Trademark Appeal Case
称呼類似と促音の有無
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900191(T2010−900191/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5315562号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成21年8月21日に登録出願され、第3類「シャンプー,ヘアケアコンディショナー」を指定商品として、同22年3月1日登録査定、同年4月9日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第4865589号商標(以下「引用商標1」という。)は、上段に「REMINISCENCE」の欧文字と、下段に「レミニサンス」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成16年9月22日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き」を指定商品として、同17年5月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第5231653号商標(以下「引用商標2」という。)は、上段に「レミニサンス」の片仮名文字と、下段に「REMINISCENCE」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成20年9月11日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料類,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同21年5月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由の要旨
本件商標は、「REMINESSANCE」の欧文字部分から「レミネサンス」の称呼が生じる。これに対し、引用商標1及び2は、「レミニサンス」の文字部分から「レミニサンス」の称呼が生じるので、本件商標と引用商標1及び2は、称呼上類似する商標である。また、本件商標と引用商標1及び2は、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本件商標の登録は、取り消されるべきものである。
4 本件商標に対する取消理由の要旨
(1)本件商標と引用商標1及び2との類否について
本件商標と引用商標1及び2とは、観念において比較することができないとしても、欧文字部分の外観において近似し、本件商標から生じる称呼「レミネッサンス」と引用商標1及び2から生じる称呼「レミニサンス」において互いに相紛らわしい類似の商標というべきものである。
(2)本件商標の指定商品と引用商標1及び2の指定商品との類否について
本件商標の指定商品、第3類「シャンプー,ヘアケアコンディショナー」は、引用商標1及び引用商標2の指定商品中「せっけん類,化粧品」と同一又は類似の商品である。
(3)まとめ
したがって、本件商標は、引用商標1及び2と類似し、その指定商品も引用商標1及び2に係る指定商品と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
5 取消理由の通知に対する商標権者の意見
本件商標権者は、前記4の取消理由の通知に対して要旨以下のように意見を述べている。
本件商標は、強烈なイメージを表しアピール度を強く表すようなイメージとして創造された図形と、全くの造語である英文字「REMINESSANCE」とを、上下段に一体に結合表示してなるものである。本件商標は、この商標全体からみて、その外観上、これに接する取引者、需要者をして、誰が見ても、造語商標と斬新な創造図形を一体結合したものと見るのが全くの自然な見方であり自然な感情である。
本件商標は、これに接する取引者、需要者等々をして、「ルミネッサンス」或いは「レミネッサンス」と明確に称呼、発音されるものである。
そして、本件商標は、取引の実情、経験則に照らしても、その取引者、需要者をして、本件造語商標の構成そのものから、文字通り全く自然に生ずる称呼、発音である「ルミネッサンス」或いは「レミネッサンス」の称呼をもって取引に資せられるものである。
これに対して、各引用商標の称呼は、これに接する取引者、需要者をして、その商標の表示形態から見て明らかなように、文字通り「レミニサンス」(引用商標1)、「レミニサンス」(引用商標2)である。このような各引用商標は、その文字表示からして、社会通念上、社会の常識上、本件商標の如く促音発音されることは全くあり得ない。
したがって、本件造語商標の文字部分における最初部の称呼である「ルミネ」或いは「レミネ」と、各引用商標の最初部の称呼「レミニ」とは、その語音、発音の印象、発音の調子、発音の感覚、発音の響き、残聴感覚等々からして、取引の実情、経験則に照らして、これに接する取引者、需要者をして、夫々明らかに著しく相違するものである。
本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、誰が見ても、本件商標権者に係る完全な造語と斬新な創造図形を一体結合した新規、斬新な創作商標と見るのが全くの自然な感情であり、このような新規、斬新な本件創作商標と各引用商標とは、称呼上は勿論、外観上、態様上、観念上、夫々明らかに識別できるもので、その指定商品の分野における取引の実情ないし経験則からも、出所について誤認混同を生ずるようなおそれは全くなく明確に識別され、決して相紛れるおそれの全く無い非類似の商標であることから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に決して該当するものではなく、その登録は維持されるべきものである。
6 当審の判断
