結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2010−890056(T2010−890056/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5224486号商標(以下「本件商標」という。)は、「千葉市調理師会」の文字を標準文字で表してなり、平成20年4月24日に登録出願、第41類「調理に関する知識の教授,調理に関する研修会・講演会・講習会の企画・運営又は開催,調理に関する検定試験及びそれに関する模擬試験の企画及び実施,食環境及び食文化に関する知識の教授,食環境及び食文化に関する研修会・講演会・講習会の企画・運営又は開催」を指定役務として、同21年4月1日に登録査定、同年4月17日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定(審決注:「商標法第43条の2第1号の規定」とあるが、「同法第46条第1項の規定」と訂正した。)に基づき、その登録を無効とされるべきものである。
(1)本件商標について
本件商標に係る平成21年1月16日付け拒絶理由通知書(甲第1号証)に引例された「千葉市調理師会」(以下、請求人の主張・被請求人の答弁の項において「引例調理師会」という。会長「戸塚雄三」)は、存続しており、同通知書にあるとおり、本件商標は、千葉市花見川区南花園2−2−13に所在する「引例調理師会」と同一名称であることから、何ら関係のない出願人が本件商標をその指定役務について使用することは商取引の観点に照らして穏当でない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(2)平成21年3月2日付け意見書について
被請求人は、平成21年3月2日付け意見書の中で平成18年6月1日に「引例調理師会」が社団法人千葉県調理師会(以下「千葉県調理師会」という。)を退会した旨を記述しているが、「引例調理師会」の運営継続の有無には言及せず、あたかも退会時に「引例調理師会」が消滅したかの印象を与えている。
しかしながら、「引例調理師会」は、現在も活動を継続している(甲第2号証ないし甲第5号証)。
また、被請求人は、平成20年6月12日の千葉県調理師会千葉支部の総会において、千葉支部を千葉市調理師会に名称を変更して被請求人が会長に就いたと述べ、それによって被請求人が、前記拒絶理由通知書のただし書きにみられる「『千葉市調理師会』と何らかの関係を有し商標権を取得する法的な地位を有することを証明したときは、この限りではありません。」の項目を満たす目的で縷々述べているのであろうが、その前段に「出願人が上記住所に所在する」と記載されおり、上記住所とは千葉市花見川区南花園2−2−13にあり、被請求人が名称を変更したとうそぶいている「千葉市調理師会」は別の会であり、ただし書きの要件は満たされていない。
(3)引例された千葉市調理師会について
引例された千葉市調理師会は、昭和40年以来44年間にわたり調理師会としての活動を続けてきた団体であり県内外に知れ渡っている。
以下、存続の証として役員名簿の写し(甲第2号証)、銀行預金通帳の一部の写し(甲第3号証)、会費納入の郵貯銀行払込票の一部の写し(甲第4号証)、会則(甲第5号証)を証拠として提出する。
(4)公序良俗違反について
被請求人は、戸塚雄三が運営する千葉市調理師会の存在を熟知しているにもかかわらずその名称を欲するあまり、同名の千葉市調理師会を冠する別個の団体を立ち上げ、市井の人々を混乱に陥れ、千葉市調理師会の名称を奪取する目的を以て商標登録を受け、現在継続している戸塚雄三が運営する団体に使用中止を求める注意書を送付している(甲第6号証)。
本件商標は、市井を混乱に陥れ、他人が使用中の団体名を悪意を以て奪取せんことを目的として登録出願されたものであって、公序良俗に反するものであるから、その登録は取り消されるべきものである。
以上のとおり、本件商標は、市井を混乱に陥れ、騒ぎに乗じて、他人が使用中の団体名を奪取しようという悪意に基づく目的で登録出願されたものであって、商標法第4条第1項第7号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証(平成21年3月2日付け意見書)、乙第2号証(異議2009−900280号の異議決定(公報))、及び平成20年9月30日付け上申書を提出した。
