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Trademark Appeal Case

「Pucchi」と「PUCCI」の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900013(T2011−900013/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5360301号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5360301号商標(以下「本件商標」という。)は、「La’Pucchi」の文字を標準文字で表してなり、平成22年3月26日に登録出願され、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年8月18日に登録査定、同年10月15日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下の(1)ないし(5)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)国際登録第885219号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:PUCCI

国際商標登録出願日:2005(平成17)年8月7日

設定登録日:平成19年11月22日

指定商品:第3類、第9類、第14類及び第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品

2 登録第4820211号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:PUCCI(標準文字)

登録出願日:平成16年3月24日

設定登録日:平成16年11月26日

指定商品:第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

3 登録第3211459号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:EMILIO PUCCI

登録出願日:平成5年7月22日

設定登録日:平成8年10月31日

指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

4 登録第4428382号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:EMILIO PUCCI

エミリオ プッチ

登録出願日:平成11年7月13日

設定登録日:平成12年10月27日

指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

5 国際登録第1035144号商標(以下「引用商標5」という。)

商標の構成:MISS PUCCI

優先権主張:France 2009年9月25日

国際商標登録出願日:2010(平成22)年3月12日

設定登録日:平成22年10月29日

指定商品:第3類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品

なお、引用商標1ないし5を一括していうときは、以下「引用商標」という。

3 申立ての理由

申立人は、本件商標の登録の取消を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出している。

(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について

本件商標は、その構成中の「La’」の部分がフランス語又はイタリア語における冠詞であって識別力を有しないものであるから、要部となるのは「Pucchi」の部分であり、同部分より「プッチ」の自然な称呼並びにデザイナーとしての「エミリオプッチ」及び「エミリオプッチ」ブランドの観念を生ずる。

一方、引用商標は、「PUCCI」の文字又は同文字を要部としているものであるから、いずれも「プッチ」の称呼並びにデザイナーとしての「エミリオプッチ」及び「エミリオプッチ」ブランドの観念を生ずる。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において、本件商標の要部「Pucchi」と、引用商標又はその要部「PUCCI」とは、「h」の文字を含むか否かの点が異なるのみであって、ほとんど同一であるから極めて類似し、また、称呼において「プッチ」の称呼を共通にし、さらに、観念においてデザイナーとしての「エミリオプッチ」及び「エミリオプッチ」ブランドの観念を共通にするものであるから、外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似し、両者の指定商品も同一又は類似するものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、商標が類似し、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について

「PUCCI」又は「EMILIO PUCCI」の標章は、申立人及びその関連会社の業務に係る商品を表示する標章として、日本国内のみならず、世界的に周知著名なものである。したがって、これと同一又は極めて類似する本件商標を使用することは、取引者・需要者をして、本件商標が付された商品が申立人又はその関連会社の業務に係る商品であると誤認させ、出所の混同を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

(3)結語

以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するものであり、その登録は取り消されるべきものである。

4 当審の判断

(1)「PUCCI」商標の著名性について

申立人は、「PUCCI」の標章を商品「衣服・服飾類、バッグ・かばん・財布類、ジュエリー・アクセサリー類、靴、スポーツウェア、文房具類、傘その他のインテリア雑貨、化粧品・香水類・せっけん類」などに使用し(甲第15号証)、また日本国内12の直営店舗(甲第8号証)の店頭ガラスや壁面に極めて顕著に表示しており、「PUCCI」の標章は、日本国内において、取引者・需要者に周知著名な商標である旨主張する。

しかしながら、本件商標について商標法第4条第1項第15号を適用し得るためには、引用商標は、少なくとも本件商標の登録出願時及び査定時のいずれの時点(以下「本件判断基準時」という。)においても著名性を有しなければならないところ(商標法第4条第3項参照)、申立人の直営店12店舗のうちの3店舗の店頭に「PUCCI」の標章が表示されていることは認められる(甲第8号証)が、この標章がいかなる商品又は役務の出所を表示するのか、商標以外の社標としてのみの使用ではないのか、写真はどの店舗の使用か及び残りの9店舗は使用しているのかなどの点については明確ではなく、その使用時期も不明であり、また、甲第15号証のインターネットにおける広告は、掲載日が不明であり、プリントアウトをした日が本件商標の登録査定後の平成23年3月11日であり、使用商標は「エミリオプッチ」又は「Emilio Pucci」であって「PUCCI」の商標とは異なるものであり、申立人が本件判断基準時以前に「PUCCI」の文字のみの構成からなる商標を上記申立人主張の使用商品に使用している事実が認められず、その他の甲各号証によっても同事実が認められないから、「PUCCI」の標章は、上記認定の「PUCCI」の標章の使用事実のみによっては、本件判断基準時に、我が国において、申立人の業務に係る上記申立人主張の使用商品の出所を表示する商標として周知著名であったとするに足りないものである。

(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について

ア 本件商標について

本件商標は、前記1のとおり、「La’Pucchi」の文字を標準文字で表してなるところ、概文字は、我が国において特定の意味又は称呼を有するものとして知られている語ではなく、語頭部分の「La」がフランス語の定冠詞を表したと理解されるところから、全体として、フランス語読み風に「ラプッチ」と称呼されるとみるのが相当である。

