Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900399(T2010−900399/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件登録第5353582号商標(以下「本件商標」という。)は、「RUSSELL」の欧文字と「ラッセル」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり、平成22年2月18日に登録出願、同年8月11日に登録査定がなされ、第25類「履物」を指定商品として、同年9月17日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続するものである。
(1)登録第4940340号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)で示すとおりの構成よりなり、平成17年8月29日に登録出願、第18類「スポーツバッグ,リュックサック,その他のかばん類,袋物」及び第25類「靴下,その他の被服,靴類,その他の履物,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同18年3月31日に設定登録されたものである。
(2)登録第5208075号商標(以下「引用商標2」という。)は、「RUSSELL ATHLETIC」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年7月23日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」、第24類「タオル,その他の布製身の回り品」及び第25類「被服,運動用特殊衣服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,短靴,その他の履物,運動用特殊靴」を指定商品として、同21年2月27日に設定登録されたものである。
(3)登録第1580649号商標(以下「引用商標3」という。)は、「RUSSELL」の欧文字を横書きしてなり、昭和52年8月5日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同58年4月27日に設定登録がなされ、その後2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成17年1月5日に指定商品を、第25類「紳士用被服,婦人用被服,子供用被服,ヘルメット(運動用のものを除く。),帽子(運動用のものを除く。),その他の被服」とする指定商品の書換登録がなされたものである。
(4)登録第5208074号商標(以下「引用商標4」という。)は、「RUSSELL」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年7月23日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」、第24類「タオル,その他の布製身の回り品」及び第28類「運動用具」を指定商品として、同21年2月27日に設定登録されたものである。
(5)登録第5208076号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(2)で示すとおりの構成よりなり、平成20年7月23日に登録出願、第24類「タオル,その他の布製身の回り品」及び第28類「運動用具」を指定商品として、同21年2月27日に設定登録されたものである。
なお、上記引用商標1ないし5をまとめていうときは、以下「引用商標」という。
第3 登録異議申立の理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標からは、「ラッセル」の称呼が生じる。
一方、引用商標1及び2からは、「ラッセルアスレティック」又は「ラッセル」の称呼をも生じる。
すなわち、引用商標1は、その構成上「ATHLETIC」の文字部分に比べて「RUSSELL」の文字部分が大きく書されていること、また、「RUSSELL」の文字部分と「ATHLETIC」の文字部分に異なる色彩が付されていること、運動用特殊衣服をアスレチックウェア、運動用特殊靴をアスレチックシューズと称するように、指定商品との関係で「ATHLETIC」の文字部分が出所識別標識として機能が弱い部分といえること、「ラッセルアスレティック」の称呼は、比較的冗長であることから、需要者・取引者は、引用商標1及び2の「RUSSELL」の文字部分に相応して生ずる「ラッセル」の称呼をもって取引を行う場合もありうる。
また、本件商標の指定商品と引用商標1及び2の指定商品は、類似している。
したがって、本件商標と引用商標1及び2は、観念において比較することはできず、外観において相違するとしても、「ラッセル」の称呼を共通とするものであるから、相紛れるおそれがある類似の商標である。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標からは、「ラッセル」の称呼が生じる。
一方、引用商標3及び4からは、「ラッセル」の称呼が生じる。また、引用商標1、2及び5からは、「ラッセルアスレティック」又は「ラッセル」の称呼をも生じる。
したがって、本件商標と引用商標は、観念において比較することはできず、外観において相違するとしても、「ラッセル」の称呼を共通とするものであるから、相紛れるおそれがある類似の商標である。
さらに、引用商標は、運動用衣服や被服の分野において周知な商標である。引用商標の指定商品と本件商標の指定商品「履物」とは、共にファッション関連の商品で関連性が強いものである。
よって、引用商標と類似する本件商標を、その指定商品に使用すれば、その出所について混同を生じるおそれがある。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標は、「RUSSELL」の欧文字と「ラッセル」の片仮名を2段に書してなるところ、その各文字は、「ラッセル車の略。」(広辞苑第六版)の意味を有する語であるから、「ラッセル」の称呼及び「ラッセル車の略」の観念を生ずるものと認められる。
他方、引用商標1は、別掲(1)のとおり、「ラッセル車の略」の意味を有する「RUSSELL」の語と「運動競技。特に、陸上競技。」の意味を有する平易な英語「ATHLETIC」からなるものと容易に認識し得るものであるところ、その構成をみると、紺色と赤色で大きく表示された「R」(そのうち、「P」の部分は紺色、その余の部分は赤色)の文字を左端に配し、上段に「R」の文字の紺色の部分に続き同色で「USSELL」の文字を、下段に「R」の赤色の部分に続き同色で「ATHLETIC」の文字を上段と同じ幅内に小さく配してなるものであって、構成各文字を同じ書体とし、構成全体が一体的に表されてなるものである。
また、引用商標2は、「RUSSELL ATHLETIC」の各文字を同一の書体、同じ大きさで一体的に表されてなるものである。
そして、引用商標1及び2は、それぞれの構成全体から生ずる「ラッセルアスレティック」の称呼もさほど冗長でなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、引用商標1及び2は、いずれも看者に一体のものとして認識、把握されるものとみるのが自然であり、それぞれの構成文字に相応して、「ラッセルアスレティック」の称呼のみを生じ、かつ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
なお、申立人は、「ATHLETIC」の文字部分が運動用特殊衣服・運動用特殊靴との関係においては、出所識別標識として機能が弱い部分である旨主張するが、それは引用商標の指定商品との関係でいえることであるとしても、本件商標の指定商品についていえることではない。
そこで、本件商標と引用商標1及び2を比較すると、本件商標から生ずる「ラッセル」の称呼と引用商標1及び2から生ずる「ラッセルアスレティック」の称呼とは、その音構成及び音数に明らかな差異があるから、称呼上、容易に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標1及び2とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、さらに、本件商標が観念を生ずるのに対して、引用商標1及び2から観念を生じない以上、観念上両者を比較すべくもない。
してみれば、本件商標と引用商標1及び2とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性
申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人は、スポーツウェア製造メーカーとして1902年にアメリカ合衆国で設立され(甲3、甲7の5)、主に商品「運動用衣服及びその関連商品」に別掲(1)及び(2)に示す構成からなる引用商標1及び5並びに2を(以下まとめて「RUSSELL ATHLETIC商標」という。)を使用していることは認められるが、「RUSSELL」の文字からなる引用商標3及び4(以下まとめて「RUSSELL商標」という。)を使用しているとは認め難いところである。
そして、甲各号証によっては、使用が認められる「RUSSELL ATHLETIC商標」を含めいずれの引用商標も、本件商標の登録出願時(平成22年2月18日)及び登録査定時(同年8月11日)において、我が国の需要者の間に知られていたとはいえないから、周知・著名性を有していたとは認めることができない。
そして、本件商標と「RUSSELL ATHLETIC商標」とは、十分に区別し得る別異の商標というべきである。
また、本件商標と「RUSSELL商標」の指定商品は、用途、製造・販売部門が異なり、非類似の商品であると認められる。
そうすると、引用商標の周知・著名性は認められず、かつ、本件商標と引用商標とは、商標が別異又は商品が非類似のものであるから、本件商標は、その指定商品に使用したときに、これに接する取引者、需要者をして、申立人に係る引用商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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