書証番号については、平成20年9月30日付け上申書の証拠方法の第1号証ないし第6号証及び平成21年3月2日付け意見書(乙第1号証)の証拠方法第7号証ないし第15号証を以下、乙第1号証の1ないし乙第1号証の15とする。
本件商標に係る平成21年1月16日付け拒絶理由通知書(甲第1号証)に引例された「引例調理師会」は、甲第2号証ないし甲第5号証から判断する限り現在存続していると認められるが、被請求人とは関係のないものであり、被請求人は本件商標の商標権を取得する法的な地位を有している。
乙第1号証の意見書には次の(1)ないし(8)の記載がある。
(1)千葉県調理師会は、社団法人日本調理師会の支部であり、昭和43年6月8日に設立された(乙第1号証の1)。千葉支部は千葉県調理師会の支部のひとつであり、千葉市内に事務所を置いている(乙第1号証の4、乙第1号証の7)。増渕安彦(被請求人)は、平成6年5月27日に千葉県調理師会の理事に就任し(乙第1号証の8)、戸塚雄三は平成8年5月28日に同理事に就任した(乙第1号証の9)。この千葉支部は、通称として『千葉市調理師会』の名称を使用していたのであり、平成18年当時、会長は戸塚雄三、副会長は増渕安彦であった。
(2)千葉支部は、平成18年6月1日に千葉県調理師会を退会する旨決議し、6月15日付けで千葉県調理師会大塚理事長に退会届を提出した(乙第1号証の10)。この大塚理事長への退会届の提出によって千葉支部に所属していた会員全員の退会の効力が発生した。そして、千葉支部枠で選出された理事も前記退会届によって千葉県調理師会の会員ではなくなったため理事資格を失ったのである。この退会の理由は、当時の会長戸塚雄三が「千葉市が政令指定都市なので、千葉県調理師会より独立して、千葉県調理師会と同等の社団法人日本調理師会直属の支部となるためのものである」とのことであった。なお、この総会における退会決議に関する議題の提出と議決は会則に反するものであった。
(3)一方、増渕安彦と309名の会員は、6月3日に千葉県調理師会に対し、千葉県調理師会千葉支部代表増渕安彦名義で、前記退会決議に反対し、別途千葉支部として残留したい旨の書面(6月2日付け)を提出した。これに対し6月17日、千葉県調理師会は千葉市調理師会あてに前記退会届を受理した旨を通知するとともに、同日前記千葉県調理師会千葉支部代表増渕安彦あてに前記千葉支部設置についての届けを6月3日に受理した旨を通知した。なお、この時点では、増渕安彦は「千葉市調理師会」という名称は使用できなかった。なぜなら、「千葉市調理師会」が千葉県調理師会を脱退しているから、その名称はそのまま使えなかったのである。
(4)平成18年7月25日、千葉県調理師会臨時総会が開催され、旧千葉支部の退会届受理に伴い、新たに支部長増渕安彦、会員数310名、千葉市中央区道場北2−11−11を事務所所在地とする新たな千葉支部を設置することを全員一致で承認可決した(乙第1号証の2、乙第1号証の12)。さらに、従前の旧千葉支部から選出された理事(戸塚雄三、増渕安彦、石原泰郎)は退会に伴う資格喪失により退任したものとし、代って新たな千葉支部所属会員からの選出理事として増渕安彦と羽田勲を選出することが全員一致によって承認可決され、その就任が登記され(乙第1号証の13)、現在に到っている(乙第1号証の1)。
(5)そして、同年7月25日付けで、千葉市保健福祉局健康部長及び千葉市保健所長あてに新千葉支部設置についての報告書を提出し、その旨受理されている(乙第1号証の14)。
(6)前記平成18年7月25日の千葉県調理師会臨時総会での新千葉支部設置決議を受けて、同年8月24日に千葉県調理師会千葉支部の設立総会が開催され、平成19年3月1日には、千葉支部調理師会総会が開催され、規約を承認し役員を選出した(乙第1号証の15)。
(7)その後、千葉支部は、平成20年6月12日の千葉支部調理師会総会で「千葉支部調理師会」の名称を「千葉市調理師会」と変更した(乙第1号証の5、乙第1号証の6)。この名称変更は、以前より千葉市当局から、調理師会会員の混乱が生ずる恐れがあるため、早急に名前を適切に整理するべきとの指摘があったためである。
