Trademark Appeal Case
「CAPTO」の周知性と「TOOLING」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900393(T2010−900393/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5364309号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「CAPTO TOOLING」の欧文字を書してなり、平成19年11月29日に登録出願、第7類「金属切削用金属工作機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),修繕機械器具,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」を指定商品として、平成22年9月16日に審決、同年10月29日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出している。
1 引用商標
(1)申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標「CAPTO」(以下「引用商標1」という。)及び「キャプト」(以下「引用商標2」という。)は、「モジュラーツーリングシステム(工具保持具)」に使用されている。
(2)申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録第2531163号商標(以下「引用商標3」という。)は、「COROMANT CAPTO」の欧文字を書してなり、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、1990年6月7日ドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成2年12月3日に登録出願、同5年4月28日に設定登録、その後、同15年3月4日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同18年4月5日に第7類「動力式旋盤・ボール盤・フライス盤,その他の金属工作機械器具,動力式金属工作機械用植刃工具保持具及び接続具,その他の金属加工機械器具」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
2 引用商標1及び2の周知、著名性
(1)申立人は、「モジュラーツーリングシステム(工具保持具)」に、引用商標1及び2を、本件商標の登録出願前の1990年から現在に至るまで使用を続けてきている。
そして、該「工具保持具」は、画期的なものであって、金属加工の分野で日本のみならず世界的にも注目を集め、金属加工業者や金属加工機械器具メーカーで採用され、また、新聞等のマスメディアにも度々取り上げられてきた。さらに、金属加工の分野は、専門分野であって一般消費者向けの商品ではないのでマスメディアを通じての宣伝広告はないが、一方、業界の情報収集には積極的であり、そのため、優れた商品の商標は、自然と周知、著名なものとなる。
2008年には、コロマント・キャプトは、業界標準としてISO規格となった。
引用商標1及び2がISO規格となったのは、本件商標の登録出願後であるが、これまで述べてきたことから、引用商標1及び2が、2008年に突然ISO規格となる程急に業界で浸透したとは考えられない。この点で2008年にISO規格となったことで2007年当時に周知、著名なものであったことを充分推認できる。これらのことを勘案すれば、引用商標1及び2は、本件商標が登録出願された平成19年11月29日には既に周知、著名なものとなっていた。
(2)「COROMANT CAPTO」「コロマントキャプト」の使用による引用商標1及び2の周知、著名性
引用商標1及び2は、時として「COROMANT CAPTO」「コロマントキャプト」として使用されることもあるが、「CORMANT」「コロマント」は、提出の証拠方法から明らかなように、事業部の名前であり、当該部分は、その性質上取引においては省略されることもあるものである。これを「COROMANT CAPTO」「コロマントキャプト」からみれば、引用商標1及び2は、当該商標の略称とみることができる。現実の取引において、その証拠方法において数多く見られるように、引用商標1及び2は、「COROMANT CAPTO」「コロマントキャプト」の略称として使用されているのである。その略称の使用例の多さからして、金属加工の分野において、引用商標1及び2は、「COROMANT CAPTO」「コロマントキャプト」の略称であると古くから理解されていたといえる。
したがって、「COROMANT CAPTO」「コロマントキャプト」の使用によっても、併せてその略称である引用商標1及び2は、周知、著名なものとなってきた。すなわち、「COROMANT CAPTO」「コロマントキャプト」の使用例を示す証拠方法であっても引用商標1及び2の周知、著名性をも立証できる。
2 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、その構成中「TOOLING」が「工具」を意味するものであって、自他商品識別力を欠くものであり、そのため、「CAPTO」が要部であると認められる。
したがって、本件商標は、「CAPTO」部分をもって称呼、観念されるものといえる。現に、本件商標の審査において、登録第4383789号商標「CAPT」が引用され、「CAPT」の一部を取り消して本件商標が登録された。並びに、申立人の商標「CAPTO」(商願2009−66294)に本件商標が引用されている。
以上のことからして、本件商標が、引用商標1及び2に類似することは明らかである。
また、引用商標1及び2が使用されて著名となっている商品と本件商標の指定商品は、類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標の指定商品と引用商標1及び2が使用されてきた商品とは、同一又は類似のものである。そして、現実の取引においては、引用商標1及び2に関してライセンスを受けている者がいる(甲第13号証)。
