Trademark Appeal Case
Wの解釈と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−10397(T2009−10397/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「フェイスWローラー」を標準文字で表示した構成よりなり、第10類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年5月7日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における同年11月27日受付けの手続補正書により、第21類「手動式美容用マッサージローラー」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「『顔』を意味するカタカナ語『フェイス』の文字に、『二重,複』等を意味するカタカナ語『ダブル』の記号表記として知られる『W』と円筒形の回転物を指すカタカナ語『ローラー』とを組み合わせたもので、その指定商品との関係では『ダブルローラー式のマッサージ具』を直感させる『Wローラー』の文字を結合してなるものであり、その構成文字全体から容易に『顔用のダブルローラー式マッサージ具』の意味合いを想起させるものであるから、これをその指定商品中、上記意味合いに照応する商品(例えば、美容用マッサージローラー等)に使用しても、単に商品の品質、用途等を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審において通知した証拠調べ通知
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、本願の指定商品の分野において、平成22年10月26日付けの別掲1及び平成23年2月18日付けの別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見を提出する相当の期間を指定して、証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
(1)請求人は、前記3の平成22年10月26日付け証拠調べ通知に対し、意見書と共に甲第8号証ないし同9号証を提出し、要旨以下のように述べている。
ア 「W」の文字から直ちに「ダブル」を直感するとまで言い切れないこと、さらに、「W」の文字には、「ダブル」の他に、幅、即ち、「Wide」の略語としても使用されている事から、取引者、需要者が、本願商標「フェイスWローラー」から、直ちに、「顔用のダブルローラー式マッサージ具」の意味のみを想起するものとは考えられない。
イ 本願商標が「顔用のダブルローラー式マッサージ具」の意味合いを直感させる証拠として、1(1)から1(3)の記載及び本願商標の構成の一部である「Wローラー」でない「ダブルローラー」の使用例である2(1)から2(9)の記載を結合させなければ、「顔用のダブルローラー式マッサージ具」を意味づけできないこと、これこそが、本願商標が商標法第3条第1項第3号の審査基準でいう間接的に表示する商標であることを示している証左でもある。
ウ 以上の理由により、本願商標「フェイスWローラー」の各文字部分について、わざわざ意味を考えるなどということはなく、本願商標の文字全体を即座にそのまま一種の造語と看取すると捉えるのが自然であり、本願商標から、直ちに「顔用のダブルローラー式マッサージ具」を直感させず、記述的商標(商標法第3条第1項第3号)として、商品の品質等を直接または具体的に表すものでない。
(2)請求人は、前記3の平成23年2月18日付証拠調べ通知に対し、意見書と共に甲第10号証ないし同22号証を提出し、要旨以下のように述べている。
ア 本願商標は、単なる「Wローラー」でもなければ、「フェイスローラー」でもなく、 前段部分「フェイス」と後段部分「ローラー」とを「W」を介在させた一連一体の「フェイスWローラー」であり、 本願商標「フェイスWローラー」から、「フェイスダブルローラー」の称呼のみの称呼を生ずるとは到底考えられず、「フェイスダブリュウローラー」の称呼も生じる。
イ 前回の証拠調べ通知書の(2)において、「W」の項に、「W ダブル(二重)を表す。W幅、Wヘッダーなど。」のように、ダブル(二重)の他にW幅の意味がある。
ウ 「W」は、「ワイド」の略としても多用され、ローラーに関して、「ワイドローラー」は、「ダブルローラー」と同様に、多用されている。
エ 以上のように、本願商標「フェイスWローラー」から、「フェイスダブルローラー」の称呼を生じることを否定するものではないが、素直に、「フェイスダブリュローラー」と自然称呼するものであり、また、本願商標「フェイスWローラー」中の「W」は、「ワイド」の略であり、取引者、需要者は、本願商標「フェイスWローラー」から、「顔用の幅広のローラー式マッサージ具」を想起するものであるから、本願商標「フェイスWローラー」から、種々想起させ、「顔用のダブルローラー式マッサージ具」のみを直感させることはない。
(3)以上、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しないと共に、商標法第4条第1項第16号にも該当しない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 本願商標は、前記1のとおり、「フェイスWローラー」の文字を標準文字で表してなるところ、前記3の証拠調べ通知に示した各事実によれば、本願に係る指定商品「手動式美容マッサージローラー」を取り扱う業界において、「フェイスローラー」の文字が「顔用のローラー」を表し、「フェイスローラー」には、「シングルローラー」と「ダブルローラー」を有する「フェイスアップローラー」,「フェイスマッサージローラー」及び「フェイスシェイプローラー」が存在する。
そして、本願商標の構成中の、「Wローラー」の文字部分は、「2つのローラーを有する商品」を表す語として、使用されている事実が認められる。
そうとすると、本願商標は、「フェイスWローラー」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品「手動式美容マッサージローラー」のうち「顔用の2つのローラーを有する商品」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品の品質、用途、形状等を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識と
は認識し得ないものであり、また、これを前記商品以外の指定商品「手動式美容マッサージローラー」について使用するときは、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標中の「W」について、本願商標に係る商標出願・登録情報検索(甲第1号証)には、「フェイスダブリュウローラー,フェイスダブリュウ,ダブリュウローラー」と表示され、「ダブル」の称呼はない旨主張しているが、称呼検索データとして掲載されている称呼は、なるべく広範に称呼の検索ができるよう、称呼検索の便宜のために掲載されているものであり、これをもって、当該商標の称呼が特定されるという性質のものではない。
さらに、請求人は本願商標の構成中、本願商標「フェイスWローラー」中の「W」は、「ワイド」の略としても多用されていることから、取引者、需要者は、本願商標「フェイスWローラー」から、「顔用の幅広のローラー式マッサージ具」と想起する旨主張する。
しかしながら、当審において通知した証拠調べ通知のとおり、本願に係る指定商品「手動式美容マッサージローラー」を取り扱う業界において、「Wローラー」及び「ダブルローラー」の文字が、「2つのローラーを有する商品」を表す語として、使用されている事実が認められるものであり、また、商品が2倍や2組などの意味を有することを表すために、「ダブル○○」と称し、「W○○」のように他の語と「W」の文字を結合して、例えば「ダブルチャンス」、「ダブルポイント」、「ダブルキャスト」といった言葉を一般に、「Wチャンス」、「Wポイント」、「Wキャスト」等と表示していることから、「W」の文字に「2つの」とは異なる意味があるとしても、「W」の文字から「2つ」の意味としての「ダブル」と看取されることを否定されるものではない。
また、請求人は、過去の登録例、審決例を挙示して、本願商標もこれらと同様に登録されて然るべきものである旨主張するが、それらの登録例、審決例は、商標の具体的構成や指定商品において、本願商標とは事案を異にするものであり、しかも、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例、審決例に拘束されるべき理由はない。
したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
3 むすび
以上のとおりであるから、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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