(8)以上のとおり、本件商標出願人である増渕安彦は「千葉市調理師会」の会長であり、千葉県調理師会の理事でもある(乙第1号証の1)。そのため出願人は平成20年9月30日提出の上申書でも述べたように「千葉市調理師会」の名称を商標として登録する法的な地位を有している。一方、戸塚雄三は千葉県調理師会の理事でなく(乙第1号証の1)、彼が会長している「千葉市調理師会」は、千葉県調理師会及び千葉県調理師会千葉支部とは何の関係もなく、彼が権限なく他人の名称を標榜しているのであり、彼らの行為こそが不当であり、公序良俗に違反しているのである。たとえば、現在戸塚雄三は「千葉市調理師会」を名乗って、会員より会費を集めており、権限なく認証も販売している。一方、正規の「千葉市調理師会」(会長増渕安彦)からも会費を請求しているため、会員は混乱しているのが現状なのである。このような混乱を防止し、「千葉市調理師会」の名称を正当な権利者に帰属させて、その権利を保全するために商標登録の必要性があるのである。 上記の乙第1号証の「意見書」の内容から明らかなように、被請求人は、「引例調理師会」が千葉県調理師会を退会した旨を記述しているのみで、当該意見書において「引例調理師会」の運営継続の有無には言及していない。また、被請求人は、「引例調理師会」とは関係がなく、かつ本件商標の商標権を取得する法的な地位を有しているのである。
「引例調理師会」は、甲第2号証ないし甲第5号証によれば、現在存続していると認めるが、これらの証拠から千葉県内外の需要者の間に広く認識されるに到っていたものとは認められない。
本件商標の商標自体の性質とその登録出願の経緯について、以下、説明する。
(1)本件商標自体の公序良俗について
本件商標は、「千葉市調理師会」の文字のみからなる商標であるが、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な印象を与える文字からなるものでなく、また、本件商標をその指定役務について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものでもなく、さらに、他の法律によってその使用が禁止されているものでもない。
(2)本件商標の登録出願の経緯について
乙第1号証から明らかなように、被請求人は正当な手続きによって設立された千葉市調理師会(会長増渕安彦)の名称を保護するために商標登録したものであり、市井の人々を混乱に陥れ、他人の名称を奪取する目的のために商標登録を受けたものではない。また「引例調理師会」に、その名称の使用中止を求める注意書(甲第6号証)を送付することは正当な権利行使である。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものでない。
これまで述べてきたように、本件審判においても、この異議決定における判断がそのまま当てはまるのであり、本件商標は公序良俗に反して登録されたものではない。
千葉市で認可されている調理師団体は、千葉市調理師会(会長増渕安彦)だけである。例えば、21業種についての千葉市技能功労賞の中の調理師に与えられる賞の推薦権は、千葉市調理師会(会長増渕安彦)のみが有していて、千葉市調理師会(会長増渕安彦)の会員のみが推薦される。
さらに千葉市、千葉県が表彰する次の各賞は、千葉市の調理師として功績のある者が毎年3ないし4名推薦されるが、この推薦権も本会のみが有していて、本会の会員のみが推薦されるのである。
イ.千葉市保健所長賞
ロ.千葉市保健部長賞
ハ.千葉市長賞
ニ.千葉県保健部長賞
ホ.千葉県知事賞
上述したように、本件商標は、公序良俗に反して登録されたものではなく、請求人主張のいずれの無効理由にも該当しない。
したがって、本件審判の請求は成り立たない。
商標の登録出願が適正な商道徳に反して社会的妥当性を欠き、その商標の登録を認めることが商標法の目的に反することになる場合には、その商標は商標法第4条第1項第7号にいう商標に該当することもあり得ると解される。しかし、同号が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」として、商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、及び、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである(東京高等裁判所平成14年(行ケ)第616号判決 参照)。
