Trademark Appeal Case
結合商標の分離観察と類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−29418(T2010−29418/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年6月11日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同22年1月6日付の手続補正書により、第25類「被服(「和服」を除く。)」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第1989764号商標(以下「引用商標」という。)は、「プレミアム」の片仮名と「PREMIUM」の欧文字とを二段に併記してなり、昭和60年11月21日登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同62年10月27日に設定登録、その後、平成9年10月28日及び同19年9月4日の二回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同20年6月25日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子」とする指定商品の書換の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、別掲のとおり、「PREMIUM」の欧文字と「ATSUGI」の欧文字とを二段に併記してなるところ、上段に書された「PREMIUM」の欧文字は、下段に書された「ATSUGI」の欧文字とは、書体が相違し、上段の文字は下段の文字の略二倍の大きさで書されているものである。
しかして、両者は、その二段併記の構成、書体の相違及び文字の大きさの相違から視覚上、分離して看取されるものである。そして、「PREMIUM」は、英語で「賞金、割増金、手数料、謝礼」の意味を有するものである。しかして、我が国における代表的な辞書である広辞苑第六版(株式会社岩波書店発行)及びコンサイスカタカナ語辞典第4版(株式会社三省堂発行)には「プレミアム(premium)」の見出しのもと、「割増金、手数料、商品につける景品」等の記載はあるものの、本願の指定商品の分野における商品の品質ないし等級を意味するような記載は見受けられない。そうすると、「PREMIUM」の語が「高級」の意味合いで使用される事例が散見されるとしても、いまだ本願の指定商品の分野一般において、商品の品質を表示するものとまでは認定することができないものというのが相当である。そうとすれば、「PREMIUM」の文字部分は、十分に自他商品の出所識別標識としての機能を果たすものである。
加えて、「PREMIUM」の欧文字と「ATSUGI」の欧文字部分が結合されて一般に親しまれた熟語を形成する等、これらを常に不可分一体のものとして観察しなければならない特段の事情も認められない。
そうとすると、本願商標は、「PREMIUM」の欧文字と「ATSUGI」の欧文字とが、分離して観察することが不自然といえるほどに密接に結びついたものということはできず、各々が、自他商品の識別標識として機能するものというべきである。
してみれば、本願商標に接した取引者・需要者は当該「PREMIUM」の欧文字部分に着目し、これをもって取引に当たる場合も決して少なくないものというのが相当であるから、本願商標は、当該文字部分に相応した英語読みの「プレミアム」の称呼及び「割増金、手数料、商品につける景品」程の観念をも生ずるものと判断するのが相当である。
他方、引用商標は、上記2のとおりの構成よりなるところ、「プレミアム」の片仮名と「PREMIUM」の欧文字とを二段に併記してなるものであり、「PREMIUM」の欧文字部分は、本願商標中で自他商品の識別標識として機能する「PREMIUM」の文字部分と同一の構成よりなるものである。
しかして、引用商標は前記のとおりの構成文字に相応して英語読みの「プレミアム」の称呼及び「割増金、手数料、商品につける景品」程の観念を生ずるものと判断するのが相当であり、「プレミアム」の片仮名部分も「PREMIUM」の欧文字部分の読みを特定したものと無理なく理解しうるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、全体の外観において差異を有するとしても、商品の出所識別標識として機能する「PREMIUM」の文字部分を共通にするものであるから外観上も相当に近似した印象を与えるものであり、かつ、「プレミアム」の称呼及び「割増金、手数料、商品につける景品」程の観念を共通にする互いに相紛れるおそれのある類似の商標であるといわざるを得ない。
そして、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものである。
以上からすれば、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「PREMIUM」の語は、本願の指定商品との関係において、現在では、自他商品識別力のある商標の要部とはなり得ないから、引用商標との類否判断において、「PREMIUM」の語の部分は考慮すべき部分ではないと主張し、当審における平成23年2月4日付け手続補足書により資料1ないし資料23を提出する。
しかしながら、請求人の挙げるインターネット上のショッピングサイトの写し(資料1ないし資料22)のように「プレミアム(PREMIUM)」の文字が商品の表示に使用された事実が散見されるとしても、そのことから直ちに「PREMIUM」の語が、本願の指定商品の分野において商品の品質ないし等級を表示する語として一般的に使用されているとまで認めることはできない。
しかして、本件審決時において「PREMIUM」の語が、本願の指定商品の分野において取引上一般に使用されていることを的確に認定するに足る事実も見当たらないことからすれば、「PREMIUM」の語が自他商品の識別標識としての機能を果たすものではないと断定することはできない。
さらに、前記のとおり、我が国における代表的な辞書類の記載に照らしても、「PREMIUM」の文字が、商品が高級であること(商品の品質)等を表すものとして一般に使用されていると断ずることもできない。
加えて、本願商標は前記(1)のとおり、上段に顕著に「PREMIUM」の欧文字を表示したものであることをも踏まえると、本願商標に接した需要者は、当該文字をもって取引に資することも決して少なくないものというのが相当である。
そうとすれば、当該「PREMIUM」の文字部分をもって引用商標と対比して、商標の類否を判断することも本件においては、適切なものというべきである。
イ 請求人は、引用商標に係る専用使用権に関する侵害事件(平成20年(ワ)第4733号、大阪地方裁判所平成20年7月16日判決)の判決を引用して、当該判決は、「PREMIUM」の語字体には、事実上自他商品識別力がないものと判断しており、本願商標が文字の大きさが異なる上下2段書きの表示態様からなるものであっても、「PREMIUM」の部分を自他商品識別力があるものとして分離抽出して類否判断することは妥当ではないと主張する。
しかしながら、当該事件で類否判断がなされたのは、本願商標と同一の構成に係る商標の事例ではないから、本件の判断とは事案が相違する。さらに、当該判決の判示においても、「PREMIUM」が自他商品の識別標識としての機能を有しないと断定しているものではなく、商品の出所を表示するものとして強い印象を与えるものではない旨説示したにとどまるものである。そうとすれば、請求人の主張は当を得ないものというほかはない。
ウ 請求人は、参考として、本願商標と同じような構成からなる商標が登録されている(資料23)ところ、当該商標の審査においては、引用商標とは非類似のものとして登録されていることを付言しておく旨主張する。
しかしながら、商標の類否の判断は、対比する商標同士の構成態様と、それらの指定商品との関係から個別かつ具体的に判断をなすべきものであって、他の商標登録の事例により判断が左右されるものではない上に、請求人の挙げる登録商標は、本願商標及び引用商標とも構成態様が相違するものであるから、当該商標登録の事例は、本件に適切なものということはできない。 したがって、前記の請求人の主張を採用することはできない。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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