上述したように、本件商標は、引用商標1及び2に類似する。したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合には、当該商品が申立人ないしは同人と資本的関係のある者の業務に係るものであるとその出所の混同を生じるは必定である。
4 商標法第4条第1項第19号について
引用商標1及び2は、本件商標の登録出願前17年以上に渡って世界各国で使用され、本件商標の登録出願前に世界的に著名なものとなっていたことは疑いようもない。
そして、「CAPTO」は、既成語ではないので、これを含んだ商標がたまたま採択されることは考え難い。
そうであるとすれば、本件商標は、不正の目的をもって使用されると考えるのが自然である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるといわざるを得ない。
5 商標法第4条第1項第7号について
商標は採択行為であったとしても、商道徳に反して商標を採択されることは許されるものではない。上述したように、本件商標が、たまたま採択されたものとは考え難い。引用商標1及び2は、本件商標の登録出願前17年以上に渡って国内外で使用されていたことからすれば、少なくとも、引用商標1及び2がある程度業界において知られていたことは明らかである。この点で、本件商標が引用商標1及び2を知った上で採択されたと考えるが自然である。特に、本件商標の登録名義人は、NC旋盤等の金属加工機械器具を製造しており(甲第14号証)、当然、引用商標1及び2の存在を知っていたことは疑いようもない。
少なくともある程度の知名度のあった他人の商標である引用商標1及び2に、工具を意味する「TOOLING」を付加した本件商標を自己の商標として採択登録することは、商道徳に反するものである。
商標法第4条第1項第7号の「公の秩序」には取引の秩序を維持する商標法の趣旨からして商道徳も含まれると解すべきである。したがって、商道徳に反して採択登録された本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるといえる。
6 商標法第4条第1項第11号について
申立人は、引用商標3「COROMANT CAPTO」(甲第15号証)を所有している。
当該商標は、本件商標より先願先登録であり、その指定商品と本件商標の指定商品が抵触することは明らかである。
甲第2号証ないし甲第11号証から明らかなように、商標「COROMANT CAPTO」は、現実の取引においてしばしば「CAPTO」の部分をもって略称されている。商標法が商標の類似なる概念を導入したのは、実際に使用されていない商標についても、現実の取引場裡におかれた場合に出所の混同を生じるか否を判断できるようにし、よって、現実の取引において出所の混同を防止するためである。
したがって、類否の判断の前提となる商標をどのように捉えるかを認定するにあたっては、当然、現実の取引場裡で使用された場合に、問題となる商標が如何なる捉え方をされるかという観点で行わなければならない。
そうであるとすれば、現実の取引において、「CAPTO」の部分をもって略称されている申立人の引用商標3は、本件商標との類否判断においても「CAPTO」の部分をもって略称されていると認定されなければならない。取引界において永年に渡って引用商標3「COROMANT CAPTO」が、「キャプト」と略称されてきた以上、同じく「CAPTO」と略称される本件商標が、取引において使用された場合には、出所の混同を生じるは必定である。現実の取引においてしばしば引用商標3「COROMANT CAPTO」が、「キャプト」と略称されて続けてきた事実を無視し、本件商標をこの引用商標3と非類似のものとしてその登録を存続させて、出所の混同の発生を放置することは商標法上許されないものである。そうであるとすれば、本件商標は、申立人の引用商標3「COROMANT CAPTO」に類似するものとされなければならない。
以上述べたことから明らかなように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるといえる。
7 まとめ
以上述べた如く、本件商標は、商標法第4条第1項第第10号、同第11号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録された違法なものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、「CAPTO TOOLING」の欧文字を書してなるものであるところ、該文字は、5文字目と6文字目の間に半角程度の間隔を有するとしても、いずれも少し右に傾いた同一の書体をもって外観上まとまりよく表されており、その構成文字に相応して生じると認められる「キャプトツーリング」の称呼も一連に称呼し得るものである。そして、たとえ、構成中の「TOOLING」の語が「手仕事、細工、道具類」といった意味合いを表す場合があるとしても、かかる構成においては特定の商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難いところであるから、むしろ、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり、他に構成中の「CAPTO」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見出せない。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「キャプトツーリング」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものというのが相当である。
(2)引用商標3について
