抵触する商品は、老若男女を問わない幅広い需要者を有する商品であって、取引の際必ずしも慎重な考慮がなされるとは限らない。また、これらの商品にはワンポイント的に小さく表示されたり、タグ状部分に極小に表示されたり、あるいは、布地の製品に刺繍等で商標が表示されたりする場合も少なくない。このような取引の実情をも勘案すると、主たる印象を同じくする商標を離隔的に観察するとき、一般需要者が細部の相違を直ちに把握して区別することは難しいと見るべきである。
以上より、本件商標は、引用各商標と類似するものであり、かつ、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第10号について
申立人は、引用各商標に係る犬を表した商標及び犬をモチーフとした商標を使用している(甲第10号証ないし20号証。以下、一括して「申立人商標」という。)が、申立人商標は、申立人のハウスマークに位置づけられている「エム・ユー・スポーツ」「M・U SPORTS」商標とともに、主にゴルフ用品、ゴルフウェア、ゴルフシューズ等ゴルフ関連商品について使用され、本件商標の出願時には、ゴルフ用品業界においては広く知られた商標となっていたところ、その周知性は、登録査定時ひいては現在においても増す一方である。
また、本件商標と申立人商標とは、全体として外観上類似するものである。
そして、本件商標と申立人商標を使用する商品とは、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第15号及び同19号について
申立人商標が、ゴルフ関連商品について使用し、本件商標の出願時及び査定時には、ゴルフ用品業界においては広く知られた商標となっていたこと、上記のとおりであり、また、申立人商標と本件商標との共通点にかんがみると、これらの商標は、相互に類似するとみるべきである。
してみれば、本件商標権者が本件商標を、その指定商品と同じファッション関連商品である第26類に係る商品に使用した場合には、これに接する需要者・取引者は、申立人又は申立人と経済的若しくは組織的な関連を有する者の業務に係る商品であるかのように誤信し、その出所について混同を生ずるおそれがある。
また、本件商標は、申立人商標と共通点を有することにより、着想の軌を一にし主たる印象が共通するものとなっていることから、本件商標の出願時には、既に著名性を獲得していた申立人商標を連想させることは必至であり、本件商標を指定商品のいずれに使用した場合でも、あたかも申立人が扱う商品であるかのごとき錯覚を需要者等に与え、商品の出所混同を引き起こすことは免れ得ない。
さらに、申立人は、「エム・ユー・スポーツ」「M・U SPORTS」のほかに、デザイン化した「W」の図形についても、ハウスマークとして使用した結果、これらの商標は、周知・著名となっており、同様に、犬に関する申立人商標についても、周知性を獲得している。本件商標権者は、これらの商標に類似する商標を複数出願しており、これら一連の流れから、本件商標の出願についても申立人の著名性に便乗し不正の利益を得ようとする目的が明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同19号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用各商標とは、別掲(1)及び(2)に示したとおりの図形よりなるものであるところ、いずれも、動物の頭部と前足とからなる図形を漫画風に描いている点については、共通にするものの、顔の特徴である顔の向き、耳、頬、目、口等の形状のみならず、「W」のロゴマークの有無等全体の構図や筆致を著しく異にするものであるから、全体から受ける印象が相当に異なり、時と所を異にして観察しても、外観上相紛れるおそれはないものというべきである。
また、両商標からは、特に称呼・観念は生じないから、これらを比較すべきところがない。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 申立人商標の周知・著名性
申立人提出の証拠によれば、申立人は、東京都中央区日本橋浜町2丁目44番4号に本社を置く「ゴルフ用品及びゴルフウェア等の企画、製造、販売」を事業内容とする株式会社であり、全国に11店舗の直営店を有するほか、その商品は、510店舗の専門店及び22店舗の有名百貨店でも販売されており、2009年度の総売り上げは、約20億円である(甲第4号証)。
そして、申立人は、甲第10号証ないし20号証に示す申立人商標を使用しており、当該商標は、本件商標の出願時には、周知になっており、その周知性は査定時においても維持されている旨述べているので、この点について、検討する。
甲第10号証ないし20号証によれば、申立人の取扱いに係る商品に、犬をモチーフにした標章がワンポイントマークや商品のデザイン等として使用されていることが認められる。
しかし、その構成は、多岐に亘るものであって、特に定まらず、申立人の主張する申立人商標がいずれの標章であるのか特定することができない。
仮に、申立人商標が、これらの犬をモチーフにした標章の全てを指すとしても,それらの使用は、商品のデザインとして認識されるものであり、取引指標となる商標の使用であるといい得ないものである。
また、当該証拠には、引用各商標の使用を示すものもない。
そうすると、申立人商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
イ 本件商標と申立人商標との類否について
前記アのとおり、申立人提出の証拠から申立人商標が特定できず、また、いずれの標章も取引指標となる商標の使用ということできないことから、本件商標と申立人商標の類否を判断することはできず、また、少なくとも両者を類似するものということはできない。
ウ まとめ
したがって、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないのみならず、本件商標と申立人商標とは類似の商標とはいえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(2)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標ではなく、かつ、本件商標と申立人商標とは何ら相紛れるところのない、非類似の商標であるから、本件商標に接する需要者は、申立人商標を想起又は連想することはないというべきである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上記(2)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないものであって、かつ、本件商標と申立人商標とは、何ら相紛れるところのない、非類似の商標であるから、他の要件について論及するまでもなく、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものとはいえない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。