Trademark Appeal Case
普通に用いられる略称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900369(T2010−900369/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5347119号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「ギョニソ」、「ぎょにそ」、「魚ニソ」の文字を三段に表した構成からなり、平成22年1月7日に登録出願、第29類「加工水産物」を指定商品として、同年8月2日に登録査定、同年8月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は取り消されるべきものであるとし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、「魚肉ソーセージ」(フィッシュソーセージ)の略称として普通に用いられている「ギョニソ」、「ぎょにそ」、「魚ニソ」の各語を普通に用いられる表示態様で構成したにすぎない。
(2)商標「ギョニソ」、「ぎょにそ」、「魚ニソ」の自他商品の識別力について
本件商標を構成する「ギョニソ」、「ぎょにそ」、「魚ニソ」の各語については、遅くとも本件商標の登録査定時には、「魚肉ソーセージ」(フィッシュソーセージ)の略称として普通に用いられているものである。
ア 甲第2号証は、ウェブ上のフリー百科事典「Wikipedia」における「魚肉ソーセージ」の解説記事である。解説の冒頭では、魚肉ソーセージは、フィッシュソーセージと同義であり、かつ「ぎょにそ」と省略されることが紹介されている。
なお、上記解説記事の最終更新は、2010年(平成22年)9月3日とされているが、更新履歴によれば、本件商標の登録査定時点において、「ぎょにそ」に関する解説部分が何ら変更されることなく掲載されていたことは明らかである(甲第3号証)。
イ 甲第4号証は、インターネットポータルサイト「goo」におけるテレビ番組紹介記事である。ここでは、2008年(平成20年)1月24日にTBS系列で全国放送されたテレビ番組「はなまるマーケット」において、魚肉ソーセージを使用した料理を「ギョニソ卵ロール」「ギョニソギョウザ」というように、「ギョニソ」という略称を用いて取り扱ったことが紹介されている。この点については、同番組の視聴者が同日のブログにも掲載していることからも明らかであるものと思料する(甲第5号証)。
ウ 甲第6号証は、株式会社ミクシィが運営するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「mixi」におけるコミュニティ検索結果である。ここでは、魚肉ソーセージの略称である「ギョニソ」又は「魚ニソ」の語をコミュニティ名として使用した4つのコミュニティが存在することが示されている。
なお、各コミュニティとも、開設日は、本件商標の登録査定時以前の日付が明示されている。
エ 甲第7号証は、ウェブサイト「魚肉館」である。後述するウェブサイトやブログでも多数引用されている魚肉ソーセージの紹介サイトであり、魚肉ソーセージの略称として「ギョニソ」の語が多用されている。なお、本サイトは、既に閉鎖されてはいるが現在でも閲覧可能な状態であり、またサイト閉鎖の案内文からは遅くとも2008年の時点で、この「ギョニソ」の語が使用されていたことは明らかであるものと思料する。
オ 甲第8号証は、クックパッド株式会社が運営する料理サイト「クックパッド」である。このウェブサイトでは、サイト利用者各人が自己の考案した料理レシピを公表しているが、料理の材料として使用する魚肉ソーセージを「ギョニソ」と略して説明した料理レシピが、本件登録査定時以前に公開されたものだけでも多数存在している。
カ 甲第9号証は、インターネット検索エンジンにて、本件商標の構成文字「ギョニソ」、「ぎょにそ」、「魚ニソ」の各語を掲載したサイト等を検索した結果、ヒットしたウェブサイト及びブログである。これらのウェブサイト及びブログでは、魚肉ソーセージを「ギョニソ」、「ぎょにそ」または「魚ニソ」と略して表現しており、本件商標の査定時以前に掲載されたものだけでも多数存在している。
(3)以上より、本件商標を構成する「ギョニソ」、「ぎょにそ」、「魚ニソ」の各語は、遅くとも本件商標の登録査定時である平成22年8月までには、「魚肉ソーセージ」(フィッシュソーセージ)の略称として需要者、取引者において普通に用いられており、商標の自他商品の識別力がないことは明らかである。
(4)むすび
以上のように、本件商標は、「魚肉ソーセージ」(フィッシュソーセージ)の略称として普通に用いられている「ギョニソ」、「ぎょにそ」、「魚ニソ」の各語を普通に用いられる表示態様で構成したにすぎないものであり、指定商品中、「魚肉ソーセージ」(フィッシュソーセージ)に使用される場合については、商標法第3条第1項第1号又は同第3号に該当し、「魚肉ソーセージ」(フィッシュソーセージ)以外の各指定商品に使用される場合については、同法第4条第1項第16号に該当するにもかかわらず誤って登録されたものであるので、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
