Trademark Appeal Case
記述的商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900164(T2010−900164/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5308766号商標(以下「本件商標」という。)は、「Enterprise Gateway」の欧文字と「エンタープライズゲートウェイ」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり、平成21年8月20日に登録出願、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,プロジェクター及びその部品,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品又は指定役務として、同22年2月10日に登録査定、同年3月12日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は取り消されるべきものであるとし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
本件商標は、「Enterprise Gateway/エンタープライズゲートウェイ」と二段横書きしてなるところ、同語は情報・通信業界において「企業向けの又は大規模な情報システムのゲートウェイ(ネットワーク同士を接続する際に接続先のネットワークに合わせてデータのフォーマットやプロトコル等を変換するハードウェアやソフトウェア)」「企業間のデータやシステムの互換性を実現させるゲートウェイ」を表す用語として、本件商標の登録査定前より一般に使用されているものである(甲第2号証ないし第14号証)。
そして、申立人は「Enterprise Gateway」の語を企業向けの「ドキュメントマネジメントソフトウェア」である「imageWARE」シリーズ商品(甲第5号証)のうち、「他社製の基幹業務システムソフトウェアのデータの変換用ソフトウェア」の名称として2006年より実際に使用している(甲第6号証)。
さらに、申立人以外の多数の当業者も「Enterprise Gateway」「エンタープライズゲートウェイ」の語を「企業向けの又は大規模な情報システムのゲートウェイ」「企業間のデータやシステムの互換性を実現させるゲートウェイ」といった品質、内容を表す一般用語として実際に使用している(甲第7号証ないし甲第14号証)。
よって、「Enterprise Gateway」「エンタープライズゲートウェイ」の語は、本件商標が登録査定される遙か以前より「企業向けの又は大規模な情報システムのゲートウェイ」「企業間のデータやシステムの互換性を実現させるゲートウェイ」といった品質、内容を表す一般用語として実際に使用されていることが立証される。
したがって、本件商標は、その指定商品・指定役務中、上記意味合いに照応した機能、内容を有する「電子計算機用プログラム、電子応用機械器具、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介及び説明、機械器具に関する試験又は研究、電子計算機の貸与、電子計算機用プログラムの提供」等に使用した場合には、単に商品の品質・役務の質等を表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用した場合には、商品の品質、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するものである。
3 当審の判断
本件商標は、前記1のとおり、「Enterprise Gateway」及び「エンタープライズゲートウェイ」の文字からなるところ、構成中の「Enterprise」「エンタープライズ」の文字が、「IT業界における市場や製品カテゴリの区分の一つで、大企業や中堅企業、公的機関など、複数の部門で構成されるような比較的規模の大きな法人に向けた市場や製品のこと。」(甲第3号証)や、「大事業、大仕事、企業、冒険心」(甲第4号証)などの意味を有し、同「Gateway」「ゲートウェイ」の文字が、「ネットワーク上で、媒体やプロトコルが異なるデータを相互に変換して通信を可能にする機器。」(甲第3号証)や、「ネットワークを別のネットワークと接続して相互アクセスをする方法.また,自分が直接接続しているホストコンピューターから,相互接続しているホストコンピューターにアクセスすること.門の付いた出入り口.アーチ型通路.」(甲第4号証)を意味することから、情報・通信の分野においては、「Enterprise Gateway」及び「エンタープライズゲートウェイ」と一連に表された本件商標が、全体として、「比較的規模の大きな法人に向けたデータ変換のための機器」のごとき漠然とした意味合いを暗示させる場合があるとしても、特定の意味合いを有する既成語や熟語であるとみるべき資料(辞書等)は存しないことから、本件商標から特定の意味合いを看取することはできない。
そして、甲第5号証ないし甲第14号証によれば、「Enterprise Gateway」及び「エンタープライズゲートウェイ」の文字が使用されていることは窺えるとしても、それらのほとんどが当該企業の特定の商品を表示するものであって、申立人の指摘する商品の品質、内容を表す一般用語として明らかに使用されているのは、わずか3件(甲第9号証、甲第10号証、甲第14号証)にとどまり、そのうち掲載年の明らかなものは1件(甲第14号証)のみである。
してみれば、申立人提出の甲各号証によっては、「Enterprise Gateway」及び「エンタープライズゲートウェイ」の文字が、商品の品質、内容を表示するものとして、一般に使用されているものとはいい難いものである。
そうすると、本件商標は、その指定商品又は指定役務に係る商品の品質又は役務の質等を直接的かつ具体的に表示したものとして認識されるとはいえないものであり、むしろ、特定の品質等を表示しない一連の造語としてのみ印象付けられて取引に資されるものとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、その指定商品又は指定役務にかかるいずれの商品又は役務について使用しても、商品の品質又は役務の質等を表示するものではなく、自他商品又は役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、また、商品の品質又は役務の質について誤認を生じさせるおそれもない商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当しない。
なお、申立人は、自ら出願した「Enterprise Gateway」の文字を標準文字で表してなる商標(商願2009−74526)が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の拒絶理由を通知されていることから、本件商標も同様の拒絶の理由に該当する旨主張しているが、上記商標登録願は、同時に、先願にかかる本件商標を理由とした商標法第4条第1項第11号の拒絶理由も通知されており、これに対し、申立人は何ら意見書等を提出せず拒絶査定となったものであるから、上記事例をもって、本件商標も同列に扱うことはできない。そして、本件商標が自他商品又は役務の識別標識としての機能を有することは、前示のとおりであるから、申立人の主張は採用できない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する
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