(1)最高裁判決において、商標はその構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定するがごときことは許されないが、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必らずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼、観念の生ずることがあり、この場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁 昭和37年(オ)第953号 昭和38年12月5日第一小法廷判決参照)。
そこで、以上の観点により、本件商標と引用商標1及び2の類否について検討する。
(2)本件商標と引用商標1及び2との類否について
本件商標は、別掲のとおり、上段には、湾曲した頂角を有する4つの三角形状の図形を頂角が背中合わせになるように表した図形を配し、その下に「REMINESSANCE」の欧文字を書した構成からなるものであるところ、「REMINESSANCE」の欧文字部分は、図形部分とは分離して書されており、その構成からして常に一体不可分のものとして把握しなければならない格別の理由もなく、独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものである。
そして、該「REMINESSANCE」の欧文字部分は、特定の意味合いをもって知られたものではないから、本件商標からは、その構成文字に相応して、「レミネッサンス」及び「ルミネッサンス」の称呼を生じるというのが相当であり、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標1及び2は、上述したとおり、引用商標1が上段に「REMINISCENCE」の欧文字と、下段に「レミニサンス」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、引用商標2が上段に「レミニサンス」の片仮名文字と、下段に「REMINISCENCE」の欧文字とを二段に横書きしてなるところ、「REMINISCENCE」の文字は、「回想、追憶」の意味を有し、また、「レミニサンス」の文字は、当該欧文字部分の読みを特定したものと認められるものであるから、引用商標1及び2からは「レミニサンス」の称呼を生じ、「回想、追憶」の観念を生じるものである。
そこで、本件商標と引用商標1及び2とを比較すると、外観において、両者は、その構成中の欧文字部分が、ともに12文字からなり、第6文字において「E」と「I」、第8文字及び第9文字において「SA」と「CE」の3文字が相違するものであるが、語頭の「REMIN」、第7文字の「S」及び語尾の「NCE」の9文字が共通しており、両者は、外観上、欧文字部分において近似しているものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる称呼「レミネッサンス」と引用商標1及び2から生じる称呼「レミニサンス」とは、称呼上、強い印象を与える語頭における「レミ」の音及び語尾における「サンス」の音を共通にし、異なるところは中間音における「ネッ」と「ニ」の差異にすぎないものである。
しかして、この差異音は、本件商標が7音、引用商標1及び2が6音の音構成において、比較的弱く聴覚される中間音に位置しており、しかも「ネ」と「ニ」は子音がともにナ行に属する近似音であり、その母音「e」と「i」も近似する音であること、および比較的弱く聴覚される促音「ッ」の有無にすぎないものでものであることから、これらの称呼を一連に称呼するときは、語韻、語調が近似したものとなり、称呼上、互いに相紛らわしい類似の商標であるというのが相当である。
また、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、引用商標1及び2とは、観念において比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標1及び2とは、観念において比較することができないとしても、欧文字部分の外観において近似し、称呼において互いに相紛らわしい類似の商標というべきものである。
(3)本件商標の指定商品と引用商標1及び2の指定商品との類否について
本件商標の指定商品、第3類「シャンプー,ヘアケアコンディショナー」は、引用商標1及び引用商標2の指定商品中「せっけん類,化粧品」と同一又は類似の商品である。
(4)商標権者の主張について
ア 商標権者は、本件商標は、本件商標権者に係る完全な造語と斬新な創造図形を一体に結合表示した新規、斬新な創作商標であるから、一体結合したものとみるのが自然である旨主張している。
しかしながら、本件商標の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有することは、前記(2)のとおりであり、そして、本件商標と引用商標1及び2とは、欧文字部分の外観において近似し、「レミネッサンス」の称呼と「レミニサンス」の称呼において互いに相紛らわしい類似の商標というべきものである。
したがって、この点についての商標権者の主張は、採用することができない。
イ 商標権者は、審決例等を挙げて、本件商標と引用商標1及び2とが非類似であると主張している。
しかしながら、商標権者が挙げる過去の審決例等は、対比する商標の構成態様等において本件商標とは異なるものであるばかりでなく、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の審決例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。
したがって、この点についての商標権者の主張も採用することができない。
(5)まとめ
してみれば、本件商標は、引用商標1及び2と類似し、その指定商品も引用商標1及び2に係る指定商品と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
7 むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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