本件商標は、別掲のとおり、「ギョニソ」、「ぎょにそ」、「魚ニソ」の各文字を三段に表した構成からなるものである。
甲第2号証ないし甲第3号証の2は、「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」であるところ、甲第2号証(■最終更新2010年9月3日(金)18:50)、甲第3号証の1の「2010年9月3日(金)18:50時点における最新版」の項及び甲第3号証の2の「2010年8月20日(金)13:15時点における最新版」の項には、「魚肉ソーセージ(ぎょにくソーセージ)は、マグロなど魚肉のすり身をケーシングに入れ加熱した、ソーセージに似た加工食品。フィッシュソーセージとも言う。まれに魚ソ、ぎょにそなどと略されることがある。・・・」の記載があるものの、これらは、いずれも本件商標の登録査定日後のものである。
甲第3号証の2の「2010年5月17日(月)08:38時点における版(編集)」及び「2010年8月20日(金)13:15時点における版(編集)」の項には、「魚肉ソーセージ」の見出しのもと、「*魚肉ソーセージの類似品として魚肉ハムと呼ばれるものも存在する。製法的には大きな違いはないが、魚肉ソーセージが主に魚肉のすり身を用いるのに対し、魚肉ハムは魚肉の肉片を塩漬けにしたものを原料としている。」の記載があるものの、「ギョニソ」、「ぎょにそ」又は「魚ニソ」の記載はない。
甲第4号証は、インターネットポータルサイト「goo」における、2008年1月24日(木)8:30〜9:55に放送されたテレビ番組紹介ページであり、甲第5号証は、甲第4号証の視聴者が開設するブログであるところ、甲第4号証には「ギョニソ卵ロール(グルメ)」、「ギョニソロールレタス(グルメ)」、「ギョニソギョウザ(グルメ)」、「ギョニソミートソース(グルメ)」の記載があり、甲第5号証には「・・・ギョニソ卵ロール&ギョニソロールレタス&ギョニソギョウザ&ギョニソミートソーススパゲティのレシピは・・・」などの記載があるものの、これらは、料理名を表しているものであり、また、「ギョニソ」、「ぎょにそ」及び「魚ニソ」の文字のみが使用されているものではない。
甲第6号証は、株式会社ミクシィが運営するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「mixi」におけるコミュニティ検索結果であるところ、「ギョニソ一族・・・」、「ギョニソ撲滅隊・・・」、「いちごミルク魚ニソ食べる会・・・」及び「魚ニソ連・・・」の記載がある。
甲第7号証は、「魚肉館」のウェブサイトであるところ、「魚肉館閉館のお知らせ」や「ギョニソ誕生秘話」などの文章中に「ギョニソワールド」及び「ギョニソ」の記載がある。
甲第8号証(枝番号を含む。)は、クックパッド株式会社が運営するウェブサイト「クックパッド」であるところ、「〈〈のんchiのレシピ(8品)/簡単ウチの味*もやしとギョニソの卵炒め」、「〈〈ノチアキのレシピ(6品)/・・・ギョニソのフリッター・・・」及び「〈〈Limuのレシピ(56品)/お弁当に♪ギョニソで薔薇」などの記載がある。
甲第9号証(枝番を含む。)は、個人のブログであるところ、「・・・魚ニソ・・・魚肉ソーセージです!・・・」、「・・・おむすびと魚肉ソーセージ(以下「ギョニソ」と略)、黄色いたくあん。」及び「麦酒さんのmyレシピブック/春菊とギョニソのバター醤油ソテー」などの記載がある。
以上のとおり、甲第2号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)によれば、「ギョニソ」及び「魚ニソ」の文字が、一部の人々のブログに使用されているとしても、当該文字が、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、一般に使用されている例はない。
してみれば、申立人提出の甲各号証によっては、「ギョニソ」、「ぎょにそ」及び「魚ニソ」の文字が、商品の普通名称、品質、内容を表示するものとして、一般に使用されているものとはいい難いものである。
そうすると、本件商標は、その指定商品に係る商品の普通名称又は品質等を直接的かつ具体的に表示したものとして認識されるとはいえないものであり、むしろ、商品の普通名称又は特定の品質等を表示しない一連の造語としてのみ印象付けられて取引に資されるものとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、その指定商品にかかるいずれの商品について使用しても、商品の普通名称又は品質等を表示するものではなく、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、また、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当しない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第1号、同第3号及び第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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