引用商標3は、「COROMANT CAPTO」の欧文字よりなるところ、該文字は、中間部分に一文字程度の間隔を有するとしても、全て同じ書体、同じ大きさで表されており、その構成文字に相応して生じると認められる「コロマントキャプト」の称呼も一連に称呼し得るものである。そして、構成中の「COROMANT」の語及び「CAPTO」の語は、特定の商品の品質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難いところであるから、むしろ、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり、他に構成中、後半に位置する「CAPTO」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見出せない。
そうとすれば、引用商標3は、その構成文字全体に相応して「コロマントキャプト」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標3との類否
本件商標と引用商標3とを比較すると、その構成は前記のとおりであるから、外観上明らかに区別し得るものである。
また、本件商標より生ずる「キャプトツーリング」の称呼と引用商標3より生ずる「コロマントキャプト」の称呼を比較しても、両称呼は、各音の相違に加え、全体の語韻、語調が明らかに異なり、彼此聞き誤るおそれはない。
さらに、両商標は、上記(1)及び(2)のとおり、いずれからも特定の観念が生じるとはいえないから、観念においては比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
2 引用商標1及び2の周知、著名性について
申立人は、引用商標1及び2が本件商標の登録出願前より周知、著名である旨主張し、甲第2号証ないし甲第15号証を提出している。
甲第2号証は、雑誌「METALWORKING/WORLD(2006年第2号)」であるところ、「コロマント・キャプト」の記載がある。また、第37頁及び第38頁の見出しには、「模索中のあなたにコロマント・キャプト/キャプト誕生にまつわる三篇の物語」及び「テクノロジー/スピード、汎用性、安定性/キャプトは、ブランドとしての存在を超える。」の記載がある。
甲第3号証は、雑誌「METALWORKING/WORLD(2006年第3号)」であるところ、表紙には、「コロマント・キャプトがつくる新たな業界標準」の記載があり、第34頁の見出しには、「機械加工業界の伝説/コロマント・キャプト」の記載がある。
甲第4号証は、平成10年10月発行の「超硬工具協会創立50周年記念誌−あゆみ−」であるところ、第304頁の文章中には、「・・・最終的にコロマントキャプトとしてシステムを完成させ現在に至っている。今後キャプトの土台を揺るがすような環境の変化が起こるであろうか?・・・キャプトについては近い将来にそのような環境の変化が起こるはずがないと。」の記載がある。
甲第5号証は、書籍「機械と工具」(2007年4月)とするところ、「マルチタスクマシンにおけるコロマントキャプト」の記載がある。
甲第6号証は、「標準化教育プログラム/個別技術分野編 機械分野」であるところ、第29頁の解説中には、「・・・既存のケナメタル社のKMツールや、サンドビック社のCAPTOツールと比べて・・・これらのKMツールやCAPTOツールに比べて・・・」の記載があり、第30頁の解説中には、「サンドビック社のCaptoツールのテーパ部分は、ちょっと変わった形をしている。」の記載がある。
甲第7号証は、1996年6月3日から2008年8月1日までに発行された新聞記事情報である。
2007年11月22日付け、2003年6月26日付け、2002年10月21日付け、2002年10月17日付け、2001年8月7日付け、
1996年11月25日付け日刊工業新聞には、「コロマントキャプト」の記載がある。
1999年11月18日付け、1996年6月3日付け日刊工業新聞には、「コロマント・キャプト」の記載がある。
2007年10月23日付け、2004年11月9日付け、2001年2月14日付け日刊工業新聞及び2002年11月8日付け鉄鋼新聞には、「コロマント」の記載がある。
2003年5月7日付け日刊工業新聞には、「マシンの裏舞台を支える(6)サンドビック、MC比率向上に対応」の見出しのもと、「・・・ユニークなコンセプトで話題を集めた『キャプトシステム』も今年は採用が拡大しそう。・・・」の記載がある。
2000年10月18日付け日刊工業新聞には、「JIMTOFに照準/大昭和精機、ツーリングの総合力示す」の見出しのもと、「・・・一方、新製品はエンドミル専用高速回転ホルダー『メガEチャック』など約10点。中でも『ビッグコロマントキャプト』は目玉製品で、自社技術とスウェーデン・サンドビック社との技術を組み合わせた・・・」の記載がある。
1999年7月16日付け日刊工業新聞には、「ニュートレンドに挑む機械工具各社(12)サンドビック、効率的な削りを提案へ」の見出しのもと、「・・・同時にサンドビックでは、『キャプト』に代表されるように工作機械と切削工具を結びつけるホルダーの製造販売も行っている。・・・具体的には2000年からビッグ・プラス仕様の『コロマント・キャプト用ベーシックホルダ』と『バリロック用ベーシックホルダ』を製造販売する予定で、効率的な“削り”のノウハウを提案していく。・・・」の記載がある。
甲第8号証は、「コロマント・キャプト/とお呼びください。/Coromant CAPTO(右上に小さなTMの文字が記載されている。)/夢のモジュラー・ツーリングシステム」、「コロマント切削工具」及び「サンドビック/コロマントキャプト&ツールホルダ/カタログ」と題する商品カタログであるところ、「Coromant CAPTO(コロマント・キャプト)の概要」、「コロマントキャプト概説」及び「コロマントキャプト概要」の記載がある。
甲第9号証は、雑誌「Metalworking World」とするところ、「コロマント・キャプト」の記載がある。