(1)事実認定
請求人及び被請求人の主張及び提出された証拠から以下の事実が認められる。
ア 千葉県調理師会は、県民食生活の改善、公衆衛生の向上を図るとともに調理師の資質の向上と調理技術の研究開発を行ないもって県民福祉の増進に寄与することを目的として、昭和43年6月8日に設立された団体である(乙第1号証の8、乙第1号証の9、乙第1号証の13)。千葉県調理師会は、社団法人日本調理師会の都道府県支部の千葉支部であり、千葉県調理師会には、千葉支部、習志野支部、八千代中央支部などの地域ごとの支部及びふぐ連盟支部、千葉日調技能士会支部などの支部を有している組織である(乙第1号証の7)。
イ 「千葉市調理師会」(現在の事務所は、千葉市花見川区在。以下「花見川・千葉市調理師会」という。)は、昭和40年4月1日ころには、設立されており、「調理師の職業道徳の涵養、業務の進歩、資質の向上と相互の親睦を図り、併せて調理に起因する衛生上の危害の発生を防止し、食品衛生並びに公衆衛生の向上及び増進を図ること」を目的として活動するとともに後記エの退会までは千葉県調理師会の参加組織として活動してきた(甲第5号証の1)。
ウ 千葉県調理師会に係る平成6年11月8日付けの登記簿の謄本(乙第1号証の8)及び平成8年月9月30日付けの登記簿の抄本(乙第1号証の9)によれば、増渕安彦は、平成6年5月27日に千葉県調理師会の理事に就任し、戸塚雄三は、平成8年5月28日に同理事に就任した。
また、平成18年当時(後記エの退会以前のころ)、戸塚雄三は、花見川・千葉市調理師会の会長であり、増渕安彦は、副会長であった。戸塚雄三は、後記エの退会後も引き続き会長である(甲第2号証の1ないし4)。
エ 「花見川・千葉市調理師会」は、「独立した組織としたい」として、千葉県調理師会を退会するとする「退会届」を平成18年6月15日に千葉県調理師会に提出(乙第1号証の10)し、千葉県調理師会は、平成18年6月17日に退会届を受理した(乙第1号証の12)。
オ 平成18年7月25日開催の千葉県調理師会臨時総会において、前記千葉支部(以下「旧千葉支部」という場合がある。)の退会に伴い、新規に千葉支部設置(以下「新千葉支部」という場合がある。)が承認された。新千葉支部の支部長は増渕安彦であり、会員数は、310名である(乙第1号証の12、乙第1号証の14)。また、同総会において、旧千葉支部から選出された理事、戸塚雄三、増渕安彦、石原泰三は、理事の資格喪失によって退任となり、新千葉支部所属会員から選出する理事として増渕安彦、羽田勲が承認された(乙第1号証の12)。そして新千葉支部長、増渕安彦に対し、千葉支部設置と上記2名の本部理事の承認が通知された(乙第1号証の2)。
カ 千葉県調理師会は、平成18年7月25日付けで、千葉市保健福祉局健康部部長及び千葉市保健所長に上記オの臨時総会において、支部長を増渕安彦とする千葉支部が設置されたことを報告した(乙第1号証の14)。
キ 新千葉支部(仮事務所 千葉区中央区在)は、「千葉市民の食生活の改善、公衆衛生の向上を図るとともに、調理師の資質の向上と調理技術の研究開発を行い、もって、千葉市民の食生活の向上及び健康の増進に寄与すること」を目的として、平成18年8月24日に設立総会において設立され(乙第1号証の15)、その名称は、千葉支部調理師会規約、第2条に「(社)千葉県調理師会千葉支部として千葉支部調理師会と称」すると規定している(乙第1号証の4)。平成19年度の役員として支部長:増渕安彦らが選出された(乙第1号証の3)。
ク 千葉支部調理師会は、平成20年6月12日に総会を開催し、組織の名称を旧名称「社団法人 千葉県調理師会 千葉支部 千葉支部調理師会」から新名称「社団法人 千葉県調理師会 千葉市支部 千葉市調理師会」(以下、「中央・千葉市調理師会」という。)とすることを決定した(乙第1号証の5、乙第1号証の6)。
