Trademark Appeal Case
アカデミーの識別力と称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900014(T2011−900014/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5360816号商標(以下「本件商標」という。)は,「リンガフォン アカデミー」の片仮名と,「LINGUAPHONE ACADEMY」の欧文字とを上下二段に書してなり,平成22年2月22日に登録出願,第16類「印刷物」及び第41類「インターネットを利用した語学の教授,その他の知識の教授,海外留学・海外セミナーに関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催」を指定商品及び指定役務として,同年9月14日に登録査定,同年10月15日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての引用する登録第5393334号商標(以下「引用商標」という。)は,「リンガフォン」の片仮名を書してなり,平成21年11月11日に登録出願,第9類「教育用映像周波機械器具,教育用音声周波機械器具,その他の教育用視聴覚機械器具,電子翻訳機,磁気記録媒体(未記録のもの),光学式記録媒体,録音済みのデジタル式記録媒体,未記録のデジタル式記録媒体,録音済みの磁気テープ,録音済みの光学テープ,電線,録音済みのコンパクトディスク,レコード,カセットテープ,電子計算機用プログラム,学習教材を記録した録音済みのCD−ROM,その他の電気通信機械器具,その他の電子応用機械器具」及び第41類「語学の教授,コンピューターネットワークによって提供される知識又は技芸の教授,その他の知識又は技芸の教授,放送番組の制作」を指定商品及び指定役務として,同23年2月25日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由の要点
(1)商標法第8条第1項について
本件商標は,前記1のとおりの構成からなる文字商標であり,その指定役務中には「インターネットを利用した語学の教授,その他の知識の教授」を含むものである。
ところで,「アカデミー」には「学問・芸術・技術等に関する公私の指導的団体」といった意味がある(甲第3号証)。また「アカデミー」は「語学の教授,その他の知識の教授」を行う団体という意味で普通に用いられているという事実がある(甲第4号証ないし甲第11号証)。さらに「アカデミー」又は「ACADEMY」を構成中に有する商標が拒絶された例からすれば,指定役務「インターネットを利用した語学の教授,その他の知識の教授」について,識別力の弱い部分である(甲第12号証ないし甲第22号証)。
してみれば,本件商標構成中,識別力のある部分は「リンガフォン」又は「LINGUAPHONE」であって,これより「リンガフォン」の称呼が生じる。
これに対し,引用商標は,「リンガフォン」を横書きした文字商標であり,その指定役務中に「語学の教授,コンピューターネットワークによって提供される知識又は技芸の教授,その他の知識又は技芸の教授」を含むものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは「リンガフォン」の称呼を共通にする互いに類似する商標であり,また,本件商標の指定役務「インターネットを利用した語学の教授,その他の知識の教授」と,引用商標の指定役務「語学の教授,コンピューターネットワークによって提供される知識又は技芸の教授,その他の知識又は技芸の教授」とは,類似する役務である。
したがって,本件商標の登録は,商標法第8条第1項に違反してなされたものであるから,その指定役務中の「インターネットを利用した語学の教授,その他の知識の教授」については,取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第19号について
ア 申立人の使用に係る商標の周知性
申立人はイギリスの法人であり,リンガフォングループの管理会社である(甲第23号証)。そして,リンガフォングループは,1901年に翻訳家であり語学教師であるジャック・ロストンによりロンドンに設立された。ロストンは,1924年にリンガフォンインスティチュートを設立した。1927年には,ロストンは月刊誌である「The Linguist」を出版した。現在,リンガフォングループは,「DirectEnglish」,「Linguaphone」及び「Pingu's English」のブランドネームの下に,世界中のネットワークセンターを通じて大人及び幼児向けの英語習得コースを提供することに重点的に取り組んでいる。今日,リンガフォングループは,世界25力国に200の英語習得のためのセンターを持ち,60力国の700万人を超える人々に15種類の言語を教える遠距離学習コースを持つものである(甲第24号証)。
また,申立人商標は,多数の国において出願・登録され,長年に渡り維持・管理されている(甲第25号証)。
このように,申立人は,100年以上に渡り語学の教授に関する役務を継続的に提供し,現在では日本を始め世界60力国において,申立人商標を使用している。
イ 本件商標と申立人商標との類否
前記(1)のとおり,本件商標と引用商標とは,「リンガフォン」の称呼を共通にする互いに類似の商標であり,本件商標の指定役務「インターネットを利用した語学の教授,その他の知識の教授」は,引用商標の指定役務「語学の教授,コンピューターネットワークによって提供される知識又は技芸の教授,その他の知識又は技芸の教授」と類似する役務である。
ウ 不正の目的
商標権者は,申立人の役務「語学の教授」等を表示するものとして外国における需要者に広く認識されている申立人商標と類似する商標であることを承知のうえ,申立人商標に化体されている信用,名声を利用するために出願し,登録を受けたものといわざるを得ない。
エ 小括
したがって,本件商標は,他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって,不正の目的をもって使用するものであるから,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものであるから,取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)商標法第8条第1項について
本件商標は,前記1のとおり,「リンガフォン アカデミー」の片仮名と,「LINGUAPHONE ACADEMY」の欧文字とを上下二段に書してなるところ,「リンガフォン」と「アカデミー」及び「LINGUAPHONE」と「ACADEMY」の各文字間に,半角程度の間隔を有しているものの,「リンガフォン アカデミー」及び「LINGUAPHONE ACADEMY」は,同じ書体,同じ大きさをもって外観上一体的に表されているものであり,構成各文字より生ずる「リンガフォンアカデミー」の称呼も格別冗長でなく,無理なく一連に称呼し得るものである。
そして,「アカデミー」,「ACADEMY」の文字部分は,「学問・芸術・技術等に関する公私の指導的団体」などの意味を有する語(広辞苑第六版)であり,申立人の提出に係る証拠(甲第3号証ないし甲第11号証)によれば,各種学校などの名称の一部に使用されている事実がうかがえるものである。
しかしながら,各種学校などの名称は,固有の名称として一体的に使用されているものであるから,本件商標は,これに接する取引者・需要者に,その構成全体をもって指導的団体等の名称を表したものとして理解,把握されるとみるのが自然であり,他に,「リンガフォン」「LINGUAPHONE」の文字部分のみを分離抽出すべき特段の理由は見いだせない。
そうとすれば,本件商標は,構成文字全体に相応して「リンガフォンアカデミー」の称呼のみを生ずるものであって,単に「リンガフォン」の称呼は生じないものである。
してみれば,本件商標から「リンガフォン」「LINGUAPHONE」の文字部分も独立して認識されることを前提に,そのうえで,本件商標と引用商標とが「リンガフォン」の称呼において類似するものとする申立人の主張は,採用することができない。
その他,本件商標と引用商標とを類似するものとすべき理由は,見当たらない。
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第8条第1項の規定に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は,前記(1)のとおり,引用商標とは十分に区別し得る別異の商標であり,また,申立人の提出に係る証拠を勘案しても,本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を出願し,登録を受けたなどと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできない。
そうとすれば,本件商標は,引用商標の出所表示機能を希釈化させ,申立人の名声等を毀損させる目的,その他の不正の目的をもって使用するものとは認められない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第19号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
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