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Trademark Appeal Case

商標の外観類似と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900373(T2010−900373/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5354538号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5354538号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,平成22年1月8日に登録出願,同22年8月6日に登録査定がなされ,第18類,第25類,第26類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同22年9月17日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議申立ての理由

本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第27号証を提出した。

(1)引用商標

申立人が引用する登録第4629196号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲(2)のとおりの構成からなり,平成12年5月12日に登録出願,同14年10月24日に登録査定がなされ,第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同14年12月13日に設定登録されたものである。

(2)申立ての理由の要点

ア 商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は,全体として外観上類似するものである。

また,本件商標の指定商品中の第25類及び第28類の指定商品と引用商標の指定商品は,同一又は類似するものである。そして,その抵触する商品は,老若男女を問わない幅広い需要者を有する商品であって,取引の際必ずしも慎重な考慮がなされるとは限らない。また,これらの商品にはワンポイント的に小さく表示されたり,タグ状部分に極小に表示されたり,あるいは,布地の製品に刺繍等で商標が表示されたりする場合も少なくない。このような取引の実情をも勘案すると,主たる印象を同じくする商標を離隔的に観察するとき,一般需要者が細部の相違を直ちに把握して区別することは難しいと見るべきである。

以上より,本件商標は,引用商標と類似するものであり,かつ,その指定商品も同一又は類似のものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

イ 商標法第4条第1項第10号について

申立人は,引用商標に係る犬を表した商標を使用しているが(以下「申立人商標」という。),当該商標は,本件商標の出願時には周知になっており,その周知性は査定時においても維持されている(甲第10号証ないし甲第16号証)。そして,申立人商標は,申立人のハウスマークに位置づけられている「エム・ユー・スポーツ」「M・U SPORTS」商標とともに,主にゴルフ用品,ゴルフウェア,ゴルフシューズ等ゴルフ関連商品について使用され,本件商標の出願時には,ゴルフ用品業界においては広く知られた商標となっていたところ,その周知性は,登録査定時ひいては現在においても増す一方である。

また,本件商標と申立人商標とは,全体として外観上類似するものであり,本件商標と申立人商標を使用する商品とは,同一又は類似のものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。

ウ 商標法第4条第1項第15号及び同19号について

申立人商標がゴルフ関連商品について使用され,本件商標の出願時及び査定時には,ゴルフ用品業界においては広く知られた商標となっていたことは,上記のとおりである。また,申立人商標と本件商標との共通点にかんがみると,これらの商標は相互に類似するとみるべきである。

してみれば,本件商標権者が本件商標を,その指定商品と同じファッション関連商品である第26類に係る商品に使用した場合には,これに接する需要者・取引者は,申立人又は申立人と経済的若しくは組織的な関連を有する者の業務に係る商品であるかのように誤信し,その出所について混同を生ずるおそれがある。

また,本件商標は,申立人商標と共通点を有することにより,着想の軌を一にし主たる印象が共通するものとなっていることから,本件商標の出願時には,既に著名性を獲得していた申立人商標を連想させることは必至であり,本件商標を指定商品のいずれに使用した場合でも,あたかも申立人が扱う商品であるかのごとき錯覚を需要者等に与え,商品の出所混同を引き起こすことは免れ得ない。

さらに,申立人は,「エム・ユー・スポーツ」「M・U SPORTS」のほかに,デザイン化した「W」の図形についても,ハウスマークとして使用した結果,これらの商標は,周知・著名となっており,同様に,申立人商標を含む犬に関する商標についても周知性を獲得している。本件商標権者は,これらの商標に類似する商標を複数出願しており,これら一連の流れから,本件商標の出願についても申立人の著名性に便乗し不正の利益を得ようとする目的が明らかである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同19号に該当する。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標とは,別掲(1)及び(2)に示したとおりの図形からなるものであるところ,両商標は,申立人がいうように犬を漫画的に表現したものということができる。しかし,両商標は,漫画的に表現した犬の首から上の部分と前足が描かれている点,犬にまだら模様が描かれている点について共通するものの,顔の輪郭,耳,頬,鼻等の形状や大きさ,まだら模様の位置や大きさが異なるほか,目を開いているところと閉じているところに大きな相違があり,それぞれの商標全体から受ける印象が相当に異なり,時と所を異にして観察しても,外観上相紛れるおそれはないものというべきである。

また,両商標からは,特に称呼・観念は生じないから,これらの点について比較すべきところがない。

してみれば,本件商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれからみても,何ら相紛れるおそれのない非類似の商標である。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第10号について

ア 申立人商標の周知・著名性

申立人提出の証拠によれば,申立人は,東京都中央区日本橋浜町2丁目44番4号に本社を置く「ゴルフ用品及びゴルフウェア等の企画,製造,販売」を事業内容とする株式会社であり,全国に11店舗の直営店を有するほか,その商品は,510店舗の専門店及び22店舗の有名百貨店でも販売されており,2009年度の総売り上げは,約20億円である(甲第3号証)。 そして,申立人は,甲第10号証ないし甲第16号証に示す申立人商標を使用しており,当該商標は,本件商標の出願時には,周知になっており,その周知性は査定時においても維持されている旨述べているので,その点について,検討する。

甲第10号証ないし甲第16号証によれば,申立人の取扱いに係る商品に,犬をモチーフとした標章がワインポイントマークや商品のデザイン等として使用されていることが認められる。しかし,その構成は,多岐にわたるものであって,特に定まらず,申立人の主張する申立人商標がいずれの標章であるのか特定することができない。仮に,申立人商標がこれらの犬をモチーフとした標章の全てを指すとしても,それらの使用は,商品のデザインとして認識されるものであり,取引指標となる商標の使用であるといい得ないものである。また,当該証拠には,引用商標の使用を示すものもない。

そうすると,申立人商標及び引用商標が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。

イ 本件商標と申立人商標との類否

前記アのとおり,申立人提出の証拠から申立人商標を特定できず,また,いずれの標章も取引指標となる商標の使用ということができないことから,本件商標と申立人商標の類否を判断することはできず,また,少なくとも両商標を類似するものということはできない。

ウ まとめ

したがって,申立人商標は,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標と認めることができないのみならず,本件商標と申立人商標とが類似の商標とはいえないから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号について

上記(2)のとおり,申立人商標は,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標ではなく,かつ,本件商標と申立人商標とは,何ら相紛れるところのない非類似の商標であるから,本件商標に接する需要者は,申立人商標を想起又は連想することはないというべきである。

そうすると,本件商標をその指定商品について使用しても,該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれはない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第19号について

上記(2)のとおり,申立人商標は,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,申立人商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないものであって,かつ,本件商標と申立人商標とは,何ら相紛れるところのない非類似の商標であるから,他の要件について論及するまでもなく,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(5)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同第11号,同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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