ケ 花見川・千葉市調理師会の名称は、平成17年5月12日規約改正時点において「千葉市調理師会」(甲第5号証の2)であったが、平成21年8月30日時点には「NPO法人 食の安全を守る会」と改称されている。花見川・千葉市調理師会は、会長(戸塚雄三)他、役員を置き、活動している(甲第2号証ないし甲第5号証)。
コ 本件商標は、平成20年4月24日に増渕安彦を商標登録出願人として、出願され、平成21年4月17日に設定登録された。中央・千葉市調理師会は、花見川・千葉市調理師会に対し、平成21年5月14日付けで同会が、「ホームページ等で使用している『千葉市調理師会』の名称は、商標権を侵害する違法な行為となるから、その使用を中止」するよう、通知した(甲第6号証)。
(2)判断
前記(1)によれば、花見川・千葉市調理師会は、千葉市在住、在勤の調理師を主な会員として、「千葉市調理師会」と称し、「調理師の職業道徳の涵養、業務の進歩、資質の向上と相互の親睦を図り、併せて調理に起因する衛生上の危害の発生を防止し、食品衛生並びに公衆衛生の向上及び増進を図ること」を目的とし、長年、千葉県調理師会の千葉支部として活動してきたものであるとともに、平成18年6月15日の千葉県調理師会退会後も上記目的の組織として活動していることが認められる。
一方、中央・千葉市調理師会は、花見川・千葉市調理師会が千葉県調理師会を退会したことに伴い、千葉県調理師会に残留を希望する花見川・千葉市調理師会の会員をもとに、千葉市に在住または在職する調理師を主な会員とする組織として「千葉市民の食生活の改善、公衆衛生の向上を図るとともに、調理師の資質の向上と調理技術の研究開発を行い、もって、千葉市民の食生活の向上及び健康の増進に寄与すること」を目的に設立され、その設立の報告は、千葉県調理師会を通じて、千葉市及び千葉市保健所に報告され、千葉県調理師会千葉市支部として、その活動を行っていることが認められる。
そして、中央・千葉市調理師会は、平成18年8月24日に「社団法人 千葉県調理師会 千葉支部 千葉支部調理師会」を正式名称としていたが、平成20年6月12日の総会でその名称を「社団法人 千葉県調理師会 千葉市支部 千葉市調理師会」と改称したことが認められ、一方、本件商標は、中央・千葉市調理師会の略称と認められる「千葉市調理師会」の文字からなるものであり、その登録出願日は、平成20年4月24日であって、上記総会開催時の2か月弱前の時期である。
中央・千葉市調理師会がその名称を変更することについて、検討を開始した時期は明らかでないが、通常、組織がその名称を変更する場合には、相当の検討期間が必要であることからすると、本件商標の登録出願時には、当該組織名称への改称が検討されていたものとみて何ら不自然ではない。
このような事情、経過からすると、中央・千葉市調理師会の会長であった被請求人による本件商標の出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあると断定することはできない。
請求人は、被請求人は、花見川・千葉市調理師会の存在を熟知しているにもかかわらず、千葉市調理師会の名称を奪取する目的をもって、本件商標登録を受け、花見川・千葉市調理師会に対して、名称の使用中止を求める注意書を送付しているものであり、本件商標は、市井を混乱に陥れ、他人が使用中の団体名を悪意をもって奪取せんことを目的として登録出願されたものであるから公序良俗に反する旨主張している。
しかしながら、被請求人に係る中央・千葉市調理師会が花見川・千葉市調理師会に本件商標の登録後にその名称の中止を求める通知書を送った事実があるとしても、先願主義を採用している我が国の商標法の制度趣旨、及び、請求人が、「千葉市調理師会」の名称を自ら登録出願することが可能であったにもかかわらず、商標登録出願をしていなかったことからすると、本件商標の出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるとはいえず、ほかに、かかる判断を覆すに足りる証拠はない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に規定する「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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