甲第10号証は、金属加工機械器具メーカーのパンフレットとするところ、「キャプトツール(C3)」、「キャプトツーリングシステム図」、「CAPTO TOOLING SYSTEM DIAGRAM」、「Capto仕様」、「コロマント・キャプトとは」、「Coromant Capto」、「キャプト仕様」、「キャプトC5仕様」、「CAPTO」、「ビッグコロマントキャプト」及び「BIG COROMANT CAPTO」の記載がある。
甲第11号証は、雑誌「Metalworking World」の英語版であるところ、「Coromant CAPTO」の記載がある。
甲第12号証は、サンドビック・コロマントのウェブサイトであるところ、「コロマントキャプト」及び「コロマント・キャプト」の記載がある。
甲第13号証は、申立人が引用商標1及び2についてライセンスを受けているとする者のウェブサイトであるところ、「BIG COROMANT/CAPTO」及び「ビッグコロマントキャプト」の記載がある。
以上によれば、甲各号証中において、「工具保持具」に使用されている標章は、主として、「コロマント・キャプト」「コロマントキャプト」「Coromant CAPTO」「Coromant Capto」「ビッグコロマントキャプト」「BIG COROMANT CAPTO」であって、「キャプト」又は「CAPTO」の文字が単独で使用されているものは、ほとんどない。
そして、「キャプト」又は「CAPTO」の文字が使用されているとしても、該文字は、「コロマントキャプト」又は「Coromant CAPTO」の略称として、見出しや文章中に使用されているものがほとんどであって、これらは商標として使用されているものではない。
してみれば、引用商標1又は引用商標2は、単独で自他商品の識別標識として使用されているものということはできない。
さらに、申立人は、引用商標1又は2のみを付した商品の生産数、販売数、販売高等を明らかにしていない。
そうすると、引用商標1及び2は、上記甲各号証によっては、本件商標の登録出願時及び査定時において、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識され、周知、著名であったとは認め難いものである。
3 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
(1)本件商標について
本件商標は、上記1(1)のとおり、その構成文字全体に相応して「キャプトツーリング」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない造語よりなるものである。
(2)引用商標1及び2について
引用商標1及び2は、「CAPTO」又は「キャプト」の文字を書してなるものであるから、それぞれ「キャプト」の称呼を生じ、特定の観念の生じない造語というのが相当である。
(3)本件商標と引用商標1及び2との類否
本件商標と引用商標1及び2とを比較すると、いずれも外観上明らかに区別し得るものである。
また、本件商標より生ずる「キャプトツーリング」の称呼と引用商標1及び2より生ずる「キャプト」の称呼を比較すると、両称呼は、構成音数が異なり、「ツーリング」の音の有無の顕著な差異を有するから、相紛れることなく聴別し得るものである。
さらに、本件商標と引用商標1及び2とは、上記(1)及び(2)のとおり、いずれからも特定の観念が生じるとはいえないから、観念においては比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれがないものであるから、類似しない別異の商標というべきものである。
(4)引用商標1及び2の周知、著名性について
引用商標1及び2は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び査定時において、周知、著名であったとは認められないものである。
(5)以上よりすると、本件商標と引用商標1及び2とは、類似しない別異の商標であり、また、引用商標1及び2は、本件商標の登録出願時及び査定時において周知、著名であったとは認められないものであるから、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が、これから引用商標1及び2ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するものではない。
4 商標法第4条第1項第19号について
申立人は、「CAPTO」は既成語ではないから、これを含んだ商標が、たまたま採択されることは考え難い旨主張する。
しかしながら、引用商標1及び2は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識され、周知、著名性を獲得するに至っていたとは認められないものである。
そして、本件商標と引用商標1及び2とは、上記3のとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
さらに、本件商標が、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用するものであることを認めるに足る具体的な証拠の提出はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
5 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような標章からなるものではないし、他の法律によってその使用が禁止されているものでもない。
また、本件商標は、引用商標1及び2とは類似しない別異の商標であり、引用商標1及び2を剽窃したものであるとはいえず、他に不正の目的をもって採択し出願したものであるとすべき事情等も認められないから、その出願経緯において社会的妥当性を欠くものがあったものともいえない。
その他、本件商標の採択、登録が、商道徳に反し公正な取引秩序を乱すおそれがあるとすべき理由や、国際信義に反するとすべき理由も見出すことができない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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