Trademark Appeal Case
一字相違の商標類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900026(T2011−900026/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5364248号商標(以下「本件商標」という。)は、「日蓮実宗」の文字を標準文字により表してなり、平成22年6月3日に登録出願され、第41類「宗教に関する教義・教典・経典・儀式・知識・思想の教授,宗教に関する講演・セミナーの企画・運営又は開催,宗教教育,宗教教育に関する情報の提供」を指定役務として平成22年10月29日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
(1)本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)である「日蓮宗」の名称を含むものであり、申立人の承諾を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)本件商標は、申立人の業務に係る役務「宗教に関する教義・教典・経典・儀式・知識・思想の教授,宗教に関する講演・セミナーの企画・運営又は開催,宗教教育,宗教教育に関する情報の提供」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「日蓮宗」(以下「引用商標」という。)と類似する商標であって、これらの役務又はこれに類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は、同書・同大の文字を等間隔でまとまりよく一連一体に表してなるものであり、これより生ずると認められる「ニチレンジッシュウ」又は「ニチレンジツシュウ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
かかる構成からなる本件商標は、全体として親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとはいえないとしても、本件商標の指定役務が、宗教に関連するものであること、我が国において普及している仏教には多数の宗派が存在していること、各宗派の名称を「○○宗」のように表す場合が多いことなどを併せ考慮すると、本件商標は全体を以て仏教の宗派名の一つを表したものとして認識し把握されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、全体として不可分一体のものとして認識し把握されるものというべきであって、殊更、「日」、「蓮」及び「宗」の文字のみを分離抽出して観察すべき格別の理由は見出すことができない。
なお、申立人は、本件商標から「日蓮宗」の観念が生ずる旨主張するが、その主張を裏付ける証左はなく、何故に「日蓮実宗」の文字から「実」の文字が省かれ「日蓮宗」の観念が生ずるのか定かでないし、上記のとおり、仏教には多数の宗派が存在していること、そして、各宗派の名称は1字相違のみでも別異のものとして区別される場合が多いことからすると、「日蓮実宗」は全体を以て仏教の宗派の一つを表したものとして認識されるというべきであり、同じく仏教の宗派の一つとして知られる「日蓮宗」とは別のものとして認識されるとみるのが自然であって、むしろ、「日蓮実宗」の文字から「実」の文字のみを省いて看取されるとするのは不自然であるから、申立人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、申立人の名称たる「日蓮宗」を含むものとはいえないから、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、上記(1)のように、不可分一体のものとして認識し把握されるというべきであるから、全体として「ニチレンジッシュウ」又は「ニチレンジツシュウ」の称呼を生ずるものといえる。
他方、引用商標は、「ニチレンシュウ」の称呼を生ずるものといえる。
そこで、本件商標から生ずる「ニチレンジッシュウ」及び「ニチレンジツシュウ」の称呼と引用商標から生ずる「ニチレンシュウ」の称呼とを対比すると、両者は、構成音数が異なるばかりでなく、中間において「ジッ」又は「ジツ」の音の有無という差異を有しており、しかも、この「ジッ」又は「ジツ」の音は、いずれも2音からなるものであって、前者は促音を伴い比較的強く発せられるものであり、後者は母音の異なる音が続き明瞭に発音されることから、これらの差異が全体に及ぼす影響は少なくなく、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が異なったものとなり、彼此相紛れることなく区別することができるものである。
そして、本件商標と引用商標とは、全体で4文字又は3文字の冗長ともいえない構成において「実」の文字の有無という顕著な差異を有することにより、外観上も判然と区別し得るものである。
また、本件商標は、上記(1)のとおり、全体としては、親しまれた既成の観念を有する成語を表したものといえないから、観念上、引用商標と比較することはできない。加えて、本件商標から仏教の一宗派としての「日蓮実宗」との観念が生ずる場合があるとしても、前示のとおり、仏教の宗派としての「日蓮実宗」と「日蓮宗」とは別異のものとして認識し理解されるというべきであるから、両者は観念上紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、たとえ、引用商標が仏教の一宗派を指称すると共に、申立人の業務に係る役務「宗教に関する教義・教典・経典・儀式・知識・思想の教授,宗教に関する講演・セミナーの企画・運営又は開催,宗教教育,宗教教育に関する情報の提供」について使用する商標として広く知られているとしても、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第10号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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