なお、申立人は、定冠詞は通常省略されるから、本件商標から「プッチ」の称呼が生ずる旨主張している。

しかしながら、「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店)によれば、「定冠詞」は、「名詞の前に付して、その名詞によって表される類の中の特定の個体・メンバーに限定する働きをもつ。le,la,les(フランス語)の類。」の旨が記載され、また、「伊和中事典」(株式会社小学館)によれば、「(定冠詞としての「la」は、)母音字の前ではl’となる」の旨が記載されていることよりすれば、「La」の文字部分がフランス語の定冠詞を表したと理解されるとしても、「La’...」と綴られてなる本件商標の態様からして、また、「Pucchi」が名詞であるともいい難く、請求人の主張のように、本件商標の「La」の文字部分が常に省略され、取引に資されるとはいい難いものである。

さらに、請求人の主張する審判決例は、本件とは商標の構成態様が異なり、参考とすることはできない。

その他、請求人の主張を裏付ける証左等は、見当たらない。

イ 引用商標について

引用商標1は「PUCCI」の欧文字を横書きしてなり、引用商標2は「PUCCI」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該欧文字は、我が国において特定の意味又は称呼を有するものとして知られている語ではないから、引用商標1及び2は、いずれも該構成文字に相応して「プッチ」の称呼のみを生じ、観念を生じないものである。

引用商標3は「EMILIO PUCCI」の欧文字を横書きしてなり、引用商標4は「EMILIO PUCCI」の欧文字と「エミリオ プッチ」の片仮名とを二段に横書きしてなるところ、該文字は、我が国においてデザイナーとしての「エミリオ プッチ」を表すものとして知られている語であるから、引用商標3及び4は、いずれも該構成文字に相応して「エミリオプッチ」の称呼及びデザイナーとしての「エミリオ プッチ」の観念を生ずるものである。

申立人は、その理由が必ずしも明確ではないが、引用商標3及び4からは「エミリオプッチ」の称呼のみならず、「プッチ」の称呼をも生ずる旨主張する。

しかしながら、引用商標3及び4は、上述したとおり、欧文字又は欧文字と片仮名をもって、同種類の文字は同じ書体及び同じ大きさでまとまりよく表され、さらに、引用商標4は欧文字と片仮名とを二段にまとまりよく配してなるものであって、構成全体より生ずる「エミリオプッチ」の称呼もよどみなく一気一連に称呼し得るものであり、我が国において「EMILIO PUCCI」及び「エミリオ プッチ」は構成文字全体をもってデザイナーとして知られていることからすれば、これから「PUCCI」又は「プッチ」の部分のみを分離抽出し、「プッチ」と称呼すべき特段の事由は認められないから、この点に関する申立人の主張は採用することができない。

引用商標5は「MISS PUCCI」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「MISS」の文字部分は、「独身女性の敬称、・・さん」を表すものとして知られており、自他商品の識別力の弱い語であるから、該構成文字に相応して「ミスプッチ」の称呼を生ずるほか「プッチ」の称呼をも生じ、「プッチさん」の観念を生ずるほか、氏としての「プッチ」の観念をも生ずるものである。

ウ 本件商標と引用商標との対比

(ア)外観について

本件商標の外観と引用商標の外観とを対比すると、両者は、外観上、構成文字に顕著な差異を有するので、時と所を異にして観察しても互いに紛れるおそれがなく、十分区別し得る非類似の商標である。

(イ)称呼について

本件商標から生ずる称呼「ラプッチ」と引用商標1、2及び5から生ずる称呼「プッチ」とを対比すると、両者は、称呼上、前者が3音構成であり、後者が2音構成であって、いずれも短い構成音からなるため、各音が聴者に与える印象は強く、しかも差異音が称呼における識別上重要な位置を占める語頭に位置し、さらに差異音は明確に聴取される「ラ」の音であるため、これらを一連に称呼しても互いに紛れるおそれがなく、十分聴別し得る非類似の商標である。

次に、本件商標から生ずる称呼「ラプッチ」と引用商標3及び4から生ずる称呼「エミリオプッチ」とを対比すると、両者は、称呼上、語頭において構成音に顕著な差異を有するので、これらを一連に称呼しても互いに紛れるおそれがなく、十分聴別し得る非類似の商標である。

さらに、本件商標から生ずる称呼「ラプッチ」と引用商標5から生ずる称呼「ミスプッチ」とを対比すると、両者は、称呼上、語頭において構成音に顕著な差異を有するので、これらを一連に称呼しても互いに紛れるおそれがなく、十分聴別し得る非類似の商標である。

(ウ)観念について

本件商標と引用商標とは、本件商標が特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。

(エ)小括

以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において非類似のものであり、観念においては比較できないものであるから、非類似の商標というべきものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について

上述したとおり、本件商標と引用商標とは、別異の商標というべきものであり、また、「PUCCI」の標章は、本件判断基準時に、我が国において、申立人の業務に係る前記申立人主張の使用商品の出所を表示する商標として周知著名であったとは認められないものである。

そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者をして、その商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。

(4)結論

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号のいずれにも違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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